

従業員とその家族を守り、さらなる飛躍を。
妥協のない姿勢がパートナーを引き寄せたM&A
臨床検査分野を核に事業を展開してきた総合医療サービス株式会社。医療機器・消耗品の販売から睡眠事業サポート、新規開業支援まで多岐にわたる専門的サービスを提供し、地域医療の向上に貢献してきた。2025年、同社はディーブイエックス株式会社へ株式譲渡によるM&Aを行った。その経緯と今後の展望を総合医療サービス株式会社 代表取締役 京極 貫 様、ディーブイエックス株式会社 代表取締役 柴﨑 浩 様に伺った。
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譲渡企業
- 会社名
- 総合医療サービス株式会社
- 所在地
- 大阪市東成区
- 設立
- 1992年
- 事業内容
- 臨床検査業務、医療機器の販売・賃貸など
- 資本金
- 1,000万円
- M&Aの検討理由
- 後継者不在のため
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譲受企業
- 会社名
- ディーブイエックス株式会社
- 所在地
- 東京都港区
- 設立
- 1986年
- 事業内容
- 医療機器販売商社
- 資本金
- 3億4,445万7,000円
- M&Aの検討理由
- 事業拡大のため
専門性で道を拓き、事業多角化で近畿から全国へ
まずは、創業の経緯と事業についてお聞かせいただけますでしょうか。

創業のきっかけは、臨床検査技師として病院に勤務していたときに、ホルター心電図解析の事業に可能性を感じたことでした。「ホルター心電図」とは、健康診断で実施するような15秒程度の心電図ではなく、より詳細な情報を得るための精密検査で24時間記録する心電図です。臨床検査技師の役割は、患者のデータを正確かつ分かりやすい形で、可能な限り迅速に医師へ報告することです。しかし、当時のホルター心電図検査の解析結果では、データの正確性に疑問を感じたり、専門家でなければ理解しにくい形式であったり、報告までに2週間以上かかったりと、改善すべき点が多く見受けられました。加えて、現場の医師が不明な点を質問しにくい状況もあり、解析結果を読解するのが難しく、十分な活用が見込めませんでした。
この分野に特化し、例えば「ここが知りたかった」と、現場の医師が本当に求めている情報を付加したり、より平易な言葉で解説を加えたりと工夫すれば、ニーズがあるのではないかと考えました。その後、28歳のときに起業しました。この分野の市場規模は非常に小さく、今でこそ競合も増えてきましたが、事業を立ち上げた当時は類似の企業は心電計メーカー以外ありませんでした。
新規性の高い事業ということで、創業時は苦労されたのでしょうか。
最初は非常に大変でした。もともと病院勤務のサラリーマンだったので、後ろ盾のようなものはまったくありません。営業経験もなかったため、アポなしで一日に10件以上の病院や開業医を訪ねるなど、手探りの状態でした。仕事を受注するまでは非常に苦労しました。
営業マンとしては未熟だったかもしれませんが、臨床検査技師としての経験と知識をもとに専門的な質問に対してもお答えすることができたため、「なかなか良いことを言うじゃないか、一度試してみよう!」「君が気に入った!」と言ってくださる開業医の方もいらっしゃいました。嘘をつかない私の姿勢を受け止めていただけたのかもしれません。
事業はどのように軌道に乗っていったのでしょうか。
ターニングポイントは、創業から15年ほど経った頃でした。会社を維持・成長させていくためには、検査業務だけでは売上規模に限界があったため、医療機器や消耗品の販売にも少しずつ力を入れるようになりました。
次第に私自身のマンパワーだけでは限界となり、外部企業との連携を模索しました。例えば、主に血液検査などの検体検査を手がける検査センターは、ホルター心電図解析のような生理検査は専門外のことが多かったものの、医療機関からは時折そのニーズが寄せられていました。そうした状況を捉え、彼らが受注した解析を総合医療サービスが担う連携を考案し、いくつかの検査センターに提案しました。すると、分かりやすい解析が評価されたことも後押しとなり、検査センター経由での顧客紹介が増加したのです。同様に、他の取引企業にも弊社のサービスを紹介いただくように働きかけ、営業の効率化を図ったことが功を奏したのかもしれません。
