公認会計士の専門性と人間性を追求し続ける。尊敬する経営者の想いを次世代につなげるM&A。

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公認会計士の専門性と人間性を追求し続ける。 尊敬する経営者の想いを次世代につなげるM&A。

公認会計士の専門性と人間性を追求し続ける。 尊敬する経営者の想いを次世代につなげるM&A。 公認会計士の専門性と人間性を追求し続ける。 尊敬する経営者の想いを次世代につなげるM&A。

2025/12/10

大学生になって間もなく、父の勤務先が倒産する事態となったことがきっかけで公認会計士の道へ。その後、M&Aアドバイザーの道に転じたのも、この時の「事業を受け継ぐ人がいないから倒産」という原体験があったからです。大木 一樹さんは、M&Aという経営者にとって重要な決断をサポートするため、数字だけでは見えない企業の本質を見抜く力も養ってきました。自身に続く次世代の公認会計士アドバイザーを育て、社会の要請に応えたい。高い専門性を持ちながら、人間としても魅力的であるための鍛錬を続けています。

やむを得ない事情で選んだ公認会計士という仕事

大木さんは大学生で公認会計士試験に合格されたそうですが、そのきっかけとは?

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 次長 大木 一樹(以下、大木):

家庭環境がきっかけでした。大学生の頃、父の勤めていた介護施設のオーナー様が体調を崩したことがきっかけで、会社が倒産することとなってしまったのです。事業承継ができなかった結果、介護施設の利用者の方々も行き場がなくて困り、そして職員である父も仕事を失いました。

これ以上は親に頼るわけにいかないと、高額な学費を支払うために、早く稼げるようにならなくてはなりませんでした。公認会計士は、年齢制限がなく学生でも取得できる資格です。まだ簿記の知識さえない状態でしたが、猛勉強をして大学3年生で試験に合格できました。合格証書を受け取った時点で21歳、ある監査法人が卒業前入社を認めてくれました。大学に籍を置きながら入社式にも出席し、働き始めたわけです。普通の学生アルバイトよりは多く給料をいただけるようになり、学費や生活費を稼ぐという目先の目標はクリアできました。

その後、M&Aキャピタルパートナーズを選んだのはなぜですか。

大木:公認会計士の専門性及びビジネスの素養を磨くために、まずは監査法人で働いた後、コンサルティングファームに転職しました。しかし、大きなプロジェクトに関わると、歯車の一部になってしまう感覚が強くなり、自分の仕事が成果につながっていくというやりがいを感じられませんでした。もっと自分の仕事が、誰かのためになり、感謝してもらえる仕事がしたい。そうした想いから、会計としての知識やキャリアも活かせ、事業承継に悩む企業や関わる人々の手助けができるM&Aアドバイザーになる決断をしました

かつて父の勤務先が倒産したことで、私も家族として影響を受けた一人です。オーナーは70代だったそうですが、もしM&Aによる事業承継という選択肢を知っていたら、あのような事態は防げたかもしれません。だからこそ、経営者やその家族、従業員が苦しむ状況を少しでも減らしたいと、M&Aキャピタルパートナーズへの入社を決めました。

公認会計士の偉大な先輩の事業承継に貢献する決意

今回、M&Aを支援したミニコンデジタルワーク様(現・株式会社OLDE、以下ミニコンと表記)との、出会いを振り返ってください。

大木:前オーナーである田淵様は、私からすれば公認会計士の大先輩です。経営者でもあり、大学教授を務めた経歴もあり、M&Aによる企業再生を数多く手がけたご経歴がありました。さらに、RPAというロボットによる定型業務の自動化にも取り組まれていて、私も前職でRPAシステムを使った監査に関わった経験があったため、共通項の多さには驚いたのを覚えています。

実際にお会いしたときは、私に対しても対等な目線で、会社の成り立ちや創業者からご自身が経営を引き継いだときの思いなどを率直にお話ししてくださいました。この時期、実はご自身の病気で手術を終えたばかりでいらっしゃったのですが、そうした不安や未来への希望など、隠すことなく素直にお話しされる姿にすっかり魅了されました。

面談後に私の中に芽生えたのは、「不思議なご縁を感じたミニコン様を、自分自身の手でご支援したい」という思いです。ただ、田淵様のご体調のお話もお聞きしておりましたので、良縁に向けてなるべく急がなければとも感じていました。

どんなサポートがM&Aご成約の原動力となったと受け止めていますか。

大木:私たちは、何か特別なご支援をしたという意識はありません。出会うべくして、すばらしいパートナーと出会えたことが、すべてだったと思います。ただ、ミニコン社の特徴を正しく認識し、魅力的に伝えるための工夫は、プラスに作用したかもしれません。

