M&Aとは? M&Aの基本的な意味や流れ、費用などをわかりやすく解説

更新日

M&Aの意味

M&Aとは、英語の「Mergers」(合併)and 「Acquisitions」(買収)の頭文字をとったものであり、
一般的には企業の合併・買収を指すといわれています。

図で見る広義と狭義のM&A
広義のM&Aと狭義のM&Aの範囲の図(一部抜粋)

M&Aの形式分類

M&Aの広義には企業の競争力の強化、新規事業の多角化などの業務提携を含む企業戦略全般を指して使われることもあります。合併には吸収合併や新設合併などが、買収には株式譲渡、新株引受、株式交換などがあります。またM&Aのなかでも提携関係のある複数の企業間で株式の異動を伴うものを特に資本提携といい、販売協力、資材調達、共同研究開発など業務上の協力関係を築くことを業務提携といいます。またその両方を組合せたものを資本業務提携と表すこともあります。

ここではM&Aが求められる背景や、M&Aの手法、メリット・デメリットなどの基礎知識についてご紹介します。

M&Aが求められる背景

少子高齢化で国内市場が縮小する中、業績が好調であるにもかかわらず、「後継者がいない」「今後の成長戦略が描けない」といった悩みを抱える中小企業が増えています。特に後継者不在の問題が大きく、仕方なく廃業を選ぶ経営者が年々増加傾向にあります。そのような中、大きな注目を集めているのが「M&A」による事業承継です。M&Aにより自身の企業を信頼できる企業へ譲渡することで、長年培ってきた企業の歴史を途絶えさせることなく、事業を存続・拡大させることが可能になります。

M&A件数の推移

グラフは、レコフデータ-MARR online「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」をもとに、当社が独自に作成。
※2024年3月13日更新
M&Aの件数
※参照:レコフデータ-MARR online「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」

上記の図の通り、M&Aの件数は2011年より増加している状況です。

しかし、自身の企業を譲渡する・企業を譲受けるということは、そう簡単に決められるものではありません。そこで、M&Aには関心を持っているものの、「企業の売却・買収に失敗したくない」「従業員の雇用を守りたい」「M&Aの具体的な費用や手順を知りたい」「M&Aにはどんな事例があるのか知りたい」という方に向けて、M&Aのメリットやデメリット、具体的な手順などについて解説します。

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M&Aでどのような課題解決が望めるのか

1.後継者問題の解決

イメージ画像 後継者の課題 売り手側のメリットとして昨今注目されているのは、主に「経営者の高齢化による後継者問題」の解決です。「人材難により後継者がいない」または、「親族や社内に後継者がいるが、自社株式の承継に伴う税負担やコストに耐えられない」など、このような課題を抱えているオーナー経営者が増加傾向にあります。M&Aは第三者への事業承継の選択肢であり、上場企業や同業の大手企業など、経営・財務基盤の強固な信頼できる企業へ譲渡することで、事業を継続させる事ができるだけでなく、さらなる発展も期待することができます。

2.事業成長に必要な時間を買える

イメージ画像 事業成長に必要な時間を圧縮 買い手側のメリットとして、「事業成長に必要な時間を買える」という点があります。例えば、「新規事業への参入や事業の多角化」、「市場シェアの拡大を目指す」など、ゼロから事業を育てるには膨大な時間とコストが必要になります。M&Aを活用し、事業譲渡や株式譲渡で優良企業(事業)を買収すれば、企業が保有するノウハウや取引先、人材、技術などを継承できるため、自社の事業を早期に成長させることが可能です。

3.従業員の雇用の安定

イメージ画像 従業員の雇用の安定 多くのオーナー経営者は、自社を長年支えてくれた従業員を家族のように考えているのではないでしょうか。もし、廃業を選択した場合、雇用を維持ことができません。M&Aを活用し、信頼のおける優良企業に事業や会社を引き継ぐことで、従業員の雇用の維持が図れます。また、従業員にとっては、給料の保障や高水準の福利厚生を得られる可能性もあり、将来設計などの選択肢が広がります。そして、オーナー経営者が保有する株式を売却して現金化することで、廃業コストをかけずに第二の人生を歩む資金を得ることができます。