私自身が直接営業せずとも依頼が徐々に増えていく状況を見て、営業担当者を採用してホルター心電図関連の営業に注力したことで、事業は速いペースで成長していきました。
また、官公庁系の病院などが行う入札に参加するための「全省庁統一資格」の取得も大きな成長要因です。入札案件からの受注獲得を機に、取引を全国へ拡大しました。さらに、ホルター心電図に加え睡眠検査の解析も手がけ、検査から治療(医療機器や消耗品)まで一貫して提供することで、事業の多角化を進めました。睡眠検査における専門性と仕事ぶりを評価していただき、製薬会社からの治験協力依頼も増加し、特に大阪地区では確固たる信頼を得ています。
まさに社名の通り“総合医療サービス”として地道な努力と挑戦を続けた結果、新たな機会を掴み全国へ事業を拡大させることができました。「総合医療サービスなら安心して任せられる」と、各方面から信頼できる存在になれたと考えています。
55歳を機に、従業員とその家族を守るためM&Aを検討
どのようなきっかけからM&Aを意識されるようになったのでしょうか。

7、8年ほど前、私が55歳くらいのときです。開業当初からお付き合いのある医師に、「京極さん、これから会社をどうしていくのですか」と尋ねられたことがありました。それまでは会社の売上を伸ばし、規模を大きくすることに注力してきましたが、その一言で、「将来について考えなければならない時期なのかもしれない」と意識するようになったのです。創業時は私一人でしたが、その頃には従業員が30名ほど、その家族を含めると100名ほどの生活を背負っていることになります。そうした状況からも、真剣に会社の将来を考えるようになりました。
まず、自分の子どもに継がせるという選択肢が考えられますが、私の娘は二人ともそれぞれ自分の好きな道に進んでいます。次に従業員への承継も検討しましたが、将来的に経営を任せられる可能性のある人材はいたものの、当時は管理職としての経験も浅く、すぐに任せるのは難しいと判断しました。
そうなると、残る選択肢はM&Aしかありません。当時、ニュースなどでM&Aという言葉を耳にする機会はあり、徐々に認知され始めていた時期だったため、将来的に従業員の中から経営トップを育成してくれるような企業と一緒になれれば、M&Aが最も良いのではないかと考えました。M&Aの情報収集から始め、さまざまなセミナーに参加して知識を深めていきました。最初は他のM&A仲介会社と話を進めていた経緯があり、M&Aキャピタルパートナーズは仲介会社として2社目にあたります。
最初のM&Aはどのように進められたのでしょうか。
M&A仲介会社は非常に多く、どう選べばよいのか分からなかったため、まずは商工会議所に相談しました。会社の財務状況に基づいて自社に合いそうなM&A仲介会社を3社ほど紹介してもらい、その中の1社と専任契約を結びました。契約形態には専任契約と非専任契約があり、専任契約の方がより熱心に対応してくれるのではないかと考えたのです。
交渉は順調に進んだのでしょうか。
1社と具体的な交渉が進みました。ところが、意向表明書を取り交わす段階になって、交渉が停滞してしまいました。M&A仲介会社からの進捗報告も曖昧で、「きちんと情報が伝わっているのだろうか......」と不安も感じました。最終的にはお相手企業の内部事情により先に進められないとのことで、仕切り直しとなりました。
1年ほど経過し、再度候補を探しましたが、具体的な交渉に進めたのは1社のみでした。個人的には、複数の候補から比較検討したかったのですが、「総合医療サービスは思っているほど人気がないのかもしれない......」と少し落ち込みもしたが、交渉を進めました。その後、最終契約で調印を残すのみとなっても、私の心にはいくつかの懸念点が残っていたのです。これまで経営判断は比較的早い方でしたが、このM&Aに関しては従業員の将来もかかっているため、安易に決断すべきではないと考えていました。「石橋を叩いて渡るように、気になる点は納得いくまで確認すべきだ」と。
