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調剤薬局の更なる発展を期待して
その礎となるM&Aとなればと思う

有限会社エルゴン 酒井 長久

北里大学薬学部卒業後、1979年に某製薬株式会社に入社。研究開発職としてスキンケア商品の開発に携わる。1989年に同社を退社。フリーランスの立場で化粧品会社の顧問や専門学校講師などを務める。1993年、共同経営者とともに大塚にある癌研究会附属病院の門前で調剤薬局をオープン。経営と調剤の経験を重ねたのち、有限会社エルゴンを創業し、いるか元町薬局を開設する。その後、いるか動坂薬局、田町薬局を相次いでオープンした。経営も順調に推移していた2016年、後継者不在の問題を解決するためにM&Aを決意する。

――まずは、酒井様が有限会社エルゴンを創業されたきっかけから教えてください。

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製薬会社の研究職として入社を果たしたものの、入社3年目にして、すでに独立創業を決意していました。この資本主義社会の中で、将来的に人から雇われ続けていくというイメージを持つことができませんでした。そして30歳を目前にして退職。その段階では正直言って、“この先どうする?”という明確な方向性などまったく決めてはいませんでした。化粧品会社の顧問というかたちで化粧品の処方を提供したり、専門学校の講師をするなどフリーランスとして活動を続けました。ちょうどバブルの真っ盛りでしたから、仕事には困らなかったですね。“充電期間”と申しますか、ビジネス交流会に顔を出したりしながら、経営について学んだり、人脈を広げたりしながら、明確なビジョンは持たないままに、やがて来るであろう起業の準備を進めていました。

そんな生活が5年ほど続いた頃にバブルが弾け、世の中の風向きが急に変わります。そんなときにちょうどタイミングよく、大塚にあった癌研究会附属病院が、薬の受け渡しシステムを院外処方箋に切り替えたため、門前薬局が必要になるという話をお聞きします。

学生時代に、その病院に飛び込んで、調剤の勉強をさせていただいた縁から懇意にさせていただいていました。共同経営者から、そこで調剤薬局を一緒に開かないかという話をいただいたのです。当時は、まさにそういった医薬分業のハシリのような時期。将来的な需要増を見込み、良い勉強の機会だと出資を決め、副社長として共同経営に乗り出したのです。ところが目論見とは違って、抗がん剤は院内で処方するため、私たちに回ってくるのは内科の薬ばかり。しかも門前には7軒もの調剤薬局が並んでしまいました。もう患者さんの取り合いになるのですね。このままではどうにもならないと、共倒れになる前に私ひとり、どこか別な場所に薬局をオープンしようと考えたのです。

――なるほど。そこから、どのようにして事業を興し、拡大されていったのでしょうか。

――インタビューイメージ_有限会社エルゴン_02
・3店舗目となる港区のいるか田町薬局

同じような失敗は繰り返したくはなかったので、“ひとつの医療機関に頼らない経営”をしようと考えました。小規模のクリニックでもいいので、複数の医療機関から処方箋を出してもらい、しかも周囲に薬局がなく、病院の門前ではなく、患者さんの生活圏に近い立地で開業しようと考え、最適な条件で見つけたのが東京都下、清瀬市だったのです。

その狙いが的中し、オープン当日から50枚以上の処方箋が集まるような状態で、もう初月から黒字化に成功。以降も順調に事業は発展し、翌年には文京区に2つめ、その2年後には港区に3つめの調剤薬局をオープンするまでに至りました。それらはすべて、“ひとつの医療機関に頼らないというコンセプト”は共通していたのですが、さらにパートナーとなるドクターを私たちの方からも選定させていただきました。今考えると非常に生意気でしたよね(笑)。

ドクターに気に入られてはじめて、採用していただくというのが慣例でしたから。でも私は、ゴマスリはできないし、嘘も言えない性格でしたので、本質で勝負したい。経済優先でなく、患者さんのために医療を提供するという姿勢を持つドクターと組ませていただきたいと思ったのです。

――M&Aを意識するようになったきっかけや背景を教えてください。

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後継問題について考えるようになったのは、今から7~8年前のこと。ちょうど55歳になった頃のことだったでしょうか。確かに経営は順調でした。利益も出ているし、安定もしている。すでに随分前から無借金経営が続いている状態にありました。社員も20名以上抱えていましたし、地元密着型の調剤薬局としては、継続してお客様にお薬を提供するという使命があると自覚。先々のことを考えなくてはならないということで、将来の社長候補となる社員を採用し、育成を始めていました。

