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九州経営者フォーラム2023

M&Aは、次世代へ事業をつなぐ“ひとつの選択肢”

M&Aキャピタルパートナーズ主催の「2023年九州経営者フォーラム 2023 in 熊本」が開催されました。当フォーラムでは、テレビ東京の事業承継番組「その灯を消すな!」でも取り上げられた、福岡県築上郡築上町の織田商事株式会社で代表取締役を務める阿部真弓さんが登壇し、M&Aの売り手側における、ドラマチックな体験談を語りました。

武田

M&Aを経験された、木材木製品加工販売を手掛ける織田商事株式会社の代表取締役、阿部真弓さんをお迎えします。4年前に、福岡県の飯塚市にある株式会社直方建材の傘下に入るというM&Aを実施しました。こちらでは、決断に至るまでの経緯と、M&A後の現在についてうかがいます。また、M&Aキャピタルパートナーズの企画情報部部長の中島千也にも、今回のM&Aについて聞きます。

阿部

会社は福岡県築上郡築上町航空自衛隊築城基地のすぐそばです。創業72年を迎えました。木材木製品加工販売業でホームセンターのナフコさんの設立と同時に、宮崎から木材を仕入れて、加工・製造をしてナフコさんに納めるという業務も手掛けています。今日は4年前に事業承継したことについて、少しでも皆さんのお力になる話をしていきます。

武田

中島さんに、今回の織田商事によるM&Aの概要をお聞きします。

中島

阿部社長を支援した中島です。製造業や流通業など、幅広い業種の顧客を支援しています。阿部社長との出会いはセミナーがきっかけでした。資本提携は2019年の3月のことです。相手の会社は福岡県の飯塚市にある株式会社直方建材です。建材の販売や住宅設備の販売など幅広い事業を手掛ける会社です。

武田

どういう思いでM&Aを決断されたのでしょう。

「木を愛し、木を活かす」という経営理念

阿部

織田商事の現在の従業員数は33人です。13年前からネット販売を開始し、女性を積極的に採用した結果、女性社員が全体の半分近くに達しました。そのためか、以前よりも雰囲気が明るくなったと感じています。「木を愛し、木を活かす」という経営理念があります。事業はホームセンター課、ホームセンター什器課、通販課の3つに分かれています。
ECサイトも強く、将来的にはホームセンターと通販の売り上げを同規模にする計画です。通販では顧客の要望に応じて板をカスタムカットし、色や厚みのオプションを提供しています。顧客満足を重視し、商品と共に感謝の手紙を添えて出荷しています。顧客からの評価も高いです。

事業内容01
事業内容02
武田

手紙が届くと気持ちが伝わりますね。それが口コミの高い評価につながっていると感じます。そんな中で、いまの業界における機会と脅威について教えてください。

阿部

日本の木材業界では、杉が非常に安価です。戦後に国の指示で大量に杉が植えられたことが背景にあります。宮崎県は森林面積と製材量が日本一ですが、伐採や輸送のコストが高く、地元の山主さんたちは補助金がないと経済的に厳しいと言われています。
一方、わが社は福岡でメーカーとして活動しており、自社で木材を加工し、直接販売しています。工場で重い木材を取り扱うため、設備の維持にもコストがかかります。粉じんや温度など工場の労働環境も厳しいのが現実です。地面がリフトの重みで傷み、高い火災リスクへの保険料などの固定費もかさみます。1本を売って10~20円の利益というのが実情のため、コスト削減が重要です。

武田

利益の創出が難しいことが分かりました。では、ホームセンター、EC販売についてはいかがでしょう。

阿部

コロナ禍の影響で、DIYや園芸の人口が増え、ホームセンター向けの売り上げが増加しました。また、コロナ禍に木材が高騰したウッドショック時に宮崎産の杉やヒノキの値段も上がったのですが、やがて落ち着いていきます。新築住宅需要の低迷も影響しているでしょう。ホームセンター業界では新規店舗が増加し、ECサイトへの移行もあり、激しい価格競争が起きています。ホームセンター市場があまり伸びていないことも脅威です。
一方で、EC業界はDIYブームを背景にまだ伸び代があります。消費者向けビジネスにおけるEC化率は9%にとどまるとの報告もあります。会社としての歴史を背景に棚板販売が強みになっており、他社が模倣するケースもあります。