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M&Aの手法

後継者問題をはじめとする中小企業の経営課題を解決するために有効なM&Aには、様々な手法が存在します。
ここからは、代表的なM&Aの手法や特徴についてご紹介します。

M&Aの手法の分類

企業の提携には、資本の移動や資本参加を伴う資本提携と、資本の異動を伴わない業務提携(技術・生産・販売等に関する業務提携)に分けられ、前者「資本提携」を広義のM&Aと定義します。広義のM&Aは「合併」「買収」「合弁会社設立」「資本参加」の4つに分かれます。そのうち「合併」「買収」の2つを狭義のM&Aと定義します。

1. 資本業務提携

資本業務提携のイメージ

資本業務提携は、業務提携に伴い、対象会社に対する増資または対象会社の一部の株式を譲渡する事で、提携先に対して議決権を与える手法です。資本提携により、業務提携という単なる契約関係より強固な関係性を構築することが出来きます。資本提携を行うときは、協力内容を明確にするため、同時に業務提携契約を締結することが一般的です。

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2. 業務提携

業務提携のイメージ

業務提携は資本の移動を伴わない提携であり、企業が共同で事業を行うことで、お互いが資金、技術、人材等の経営資源を提供しあい、シナジー効果(相乗効果)を得ることによって、事業競争力の強化を目指すものです。
具体的には、新規事業への進出、技術力の強化・補充、技術の共同開発、生産力の強化・補充、販売力の強化・補充などの目的があります。
業務提携の種類は主に「技術提携」「生産提携」「販売提携」「その他」の4つに分類されます。

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3. 合併

合併のイメージ

合併は、複数の会社を1つの法人格に統合する手法です。消滅する会社の権利義務の全部を存続会社が吸収して承継させる手法である「吸収合併」と、新規に会社を設立し、新設会社に消滅する合併対象会社の全ての権利義務を承継させる「新設合併」があります。

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4. 買収

買収のイメージ

買収は、「株式譲渡」、「第三者割当増資」、「株式交換」、「株式移転」、「事業譲渡」といった手法に分かれます。「株式譲渡」は、株主が保有する対象会社の株式を対価と引き換えに他社へ譲渡することにより承継させる手法であり、中小企業のM&Aにおいて最も多く採用されています。

株式譲渡 株主が保有する対象会社の株式を対価と引き換えに他社へ譲渡することにより承継させる手法
第三者割当増資 通常の公募増資とは異なり、対象会社が特定の第三者に対して新株を割り当てることにより、増資を行う手法
株式交換 完全子会社となる会社の発行済株式のすべてを完全親会社となる会社に取得させる手法
株式移転 会社がその発行済株式の全てを会社(株式会社)に取得させる手法
事業譲渡 会社が営む事業の全部または一部を他の会社に譲渡する行為

※スライドしてご覧ください

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5. 合弁会社設立

複数の企業が資本を出し合い、合弁で会社を立ち上げることをいいます。

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6. 資本参加

対象会社に増資または対象会社の一部の株式を譲受ける事で、限られた議決権の中で経営に参画することをいいます。

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M&Aのメリット・デメリット

ここではM&Aのメリット・デメリットについて、会社を譲渡(売却)する側と、会社を譲受ける(買収)側のそれぞれの視点から解説します。

譲渡する側におけるメリット・デメリット

○メリット
(譲渡する側)

株式譲渡の際には、将来の超過収益力等を加味した「のれん」が上乗せされて評価されるため、他のスキームよりも大きな創業者利潤を得ることができます。また個人の担保・個人保証も解除され、後継者問題の解決とオーナー経営者様のハッピーリタイアを実現することが大きなメリットと言えます。

創業者利潤(株主利潤)
創業者利益のイメージ

M&Aで株式を譲渡する際の株式価額は、将来の超過収益力等を加味した「のれん」が上乗せされて買い手に評価される事が一般的であるため、オーナー経営者は他のスキームよりも大きな創業者利潤(株主利潤)を得ることができます。