実はM&Aキャピタルパートナーズとは、その頃からお付き合いがあって情報をいただいていたのですが、当時は正直言って、“M&Aという手法もあるのだな”といった程度の認識でしかありませんでした。ところが、4軒目となる店舗を一昨年前にオープンし、私自身、エリアの離れている店舗を周回することが負担になってきたと感じ始めていた矢先、育成していた社長候補が病気になり、退職。さらに、もう一人、ベテランの薬剤師が退社したいとの旨を伝えてきました。時期が悪かったです。間もなく、もっとも繁忙期となる年末年始を迎えますから、慌てて求人をかけたり、医療関係者の知人を当たってみても、この時期に動く人などいません。目先の緊急事態もさることながら、4年間もかけて社長候補を育ててきたのに、こういう事態になってしまうわけですし、そもそも急に募集をかけたところで、本当に良い人が来るかどうか、それも定かではありませんよね。

同じ失敗は二度と繰り返せないと、そこで発想を変えて、あらためてM&Aという手法について考えてみることにしたのです。確か、買い手企業から薬剤師を派遣してもらって補充ができるという話もあったような…。そこで急いでM&Aキャピタルパートナーズをお呼びして、すべてお話をさせていただいたのです。

――M&Aキャピタルパートナーズの対応はいかがでしたか。

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私の気持ちを汲んでくれて、すぐに動いてくれましたね。しかし、すでに10月の後半に差し掛かろうとしているタイミング。時期が時期ですから、年末には間に合わないだろうと覚悟を決めていました。ところがM&Aキャピタルパートナーズは驚異的なスピード感で調査や提案を実施。11月には買い手企業候補を示してくれて、12月1日までに基本契約を結べば、すぐ薬剤師を派遣するという話までまとめてくれていたのです。

私の腹はすでに決まっていましたし、M&Aキャピタルパートナーズの説明も十分過ぎるほどにありましたので、疑問や不安など覚える間もないくらいスピーディに話がまとまっていきました。メールや電話を頻繁によこしてくれて、私が抱えていた懸念をすべて丁寧に埋めていってくれた。私がほとんど迷いもなく、M&Aを進めていくことができたのは、M&Aキャピタルパートナーズの姿勢、誠意、そして熱意の賜物であったと感じています。

――契約を進めるにあたり、これだけは守りたいと思ったものはございましたか。

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とにかく従業員の雇用だけは守ってほしいという思いがありました。社員たちが働きにくい環境になって辞めていくのは一番困ると。お話を聞いたら雇用体系はもちろん、社名も変えずにM&Aを進める方法があるというのですね。“そんなこともできるんだ?”と驚きました。当然、すべてが変わってしまうというイメージがありましたからね。同業者の中でも、そういったケースをいくつも見てきていたのです。会社や薬局の名前が変わったな…なんて思っていたら、半年もしないで薬剤師がいなくなってしまう…。現に、M&Aの調印から半年以上たった今でも、誰一人従業員はやめていないし、不満の声もあがってきていません。もちろんドクターにもちゃんと説明して理解をいただき、非常に安心しているところです。実は従業員やドクターに対して、どのように伝えればいいのか、細かな内容までM&Aキャピタルパートナーズからアドバイスをいただきました。おかげで、思った以上にスムーズに、トラブルもなくソフトランディングできました。


――契約を済ませた今だからこそ、改めてどのようなことを実感されていますか。

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現在、地元密着型の調剤薬局が果たすべき役割は大きく変わりつつあると思っています。従来の調剤だけでなく、OTC薬を置いたり、患者さんの相談を受けたりしながら健康サポート全般に対応する、真の意味の“かかりつけ薬局”への進化が求められています。益々、社会的責任が大きくなっていくため、私たちは継続的発展をしていかなければなりません。薬剤師の人手不足は深刻ですし、勉強も必要となりますが、忙しすぎてそんな時間の余裕もない状況です。人員の確保、資本力の確保は小規模の調剤薬局にとっては大きな課題です。それが解決できるM&Aは、従業員にとっても、そして患者さんにとっても有益な手法であり、業界の未来を変えるものと私は感じています。

――酒井さま自身の今後の活動についてお聞かせください。

私自身は一年間の顧問契約期間を経て、この調剤薬局の経営からは身を引くことになりますが、経営は大好きですし、この先もチャレンジを続けたいと思うのです。ちょうど設立はしたものの実質的に活動していなかった休眠会社を持っているので、そちらを動かしてみようかと思っています。経営は好きですが、この会社に固執はしません。なぜなら会社は自分一人の所有物ではないからです。私はあくまで一緒にやってきた従業員の代表に過ぎない。決断が仕事なんですよ。この会社のためにベストな決断をした、ただそれだけのことです。また、私も新天地で頑張っていきたいと思います。さらに同窓会の生涯教育を担当しているので、薬剤師の生涯教育を推進していきたいです。

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(文=伊藤秋廣 写真=伊藤元章)2017/07/24

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