M&Aは初めての経験でしたし、「そういうものか」と受け身で進めてきましたが、これが最後の機会と思って自発的にいくつか質問をさせていただきました。その中の質問の一つは、お相手企業の業績についてです。我々は決算書や月次の試算表など、詳細な情報をすべて開示し、いわば丸裸の状態。一方、お相手企業の詳細な情報は、一般的に公開されているものに限られていました。そこで決算書の開示を求めたところ、明確な回答が得られませんでした。後日、「売り手の立場で買い手の決算書開示を求めるのは失礼にあたるのでしょうか」と他社(セカンドオピニオン)のM&A仲介会社の担当者に尋ねたところ、「失礼には当たりません。通常、要求されることです」との回答を得たので、改めて期日を指定してお願いしたのですが、その期日までに回答が得られませんでした。情報が正確に伝わっているのだろうかという疑念も生じていましたし、約束を守れない相手とは信頼関係を築けないと考え、直接お会いしてお断りしました。次はM&A仲介会社を変えて再度検討してみようと考え、専任契約を解除し、M&Aキャピタルパートナーズの大木さんにご連絡しました。大木さんには、専任契約を締結していた頃に一度会社に訪問していただき、少しお話ししたことがありました。
M&Aキャピタルパートナーズの大木さんの第一印象をお聞かせください。
次にどのM&A仲介会社に相談しようかと考えた際、大木さんの印象が非常に良かったことを思い出し、すぐにご連絡しました。話を丁寧に、真摯に聞いてくださる姿勢や、ご両親が医療関係のお仕事をされているという話が印象に残っていたのです。
比較して実感した圧倒的な差、スピードと情報力が信頼の決め手に
ここからは担当アドバイザーの大木さんにも加わっていただきお話を伺います。京極様の第一印象や、ご相談を受けてどのように感じられましたか。

京極様とは最初にお会いしてから3年間、お打ち合わせやメールなどでコミュニケーションを取っていました。その中で、京極様が最初のM&Aプロセスに不安を抱えていらっしゃることは、なんとなく感じていました。ただ、私から積極的にはたらきかけるよりは、「セカンドオピニオンのような形で、いつでもご相談を承ります」という姿勢でいることをお伝えしていました。総合医療サービスは、まさにニッチトップで、ホルター心電図解析の分野において西日本でもトップクラスの実績をお持ちです。財務状況も非常に良好で、売上・利益ともに大きく伸びていらっしゃいました。間違いなく良いお相手候補を複数社比較検討いただけるであろうと考えておりましたので、前の交渉がうまくいかなかったのは何か理由があるのだろうと感じ、ぜひご支援させていただきたいと思いました。
M&Aを進めるにあたって、どのようなご希望をお持ちでしたか。
自社とお相手企業の双方にメリットがあり、シナジー効果が期待できる関係性を望んでいました。また、総合医療サービスはまだ成長途上ですので、そのポテンシャルを評価してほしいこと、そして中小企業では難しい従業員教育にも力を入れていただけるような会社であれば、より嬉しいと思っていました。
最終的にM&Aキャピタルパートナーズに依頼された決め手は何だったのでしょうか。
信頼感です。大木さんとやり取りを進める中で、前のM&A仲介会社とは明らかに違うと感じました。スピード感、情報提供の正確さなど、私の中に比較対象があったからこそ、その違いが明確に分かりました。
大木さんからは、逐一報告があり、交渉の進捗が非常によく分かりました。「ここと面談が決まりました」「こちらとも面談が決まりました」と、複数の候補を提示いただき、最終的には5社ほど候補が挙がりました。前回は1社しか候補がなかったことを考えると、「総合医療サービスの価値を正当に評価してもらえている」と強く感じました。「ここしかないので、ここで決めてください」という状況ではなく、それぞれの企業に関するしっかりとした情報とともに、複数の選択肢を提示していただけたことは、非常に大きな違いです。
M&Aプロセスにおける担当者との信頼関係について、どのように感じられましたか。

M&Aキャピタルパートナーズ以外の他のM&A仲介会社でも並行して進めようと当初はしておりましたが、大木さんの進捗報告の仕方やスピード感、提供される情報量がまったく異なり、結局、途中で他のM&A仲介会社はお断りすることにしました。