従業員の雇用安定とさらなる活躍

M&Aで株式や事業の売却を検討される際、多くのオーナー経営者にとって気がかりなのは、譲渡後の従業員の処遇ですが、中小企業においては、良くも悪くも人に依存する側面が大きいため、実際の中小企業のM&Aでは従業員の雇用継続が条件として盛り込まれる事が通例です。また、「役員においても一定期間の雇用継続が条件として提示される」、「社名や勤務地についても現状維持とする」などが通例です。さらに、より大きなグループの一員となることで、従業員の活躍の場が広がり、これまで自社ではできなかった従業員の育成強化や、多様なキャリア開発など、従業員の士気向上、従業員家族の安心につながるケースも多いです。


後継者問題の解決

独自の技術やノウハウ、販売先等を保有しているものの、後継者が存在しないことで事業の継続が難しくなっている企業でも、他社に譲渡することで、培ってきた歴史やノウハウ・人材を活かして企業の存続を図ることができます。


事業継続と拡大

廃業を検討する一方で、「自分の代で会社をなくすのは忍びない」と考えるオーナー経営者の方も、成長意欲のある企業に自社を託すことで、事業の継続と更なる拡大が図れます。


廃業コスト削減

会社を廃業する際には、さまざまなコストがかかります。例えば、会社設備の処分費や在庫処分費、店舗を賃貸しているなら原状回復(復帰)費、解雇する社員への手当や、さまざまな書類の手続き、専門家に廃業手続きを依頼するための報酬などです。しかし、会社を譲渡すれば、このような廃業コストはかかりません。

●デメリット
(譲渡する側)

想定していた価格で譲渡できない

想定していた価格で株式または事業を譲渡できない場合があります。
M&Aを成功させるコツは、「最も高く売れるタイミングで、最良の相手に譲渡すること」です。売り時を逃さないようにするためにも、業界を広く知る専門のアドバイザリーから助言を受ける事をお勧め致します。できるだけ早いタイミングで検討することが重要です。


取引先の反発や契約打ち切り

買収によって契約条件が変更されたり、担当者の変更が行われた場合、長年の取引先へ影響を及ぼす場合があります。

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譲受ける側におけるメリット・デメリット

○メリット
(譲受ける側)

既存事業の拡大

株式譲渡や事業譲渡等により、事業を継承することで、売り手側企業が長年築き上げた販売網や供給網、技術を取り込むことができ、シナジー効果を生みながら既存事業の市場シェアを拡大することができます。


新規事業への参入、事業の多角化

自社が保有していない優良な事業や技術を持つ企業を買収することで、新規事業を立ち上げるコストや時間の削減をしながら、事業の成長を加速させることができます。また、事業の多角化を図ることで、主力事業以外の収益源を確保し安定した収益を得られる可能性があります。

●デメリット
(譲受ける側)

仕入先や取引先へ影響

経営方針の変更によって、仕入先や販売先などの譲渡企業の既存取引先へ影響を及ぼす場合があります。


簿外債務・偶発債務

譲渡の実行後に、貸借対照表上に記載されていない簿外債務が発覚し、問題となるケースがあります。買収先企業の財務リスクの確認は、譲渡の実行前に買収監査、いわゆるデューデリジェンス(DD)を実施する事が一般的です。

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M&Aの手順・流れ

ここでは譲渡側の視点から、どのようなプロセスを経てM&Aが成立するのかを説明します。

一般的なM&Aのステップ
M&Aのステップ M&Aのステップ

検討・準備フェーズ

M&Aの検討

M&Aは「事業承継」や「成長戦略」においての選択肢のひとつになります。
選択肢として方針に対して適切であるか明確にすることが重要です。

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M&Aの準備

譲渡企業における準備

譲渡企業(売り手側企業)にとってのM&Aの検討は、まず自社の株式価値を把握するところからスタートとなります。
M&Aでは評価方法や、様々な条件により株価評価が異なります。しかし、会計ロジック(純資産法、収益還元法、類似会社比準法など)に基づく価値から大きく差異が出ることはありません。金銭的な条件はM&Aを進めるか否かの大きな要因になるため、検討当初から把握することが重要です。

