それぞれの選択 #132 ヘアメイク事業×PRコンサルティング事業

スタイリストとヘアメイクのワンストップを実現へ。
クリエイティブ業界の専門性を結集するM&A

ヘアメイク事業を手がける株式会社エムズアップは、マーケティングコミュニケーションを総合的に支援するマテリアルグループへの参画を決断した。グループ傘下の株式会社ルームズが展開するファッションスタイリスト事業との融合により、業界でも珍しいワンストップサービスの提供を目指す。個人事業に近い形態からグループへの参画というM&Aが実現した背景には、クリエイティブ業界での専門性の結集と、現場力を重視する価値観の共有があった。譲渡側の株式会社エムズアップ代表取締役の石田真弘様、譲受側である株式会社ルームズ代表取締役の川口真司様に、M&Aの経緯と今後の展望について伺った。

 

  • 譲渡企業

    会社名
    株式会社エムズアップ
    所在地
    東京都港区
    設立
    2014年
    事業内容
    ヘアメイク事業
    従業員数
    M&Aの検討理由
    将来的な後継者不在のため
  • 譲受企業

    会社名
    マテリアルグループ株式会社
    株式会社ルームズ
    所在地
    東京都港区
    設立
    2014年
    事業内容
    PRコンサルティング事業
    従業員数
    282名(グループ連結)
    M&Aの検討理由
    事業領域の拡大のため

絵を描く感覚で美を創造するヘアメイクアーティストとして信頼をつかむ

石田様の経歴とエムズアップ創業までの経緯を教えてください。

石田
株式会社エムズアップ 代表取締役 石田 真弘様(以下、敬称略)

もともと絵を描くことが好きだったこと、そして人の美しさを引き出すことへの興味が重なり、気づけば「ヘアメイクアーティストの道しかない」と将来を志していました。ヘアメイクという仕事は、筆やペンシルを水彩画の絵筆のように扱い、顔や髪というキャンバスに美を描き出していく、創造的なプロセスだと捉えています。対象は紙などではなく生身の人間ですが、創り出す行為という点では同じだと考えています。

ただヘアメイクという職業はキャリアパスがまだ確立されておらず、美容師としての技術基盤を持つことが、プロフェッショナルとして活動する上で不可欠だと判断しました。そこでキャリアを逆算して設計し、まず美容師として5年間の修行期間を設け、並行して化粧品メーカーのヘアメイクスクールでも技術を磨きました。ここで、基礎から応用まで体系的に学んだことが、ヘアメイクアーティストとして独立するための有益な準備期間になったと思います。ヘアメイク事務所に所属した後、数年してから独立を決意してフリーとなりました。

独立後はどのような方針で仕事に取り組まれたのでしょうか。

石田

店舗でお客様の来店を待つ美容師と異なり、私たちヘアメイクはどれだけ現場に呼んでもらえるかが勝負です。だからこそ私は、仕事を断らず、必ずベストを尽くすことをすべての現場でポリシーとして貫いてきました。この姿勢は今も変わっていません。規模の大小に関わらず、すべての案件に全力で取り組み、一つひとつのご縁を大切にしてきました。その結果、クライアントとの長期的な信頼関係の構築につながり、リピートでの依頼や新規のご紹介にもつながる基盤になったと考えています。

キャリアの大きな転機は、ある大手芸能事務所に所属する人気アイドルグループを担当することになったときです。10名超のメンバーが同時多発的に異なる現場で活動するため、これまでの個人事業のスタイルでは対応が不可能でした。しかし、先方はできれば一括で依頼したいと考えているはずなので、私のチームが一手に引き受けますと提案したのです。ちょうど別のプロジェクトが終了したタイミングで、優秀なヘアメイクアーティストを確保できる算段もあったので、信頼できるメンバーとチーム体制を構築しました。この大型案件の受注を契機として、取引上の要請もあり法人化を決断しました。

法人成りの後も社員は雇用せずに経営されてきました。支障はありませんでしたか。

石田
石田

社員を雇用しない代わりに、信頼できるヘアメイクアーティストとのパートナーネットワークを構築することで、柔軟かつ効率的な事業運営を実現してきました。私が後進に直接技術的な指導を行い、クライアントの期待に応えられるレベルまで育成した上で、案件ごとに最適な人材をアサインする体制を整えています。また東京だけでなく、大阪、広島、福岡、沖縄まで全国主要都市にパートナーのヘアメイクアーティストが揃っています。これにより、全国規模のイベントやアーティストのツアー帯同など、複数の現場が同時進行する案件にも対応可能です。固定費を抑えながらも、特にこの数年は売上を伸ばすことができたのは、案件の規模や特性に応じて最適なチーム編成ができたからだったと思います。この体制がビジネスモデルに最適だったのでしょう。