田淵様からも財務的な観点では課題を共有いただいておりました。一方、人材の流動性が高いIT業界において、従業員の勤続年数が突出して高く、退職率も驚異的な水準で低いことに注目しました。働きやすい環境で、RPA技術など新しい事柄にもチャレンジを続けていました。エンジニアの育成にも熱心で、新たなスキルを次々に取得させています。この事実を正しく強みとして認識し、強調できたことは、多くの企業から譲り受けの希望を集める要因になったかと思います。

選択肢が多いことは、譲渡オーナーにとってメリットになりますか。

大木:やはりメリットは多くなります。今回は、多くの候補先から手が挙がりました。お相手を選ぶ上では、企業同士の相性や事業の親和性、シナジーの可能性、さらに譲渡金の多寡など、さまざまな側面から比較し検討する必要があります

さまざまな方とお引き合わせし、条件を見比べること、その中で最良と思われる選択肢を採用すれば、M&A成功への近道となるのは間違いないでしょう。当社の企業データベースを活用し、まず多くの企業に関心を持っていただいたプロセスは有効だったかと思います。

人間力を高め専門知識をかけ合わせていきたい

結果的に田淵様もとても喜んでくださいましたね。

大木:まずはそれが最高の結果です。アドバイザーとして仕事冥利に尽きます。田淵様は、日頃から透明性の高い財務諸表をつくられていました。そして譲受企業であるパワーソリューションズ様から、所属する全エンジニアのスキルマップの作成と提出を依頼された時には、田淵様は2日足らずで求められる質を超えた資料を作成されました。こうした田淵様の真摯な努力が報われて、本当によかったと感じています。

田渕様は常に私のことを「M&Aのプロ」として扱ってくださいました。様々な観点でご実績が豊富なのにも関わらず、謙虚という言葉がぴったりのまさしく人格者です。この田淵様のお姿こそ、これから私が目指すべき姿だと感じています。数字に強く、専門知識が豊富であることももちろん大切ですが、人間力を高めることが大切だと信じています。

公認会計士という専門性を高めつつ、百戦錬磨のオーナー様に安心してM&Aの検討をお任せいただけるアドバイザーであれるよう、人間的な魅力を併せ持つ「掛け算」にこだわりたいのです。

公認会計士としての高いスキルは、M&Aの仲介や支援に直結するのですね。

大木:M&Aにおいて、財務知識は必須です。企業価値の算定や財務諸表の分析、デューデリジェンスへの対応など、会計と財務の専門知識が求められる場面が数多くあります。公認会計士という資格のレバレッジが、最も効く仕事ではないでしょうか。

ただ、譲渡オーナー様にとってM&Aは、一生に幾度とない重要な決断です。それなら専門家に任せたほうが安心できると思われがちですが、知識だけでは当然不十分です。

数年前ですが、上長である安田(M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長 安田 直人)から「この資料は、オーナーさんのことを本気で考えて作ったか」と問われたことがあります。忙しさもあって、以前作成した資料を再利用したことを見抜かれました。効率化や生産性向上を追求することは悪くありません。しかし、常に相手の立場に立って、相手が何を望んでいるのか、どう受け止めるかを意識し続けられるかどうかが重要です。相手への思いやりがこのような細部にわたる部分まで影響します。

今後の目標について教えてください。

大木:現在、公認会計士資格をもって現場最前線でオーナー様をご支援しているメンバーは30人ほどいます。私が入社した数年前から比べると、急増していると言えます。だからこそ、アドバイザーとしてオーナー様の支援を率先できる、公認会計士チームを作りたいと思っています。

今回も、数字への強みがあるからこそ、財務諸表は一つの側面に過ぎないと考え、企業の本質的な価値に気づくことができました。このように企業の真価を正しく評価し、伝えられるようになれば、公認会計士アドバイザーはさらに活躍できると確信しています。

育成という点では、若手にはより多くの現場に出てもらい、様々な経験をしてもらうことが大切です。私も多く上司や先輩に同行してもらい、独り立ちできました。しかし1つとして同じご縁組みというのは存在しません。良縁それぞれに様々なストーリーや背景があります。M&Aアドバイザーの仕事はマニュアル化するのが困難な領域だからこそ、経験を重ねるしかありません。

しかも、正解があるわけではありません。相手によって、信頼感をもっていただくコミュニケーションの方法は無限にあるからです。だからこそ、私がかつてそうしてもらったように、若手には一緒に動いて、一緒に考えて、一緒に悩むことが重要かと思います。資格や知識に頼るのではなく、常に相手のことを思い、最善を尽くすこと。人間性も含めて評価していただけるよう、私自身が成長を続けながら、チームを率いていきたいと思います。

文:蒲原 雄介 写真:蔵屋 憲治 取材日:2025/10/23

成約事例インタビュー:それぞれの選択

経営者がどのようにM&Aを決断したのかをインタビュー形式でご紹介します。

株式会社ミニコンデジタルワーク
譲渡オーナー 田淵 正信 様

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