オーバーアロットメントとは? オーバーアロットメントの意味と、株式の交換方法、メリット・デメリット、事例について詳しく説明します。

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日本の証券市場における取引の中で、オーバーアロットメント(Over Allotment)という用語を耳にすることが増えてきました。オーバーアロットメントは、企業が資本を調達する際の一つの手段として活用されています。今回は、オーバーアロットメントの意味や株式の交換方法、メリットやデメリット、さらには具体的な事例について、詳しく説明します。
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1. オーバーアロットメントの概要

1-1. オーバーアロットメントとは?

オーバーアロットメントとは、引受証券会社が新規株式公開(IPO)や既公開株式(PO)など、募集又は売出しの予定数量のほかに、同一の条件で追加的に売出しを行うことをいいます。このオーバーアロットメントによる売出しは、引受証券会社が、発行会社の株主から借り受けた株式を売却する形で実施します。例えば、IPOを達成した会社の株式について、新規公開直後の株価の急な変動を緩和し、市場の安定を図るための仕組みとして認識されています。
また、引受証券会社は、発行会社の株主から借り受けた株式を後日返還しなければなりません。
なお、引受証券会社が返還のための株式を調達する方法として、「グリーンシューオプション」と「シンジケートカバー取引」があります。

2. オーバーアロットメントの上限

オーバーアロットメントによる売出しは、予定される募集又は売出しの需要状況を勘案して実施するもので、追加の売出し株式数は状況によって変わります。オーバーアロットメントの株数の上限は、予定される募集又は売出し(国内と外国において同時に募集又は売出しが行われる場合はそれらの数量の合計)の15%とされています(日本証券業協会「有価証券の引受等に関する規則」第29条 第1項)。

3. オーバーアロットメントにおける株式の交換方法

オーバーアロットメントにより、主幹事証券会社が投資家に販売した株券を借入先に返却するにあたっての株券の調達方法には、「グリーンシューオプション」と「シンジケートカバー取引」の2つの方法があります。
なお、これらの手法を用いる場合、主幹事証券会社が売出しする会社の上場先の証券取引所に対して、シンジケートカバー取引またはグリーンシューオプションの行使の総数量等の報告を行うことが義務付けられています(東京証券取引所「シンジケートカバー取引の報告に関する規則」第2条第2項)。
次に「グリーンシューオプション」と「シンジケートカバー取引」の2つの方法について、説明します。

  • グリーンシューオプションとは、別名オーバーアロットメントオプションともいい、主幹事証券会社が持つコールオプションのことを指します。
    株券の販売後に市場価格が引受価額よりも高く推移している場合、主幹事証券会社は市場で株券を調達すると割高になってしまいます。そのため、引受価額で株券を調達できるコールオプション(グリーンシューオプション)の行使によって、引受価額で株券を調達した上で借入先の株主に株券を返却することとなります。
  • シンジケートカバー取引とは、上記グリーンシューオプション(コールオプション)を行使せず、市場で株券を買い付けて必要数量を調達する取引方法を指し、この取引は公募・売り出しの申込期間終了日の翌日から最長30日以内に実施されます。
    株式の販売後に市場価格が引受価額よりも低く推移している場合、主幹事証券会社は市場で株券を調達する方が割安になるため、オプション権利行使などせずともそのまま市場で調達することとなります。
    グリーンシューオプションと反対に、シンジケートカバー取引は市場価格が公募・売り出し価格を下回った状態の時に行われます。そのため、この取引を行うことで下降傾向にある株価を底上げする効果が期待でき、 結果として株価形成が安定するという意味で、市場参加者(投資家)にとってもメリットのある取引といえます。

4. オーバーアロットメントのメリットとデメリット

4-1. オーバーアロットメントのメリット

まず、オーバーアロットメントの主なメリットとしては、前述の通り、市場の安定化が挙げられます。すなわち、新規公開直後の株価の急激な動きを緩和し、投資家の不安を和らげる効果があります。また、企業側にとっても、安定した資本調達が可能となります。

4-2. オーバーアロットメントのデメリット

次に、オーバーアロットメントの主なデメリットとしては、オーバーアロットメントにより一時的に増加する株式数が、市場価格である株価に影響を与える可能性があります。また、主幹事証券会社が後日株式を買い戻す場合に株価が大きく変動した場合、損失が発生するリスクがあります。

5. まとめ

オーバーアロットメントは、IPOやPOの際の市場の安定化を図るための有効な手段といえます。そのメリットを最大限に活用するためには、正確な市場分析やタイミングの選択が必要となります。日本の証券市場も、オーバーアロットメントをより一層活用し、健全な資本市場の発展に寄与していくことが期待されます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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