「商売家系」織田家に生まれる

武田

織田商事にどう関わり、入社したのかを教えてください。

阿部

私は3人姉妹の長女として、商売家系である織田家に生まれました。父からのしつけは非常に厳しく、その中で商売家哲学をたたき込まれました。それが嫌で、福岡市の大学を目指し、福岡大学の商学部にしました。転勤のない人と結婚して福岡市に住むという願いを持ち、2人の女児を出産しながら5年間主婦をしていました。その後、バブル期に起業の話があり、参画したのですが、失敗し、巨額の損失を被りました。
皮肉なことに、その経験が財務の知識の獲得につながり、いま経営者になれたと思っています。身体への負担が限界に達したところに母から連絡があり、父の会社に戻るように促され、応じました。実際に戻ってみると「経理と子育てだけやればいい」と言われてしまいます。しかし、将来経営を担うことを考え、隠れて勉強しました。

武田

そこから社長になる経緯は?

阿部

経理を担当しましたが、病気による退職者が数人出たことなどにより、私に白羽の矢が立てられ、取締役になりました。そこで、経営の勉強をするために倫理法人会に入会し、研修を受けました。その内容を経営に取り入れたところ、業績が次第に上向きました。学ぶ社風を醸成できたと思います。そんな折、父から「お前社長になれ」と言われ、2015年に社長に就任しました。稲盛和夫さんの哲学に学び、それを経営や人生に生かす有志の集まりである盛和塾に入ってから、人材の質も変わり、利益体質も変わりました。

セミナーの様子
武田

なぜM&Aを検討したのでしょうか。皆さんが最も気になるところだと思います。

阿部

勉強し始めたところ、将来が不安になってきました。後継者がいなかったからです。娘2人が結婚したのは大手企業のサラリーマンで、父はそれを喜びました。木材業界の市況の低迷もあり、2人の婿に会社の承継を求めませんでした。

武田

その状況でどんな行動を選択したのですか?

阿部

当時一般的とは言えなかったM&Aについて、M&Aキャピタルパートナーズさんから一枚のFAXが届きました。FAXに、アース製薬の中村社長の講演案内があったため、聞いてみようと思い足を運びました。アース製薬社長とエレベーターの中で2人きりになり、雑談がてら名刺交換して話をしたところ、「M&Aは今からは視野に入れておくべき選択肢だ」と言われました。

武田

セミナーを聞いてM&Aへの認識が変わったというお話でした。具体的にどう変わったのですか。

阿部

近隣に、M&Aで子会社化され、結果的に親会社の意向に振り回される会社を知っており、そうはなりたくないと考えました。セミナーでは、そうではなく、友好的な関係を維持できるM&Aがあることを初めて理解できました。
2018年3月にセミナーに参加し、4月に初回の面談がありました。数日後、M&Aキャピタルパートナーズの中島さんが、東京からわが社を訪問してくれました。

武田

中島さん、2018年3月にセミナーに参加されて4月に初回面談ということですが、ここではどういう話をされたのですか。

中島

アンケートの内容で思いは十分感じ取れました。会社に伺ったところ、先頭に立って現場を引っ張っており、社員のことをよく考えていることが分かりました。社長業の責任の大きさを感じました。

武田

阿部さんはその当時を振り返り、何か感じたことはありますか?

阿部

M&A企業を介すると一定の手数料がかかるため、それを避けるために銀行や県の支援機構に相談しました。しかし、銀行の提示する案件はあまり魅力的でなかったため、私はM&Aキャピタルパートナーズとしての中島さんを信頼し、会社の将来像を含めて相談することにしました。M&Aは価格で判断できるものではないという印象を持ちました。提示してもらったリストには、私が好感を持っていた会社を含めてさまざまな選択肢が含まれていたため、中島さんへの依頼を決めました。

中島

このとき、阿部社長の考えに沿って、相乗効果があり、成長できる会社をできる限り選びました。

武田

阿部さんは候補先を見て何か気持ちが変わりましたか。

阿部

M&Aは、いわば社長と社長の結婚であり、両思いでなければ成立しません。その意味で、直方建材は同じ福岡県内の建材会社で、売り上げも100億以上あったため有力候補でした。中村さんに話すと、早速直方建材と交渉し、すぐにM&Aの承諾が得られたのです。私が指名した社長と1回の交渉で決まったというわけです。考え方や価値観が合うことがお会いして分かりました。