私自身、テレビ、映画、CMなど幅広いメディアでのヘアメイク業務を続け、現場でのクリエイティブな仕事に情熱を燃やしてきたつもりです。一方で、常に優秀な人材を探し続けてきました。技術レベルを維持・向上させることは永続的な課題であり挑戦です。数百人ものヘアメイクアーティストと仕事をしてきましたが、繰り返し依頼できる信頼できるパートナーを見つけ、育成することは容易ではありません。

従業員がいなくてもM&Aの可能性はある 知人の体験談がきっかけ

懸命に事業を伸ばしてこられた一方で、M&Aを検討したのはなぜでしょうか。

石田

M&Aを検討し始めたのは、約2年前です。長年の取引があるクライアントや、一緒に仕事をしてきたパートナーの方々のことを考えたとき、私個人に依存した体制のままでは限界があると感じるようになっていました。事業の継続性と発展性を確保するには、より強固な組織基盤が必要だという問題意識が根底にありました。

M&Aを考える直接的なきっかけとなったのは、海外でビジネスを展開している友人からM&Aの経験談を聞かせてもらったことです。従業員もいない私のような個人事業に近い形態でも、適切なパートナーと組むことで事業承継や事業の発展が可能だという新しい視点を得ました。ヘアメイクの仕事に対する情熱や愛着は、年月を重ねるごとにさらに強くなっている実感があります。しかし、人材の確保・育成、税務・経理などの管理業務に追われる時間が増え、本来注力すべき創造的な仕事に集中できなかったのも事実です。

M&Aによって管理面での負担を減らし、私自身は現場での価値創造に専念できる体制をつくれないかと考えました。そうすることで結果的にクライアントやパートナーの皆様により良いサービスを提供することにもつながるかもしれません。このように考えて、M&Aという選択肢を真剣に検討するようになりました。事業を手放すのではなく、より大きな組織の中で事業を継続・発展させながら、私自身も現場で活躍し続ける形でのM&Aを模索し始めたのです。

パートナーにM&Aキャピタルパートナーズを選んだ経緯を教えていただけますか。

石田

はじめは友人の紹介を受けて別の仲介会社にお願いしましたが、特に何の紹介ももらえませんでした。そこで諦めかけましたが、自分で検索した4、5社ほどの仲介会社にアプローチしました。実際にお会いしたのは3社でしたが、徳田さんの誠実さとプロフェッショナリズムが、M&Aキャピタルパートナーズを選んだ決め手です。他社の担当者には、自分や会社を実態以上に大きく見せようと誇張した表現をするところが気になりました。しかし、徳田さんは最初から謙虚で、本音で話し合える方だという印象を持ちました。これは今も変わっていません。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 徳田 祥己(以下、徳田)
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 徳田 祥己(以下、徳田)

石田様は、初めてお会いした時から柔らかな物腰で、本音で率直に話し合える方だという印象を持ちました。従業員がいらっしゃらないことは、何も問題ではありません。お一人ですべてを決断し、経営してきたということはとてもシンプルです。それに従業員がいないことは、将来的に後継者の不在という課題にもなるため、M&Aは有力な選択肢になり得ると考えました。

ヘアメイク事業を継続する強い意欲を示されていましたし、取引先には芸能関係や人気アイドルグループの名前が並んでおり、関心を示す企業もあるはずだと予想していました。相乗効果が期待できるのはもちろん、石田様の価値観を共有できるお相手を探すという方針のもと、まずは情報収集もかねて、お相手探しをしてみましょうとお話をしたことを覚えています。

石田

このように徳田さんの伴走する姿勢は、とてもありがたかったですし、特にレスポンスの速さが印象的でした。私はビジネスにおいて、レスポンス速度こそ優先順位の高さを示すものだと考えています。徳田さんは常に迅速に対応してくださり、私たちの案件を重視してくださっているのが伝わってきました。また、M&Aを押し売りすることはなく、あくまで選択肢の一つとして提示し、最終的な判断は私に委ねるという姿勢を貫いてくださいました。

