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M&A取引の成功報酬を算出する際には、一般的にレーマン方式が用いられます。この手法の特徴は、取引の規模に合わせて段階的に手数料率を変動させる点です。これにより、取引の大小に応じた柔軟な報酬設定が可能です。
本記事では、レーマン方式の特徴や計算方法、採用するメリット、注意点などについて説明していきます。

このページのポイント
~レーマン方式とは?~
M&A仲介会社の多くが採用している報酬算出基準であり、取引価格等に対する手数料率を定めた仕組み。主に「株価レーマン方式」「企業価値レーマン方式」「移動総資産レーマン方式」があり、それぞれ算定対象の資産が異なる。「株価レーマン方式」は株式譲渡対価に対してのみ手数料の対象とするため、他のレーマン方式よりも顧客側のコストを抑えた手数料体系といえる。M&Aキャピタルパートナーズ株式会社では、譲渡企業・譲受企業双方に対して「株価レーマン方式」での手数料を設定しており、利益相反が発生しないよう取り組んでいる。
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目次
レーマン方式とは
レーマン方式は、M&A取引における成功報酬を算出するために広く用いられる報酬体系です。取引額が高額になるほど手数料率が低くなる累進的な構造が特徴で、売り手と買い手双方がコストを予測しやすいメリットがあります。
この方式の起源には諸説ありますが、日本においては株式会社レコフの創業者である吉田氏により導入されたことが始まりです。吉田氏は、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズで使用されていた手数料算定方式を参考にしたとされ、「リーマン」が「レーマン」に変化したという説もあります。
レーマン方式を採用するうえで重要なのは、あくまで料率を定めるものであり、その料率を何にかけるかによって最終的な報酬額が変わるということです。例えば、株式価値、オーナー受取額、企業価値など、基準となる金額の選び方によって、成功報酬が大きく変わる可能性があります。
この透明性と柔軟性により、レーマン方式はM&A市場で標準的に使用される報酬体系として定着しています。
取引額 | 手数料率 |
---|---|
5億円以下 | 5% |
5億円〜10億円以下 | 4% |
10億円〜50億円以下 | 3% |
50億円〜100億円以下 | 2% |
100億円以下 | 1% |
レーマン方式の計算方法
レーマン方式の基本的な計算式は、売却額のレンジに応じて設定された手数料率をかけ合わせて計算します。計算式としては以下のとおりです。
- 成功報酬の金額=報酬基準額(取引額) × 報酬率
ただし、単に取引額全体に報酬率をかけるのではなく、取引額をいくつかの区分に分けて、それぞれの区分に適用される報酬率を乗じることが必要です。例えば、取引額が6億円の場合、1億円までの部分には5%、次の1億円から5億円の部分には4%というように、段階的に手数料が適用されます。
このような仕様を採用することで、報酬基準額の差によって成功報酬の金額が大幅に変動することを回避できるため、より安定した報酬体系が実現されます。
さらに具体的な計算例で解説しましょう。手数料率が上図の場合において、売り手企業の売却額が25億円のときは、以下の計算式が成り立ち、成功報酬は7,500万円となります。
- 5億円(5億円以下の部分)× 0.05 = 2,500万円
- 5億円(5億円超~10億円以下の部分)× 0.04 = 2,000万円
- 10億円(10億円超~50億円以下の部分)× 0.03 = 3,000万円
- 合計:7,500万円
なお、報酬基準額はM&A仲介会社ごとに独自に算出します。仲介会社によっては、株価をベースとするものや、移動総資産、企業価値をベースにするものなどさまざまであり、成功報酬額にも影響が出ます。
レーマン方式における報酬基準額の決め方の種類
レーマン方式にはいくつかの種類があり、取引の性質や企業の財務状況に応じて選択されます。ここでは、以下にあげる主要な4つのレーマン方式について紹介します。
- 株価レーマン方式
- オーナー受取額レーマン方式
- 企業価値レーマン方式
- 移動総資産レーマン方式
それぞれ見ていきましょう。

株価レーマン方式
株価レーマン方式は、取引時の株主価値を基準として報酬額を計算する手法です。実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とするため、算出方法がシンプルであることが特徴です。また、一般的なレーマン方式と同様に、取引額が高くなると手数料率が低くなる累進的な構造が採用されているため、コストを抑えやすいという利点もあります。このため、事業承継で発生する株式譲渡などのスキームを選択する際にも適した方法といえるでしょう。
オーナー受取額レーマン方式
オーナー受取額レーマン方式は、取引額にオーナーや経営者からの借入金を加算して報酬額を算出する方法です。売り手企業が役員や経営者、またその親族から借金をしている場合に採用されることがあります。例えば、売り手企業のオーナーが債権者であった場合、譲渡成立時には取引価格と共に借金の返済を受けられます。
ただし、買い手側にとっては、取引額に借入金が加算されることで成功報酬が大きく変動する可能性があるため、注意が必要です。事前に売り手企業の財務状況を確認しておくなど、対策を講じる必要があります。
企業価値レーマン方式
企業価値レーマン方式は、株式の取引額(株主価値)に純有利子負債を加算して報酬額を算出する手法です。純有利子負債とは、銀行からの借り入れや社債など、利子をつけて返済すべき負債の額から現預金などを差し引いた正味の負債額のことです。売り手企業が譲渡成立に伴い、取引額を得るだけでなく有利子負債からも解放されるため、企業価値が高まるという考えに基づいています。