中島

社長同士の結婚というお話の通り、経営者同士の考えや社風を考慮する傾向は強いですね。

武田

M&Aの決断は簡単ではないと感じますが、いかがでしょうか。

阿部

はい、実際に、最大のステークホルダーである父の存在がありました。父は会社のそばに住んでおり、何かと連絡がありました。事業承継の問題を相談した時に、M&Aも1つの選択肢だとして話を進めていることを知った瞬間、烈火のごとく怒り、つえで殴られそうになりました。私は一人で悩みました。

武田

阿部さんの思いとお父さんの思いの折り合いをどう付けていったのですか。

阿部

盛和塾で、機関誌『盛和塾』の学びを持ち寄る「機関誌マラソン」に参加していた際に、よく出てきたのが「動機、善なりや。私心、なかりしか。」という言葉でした。それにより、父の反対を押し切って進めるのは、私腹を肥やすためではなく、社員を幸せにするためと気づきました。父の説得には1年かかりました。その間、父も直方建材のことを調べており、好感を持つようになっていました。さらに、自社の税理士事務所が父への訪問を提案し、会社の利益状況を見せながら父を説得してくれました。その時、父は初めて首を縦に振ったのです。

M&Aのプロセスについて

武田

お父さまを無事に説得し、友好的M&Aで成立に向けて進んでいったというすばらしいお話を伺いました。そのお話について、M&Aの流れの中での位置づけを教えてください。

事業内容03
中島

今の話は、上図で言うとM&Aの「打診交渉フェーズ」の話です。一般に、M&Aの流れは大きく3つに分かれます。左側の「検討準備フェーズ」で事前準備を、打診交渉フェーズは対面して条件を提示します。「最終契約フェーズ」は、投資先の価値やリスクなどを調査するデューデリジェンスや契約書の調整を実施します。

武田

最終契約フェーズの開始となる「意向表明・基本合意」の際に、阿部さんはどんなM&Aにしたいと考えましたか?

阿部

「身売り」という言葉は嫌でした。自分の気持ちを全部相手の社長に話し、自由に議論できる前提があるという意味で「協業」がいいと感じていましたので、何度も社長とお話ししました。M&Aを決めた年の業績が思わしくなかったため、社長交代も受け入れる旨を伝えたところ「木材業界の女性社長としてブランドになっているので、75歳まで頑張って」と返答がありました。実際に、トラックなど高額投資の決断も自分でしています。結果さえ出せば自由にやっていいというM&Aであることを理解しました。

重要キーワード、『デューデリジェンス』とは?

セミナーの様子
武田

もう1つのキーワードとして、デューデリジェンスについて、中島さんにお聞きします。

中島

デューデリジェンスは、いわゆる監査です。相手先の法務、会計、税務などについて、弁護士や会計士を訪問し、ヒアリングや帳簿の確認を実施します。

阿部

粉飾決算や資産隠しなどマイナス要素がないことを確認する段階です。場合によっては合意破棄になることもあります。わが社の場合は、その前に直方建材と確認を取っていたので、デューデリジェンスは比較的簡易なものでした。税理士も安堵していました。家系的に、決算書を家族で見るなど数字に強かったことが功を奏したと感じています。

武田

お父さんの説得よりも、最終契約フェーズの方がスムーズだったということですね。M&A成立の最終段階でどんなことを思いましたか?

阿部

調印後にもう1つの問題がありました。社員にどう説明するかに悩み、質問を想定し準備しました。そのおかげか、みな前向きに理解してくれました。専務は少しショックだったようですが。「あの会長を説得したね」とねぎらってもらった時は、「やってよかった」という思いがあふれ、涙をこぼしてしまいました。給与を含めて何も変化せず、自分が社長を継続するので、一緒にがんばろうと声をかけました。

武田

中島さん、改めて今回のM&Aの成立を振り返っての印象を教えてください。

中島

M&Aはタイミングが大事である中、直方建材さんとのご縁があったことが大きいです。お父様の問題もありましたが、事前に準備を進めた阿部社長の尽力が重要でした。

阿部

本当に縁と運に恵まれました。M&Aキャピタルパートナーズへの着手金を求められなかったことも、スムーズな進行につながりました。何度もご足労いただき、食事もご一緒しながら取り組みました。最後の「婚約」の段階まで請求はありませんでした。