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譲受企業における準備

譲受企業(買い手側企業)におけるM&Aの検討は、まず企業成長への明確なビジョン定めることが重要です。
譲り受ける企業の税務面・資金面などのさまざまな情報を読み解き、シナジー効果(相乗効果)のポイントを見極め、ビジョンの実現可能性について検討する必要があります。

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打診・交渉フェーズ

お相手探し(打診)

M&Aでのお相手探しには、「仲介会社などに代行でお相手探しを行ってもらう」「M&Aのマッチングプラットフォームを利用し、自身で探す」などが一般的となっています。
中には、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)に業務を依頼する方法もあります。
どの方法であっても、M&Aにおいて、マッチングが最も重要なフェーズとなります。
譲渡・譲受によってビジョンの実現性が高いお相手とのマッチングを実現させるためには、「正しい情報をもとに相手を見極める」ことがポイントです。
また、M&Aでのお相手探しでは、情報漏えいに気を使うことが特に重要です。
売り手企業においては、取引先の毀損、内部の反対など事業活動に大きな影響を与えるリスクもあるためクローズドな環境で進めることがほとんどです。候補先への打診はある程度、数を絞って打診していくことで情報漏えいのリスクを減らすことが出来ます。

条件調整(交渉)

複数回にわたってのトップ面談や開示された資料を基に、譲渡価額や条件、譲渡までのスケジュールを含めた調整を行います。
譲受企業側から意向表明書が提出され、この時点で両社が合意となった場合、基本合意契約を締結します。
基本合意契約には売買に関する法的拘束力はないものの、売り手側からは独占交渉権などを付与する事が一般的です。
また、買い手にとっても、この後に行う買収監査、いわゆるデューデリジェンス(DD)で多額の費用をかけて詳細の調査を行うことになりますので、優先的に交渉権を得るという意味と、自らも誠実に買収監査に応じていく義務を負うことなどが盛り込まれます。

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最終契約フェーズ

譲渡契約の締結に向け、譲受候補先企業から対象会社に対してビジネス面・法務面・会計面・税務面などさまざまな角度から詳細な検証を行う買収監査を行います。

買収監査、デューデリジェンス(DD)

買収監査、いわゆるデューデリジェンス(DD)とは、買収する側が売り手側の企業について、徹底的に調査を行うことです。その範囲はビジネス、法務、会計、税務など多岐にわたります。
買い手は買収監査で把握した情報をもとに、経済条件からオーナーの譲渡後の引継期間など、最終的な諸条件の調整を図り、契約書を作成していきます。
譲渡企業は譲受企業に対し、不都合と思われる情報であってもなるべく早いタイミングで開示し、両社の間で早めに対処することが重要です。後々に、簿外債務や環境問題、労務問題などが発覚してしまうと、交渉が決裂し、本件そのものがブレイクする可能性もあります。

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最終条件の調整

最終譲渡の諸条件について双方の最終的な意向を確認し調整していきます。

最終契約の締結(クロージング)

買収監査や、諸条件の調整を経て、双方が納得できる状態になり、最終契約の締結(クロージング)に進みます。
「譲渡企業は、株式を譲受企業に譲渡し、譲受企業はこれを譲り受け、その対価として譲渡対価を支払うこと」を核とした契約書「株式譲渡契約書」の締結をもってクロージングとなります。

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M&Aのクロージング後

関係者への開示

最終契約の締結(クロージング)後、関係者への開示を行います。
M&Aでは、検討・準備の段階から情報漏洩を防ぐ目的で、クローズドな環境で進めることがほとんどです。
そのため、M&Aが成立した情報を社内に開示する局面では、社外に対して未公開情報(インサイダー情報)を社内の関係者が知ることになるため、インサイダー取引が意図せず発生する確率が高くなります。
そのようなリクスの回避を行うためには、情報開示前よりタイミングやその手法について綿密に考える必要があります。

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M&A関連サービスと費用

M&Aを円滑に進める上で、専門家のサポートは欠かせません。ここでは、専門家のサポートに関連するサービスと費用について説明します。

中小企業では仲介型が主流

FAと仲介の違い

M&Aアドバイザーは、FA(ファイナンシャルアドバイザーの略)業者と仲介業者に大別されます。FA業者とは主に売り手または買い手いずれかの片側に立って、クライアントの利益を最大化するために助言を行うサービスを提供している事業者の総称です。欧米の投資銀行から入ってきたスタイルで、主に外資系投資銀行、国内大手銀行、大手証券会社、独立系のM&Aブティックなどが務めており、利害関係者の多い上場企業同士の大型M&A案件ではFAを起用する例が多く見られます。