ただし、企業価値レーマン方式の成功報酬はオーナー受取額レーマン方式よりも高額になる傾向があります。銀行などから多額の資金調達を行っているケースなどでは、この傾向が特に強いため、注意が必要です。
移動総資産レーマン方式
移動総資産レーマン方式は、取引額にすべての負債の総額を加えて報酬額を算出する方法です。オーナーからの借入やその他の有利子負債に加え、買掛金や未払金などすべての負債額が含まれます。そのため、これまで紹介した方法のなかでも成功報酬が高額になる傾向にあります。
移動総資産レーマン方式を選択する際には、自社の負債状況を十分に確認し、必要性を慎重に検討してください。
レーマン方式を活用するメリット
M&A取引における成功報酬の計算方法として、レーマン方式を採用する主なメリットとしては以下のようなものがあります。
- あらかじめ必要なコストを見積もりやすい
- 大規模取引になるほど手数料負担を軽減できる
- 成約時に報酬を支払う成果報酬型の料金体系
1つずつ解説していきます。
あらかじめ必要なコストを見積もりやすい
レーマン方式は、取引額に応じて報酬率が設定されているため、必要なコストをあらかじめ見積もりやすい点がメリットです。
報酬率が固定されており、シンプルな計算体系であるため、報酬基準額がわかればおおよその成功報酬額を算出できます。また、相談料や着手金、中間金などの成功報酬以外に発生する費用を合わせて算出すれば、M&A全体で必要となるおおまかなコストを見積もることが可能です。
このように必要な費用を把握することで、M&Aの実施可否を判断するための材料として活用できるほか、実施に向けた自己資金のキャッシュフロー管理や銀行融資の利用など、資金計画の立案にも役立ちます。
大規模取引になるほど手数料負担を軽減できる
レーマン方式の大きなメリットの1つは、大規模取引になるほど手数料負担を軽減できる点です。
一般的に、取引規模が大きくなると、企業価値の算定やデューデリジェンスなどのプロセスが複雑化し、仲介会社は多くの人材と工数を投入する必要があります。その結果、企業が支払う手数料は高くなりがちで、大規模取引では譲渡企業の負担も増大します。
しかし、レーマン方式では取引額が高額になるほど手数料率が下がる仕組みが採用されているため、売り手企業の負担を効果的に軽減することが可能です。
この構造により、特に大規模なM&A取引において、コスト効率の良い選択肢となります。
成約時に報酬を支払う成果報酬型の料金体系
レーマン方式は、取引額に基づいて手数料率が設定される成果報酬型の料金体系です。この方式の大きな特徴は、M&Aが成約した際に報酬を支払う点にあります。M&Aが成立しなかった場合は支払う必要がないため、依頼する企業にとってリスクの少ない方法であるといえるでしょう。
ただし、M&A仲介会社によっては、M&Aプロセスの各段階で以下のような費用が発生することがあります。これらの費用はM&Aが成立しなくても返金されないことが多いため、事前に確認が必要です。
- 相談料:初期相談時に発生。多くは無料、有料の場合は数千円~数万円程度。
- 着手金:業務委託契約締結時に発生。0~200万円程度。
- 中間金:M&Aの進捗に応じて発生。成功報酬全体の10~20%程度を先払い。
- リテイナーフィー:月額20~200万円程度。
レーマン方式を活用する際の注意点
レーマン方式は顧客を優先的に考えた仕組みですが、適用基準や仲介会社の選択には注意が必要です。報酬額の変動や成約優先のリスクを避けるため、クライアントファーストな対応を行う信頼できる仲介会社を選ぶことが重要です。
以下では、レーマン方式を採用する際の注意点を紹介します。
小規模取引では成功報酬の負担が大きくなる
レーマン方式は、取引規模に応じて手数料率が変動する、顧客に優しい仕組みです。しかし、適用される基準によって成功報酬の金額が大きく変わる可能性があります。
株式、オーナー受取額、企業価値、移動総資産など、さまざまな基準が存在し、同じ取引規模でも報酬額が異なることがあります。また、一部の仲介会社では最低報酬額を設定しているケースもあり、小規模取引では注意が必要です。
M&A取引を検討する際は、単にレーマン方式を採用しているかだけでなく、どの基準で適用されるかを見極めることが重要です。
仲介会社が利益を優先して成約を進める恐れがある
レーマン方式は成果報酬型のため、M&Aが成立しなければ仲介会社は利益を得られません。一部のM&A仲介会社では自社の利益を優先し、依頼企業の希望条件に適していなくても無理に成約を進めたり、逆に高額な取引額を提示する買い手企業が現れるまでマッチングを遅らせたりする可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、クライアントファーストな対応を行う、信頼できるM&A仲介会社を選ぶことが重要です。M&Aキャピタルパートナーズでは、豊富な実績と経験を持つ専門家チームが、クライアントの利益を最優先に考えたサービスを提供しています。また、透明性の高い報酬体系や、きめ細やかなアドバイザリーサービスにより、クライアントの不安を解消し、最適なM&Aの実現をサポートしています。
信頼できる仲介会社を選ぶ際は、実績や評価を確認し、無料相談などを通じて実際にコミュニケーションを取ることが大切です。M&Aキャピタルパートナーズの詳細なサービス内容や報酬体系については、以下のページでご確認いただけます。
まとめ
レーマン方式は、M&A取引における成功報酬の計算方法として広く採用されている計算方法です。本記事では、その特徴や利点、注意点について解説してきましたが、実際の適用にはさまざまな要素が関わってきます。M&Aキャピタルパートナーズでは、株価レーマン方式を採用し、透明性の高い報酬体系を提供しています。
M&Aを検討されている経営者の方は、まずは企業価値評価から始めてみませんか。現在の会社価値を把握することで、より具体的な手数料や手取り額の試算が可能になります。M&Aキャピタルパートナーズでは、無料相談を通じて、皆様の疑問や不安にお答えいたします。お気軽にお問い合わせください。