グリーン・メールとは? 概要について、詳しく説明します。

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日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年、増加しています。M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収として進められる場合も存在します。企業が敵対的な買収をしようとする場合、このような状況で登場するのが「グリーン・メール(Greenmail)」と「グリーン・メーラー(Greenmailer)」です。今回は、グリーン・メールとグリーン・メーラーについて、詳しく説明します。

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1. グリーン・メールの概要

1-1. グリーン・メールとは?

グリーン・メールとは、相手会社の経営陣などに対し、株式を高値で買い取らせる目的で、ターゲット企業の株式を買い集める行為をいいます。
グリーン・メールの特徴は、経営権の取得などは頭になく、購入額よりもできるだけ高く売りつけて、その売却益獲得を目的としている点にあります。
そして、グリーン・メーラーとは、グリーン・メールを実行する投資家を指します。つまり、グリーン・メーラーとは、株式を大量に買い集めて経営に関する相応の議決を持ち、そのままでは経営が不安定になってしまう会社側の経営陣や関係者に対して、その状態を解消したい気持ちにつけ込み、株式を買値よりも高値で買わせる投資家を指すと一般的に認識されています。
グリーン・メールの「グリーン」はドル紙幣の色を意味しています。そして、脅迫状を意味するブラック・メールと組み合わせたことからグリーン・メールが使われるようになりました。つまり、ブラック・メールのように脅迫まがいな振る舞いで、買い占めた保有株式を相手企業に高額で売りつけ、グリーン(ドル紙幣)を奪い取るイメージが由来となっています。グリーン・メーラーは最初から金銭目的であるため、会社にとって純粋な敵対的買収者よりも厄介な存在と認識されています。

2. グリーン・メーラーの4類型

企業側としては、グリーン・メーラーに限らず敵対的買収を受ければ、その防衛策を検討して講じます。そのときに今まで起こった事象として、企業が取る買収防衛策についてグリーン・メーラーなどの敵対的買収者側が、差し止め請求を裁判所に提訴するという事例がありました。
そのようにして起こった提訴の1つに、2005年のライブドアによるニッポン放送の買収を巡る訴訟があります。そして、この訴訟において東京高等裁判所は、企業側が買収防衛策を講じることが無条件に認められる、相手の敵対的行為4パターンを指し示しました。
これが通称、「高裁四類型」と呼ばれているものであり、相手がこの4つのパターンのいずれかに該当するのであれば、企業側は無条件に買収防衛策を実施できるという判断基準となっています。以下に、敵対的買収者の高裁四類型について、それぞれ内容を記載します。

2-1. 買収者がグリーン・メーラーであること

グリーン・メーラーに敵対的な買収を仕掛けられた際には、買収防衛策の行使が認められています。

2-2. 焦土化経営が目的であること

焦土化経営とは、株式を買収された側の企業が保有する経営資源を他社に売却などで移転させることによって、著しくその企業の価値を下げることをいいます。そのように、買収対象企業を廃れさせるような目的で買収を仕掛けてきた相手に対しては、買収防衛策の行使が認められています。

2-3. 買収した企業の資産を債務弁済原資とする目的であること

買収した企業の資産を、買収者側の債務弁済のために用いる目的で敵対的買収を仕掛けてくる者も存在します。買収対象企業が株式購入費よりも大きな価値のある資産を有している場合に狙われる可能性が高く、このようなケースでは買収者に対しても、買収防衛策は無条件で実行可能となっています。

2-4. 解体型の買収であること

解体型の買収とは、買収した企業の資産を売却することによって多額の売却益を得る目的で行う買収です。売却益を得るというよりも、資産を売却して売り抜けることを目的としていることを意味します。
解体型の買収も既存株主に莫大な損失を与える行為であることから、買収防衛策の実施が認められます。

3. グリーン・メーラー対策としての買収防衛策

敵対的買収に対する防衛策には実にさまざまなものがあります。しかし、グリーン・メーラーが経営権の奪取をもくろんでいないため、対グリーン・メーラー向けの買収防衛策となると種類が限られます。
グリーン・メーラーに対しても有効と思われる主な買収防衛策を以下のとおり紹介します。

3-1. ポイズン・ピル(Poison Pill)

ポイズン・ピルとは、グリーン・メーラーが一定以上の株式数を取得した際に、他の既存株主に対して新株予約権を発行・交付する買収防衛策です。この対策を実施すると、グリーン・メーラーの持ち株比率が低下させることができます。

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3-2. MBO(Management Buyout)による上場廃止

MBOによる上場廃止も、グリーン・メーラー対策として効果的です。MBOとは、自社の株式を経営陣が買い取る手法であり、上場企業がMBOを実施した場合、基本的にその企業は上場廃止となります。
上場廃止により市場に株式が出回らなくなるため、グリーン・メーラーの脅威を完全に排除することが可能ですが、資金調達や情報発信力などの面でデメリットも生じることに留意が必要です。

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4. まとめ

グリーン・メーラーが会社や株主にとって脅威となる場合には、徹底的な対策が必要です。敵対的買収の阻止は企業の継続的な経営や文化を保つ上で重要な要素となる場合もありますが、その手段によって企業価値を自ら損なう行動は、長期的な視点での経営の健全性や株主の利益をどう捉えるかという観点からも慎重な判断が求められると考えられます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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