一方、中小企業のM&Aでは、仲介型が主流です。中小のM&Aを専業とする独立系ブティックが、買い手売り手双方に対して、検討段階からマッチング、交渉、クロージングまで一連の助言や手続きの補助を行っていくサポートサービスを提供しています。

M&Aの交渉過程は非常にデリケートなものであり、取引先・従業員・会計・税務・ガバナンスなどさまざまな問題を解決し、特に終盤の条件交渉では譲渡側・譲受側双方で利害が対立することもあり、成約に向けては多くの障壁が立ちはだかります。
当社は豊富な実績・経験に基づき、M&Aの成約までをリードしていくプロフェッショナルとしてサービス提供を行っております。事業承継を検討されている方、詳しい内容をご希望の方は、以下よりお問い合わせください。専任担当制で、着手金無料・株価レーマン方式の報酬体系によって、共にお客様の利益最大化を目指し、M&A成立まで、フルサポートで伴走いたします。

まずはお気軽にご相談ください。
秘密厳守にてご対応いたします。

その他の各専門分野の業者

複雑なM&Aを成功に導くために、近年では各分野の専門家の力を借りることが増えてきています。前述のM&A仲介会社のアドバイザーのほか、主に買い手側の買収監査、いわゆるデューデリジェンス(DD)や株式価値算定に関する第三者評価を依頼する専門家として、ビジネスDD(ビジネスデューデリジェンス)を担当する戦略コンサルティング会社、会計・税務のデューデリジェンスや株式価値算定を担当する監査法人や税理士法人を母体とするFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービスの略)、法務デューデリジェンスを担当する法律事務所などがありますが、課題に応じて不動産鑑定会社や信用調査会社などを登用するケースもあります。

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M&Aにかかる仲介手数料について

手数料は大きく3つに分類されます。
アドバイザリー事業者によって、手数料の形態は千差万別です。ここでは、代表的な3つのコストについて紹介します。

イニシャルコスト

アドバイザリーサービスの開始から発生する手数料が、着手金やリテイナーフィー(リテインともいう)といったイニシャルコストです。着手金は一括払い、リテイナーフィーは定額顧問料として月額の支払いが主流です。そのほかに売り手対象会社の株式価値を算定するために株価算定(企業評価)費用として数十万円から数百万円かかることもあります。いずれにしても検討段階から数百万円というのが一般的です。

M&Aについては、敷居が高いと感じているオーナー経営者が多く存在します。着手金やリテイナーフィーの発生や支払いもその要因の一つではないかと推測できます。M&Aキャピタルパートナーズでは、多くのオーナー経営者に「M&Aを選択肢のひとつ」として検討していただきたいと考えており、着手金無料、月々のリテイナーフィーはもちろん営業にかかわる交通費なども一切請求しておりません。

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中間報酬(マイルストーンフィー)

M&Aでは検討段階から成立までに数年かかることも稀ではありません。そこで、一定のマイルストーンを決めて費用が発生するものもあります。これを「中間報酬(マイルストーンフィー)」といいます。具体的な相手と主要な部分で条件合意をする基本合意の時点で発生する場合が多く、最終的な報酬の10%~20%程度が一般的です。基本的には、成功報酬の一部を先払いするため、M&A成立時に発生する成功報酬は、中間報酬分を除いた金額となります。

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成功報酬

M&Aの成立後に、成功報酬として支払う手数料です。M&Aの譲渡対価となった株式価値の総額に一定の料率を乗じるケース、譲渡対価に対象会社の負債(正確にはネット有利子負債が多い)を足した企業価値の総額に一定の料率を乗じるケースがあります。乗じる手数料率は固定の場合もあれば、算定総額に応じて料率を計算していくレーマン方式という場合もありますが、概ね1~5%の範囲となっております。
M&Aキャピタルパートナーズでは、株価レーマン方式採用とすることで、同金額比に対し、総資産レーマン方式などより、手数料金額を低く設定しております。
詳しくは、「着手金(無料)と、報酬体系(業界最低水準)について」をご参照ください。

