企業の提携には、資本の移動や資本参加をともなう提携と、資本の移動を伴わない提携(開発・製造・販売等に関する業務提携)に分けられ、前者を広義のM&Aと定義することができる。
広義のM&Aは、「資本業務提携」、「合併」、「買収」、「会社分割」の4つにわかれ、そのうち「合併」、「買収」、「会社分割」の3つを狭義のM&Aと定義することができる。
合併
合併は、複数の会社をひとつの法人格に統合する手法である。合併には、「吸収合併」と「新設合併」の2種類がある。
「吸収合併」は、合併により吸収され、消滅する会社の権利義務の全部を存続会社が吸収して承継させる手法であり、
「新設合併」は、新規に会社を設立し、新設会社に消滅するすべての合併対象会社の権利義務の全部を承継させる手法である。
買収
買収は、「株式譲渡」、「第三者割当増資」、「株式交換」、「株式移転」、「事業譲渡」といった手法にわかれる。
「株式譲渡」は、株主が保有する対象会社の株式を対価と引き換えに他社へ譲渡することにより承継させる手法であり、中小企業のM&Aにおいて最も多く採用されている。
「第三者割当増資」は、特定の第三者に対して新株を発行することにより、対象会社に対して資金注入を、特定の第三者に対して議決権を与える手法である。対象会社が保有する自己株式を特定の第三者に割り当てる「自己株式の処分」も、資金注入と議決権の獲得という意味で第三者割当増資と同様の効果がある。
「株式交換」は、完全子会社となる会社(対象会社)の発行済株式のすべてを完全親会社となる会社に取得させることにより承継させる手法である。対価として完全親会社の株式を完全子会社の株主に交付することが一般的であるが、完全親会社の親会社株式を交付すること(=三角株式交換)や、現金等を交付することも認められている。
「株式移転」は、対象会社がその発行済株式のすべてを新設する会社(=持株会社)に取得させることにより承継させる手法である。1社のみで行う場合は単独株式移転といい。2社以上で行う場合は共同株式移転という。
「事業譲渡」は、対象会社の株式ではなく、対象会社が営む事業の全部または一部を他の会社に譲渡することにより承継させる手法である。
会社分割
会社分割は、対象会社(分割会社)が事業に関して有する権利および義務の全部または一部を、別の会社(承継会社)に包括的に承継させる手法である。会社分割には「吸収分割」と「新設分割」という2つの方法がある。
「吸収分割」は、分割会社の事業を分離し、既存の承継会社に承継させる手法である。
「新設分割」とは、分割会社の事業を分離し、新たに設立する粗油系会社に承継させる手法である。
資本業務提携
資本業務提携は、業務提携に伴い、対象会社に対して資金注入を、提携先に対して議決権を与える手法である。具体的には相手先と業務提携に関する契約を結び、併せて第三者割当増資等を用いて業務提携先から対象会社に資金注入を行う。
上場企業と未上場企業の資本業務提携は、未上場企業が上場企業の出資を受け入れる場合が多く、上場企業同士の資本業務提携は、相互に第三者割当増資を行い、株式持ち合いとなる場合が多い。