一方で、M&Aキャピタルパートナーズには、不信感などを抱くことなく検討を進めることができました。私にとってM&Aは初めての経験が多く、大きな不安の中で進めなければなりません。加えて、昨今のM&Aに関するネガティブな報道に触れると、「信頼できるかどうか」は非常に重要な要素です。また、担当の大木さん個人との相性や築けた信頼関係は非常に大きかったです。大木さんの対応は終始丁寧で、こちらの不安な気持ちを汲み取り、常に寄り添ってくださっていますし、仕事は非常にスピーディーでした。M&Aプロセスにおいて間が空くことは不安が増大する要因ですので、そのスピード感は本当にありがたかったです。
今回のお相手を最終的に選ばれた理由をお聞かせください。
まず、お相手が医療業界で循環器系に強みをお持ちの会社であり、総合医療サービスとの親和性の高さを感じました。そのため面談前から良い印象を持っており、実際にお会いしてその確信はさらに深まりました。
また、事業面では双方の営業担当者にとって扱いやすい商材もあり、シナジーが期待できると考えました。
そして、最終的な決め手は、柴崎社長のお人柄です。気さくで良い方だということがすぐに伝わりましたし、本当に素敵な社長でいらっしゃいます。社名の由来や「人材」に対する考え方にも深く共感しました。「従業員は財産である」という柴崎社長のお考えは、私の考えとも一致します。こうした人間性や価値観に触れ、「この方となら安心して一緒にやっていける」と確信し、前向きに検討を進めることに決めたのです。
経営理念とベンチャー精神に共鳴、医療貢献を軸にしたパートナーとの出会い
ここからは、譲受企業である株式会社ディーブイエックス株式会社 柴﨑 浩 様にも参加いただき、お話を伺います。まずは事業についてご紹介いただけますか。

ディーブイエックスは1986年に心臓ペースメーカーの販売とフォローアップを目的として創業しました。ペースメーカーは心臓に植え込み、徐脈(心臓の動きが遅くなること)を補助する装置です。その後は循環器分野、特に不整脈領域を主力とした医療機器販売商社として事業を続けています。ディーブイエックスは、循環器分野における専門性を基盤とした高い信頼性をもとに、医師や医療関係者の方々からご相談を受け、解決策を提案するスタイルを得意としています。
また、これまでにも日本初となる製品をいくつか導入してきました。例えば、心内心電図のデジタル解析装置、自動造影剤注入装置、エキシマレーザー血管形成システムなどが挙げられます。皆様ご存知のAEDも、いち早く日本航空に200台を導入しました。これが日本におけるAED導入の先駆けとなり、その後一般市民の方々も操作できるよう、法改正に至るまで行政等に働きかけたという自負があります。
社名「ディーブイエックス」はDevelopment Venture X を意味し、無限の可能性を示唆しています。その名に込めた想いの通り、創業以来、我々はベンチャー精神で新しい医療の開拓に挑戦し続けてきました。そして現在、その挑戦は商社機能に加え、メーカーとしての事業展開へと広がっています。
M&Aに対する貴社のお考えを教えてください。
ディーブイエックスは循環器、特に不整脈領域における専門性と首都圏での高いシェアを強みとしています。
しかし、今後の持続的な成長を考えた際に、コア事業への集中が逆に弱みとなる可能性も認識しています。そのため、コア事業へのこだわりは持ちつつも、固執しないのが基本的な方針です。現状、単独で大きなパラダイムシフトを起こす力はありませんが、小規模でも優れたニッチな製品やサービスを持つ企業にグループへ加わっていただくことで、会社全体の成長に繋げていきたいと考えています。
また、人の命を預かる仕事であるという認識が根底にあるため、利益追求だけではなく、医療に携わる者としての自覚をしっかりと持たれている企業との連携を求めていました。ディーブイエックスのパーパスは「生命と健康を守る」ことであり、ミッション・ビジョン・バリューとして「心を持って人に優しい医療を提供する」ことを掲げています。その点への理解を最も重要視しています。
総合医療サービスに興味を持たれ、お話を進めようと思われた理由を教えてください。