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譲渡企業(売手)は税金についても把握が必要

オーナー経営者がM&Aで株式譲渡をした場合、つまり株主である個人が株式を譲渡した場合は、申告分離課税で株式譲渡所得に対して所得税、復興特別所得税、個人住民税が課せられます

株式譲渡所得は「収入金額-取得費および譲渡費用」で計算され、それに対する現行の税率は、2023年12月時点で20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+個人住民税5%)である一方、総合課税の最高税率は約55%のため、M&Aの際の株式譲渡金額と役員報酬(給与所得)複数年分が仮に同額であった場合は、税率の差額分だけM&Aの方が多くの手取り金額を得られるということになります。

また、株主である個人が株式譲渡する場合には、株式譲渡に役員退職金を組み合わせることにより、税負担を最小化させることができます。役員退職金の損金算入限度額は、「最終報酬月額×勤続年数×役職に応じた功績倍率」で計算され、譲渡オーナーが得られる退職所得は「(退職金-退職所得控除)×1/2 × 税率-控除額」で計算されます。

役員退職金は、基本的に他の所得よりも実質的な税率が低くなるため、譲渡オーナーが得られる手取額を増加させることになります。さらに買い手企業にとっても、株式譲渡代金の一部を役員退職金として譲渡対象企業から譲渡オーナーに支給することで、対象企業で経費処理をすることができ、役員退職金の支給分だけ株式取得代金を圧縮できる、といったメリットがあります。ただし、適正水準を超えた役員退職金の過大部分については税務調査で損金不算入となる可能性もありますので個別に専門家に相談の上、適正な水準に留めることが必要です。

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M&Aにおける企業価値評価

企業評価のアプローチ分類と評価法

M&A検討時の企業価値を評価する代表的なものとして、大きく以下の三つに分類されます。

ネットアセット・アプローチ

評価手法

  • 簿価純資産法
  • 時価純資産法(修正簿価純資産法)
  • その他

特長

  • 一時点における会社の帳簿に基づいた評価を反映しており、客観性に優れている
  • 帳簿が適正に作成されていないと実態の評価ができない
  • 市場での取引環境や将来の収益獲得能力を反映しておらず、のれん等を適正に計上する必要がある

マーケット・アプローチ

評価手法

  • 市場株価法
  • 類似上場会社法(倍率法、乗数法)
  • 類似取引法
  • 取引事例法(取引事例価額法)

特長

  • 市場での取引環境を反映しており、客観性に優れている
  • 類似する上場会社がない場合は評価が困難
  • 会社の固有の性質を反映しにくい

インカム・アプローチ

評価手法

  • フリー・キャッシュ・フロー法
  • 調整現在価値法
  • 残余利益法
  • その他
  • 配当還元法
  • 利益還元法(収益還元法)

特長

  • 将来の収益獲得能力の反映に優れている
  • 事業計画やマネジメントインタビューを参考にするため、会社固有の性質の反映に優れている
  • 事業計画等が恣意的に作られた場合など、客観性に注意が必要
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企業価値の算定方法

単独又は複数の評価法を採用し、評価対象会社の価値を評価することになります。
その場合の総合評価には、以下のような方法があります。

単独法 評価アプローチの中から特定の評価法を単独で適用して、価値評価を行う方法
併用法(重複幅併用法) 複数の評価法を適用し、一定の幅をもって算出されたそれぞれの評価結果の重複等を考慮しながら、評価結果を導く方法
折衷法 複数の評価法を適用し、それぞれの評価結果に一定の折衷割合を適用して、加重平均値から評価結果を導く方法

※スライドしてご覧ください

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M&Aの成約事例と最適な相手探しの方法

ここからは、事例を通してM&Aを成功させるために重要なポイントを見ていきます。

M&A案件の成約事例紹介

M&A事例1:将来的な後継者不在

売り手企業は、関西圏で調剤薬局1店舗を展開。
優良な処方元医療機関に支えられ、業績は順調でしたが、将来的な後継者不在、調剤報酬改定に伴う将来の業績悪化に不安を感じていました。
買い手企業は、同エリアに展開する同業老舗企業。両者の誠実な検討姿勢が実を結び成約に至りました。

