2010年3月初旬、譲渡会社の親会社社長より「子会社売却について相談したい」との連絡が弊社担当に入る。
譲渡会社の経営陣も、先行きの見えない外部環境に対して、危機感を募らせていた。「お取引先との関係継続、従業員の雇用維持はじめ、事業継続のための新たなパートナー探しをお願いしたい」との意向を受け、3月下旬より本格的な譲受先企業探しを開始した。
匿名での打診を開始して約1ヶ月、はじめに関心を示したのは、周辺業態への進出を模索していた上場専門商社で、5月末のトップ面談を経て事業シナジーを模索するも、ここ数年来の急激な業績悪化と先行きの不透明感を理由として検討を辞退することになる。
その後も数社が事業面では関心を持つも、足元の業績や負債の増加を理由に、なかなか検討が進まない状況が続いた。
事態が急展開したのは7月、ある上場企業のオーナー会長への弊社担当による提案からであった。
オーナー会長は、財務内容よりも事業面に着目された。
「この企業が取り組んでいる事業分野は非常に面白い。これからの時代、世界的な競争に日本企業が打ち勝つには、技術力に裏打ちされた信頼、それを担う人財が重要だ。譲渡会社に自分が必要とされるのであれば、お引き受けしましょう。」
オーナー会長の言葉を受けて、親会社の社長、譲渡会社の経営陣に報告、トップ面談のセッティングとなった。
当初は異業種の上場企業グループへの参画に難色を示した経営陣も、オーナー会長との面談を経て 「この方であれば信頼して付いていって間違いない」との確信に至った。
一方、オーナー会長も 「お客様・事業・雇用を何としても守っていきたい」という現経営陣の強い想いを汲み取られた思慮深いご対応をなされた。 |