書店
業界別M&A動向

書店業界のM&A動向

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業界の定義

書店とは、書籍・雑誌を主体として取り扱う小売店のことを指す。書店は、実際に店舗が存在する実店舗の他に、オンライン書店(インターネット)と呼ばれる、インターネット上に存在する書店があり、書籍や雑誌に加え、電子書籍なども販売している。

近年では、実店舗の書店や出版取次業者もオンライン書店の運営に取り組むことが多くなってきた。




業界の特色

書店業界イメージ画像

書店は、規模により大型書店(売場面積300坪以上)、中小書店(同300坪未満)に分類され、それぞれオペレーション等も大きく異なる。大型書店では、書籍・雑誌の他にも、CD、DVD、文房具等を取り扱っている店舗が多く、近年ではカフェを併設した「ブックカフェ」が定番化した。このほか、コンビニエンスストア、雑貨やギャラリー、ドラックストア、授乳室を設ける本屋まで出現するなど業態は多様化している。

書籍関連業界の形態として、出版社である版元や、卸業者である取次などが存在する。従来、書籍や雑誌は、版元から取次を通して、書店に配本されていた。しかし、電子書籍やオンライン書店の普及により、実店舗書店の利益が減少していることから、取次ぎを介さずに出版社との直接取引をすることで、利益率の向上を図る書店が増加しており、今後もその傾向は続くと予想される。




市場の規模

公益社団法人全国出版協会の調査によると、書店業界に大きく関連している、紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比5.7%減の1兆2,921億円であった。


紙の出版市場と電子出版市場合計
出典:https://www.ajpea.or.jp/information/20190125/index.html






書店業界の市場規模は年々減少しているが、市場規模の縮小に関しては以下のことが要因として挙げられる。
・紙媒体からデジタル化へと移行されたことによる電子書籍市場の成長
・オンライン書店の出現で、実店舗書店の必要性の低下
・団塊の世代の退職により、書店での書籍・雑誌の購入の減少
・フリマアプリ、古本販売の成長により、書店での購入の減少
・インターネットやSNSで情報を入手することが可能となり、書籍の需要が低下

同様に全国の書店の総店舗数は、1980年代後半をピークに下降をはじめ、1999年時点で22,296店あった書店が、2019年には11,024店まで減少している。20年前と比較すると、書店の総店舗数は約半分に減少している。日本出版販売株式会社の調査によると、2020年の全国の書店の総店舗数は、1万店を下回り9,242店まで減少している。



日本の書店数グラフ
出典:https://www.nippan.co.jp/ryutsu-gakuin/statistics/




書店の数に関しては、日本の書店数に関して以前に比べて大幅に減っているが、海外と比較すると決して少なくはない。広大な国土を抱えるアメリカでも1万店には満たしていない。日本の書店の特徴としてシェアが10%未満と低いことが挙げられる。これに対して欧米やアメリカの大手書店は20%から30%と集中化していることが特徴である。



課題と展望

電子書籍の登場や情報収集手段の多様化により、紙媒体の書籍や雑誌の売上が低迷しているため、実店舗書店への集客が困難になり、売上が低迷している。各書店は、集客対策のために、作家のサイン会やトークショーの開催など一般的な書店のイベントなどを行う書店もあれば、中にはレゴスクールの開催や、1泊2日書店に宿泊するといった独自のイベントを開催している書店も存在する。これらのイベントは、消費者にとっても魅力的で、一時的には効果があるが、電子書籍やオンライン書店の普及は今後も続くことが予測されている。

今後、実店舗書店が生き残るためにも、オンライン書店にはない、電子書籍にはない魅力を消費者に伝えることや、経営の多角化による、収益の拡大が必要になっている。




書店業界のM&A動向

書店業界では生き残りをかけた競争が行われており、そのために経営の多角化や、地域・購入者のニーズに合わせた書店にしていくことが急務となっている。雑貨屋、カフェや音楽と書店とが融合するような書店を目指したM&A、オンライン書店や電子書籍を超える魅力をもった書店の誕生や、大手書店同士のM&Aで事業規模拡大を狙ったM&A、実店舗書店からデジタル化のためのM&Aが行われている。

2019年、株式会社TSUTAYAは、大阪・東京を中心に、香港などにも拠点をおく株式会社旭屋書店および株式会社東京旭屋書店の両社の株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、書店運営のノウハウや人材の確保、顧客サービスの向上が図られた。

2017年、図書印刷株式会社は、高校生向けの英語・国語の教科書や参考書等の教材を中心に発行している株式会社桐原書店の株式を取得してM&Aをした。株式会社桐原書店は、教科書・教材の編集制作に豊富なノウハウを有しているとともに、デジタル化をはじめ、教育環境の変化に対応する事業展開も進めている。このM&Aにより、株式会社桐原書店と図書印刷株式会社の子会社である小・中学生向けの教科書や教材を発行している学校図書株式会社との相乗効果が図られた。

2017年、カルチュア・エンタテインメント株式会社は、大日本印刷株式会社が保有する、株式会社主婦の友社をM&Aした。カルチュア・エンタテインメント株式会社は、2015年に「美術手帖」を手がける株式会社美術出版社をM&A、2017年にアニメに強い株式会社徳間書店をM&A、2012年に趣味雑誌の株式会社ネコ・パブリッシングをM&Aしている。このM&Aにより、様々な分野のコンテンツ制作から販売までを自社のみで手掛けることで、余計な中間コストをなくした新しい出版のシステムを構築し、書店を活性化させることで電子書籍やウェブ書店への対抗が図られた。





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