M&A事例2:双方シナジーが見出せる

売り手企業は、特定のスポーツ分野において秀でた技術を持ち、ニッチシェアを獲得している優良企業。
オーナーが高齢となり、事業承継を課題にM&Aの検討を開始しました。
買い手会社は専門商社。異業種ではあるものの、原料の供給や海外展開において双方シナジーが見出せることから、交渉がスタート。両社の誠実な対応により、順調なスケジュールで最終契約の成立に至りました。

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M&A事例3:将来的な業界リスク

売り手企業は中国地方で1970年代から続いている7店舗の老舗の調剤薬局。
漢方も自社で生産しており、売上・利益ともに好調でしたが、将来的な業界リスク等を見据えてM&Aを選択しました。買い手企業の誠実な対応で両者の信頼関係が築け、成約に至っています。

上記の事例3つに共通していることは、交渉を進める中での、トップ面談などにより両者間での信頼関係が構築され、成約に至った点です。「信頼関係の構築」と、信頼関係を構築できる「最適な相手を見つけること」が成約への重要なポイントといえます。

最適な相手を見つける方法

M&Aの成否はマッチングがカギを握るといっても過言ではありません。

中小企業庁が発表している2018年版「中小企業白書」によると、マッチング時の課題として「判断材料としての情報が不足していた」という回答が最も多く挙げられています。M&Aにおいて譲渡の候補先に関する情報の入手は大きな課題です。

後継者の有無

(出典)中小企業庁「2018年度 中小企業白書」

M&A仲介会社は売り手・買い手企業双方に対して豊富なネットワークと情報を持ち、専門的な知識・知見を持つM&Aアドバイザーを多数抱えています。M&Aアドバイザーは、売り手候補と買い手候補をマッチングさせるだけではなく、マッチング前の株式価値評価、買い手候補先に対して匿名で打診する際に使用するノンネームシートの作成や、譲渡企業の詳細な企業情報をまとめた企業概要書の作成、基本合意の締結からデューデリジェンスの立ち合い、最終契約の締結まで、一貫してサポートします。M&Aは企業と企業、人と人の利害が複雑に絡み合います。M&Aの過程で起こるトラブルや、難しい交渉事にも適切に対応できる、知識と経験を兼ね備えたM&Aアドバイザーに相談することがM&Aの成約にとっては欠かせません。

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これまでのM&Aと現状・市場背景

M&Aの歴史と市場背景

日本におけるM&Aの歴史は古く、早くは戦前から行われてきました。戦後の財閥解体や高度成長期の中でも、三菱重工業や新日本製鉄などの大型合併が誕生しています。

バブル景気や円高による1980年代後半の海外企業への買収を経て、1990年代以降、日本国内ではM&Aが急増。これは、バブル崩壊で日本企業の株式が軒並み急落したことで、不良債権処理や企業再編に向けた買収が増えたためです。当時、「ハゲタカ」という用語がメディアに多く取り上げられたことを思い出す方も多いのではないでしょうか。2000年代に入ると、金融ビッグバンを背景とした外資系投資銀行の進出に伴い、M&Aサービスの多様化や法整備も進行。ベンチャー企業によるM&Aが活発化したのもこの時期です。2000年代以降には、立て続けに起こった景気減退や震災の影響を受けてM&Aは低迷期に突入するものの、2014年に施行された改正会社法も後押しとなり、中小企業経営者の高齢化問題を背景とした比較的小規模の中小企業M&Aを中心に再び拡大傾向に転じています。また、景気低迷や人口減で国内市場が縮小する中、M&Aによって海外市場に活路を見出そうという企業も増えています。

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深刻化する後継者問題と事業承継

帝国データバンクが2020年に実施した「全国企業「後継者不在率」動向調査」では、60歳以上のオーナーが経営する企業において65.1%が「後継者がいない」と回答しており、後継者問題は深刻さを増しています。

