再生M&A最前線 ―事業再生の現場から―第4回 変化する「倒産」のかたちと事業再生の選択肢

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再生M&A最前線 ―事業再生の現場から― 第4回 変化する「倒産」のかたちと事業再生の選択肢

再生M&A最前線 ―事業再生の現場から― 第4回 変化する「倒産」のかたちと事業再生の選択肢 再生M&A最前線 ―事業再生の現場から― 第4回 変化する「倒産」のかたちと事業再生の選択肢

2026/07/15

コロナ禍や地政学リスクの高まり、物価高騰、人手不足など激変する経営環境の中、日本企業の倒産が増加しています。そうした外部環境において、事業再生型M&Aは “事業を残し、従業員の雇用、取引先、経営者の人生、ひいては地域経済を守る” ための選択肢として急速に重要性を高めています。本連載では、M&Aキャピタルパートナーズグループで「事業再生型M&A」のアドバイザリーを行うみらい共創アドバイザリーが、再生現場の視点から、事業再生型M&Aの考え方、手法、スキーム、そして実際の再生事例までをわかりやすくお届けします。

かつて倒産の象徴とされた「銀行取引停止処分」を受ける企業は、電子決済の普及により大きく減少しました。しかし、資金繰りに苦しむ企業が減ったわけではなく、倒産の実態そのものは形を変えて存在し続けています。こうした中、事業再生や私的整理を後押しする制度として注目されているのが「経営者保証に関するガイドライン」です。今回は、倒産の姿がどのように変化してきたのかを整理し、事業再生につながる新たな選択肢について考えていきます。

銀行取引停止処分は激減、倒産の姿は変化している

企業が6カ月以内に2度の不渡りを出した場合、すべての金融機関から2年間にわたり手形・小切手の使用を停止されます。これが「銀行取引停止処分」で、かつては事実上の倒産と受け止められてきました。

しかし、電子決済の普及により手形の利用は大きく減少し、それに伴い銀行取引停止処分の件数も激減しています。1997年の銀行取引停止処分は年間15,000件以上と総倒産件数の9割前後を占めていましたが、近年では数百件規模にとどまっています。

一方で、手形取引をやめたからといって企業の資金繰りが改善するわけではありません。倒産という現象は減ったのではなく、表れ方が変わったにすぎないと言えます。

清算型手続きでも事業は再生できる

みらい共創アドバイザリーでは再建型の案件を多く扱っていますが、それだけに限りません。清算型の破産手続きによって企業そのものは消滅しても、M&Aを通じて事業が引き継がれ、従業員の雇用がスポンサー企業に承継された事例もあります。

一般に「再生」と「再建」は混同されがちですが、「事業再生」は、事業を再構築し収益性を回復させる取り組みを指します。一方、「企業再生」は、経営体制や財務構造の見直しを含む、企業全体の包括的な再生を意味します。

経営者保証ガイドラインが私的整理を後押しする

近年、私的整理の活用が進んでいる背景には、経営者保証の考え方が変化してきたことがあります。

従来、中小企業が融資を受ける際には、経営者個人が連帯保証人となり、企業が返済できなくなれば個人がその責任を負うことが求められました。これは資金調達を円滑にする一方で、思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因にもなっていました。そもそも中小企業の私的整理は、経営者が決断しないことには何も進みません。ところが、債務を圧縮するために自分の資産を犠牲にすることが足かせとなり、私的整理に踏み込むことができなくなるのです。

こうした課題を踏まえて策定されたのが「経営者保証に関するガイドライン」です。このガイドラインには法的拘束力はありませんが、業界の自主ルールとして尊重されることが期待されています。一定の条件を満たせば、保証債務の一部免除や自由財産(99万円以下の預金)に加え一定の生活費や華美でない自宅等のインセンティブ資産の保持が認められるほか、将来的には連帯保証なしで融資を受けられる可能性も示されています。一般的には「経営者保証に関するガイドライン」のが最大の特徴は、破産しなくても良いこと、自由財産に加え、インセンティブ資産(華美でない自宅等)を残すことができる点です。

「経営者保証に関するガイドライン」における債務整理のポイント

当初は適用にばらつきが見られましたが、2020年前後から実務的な運用が進み、金融機関や行政機関も積極的にガイドラインの活用を打ち出すようになりました。その結果、私的整理において経営者保証の解除が現実的な選択肢となりつつあります。

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著者プロフィール

株式会社みらい共創アドバイザリー
代表取締役社長 小林 廣樹

大学卒業後、金融機関に入行。経営課題に対するコンサルティング~事業承継等の資本政策提案を中心とした法人営業に従事し、競合激戦区ながらシェア拡大に貢献。2016年よりM&Aキャピタルパートナーズへ移り、M&A仲介業務に従事。事業承継型M&Aからアーリーステージの事業再生型M&A等を手掛ける。みらいエフピー(現・みらい共創アドバイザリー)のM&Aキャピタルパートナーズグループ入りに伴い、21年10月より当社取締役として参画し、23年4月代表取締役社長に就任。当社参画後は私的整理・法的整理を含め、再生ディールのみで20件以上成約。著書「再生M&Aという選択肢 ―事業と社員を守る、事業再生の現場―」を2025年に上梓し、丸善丸の内本店で週間ランキング1位を獲得。

記事監修者

齊藤 宗徳の画像
広報室 室長
齊藤 宗徳
2007年立教大学経済学部経済学科卒業後、国内大手調査機関へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者を歴任。
2019年大手M&A支援機関へ入社し、広報責任者として広報業務に従事、厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当。
2021年M&Aキャピタルパートナーズ入社、グループ全体の広報責任者として広報業務全体を管掌、2024年より現職。MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者。
レコフ リサーチ部を兼務し、主に「事業承継M&A分野」を担当。
創業110年を超える実家の米穀・酒販会社で、実際に「事業承継M&A」を経験。

一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート
一般社団法人M&A支援機関協会広報分科会委員

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