信頼を背負う覚悟が、決断を支える。自ら楽しむ姿勢が、仕事の質を一段と高める

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信頼を背負う覚悟が、決断を支える。 自ら楽しむ姿勢が、仕事の質を一段と高める

信頼を背負う覚悟が、決断を支える。 自ら楽しむ姿勢が、仕事の質を一段と高める 信頼を背負う覚悟が、決断を支える。 自ら楽しむ姿勢が、仕事の質を一段と高める

2026/03/03

M&Aという大きな決断に寄り添うアドバイザーの仕事。その成否を分けるのは、専門知識だけではなく、クライアントとの信頼関係です。企業情報部主任の寺田啓さんは「仕事を楽しむこと」「ポジティブに捉えること」を何より大切にしています。厳しい局面も前向きに受け止め、相手の立場に立って考え抜く姿勢が、オーナーからの信頼を生み出しています。その仕事術について、教えてもらいました。

信頼されることは責任を背負うこと

M&Aアドバイザーの仕事の楽しさをどのように感じていますか。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 寺田啓(以下、寺田):
プロとしての付加価値を出しやすい点がこの仕事の楽しさだと思っています。誰がやってもよい成果が出るわけではありませんし、アドバイザーは情報を伝達するだけの係でもないです。私たちアドバイザーの質によって、お客様の人生を、いい意味でも悪い意味でも変えてしまう可能性があると考えております。それにM&A成約後に、結果として市場評価にも影響を及ぼす力がM&Aアドバイザーの仕事にはあると思います。このように、付加価値を出せる場面が無数にあることが魅力のひとつです。

まだ若手と見られる年齢です。緊張感もあるのではありませんか。

寺田:
もちろん難しい部分もあります。私たちがお会いする経営者様たちは、私の2倍、ときに3倍の長い人生を歩んでこられています。時間だけでなく深みも、ビジネスを育ててきたという実績もレベルが異なるのです。そうした百戦錬磨の方々から信頼していただくには、相応の時間もかかります。

「信用している」「信頼している」と言葉をいただいた瞬間は嬉しいと同時に、「期待に応えたい」とスイッチが入ります。特にM&Aの専任契約をいただくということは、私がしっかり進めなければならないという責任を背負うことでもあるからです。

責任を背負った結果、どのように行動が変わるのでしょうか。

寺田:
どんなM&Aにも必ず難しい局面があります。そこで対応を誤ると信頼を損ない、話そのものが流れてしまうリスクがあることも理解しなければなりません。

時には、譲渡企業にも譲受企業にも耳の痛いことをお伝えせざるを得ないこともあるのです。成約まで長期間に及ぶことも多いので、当事者にさまざまな心境の変化が起こるのは無理のないことです。だからこそ冷静に状況を整理し、判断を支える役割を果たす必要があると思っています。

そんな難しい場面を乗り越えるために必要なことは何でしょうか。

寺田:
この仕事では、自らが楽しんだり、ポジティブに捉えたりする姿勢がものすごく大切だと思っています。冷静に物事を把握するのは大前提として、それをどう捉えるかで行動が変わります。正しく判断した上でポジティブに捉えることができないと、くじけてしまうことにもなりかねません。

入社直後につらい経験をしたことがありました。私はどのように対処すればよいか分からないほど混乱しましたが、上司や先輩はその状況をポジティブに捉えていたのです。そんな姿を目の当たりにして、私とは器が違うと感じました。この一件があって以来、自分自身もポジティブでいることを常に意識しています。

まずは事実を正確に把握し、内容がクライアントにとってはマイナスの内容だとしても、それを前向きに捉え直して転換するのです。その瞬間は必死ですが、自分自身がポジティブ思考でいれば、良いアイデアが生まれ、良い結果にもつながるように思います。

M&Aで生じる「別れ」の際も当事者の気持ちに寄り添って

今回もポジティブなマインドが発揮されたことはありましたか。

寺田:
今回の新日本産業は、M&Aにあたって譲受企業・トミタの上場企業レベルの経理基準に合わせる必要がありましたが、大きな問題がありました。長年頼ってきた税理士事務所では、技術的に対応しきれないことが分かったのです。

M&Aを実行するには、顧問税理士の交代以外は選択肢がないと思われました。M&Aという自社の都合によって、お世話になってきた方との取引を打ち切ることになるわけですから、新日本産業を率いる風間様にとって苦渋の決断だったことは間違いありません。

どのように着地させようと考え、何を行ったのですか。

寺田:
税理士の先生のもとを訪問するにあたって、当事者である風間様だけでなく、譲受側であるトミタの経営陣にも同行してもらうことを提案しました。先方が長年にわたって貢献してくれたことへの感謝をきちんと伝えることが、人間関係の上で最も重要だと考えました。

最終的には契約の解消をお伝えしなければならない事実は変わりません。しかし、その事実だけを淡々と伝えるより、両者が筋を通すというプロセスを大切にしていただきたいと思いました。このことが、両者の提携をさらに強固なものとし、長年の取引先の目線でも「重要かつ、避けられない経営判断」だと理解いただけると確信していました。普段から「相手の立場だったらどう思うか」を意識しているようにしていますが、その考えが役立ったのではないかと感じています。