「やりましょう」と言われたことは一度もありません。「最終的に決めるのは経営者自身で」というスタンスは、私がストレスなく検討を進めるうえで大きな助けとなりました。

実際にどのような企業からアプローチがあったのでしょうか。

徳田
徳田

化粧品の卸売会社、美容室チェーン、広告・PR関連企業など、様々な業界からアプローチがありました。結果的にお相手として決まることとなったルームズが所属するマテリアルグループも、PRやマーケティングを専門領域としています。しかし、それだけエムズアップの事業が魅力的であることの表れだと思います。

その中で、マテリアルグループ、ルームズについては、明確な相乗効果が見込める点が明らかでした。スタイリスト事業を手掛けるルームズは、両者が一体化すればファッションスタイリストとヘアメイクというクリエイティブな2つの事業が一手に引き受けられることとなります。

石田

正直なところ、マテリアルグループやルームズという会社名を直接は存じ上げませんでした。情報をいただいて初めて調べた程度の認識しかありません。ただ、PRやマーケティングにも強みをお持ちということは聞いていました。そのため、かねてから私たちの課題だったホームページやソーシャルメディアを使ったマーケティングなどでもサポートが得られるのではないかと薄っすらと思っていました。

グループが描く全国展開戦略と補完関係への期待

ルームズならびにマテリアルグループの事業概要をお聞かせいただけますか。

川口
株式会社ルームズ 代表取締役 川口 真司様(以下、敬称略)

私たちルームズは1998年に創業し、2つの事業を柱としています。一つはプロダクトプレイスメントという、テレビドラマや映画の劇中に登場する商品のPR事業です。洋服や家具などを自然に登場させ、視聴者に違和感なく商品の魅力を伝えるものです。もう一つはファッションスタイリスト事業で、タレントやアーティストの衣装コーディネートを手がけています。

ルームズも傘下に入っているマテリアルグループは、PRを核とした総合マーケティング企業です。PR だけでなく、マーケティング、キャスティングなど幅広い事業を展開する専門家集団の集まりで、M&Aについても以前から積極的に検討してきました。専門性を高めるには自前で取り組むより、スキルがある会社、技術がある会社と一緒になる方が、スピード感を持って企業価値を向上できるという考えがありました。ルームズが、マテリアルグループに参画したのは2021年です。お客様のニーズが拡大する中で、より大きな提案力を持つ必要があると感じたことがきっかけです。当時の経験があったために、今回のエムズアップとのM&Aについても、グループシナジーの可能性を具体的にイメージすることができたように思います。

エムズアップとのM&Aに関心をもった背景を教えてください。

川口

事業シナジーが明確にイメージできたためです。ファッションスタイリスト事業を行っている中で、お客様からはヘアメイクに関するご要望も当然あります。しかし、専門性が異なるため、これまでは外部に再委託していましたが、これを内製化できれば単に効率化や利益を確保できるだけでなく、よりよい提案とサービス提供につながると考えていました。そしてその思いは、石田さんに直接お会いしたことで、確信に変わりました。

石田 徳田
石田

私も川口さんたちと初めてお会いしたとき、強い親近感を覚えました。言葉では表しにくい感覚的なものですが、距離が一気に縮まったような印象が今でも心に残っています。共通の知り合いがいることがわかったのも大きかったです。芸能事務所の方の個人名を呼び合って、それぞれが直前に別の現場でお会いしていることがわかりました。

川口

同じ業界で長年やってきたからこそ分かり合える、特有のフィーリングがありました。それに石田さんの言葉の端々から感じる現場力の高さには、感銘を受けました。長年この業界にいれば、優秀な方かどうかは、お会いすればわかるという自信があります。石田さんは、長年培ってきたネットワークと確かな技術力をお持ちの方でした。クリエイティブな方でありながら、ビジネスパーソンとしてセンスも感じさせる方です。与えられた仕事をやるだけでなく、新しいことを創造していくワクワク感を持っていらっしゃると感じました。

石田

このようなプロセスこそ、価値観の共有と言えるのかもしれません。川口さんは私が言いたいけれど、まだ言えないことを全部汲み取って言ってくださるのです。会話をしていても、私が話している途中でもう理解を全部してくださっているのがわかります。それに川口さんも、また私と同じでせっかちなのが好感でした(笑)。

石田 徳田 川口
川口

そこも波長が合ったポイントです。結果的に今、一緒に仕事をしていて非常にやりやすいと感じています。このように同じ匂いを感じられたことがとても大きかったです。ビジネスである以上、数字も必要ですが、それ以上に文化的な親和性、カルチャーがフィットするかが重要だと思っています。特にこの業界は関係性で成り立っている部分が大きいので、価値観が合わないとうまくいきません。

