型を学び、型を超える。先輩から吸収し、自分だけの仕事をつくる
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型を学び、型を超える。 先輩から吸収し、自分だけの仕事をつくる
型を学び、型を超える。 先輩から吸収し、自分だけの仕事をつくる
2026/08/27
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社(以下、MACP)企業情報部の白石諒汰さんは、日々の仕事を細かく検証し、改善を積み重ねることを大切にしていると話します。「人と全く同じことはしたくない」と語る一方で、その土台にあるのは、先輩から学び、基本を徹底して身につける姿勢でした。独自の方法を追求するからこそ、「型」を大切にする。その理由について聞きました。
他人の行動をただ真似ることはしたくない
「人と同じことはしたくない」という考え方は、仕事ではどのように表れていますか。
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 M&Aアドバイザー 白石 諒汰(以下、白石):
多くの場合、オーナー様との最初の接点は、私たちからのご案内です。まだお会いしたことのないオーナー様に私たちを知っていただくところから、M&Aの仕事は始まります。
お送りするご案内の内容や伝え方については、常に改善を重ねています。MACPには多数の実績があるので、「この形式が読んでいただきやすい」とされているセオリーがありますが、私はあえてその標準からも変えています。相手に合わせて伝え方を見直しながら、試行錯誤を重ねています。
そのような手間をかけるのはなぜですか。
白石:
オーナー様のもとには、日々多くのご案内が届いています。いくら目に留まりやすい方法とはいっても、同じ方法でお送りしていては、そのうち見慣れてしまいます。すると、手に取っていただくことさえ難しくなるのは当然です。私は、もともと人と同じことをしたくない性分でもあります。うまくいく方法はある程度踏襲しつつ、そこから自分なりの方法で改善することがポイントだと思っています。
よいとされる型から外れることへの不安はありませんか。
白石:
不安はないですね。うまくいっている方法にはそれなりの理由がありますから、尊重した方がいいと思っています。ただ、オーナー様に初めてご連絡を差し上げる場面で言えば、皆が同じ方法を真似すればするほど、すべての案内が埋もれてしまいます。だから型を知った上で、変える箇所を慎重に選んでいるつもりです。
先輩の「型」は一度で吸収する
今回ご縁のあった丸吉水産商事の事例を振り返ってもらえますか。
白石:
丸吉水産商事は、創業90年を超え、伊豆半島・下田で燃料卸売とホテル運営を営んでこられた会社です。前オーナーの加藤様は、従業員想いで心優しい方でいらっしゃいます。私がご提案したタイミングとご自身がM&Aの話を進めたいと考えていた時期がちょうどよくマッチしたことで、スムーズにご支援させていただきました。
一方、私の視点では、同行していただいた佐々木さん(企業情報部 課長 佐々木 貴義)の振る舞いを徹底的に吸収するつもりで臨んでいました。M&Aの成約までの工程は膨大で、一つずつ着実に進めなければ、お客様にご迷惑がかかります。お客様にご納得いただける進め方にも、確かな型があります。まずは私自身が体得し、再現できるようにならなければいけません。だからこそ、素直にすべてを吸収すると心に決めていました。
白石さんが学んだこととは端的に言えば何でしょうか。
白石:
最大の学びは、物事を進めるときの主語が「私」ではないことです。佐々木さんは自身がどう考えるかではなく、お客様がどう受け取られるかだけを常に考えているという点に驚き、そして圧倒されました。
お客様の気持ちになりきる力は、未来を見通す力にも通じます。「ここが必ずポイントになるから準備しておいて」と佐々木さんが言っていたところは、その通りになるんです。私の説明ではオーナー様に疑問が残ってしまうときも、佐々木さんが発言した瞬間に解決したことが何度もありました。相手の気持ちに立つからこそ、伝える力も次元が違うのだと感じます。
その後、お客様との打ち合わせなどで進め方を変えた部分はありますか。