後継者の有無

(出典)帝国データバンク「全国オーナー企業分析」

「家業を継がなくてはならない」という時代ではなくなっていることに加え、後継者候補が事業承継を希望していても、金銭的な負担や能力的問題、従業員の理解を得るのが難しいなどの理由から、二の足を踏むことも少なくありません。事業承継にあたって、企業が抱える債務についてオーナー経営者の個人保証を含めて引き継がなければならないほか、優良企業であるほど自社株の評価額が高くなり、株式の買取資金を調達することが難しくなります。相続税や贈与税の支払いに向けた資金も準備しなくてはなりません。

こうした課題から、中小企業経営者の高齢化問題を背景に、会社の今後を見据えてM&A、すなわち第三者への承継を検討する経営者が増加しているのです。

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もっとM&Aや事業承継を知るために

ここまで、M&Aについての手段や流れ、注意点や背景について解説しました。

M&Aはこの10年20年で急速に発達してきている分野ですが、まだまだプロフェッショナルとして業務を行える企業が少ない状況です。その反面、中小企業の高齢化を背景にM&Aの社会的ニーズは広まりを見せています。特に売り手にとっては一生に一度、実施するかしないかの大きな取引になりますが、M&Aのスキームによってはかかる税金も変わるケースもあり、実績や経験が少ないM&Aアドバイザーが担当になると実は損をしてしまっていたということも考えられます。

また、売り手も無理に会社を良く見せたり、不都合なことを隠すといった行為を行うことで、後日、買い手との間でトラブルとなるケースもあります。M&Aの最終譲渡契約では売り手の表明保証を求められますので、虚偽報告、不実告知などが発覚した場合には責任を負うことがあります

成功するM&Aには、最適な相手(信頼できる企業)とのマッチングが必要不可欠です。会社を譲渡するというのは、簡単に実行できるものではございません。M&Aを成功させるためにも、ぜひ専門のアドバイザーから助言を受けることをお勧め致します。

M&Aキャピタルパートナーズでは、大小さまざまなM&A実績と高度なノウハウを有しており、経験豊富なスタッフがきめ細かく対応させていただきます。まずはwebサイトまたはお電話から、ご相談ください。相談料無料にて承ります。

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秘密厳守にてご対応いたします。

よくあるご質問

M&Aに関する内容、具体的なご相談についてなど、お客さまから寄せられたご質問を掲載しております。
  • M&Aとは?
  • M&Aとは、英語の「Mergers」(合併)and 「Acquisitions」(買収)の頭文字をとったものであり、一般的には企業の合併・買収を指すといわれています。

  • なぜ今、M&Aは必要なのか?
  • オーナー経営者様の高齢化が進み、後継者不在による休廃業・解散が増加しております。
    M&Aによる第三者承継が企業の存続と雇用の安定のための有力な選択肢になります。

  • M&Aの手法とは?
  • 大きく分けると、「株式譲渡」「事業譲渡」「第三者割当増資」「会社分割」「合併」「株式交換」の6つになります。

  • どのような流れでM&Aを行うのか?
  • 大まかに、初期相談を含む事前準備を行った後、お相手の探索、交渉や検討を経て双方合意(契約締結)へと進んでいきます。

  • 仲介とFAの違いとは?
  • M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち交渉の仲介を行います。
    対して、FAは基本的に譲渡企業か譲受企業のどちらかの専属になるという点で異なります。

  • M&Aをする際の譲渡価格はどのように決まるのか?
  • 理論的な企業価値算定を参考に、オーナー経営者様の意向を踏まえて対象企業の譲渡希望価格が決まり、相対交渉で双方合意に至るまで譲渡価格の調整が続きます。

  • 企業価値算定の方法とは?
  • M&Aにおける株価は、税務上の株価や株式上場時の株価とは全く考え方が異なります。
    一般的にはコストアプローチによる「時価純資産法」、マーケットアプローチによる「類似会社比準法」、インカムアプローチによる「DCF法」が挙げられます。

  • 実行してから成約まではどれくらいの期間を要するのか?
  • 一般的には、早くて半年、通常8ヶ月程度になります。

まずはお気軽にご相談ください。
秘密厳守にてご対応いたします。
監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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