京極社長にお会いして経営理念を伺い、非常に好印象を持ったことが第一の理由です。私にとって経営理念は非常に重要です。
さらに、会社を訪問させていただいた際の印象も大きな決め手となりました。非常にアットホームな経営をされていると感じ、同じ医療に貢献する仲間としてともに歩んでいけると直感しました。それに、どこか昔のディーブイエックスを思い起こさせるような雰囲気で、社員の皆様が真剣に取り組む姿勢や空気感のようなものに強く惹かれたのです。
正直なところ、事前に資料を拝見した段階では、M&Aを進める気持ちは30%程度でした。しかし、実際に京極社長にお会いし、会社を訪問したことで、その気持ちは9割方固まりました。
ありがとうございます。総合医療サービスの経営理念として、「現状維持は後退を意味する、ただ前進あるのみ」という考えを大切にしています。「患者様目線、お客様目線で考えなければならない」ということも社員間でしっかり共有しています。
その「前進あるのみ」という言葉は、ディーブイエックスの「ベンチャー精神」という言葉と共通点を見出せますし、「患者目線」という点にも共感します。最初の面談でそのようなお話を伺い、すぐに意気投合しました。
M&Aを決断する上で、企業文化や雰囲気の一致は重要だとお考えですか。
そう思います。そこが異なると、いざ一緒になった際に方向性を合わせるのが難しかったり、お互いの力を活かせなかったり、シナジーが生まれにくいと感じます。さらに言えば、総合医療サービスからはハングリーさも感じました。ディーブイエックスのVはまさにベンチャー精神のVであり、そういった意味でも、事業を拡大してきた姿勢に重なる部分を感じています。
例えば総合医療サービスでは、技師がアイデアを頻繁に出します。そのやり取りを私が現場の人間として理解できるので、彼らも提案しやすいのだと考えています。経営に専念していると、現場の技師の意図や仕事内容を理解するのが難しい場合もあるのではないでしょうか。やはり、両方の立場を理解できることが組織の活性化には重要だと考えます。
両者が描くシナジーの創出と成長の展望
成約直後の率直なお気持ちや今後に向けた思いをお聞かせください。
正直なところ、安堵の気持ちでいっぱいです。
私自身に何かあったときのことを考えると、従業員の将来に対しても「これで大丈夫だ」と、大きな安心感を得ることができました。
私は、これから成果が問われる段階に入ったと感じました。将来的な結果が重要になります。
そうですね、柴崎社長のおっしゃる通りです。成約はゴールではなく、ここからがスタートであり、その後の成功が重要ですから、気を引き締めなければという思いももちろんあります。ただ、最初の気持ちとしては、やはり安堵感が非常に大きかったですね。
今後、両社でどのような事業展開やシナジーを期待されていますか。

まず、総合医療サービスが今後より成長していくことが最も重要だと考えています。そのためにディーブイエックスの経営資源を大いに活用してもらいたいと思います。ディーブイエックスが持つ全国26の拠点を活用すれば、全国展開や首都圏への本格進出が可能になります。また、多くのメーカーとも取引があるため、ご紹介することも可能です。
加えて、総合医療サービスの解析サービスには、膨大なデータが集積されていると認識しています。これをAI解析へと発展させたいというのが、私の今後の取り組みの一つです。将来的には海外からの解析依頼を呼び込むといった展開も期待できるのではないでしょうか。ディーブイエックスは海外展開を計画しており、その際には現地の代理店との連携も視野に入れています。単に製品を販売するだけでなく、こうしたサービスを提供することが、ディーブイエックスの顧客との関係強化にも繋がる、そのような当社にとってのシナジー効果も期待しています。
今後の展望として、まず注力すべきは現在の事業基盤である関西圏のさらなる強化です。足元を固めた先に、より大きなビジョンを描いています。特に心電図・循環器分野では、ディーブイエックスという強力なパートナーを得たことで、不安なく今後の発展を期待できる状況となりました。