4年経って見えた、M&Aがもたらす恩恵

武田

譲渡後4 年ほど経過しました。変化のポイントを教えてください。

阿部

特に変わりません。75歳まで経営者を続ける予定であり、健康に事業を手掛けています。仕入れ先は変更せず、九州全体から低コストの材料を購入しており、価格も安定しています。特に、直方建材からは杉やひのき以外の材料も購入し、新しい商品を開発しています。
また、キャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入してからは、借入の必要がなくなり、経理作業が効率化しました。これにより、支払いも自動化し、経理の負担を軽減しました。後継者のことも考え始めています。

武田

社長としての役割を果たしたいという思いが実現していることに加え、情報システムの活用などインフラ面でも恩恵があったということですね。

阿部

72年間も事業を続けていると、「良い時」と「悪い時」があります。以前と違って、多少苦しくても「必ず持ち直すよ」と毎朝朝礼で言うようになっています。

武田

前向きになり、安心感も持っているということですね。この友好的なM&Aを講演などでお話する機会も増えているのではないですか?

阿部

先ほど少しお話した、アース製薬の中村社長と全国を回って講演しました。少しネガティブな印象を持たれがちなM&Aですが、実際には友好的に実現できることを伝えています。テレビ東京さんが取り上げて、ドラマまで制作されました。会社ウェブサイトにリンクを載せているので、ご覧ください。

武田

お父さまに会社の成功を伝えたいのではないかと感じますが、お父さんは既にお亡くなりになったと聞きました。

阿部

父が亡くなった翌日は会社の創業70周年でした。コロナ禍のため記念パーティーは開催せず、記念冊子のみを制作しました。父の葬儀では、その冊子をひつぎに入れ、父に捧げました。父の設立時の株は、長年かけて社長である私が買い戻し、結局全株を直方建材に売却しました。父の死後、相続により私が株を継ぎ、その売却収入で借金を返済しました。さらに、亡父をしのびながら、受け取ったお金を社員全員に「特別インフレ手当」として配布しました。社員から大変感謝され、父も喜んでいると感じました。

武田

従業員の皆さまにとっても、M&Aは社長である阿部さんと関わる機会を増やす出来事になったのではないでしょうか。

事業内容04
中島

そうですね。M&Aはあくまでも選択肢の1つでしかありません。「納得できるお相手」で「納得できる条件」であることが重要です。「納得できるお相手」については、M&Aキャピタルパートナーズの情報を参照すればいいと思いますが、「納得できる条件」については、会社の実力値、株式価値を分かるようにする「株式価値教科レポート」を無料で作成しています。毎期決算が出るたびに、健康診断のイメージで取得する方もいます。

武田

阿部さん、会場の皆さんに最後に一言お願いします。

阿部

大事なのは、とにかく調印前に社長とじっくり話することです。「子会社」になるという意識よりも、協業して相互に会社を高めていく気持ちが大切だと感じています。


(左から)弊社 武田、阿部様、弊社 中島

登壇者紹介

織田商事株式会社 代表取締役 阿部 真弓

織田商事株式会社

代表取締役 阿部 真弓

父が創業した事業を引継ぎ、2015年に織田商事株式会社 社長に就任。
従業員の将来や家族を守るため、2019年にM&Aを実施。株式会社直方建材と資本提携を行う。
譲渡後も代表取締役として、織田商事株式会社の経営を担う。
経営理念「木を愛し、木を活かす」を軸に、木の素材と製品の素晴らしさをお伝えする
『木使い伝道者』となり、木と共に生きる(暮らす)幸せをもたらしていくことを使命としている。

織田商事株式会社

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長 中島 千也

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

企業情報部 部長 中島 千也

M&A案件開発、アドバイザリー業務に従事。

主に、製造業、流通小売、医療機器関連、専門商社等において数多くの成約実績を有している

中島プロフィール

総合司会

武田 彩佳

M&Aキャピタルパートナーズ

広報課 武田 彩佳

新卒で地方放送局に入社し、アナウンサーとして番組・イベントの司会進行等に従事。
当社入社後は、M&Aを経験された経営者の方々への取材や各種講演会の企画立案など幅広く活動を行う。

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