結果的には、税理士の先生がご高齢を理由にそろそろご勇退を考えていらっしゃったタイミングだったことが分かりました。そのため、とても円満な形でこの一つの壁を乗り越えることができました。

自らに一切の妥協を許さない姿勢、その背中に学んできた

こうした工夫、相手にどう伝えるかなどは、すべてご自身で考えているのですか。

寺田:いいえ、先輩方がそのようなアクションをとっているのを横で見て、学んできました。特に、部長の鈴木(執行役員 企業情報部 部長 鈴木 康士)をはじめとする上司や先輩の姿勢には影響を受けています。

たとえば、関わる会社の規模に関わらず、一切妥協しないことです。 自身の仕事が会社そのものだけでなく、その取引先や従業員、さらに家族へと影響を及ぼすことを理解し、真剣に考えているのです。常に仕事に集中していて、なおかつ楽しそうに働いているように見えるのが最も尊敬できる点です。

常にお客様と同じ目線で、お客様のために全力で取り組んでいる姿を、言葉で教わるというよりは、背中を見て学ばせてもらっています。それに加えて、自分なりに「相手の立場だったらどう思うか」を考えるようにしています。

オーナーにとって耳の痛いことも伝えなければいけない、と言っていましたね。

寺田:
伝え方やタイミングについては、常にベストな方法を探りますが、緊張はしますし、難しい判断だと思います。

ただそういう時こそ、信頼関係が問われます。「寺田の言葉なら受け止めよう」と思っていただけるような関係性を、普段から築いておくこと以上に良い方法はないのではないでしょうか。

転職したときも、鈴木部長の人柄に惹かれたと伺いました。

寺田:
最初の面接官が鈴木部長でした。報道などを通じて、M&A仲介業界にあまり良いイメージを持てていなかったのが正直なところです。しかし、いかにやりがいがあり、意義のある仕事かを教えてもらい、俄然興味が湧きました。

前職の証券会社ではM&Aをご検討されるお客様に対して、専門部署や提携先の仲介会社をお繋ぎすることが中心でしたが、当事者となって主体的に働ける点も魅力的だと思いました。転職後、成長意欲と能力の高い社員たちが、時間や手間を惜しまず働く姿は、本当に輝いて見えたものです。

「違和感を与えない対応」で信頼を寄せられる人物に

現在、自身の強みや得意領域についてはどう考えていますか。

寺田:
正直、自分の強みはよくわかりません。業種や地域などでこれが専門というのもなく、携わった会社の内容も、今のところバラバラです。どんなオーナー社長に会えるか、どんな会社なのか、常に新しい発見があるので、絞りこまないほうが私の性格に合っていると思っています。

能力値も同じです。「突出した武器がない」ことは課題だとも捉えていますが、逆に言えば何事にも苦手意識がないことは、目立たないけれど、自分らしい取り柄かなと思うようにしています。違和感を与えないというのが強いて言えば、強みかもしれません。

「違和感を与えない」とは、どんな意味ですか。

寺田:
その人の長所より短所の方が気になってしまうことは、ビジネスに限らず人間関係では起こり得ると思います。そんなあらゆる違和感を作らない、そして相手に印象として与えないことは、努力でカバーできます。圧倒的な特技がなくても、総合的な力で目の前の経営者様に全力で向き合うことが私のできることです。困難な場面を迎えても、このオーナーの気持ちに応えたいと思い続けられる方となら、私もポジティブに楽しく仕事を継続できると思っています。

今後の目標もお聞かせください。

寺田:
規模で優劣がつくわけではありませんが、せっかくなので尊敬する鈴木部長が手がけていらっしゃるような大規模なM&Aに携わってみたいという目標があります。日本経済や業界にインパクトのある、誰もが知るような会社のM&Aを支援できたら、大きな経験と自信につながるはずです。

そのために必要なのは、学びだと思っています。私たちは、M&Aアドバイザーとして情報を伝える役割ですが、経験豊富なオーナー様から学ぶことも多くあります。

今回、最も印象に残ったのは、ビジネスにおいて最も大切なことは顧客からの信用と信頼であること。風間様は「当たり前のことを当たり前に」と仰っていましたが、口で言うほど簡単ではありません。高いレベルで実践できている会社が少ないからこそ、理想的なパートナーを惹きつけることができたのでしょう。決断の瞬間に立ち会う者として、自らも信頼される存在であり続けたいと、決意を新たにしました。

文:蒲原 雄介 写真:一ノ谷 信行 取材日:2026年1月20日

成約事例インタビュー:それぞれの選択

経営者がどのようにM&Aを決断したのかをインタビュー形式でご紹介します。

新日本産業株式会社
代表取締役 風間 洋治様

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記事監修者

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広報室
武田 彩佳
新卒で地方放送局に入社し、アナウンサーとして番組・イベントの司会進行等に従事。
当社入社後は、M&Aを経験された経営者の方々への取材や各種講演会の企画立案など幅広く活動を行う。

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