並行して、現在注力しているのが睡眠検査事業です。この分野は専門施設や専門医が不足しており、質の高い検査へのニーズが高まっています。専門医から信頼される検査特化型施設の設立なども、将来的な選択肢として非常に興味深いと考えています。
こうした事業展開は、治療中心から早期発見・予防へと向かう医学全体の流れにも合致するものですし、特に不整脈の早期発見は重要な一翼を担うものと認識しています。
今回の取り組みにおけるM&Aキャピタルパートナーズの支援を、どのようにご評価いただいていますか。
デューデリジェンスなど専門的な手続きのサポートにおいても、専門家としての安心感がありました。自分一人では到底無理でしたから、このプロセスにおけるM&A仲介会社の役割は本当に大きいと感じます。また、成約後も連絡を密にいただき非常に助かっております。
まず、今回のご縁、特にこのお話をご紹介くださった大木さんには心から感謝しています。ありがとうございました。
総合医療サービスの状況を非常に細部まで的確に把握された上で、適切な助言をくださった点にも感銘を受けました。質問に対するレスポンスは驚くほど迅速で、「いつ休んでいらっしゃるのだろう」と社内で話題になるほどでした。以前、M&A仲介会社を通さない事業譲渡も経験しましたが、専門家に入っていただいたことで、M&Aキャピタルパートナーズが、いかに重要な我々のパートナーであるかを改めて認識しました。
ありがとうございます。これからM&Aを検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。

M&A仲介会社の多くは相談無料・成功報酬制なので、まずは複数の会社の話を聞いて比較検討することをおすすめします。特に、担当者との相性や信頼関係は非常に重要です。M&Aは数ヶ月、場合によっては1年、2年と長い付き合いになる可能性もあります。例えば同じ質問を複数の担当者にしてみて、その回答ややり取りから信頼関係を築けそうかを見極めることが大切だと考えます。相性はもちろん、真摯に対応してくれるかどうかも見極めるべき点です。とはいえ、長年経営をされている皆様なら「人を見る目」はお持ちのはずですから、最終的にはご自身のフィーリングを信じて、ともに走り抜けられると感じられる方と進めるのが良いのではないでしょうか。
今回のM&Aはゴールではなく、これから成果が問われるスタートラインであると認識し、緊張感を持って取り組んでいる最中です。その上で、今回のM&Aを通じてひとつ言えるのは、「自社だけでやろうとしないこと」、つまりパートナーシップの重要性です。そして、成功のためには、お相手企業のこれまでの実績や経験、文化を深く理解し、尊重する姿勢が何より肝要だと考えています。私自身が今まさに感じているのは、「相手への敬意を持つことの大切さ」です。
最後に、大木さんから今回の取り組みの総括と読者の皆様へのメッセージをお願いします。
今回、本案件をご支援できたことを大変光栄に存じます。本当に素晴らしいご縁でした。業界へのインパクトも大きく、双方にとって前向きな可能性を生み出すM&Aになったと確信しています。将来、私自身も一患者としてその恩恵を受ける日が来るかもしれない、と期待するほどです。本日、皆様の温かく前向きなお言葉をお聞きすることができ、安堵しております。しかしこれまでを振り返れば、京極社長にとっては当然初めてのM&Aのご経験であり、また他のM&A仲介会社でのご検討の際は大変なご苦労もされております。さまざまなストレスの中でご検討されていたことと拝察いたします。また、柴﨑様、ディーブイエックス様にとっても、グループ会社を迎え入れるのは初めてであり、日常の意思決定に加えてかなりのご苦労があったかと思います。昨今、M&Aに関するネガティブな報道も見られますが、今回のように、十分な検討を経て双方にとって良い結果をもたらすM&Aも確実に存在します。複数の選択肢を比較検討いただくことが何より重要です。もしM&Aキャピタルパートナーズに信頼をお寄せいただけるようでしたら、我々は全力でお応えしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

文:伊藤 秋廣 取材日:2025/4/22
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