放送
業界別M&A動向

放送業界のM&A動向

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監修者プロフィール

  • 企業情報部 部長 山崎 研

    企業情報部部長山崎 研

    大手証券会社にて上場・未上場企業オーナーの資産運用およびIPO支援・M&A支援に従事。
    2011年から当社に参画し、現在は社内トップクラスのM&A成約実績を重ねている。

業界の定義

放送事業者とは、電波を用いて情報や娯楽を提供する事業者のことを指す。ラジオとテレビジョンの2種類があり、一部、小規模の有線放送もあるが、普通は無線放送である。経営形態には、受信料収入による国営放送または準国営の公共放送と、広告収入による商業放送がある。アメリカは商業放送が中心,共産圏はすべて国営放送で、ヨーロッパは国営放送の国と、公共企業体の運営による公共放送と商業放送との併存の国がある。

なお、株式会社サイバーエージェントのAbemaTVなど、インターネット放送局と呼ばれる映像情報を提供サイトは放送免許を取得していないため、今回の放送事業者の定義には含んでいない。




業界の特色

放送業界イメージ画像

日本は受信料による日本放送協会(NHK)と、商業放送の民間放送が共存し、放送法で両者を分けて規定している。日本の民間放送は第2次世界大戦後の1951年にラジオが、 1953年にテレビが発足し、急速に発展した。放送は有限な電波を公平に利用するため、公共要素を持っており、放送事業者になるためには、国からの免許が必要である。参入障壁が高い代わりに、一度放送免許を取得すると規則に守られる一面もある。

放送業界の民間放送事業者の収入の大部分は、広告収入又は有料放送の料金収入であったが、近年の傾向として、広告収入比率が低下している。1980年代には、広告収入比率は7割を超えていたが、広告収入の伸び悩みが見込まれたため、各社が経営の多角化を図り、ローカル局へ番組販売や、不動産事業、音楽著作権管理、放送機器のリースなどの広告外収入で収入の増加を実現している。

日本ではこれまで地上波民放への参入は厳しく規制されおり、90年代には有線テレビや衛星放送が登場したものの対等のライバルとは程遠く、新規参入がほとんどなかったため、長年にわたる内部留保の蓄積により財務内容は極めて安定していたが、広告収入の減少により今後の各事業主の動きに注目が集まる。




市場の規模

日本における放送は、受信料収入を経営の基盤とするNHK(日本放送協会)と、広告収入または有料放送の料金収入を基盤とする民間放送事業者の二元体制により行われている。また、放送大学学園が、教育のための放送を行っている。

総務省が発表した「令和元年版情報通信白書」によると、2017年度の放送事業者売上高は3兆9,337億円であった。2007年には4兆1,178億円で過去最高を記録したが、2008年のリーマンショックの影響で収益は下降し、そのまま横ばいの傾向が続いている。その内訳をみると、地上系民間放送事業者の売上高総計が2兆3,471億円、衛星系民間放送事業者の売上高総計が3,697億円、ケーブルテレビ事業者の売上高総計が4,992億円、NHKの経常事業収入が7,177億円であった。




放送事業者推移グラフ
出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd231810.html




地上系民間放送事業者の収入の大部分を占めるのは広告収入であり、2018年の広告収入は、1兆9,126億円となっている。内訳は、テレビジョン放送事業が1兆7,848億円、ラジオ放送事業が1,278億円であった。




課題と展望

放送業界の課題としてあげられるのが、スマートフォンの普及に伴う若年層のテレビ離れである。テレビ離れが進むことにより、放送事業者の広告収入の減少につながる。近年では、インターネット広告の普及に伴い、広告主がテレビからインターネットに流出している。

株式会社電通が2019年に発表した「日本の広告費」によると、インターネット広告費が初めてテレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)を上回ったため、今後も流出は避けられない可能性が高い。ただし、NHKの国民生活時間調査によると、高齢者のテレビ視聴時間は増加していることから、テレビ広告による高齢者層へのアプローチは今後も効果はあるかもしれない。

どちらにせよ、放送事業者は経営の多角化を図り、さらなる広告外収入で収入の増加を目指すことが必要になってくるだろう。



放送業界のM&A動向

放送事業者をM&Aするのは膨大な資金が必要で、かつその膨大な資金を調達する仕組みも十分ではなかったことから、放送局のM&Aが行われる可能性は極めて低かった。しかし近年、放送局の収入の柱であった広告収入は減少し、多角的な方法で収入を伸ばす必要から、ネット事業への展開や、コンテンツとネットとの連携が目立ってきている。ライブドアがフジテレビをM&Aしようとしたことを機に、放送局がこれまで許認可規制という大きな壁に守られてきたことが露呈し、今後のグループ企業との連携のあり方を見直すきっかけとなった。

2014年2月、日本テレビホールディングス株式会社がHuluの日本事業をM&Aした。Huluは2008年から米国でVODサービスの提供を開始しており、日本市場へは2011年9月に進出した。インターネットに接続したテレビ、パソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機を通して、映画やドラマ、アニメが月定額で見放題になるサービスを提供してきた。日本テレビの話題作や人気番組のHulu向け限定コンテンツの配信などにより、作品ラインアップの充実、事業拡大を目指した。

2014年11月、日本テレビホールディングス株式会社は、サントリーホールディングス株式会社の子会社で、総合スポーツクラブ61店舗を運営する株式会社ティップネスの全株式を取得し完全子会社化することを決議した。このM&Aにより、日本テレビホールディングス株式会社のコア事業であるコンテンツビジネス事業に加え、「第二の収益の柱」とする「生活・健康関連事業」セグメントを創設した。

2018年1月、日本BS放送株式会社は株式会社国土社と株式会社理論社の全株式を取得し、完全子会社化した。国土社、理論社ともに主に、児童向けに児童図書や教育図書を出版しており、それぞれが持つ児童向け図書を優良コンテンツと捉え、M&Aの実行に至った。日本BS放送グループの出版事業を担う企業として成長・発展させることにより、事業基盤の拡大と多角化が図られた。



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