白石:
基本的に私がイニシアチブを取って、打ち合わせを進行するようにしています。今回、成約の最後まで経験させていただいたことで、ゴールまでに何をしなければならないか、おおよそ見えるようになりました。どの件にも共通するオーソドックスな部分は、見本となる一通りの流れを踏襲することで、最低限進められます。
だからこそ、今は自力では分からない点にしぼって、先輩方に聞いて解決するように努めています。たとえば、別の案件で担当しているIT業界のM&Aでは、開発言語や契約の形態など専門的な要素が入ってくるので、業界に詳しい別の先輩にも助けていただいてきました。分からない部分を先輩方の知見で補うことで、自分の成長速度は確実に早まるはずですし、まだ自分だけでは対応できないこともお客様にご迷惑をかけることなく解決できます。
悪い結果も決して悪いものではない
冒頭で触れた手紙の送り方の工夫について、その工夫がうまく効いたのか、成果を確かめている方法を教えてください。
白石:
ご案内に対する反応をデータとして集計しています。一度にさまざまなポイントを変更すると、どの工夫が有効だったのかわからなくなるため、一度に多くを変えるのではなく、一つずつ改善点を検証しています。
思うように結果が出ないこともあるのではないでしょうか。
白石:
私には「結果が出ない」という発想がありません。悪いデータが得られたことは、悪いことではありません。うまくいかない方法が一つ分かれば、次にどこを変えればいいかが見えてきます。だから、検証すること自体に価値があると思っています。
このように徹底してPDCAサイクルを回すのは、前職のコンサルティング会社で身に着けた習慣です。最近は譲受企業とのコミュニケーションについても試行錯誤しています。相手によって伝え方や対話の進め方を見直しながら、日々経験を積み重ねています。
平均的な選手は試合に出場できなかった原点
人と同じことをしたくないという姿勢は、いつどこで生まれたのですか。
白石:
今思うと、高校時代に所属していた野球部の影響だったように思います。甲子園に何度も出場している競合校では、走攻守すべて平均的にうまい選手は試合に出してもらえませんでした。絶対的なレギュラー選手以外では、足が速ければ代走、守備がうまければ守備固めというように、何か一つ突出した長所がある選手が重宝されます。
この事実に気づいた私は、まず徹底して守備を鍛えました。しかし、守備だけでは終盤しか出番がないので、結果的に打撃を磨き、足も生かすように努力したところ、いつでも出してもらえる選手になりました。当時は無我夢中なだけでしたが、振り返って分析すると、試合に出るという目標から逆算した戦略だったのだと思います。
その戦略を、現在に当てはめるとどうなりますか。
白石:
知識面では、さまざまな決算資料を読み込み、数値から会社の本質を見抜く力を磨いています。入社当初は理解できなかったことも、必死に勉強した結果、少しずつ身につけることができました。財務に明るい先輩に教えていただいたことも大きく、社内の環境にも恵まれていると思います。
今後は、どんなアドバイザーを目指しますか。
白石:
先ほど話したように、しばらくIT業界のご支援が続く見込みですが、自ら業界を制限して間口を絞るつもりはありません。より社会にインパクトのあるお仕事がしたいので、大企業でも安心して任せていただけるようなアドバイザーになりたいと考えています。
今の私に不足しているのは、交渉力と経験値です。会社規模が大きいケースでは、さらに専門的な知識や複雑な状況を整理する力が求められることも予感しています。譲渡オーナー様だけでなく、譲受企業との折衝の経験も積み、対応力を伸ばさなければなりません。
やはりこの仕事に就いたからには、社会的にもインパクトのある挑戦がしてみたいという思いはあります。ただ、自分がどうしたいかではなく、相手がどう受け取るかという大切な軸をぶらすことなく、1日1日取り組んでいきたいです。
丸吉水産商事株式会社 前オーナー・加藤様(中央)とともに
文:蒲原 雄介 撮影:松本 岳治 取材日:2026年6月23日
成約事例インタビュー:それぞれの選択
記事監修者
当社入社後は、M&Aを経験された経営者の方々への取材や各種講演会の企画立案など幅広く活動を行う。