徳田

他の候補との面談にも何度か同席しましたが、その中でもルームズやマテリアルグループとの面談が一番盛り上がっていたのは、石田様のご様子からもうかがえました。さまざまな業界の方が名乗りをあげていましたが、やはり同じクリエイティブな仕事を長年やってこられた方たち同士の共通言語があるのは、隣で拝見していても感じられました。

トップ面談で両社の価値観の共有や事業シナジーについて初回から具体的な議論ができたことも、もちろん大事です。それにマテリアルグループは上場企業であり、バックオフィス機能のサポートを受ければ、石田様がお一人で担ってきた管理業務の負担を軽減できます。そして、ご本人が得意な現場での活動に専念できる環境が整います。これもエムズアップの発展にとって理想的な形だと感じられました。

面談での好印象を受けて、成約までの交渉は順調に進んだのでしょうか。

石田
石田

グループ内に対しての懸念はありませんでしたが、内心では最終局面を迎えるまで、迷い続けていました。会社を成長させていくためにパートナーを選ぶのか、金銭的な面を追及すべきなのか。また、ヘアメイクをすること自体は好きでも、人材集めに走ったり、税理士とやり取りしたりといった管理業務は得意ではありません。仮に新たな体制になるときに、私自身は完全に事業から退くのか、継続して関わるのかも、どちらがよい選択肢なのか、判断がなかなかできませんでした。それは既存の取引先に対する責任感があったためです。長年付き合いのあるクライアントや、一緒に仕事をしてきたパートナーの顔を思い浮かべると、私だけが簡単にここを離れるわけにはいかないと感じました。管理業務の負担を最小限に減らしていただきつつ、現場の仕事に専念できるというオファーを信じて飛び込むことに決めました。

川口

苦悩や葛藤する気持ちは、私も同じ経営者として理解できるつもりです。石田さんとの議論を通じて、M&A後に実現していきたいプランを綿密にお示しし、付帯する業務は全てグループ側で引き受けて、どうやったらヘアメイク事業が拡大していくか、さらに新しい事業にもチャレンジできるか、そういったところを最大限サポートすることがミッションだと考えていました。

石田

実際に川口さんたちからは、細かいことまで配慮していただいています。私に新しい携帯電話を支給する話があった時、自分の携帯電話にすべての連絡先やクライアントとのやり取りが詰まっているため、新しい番号を周知するのは現実的ではないと感じていました。それを口に出さずとも、川口さんたちは私の思考をくみ取ってくれて「今までの電話番号がそのまま使えるようにした方がいいのではないか」と話し合い、会社の方針を私のやり方にあわせてくれました。些細なことですが、こうした積み重ねがやがて大きな仕事の成果になってくるように思います。心が通じ合える仲間の存在をこれほどありがたいと思ったことはありませんでした。

川口
川口

石田さんが築いてきた信頼関係やネットワークの価値は、私たちにとって十分に理解できるものです。だからこそ、その財産を大切にしながら、新しい価値を共に創造していきたいと考えています。さらに石田さんの実直な姿勢は、すでによい効果を生み出してくれています。初めて会社に来た時、全社員の前で挨拶をしてもらいました。これまでの業界での実績や、今後期待されるシナジーを語ると社員たちは感銘を受けている様子でした。飾らない言葉で、経験を語る姿に、経験の浅いスタッフは憧れの大先輩の話を聴くような気持ちになったのでしょう。直後から、社員たちからも積極的に事業のアイデアが出て、とてもよい雰囲気になりました。

早速、私たちが手がけるPRのサンプリング事業でも石田さんに力になっていただいています。美容関係の商材は、スポンサーの関係でテレビではPRが難しいのですが、ヘアメイクのプロの方が実際に使うという手法で、石田さんの視点から新しい提案をして行っていただいています。

ワンストップサービスの実現へ向けて重なり合う専門領域

今後の事業展開についてお聞かせください。

川口

最大の目標は、ファッションスタイリスト事業とヘアメイク事業をしっかりと融合させ、ワンストップのサービスを拡大していくことです。これまで片方を外注していた案件も、すべて内製化できるようになります。1+1=2ではなく、3や4となるように、それぞれの強みを合わせながら、もっと大きなサービスができるようにしていきたいと思っています。

また、マテリアルグループのPR・マーケティング力も活用していくつもりです。私たちの商材でサンプリングやギフティングをやっているのですが、そこでもすぐに石田さんに力になっていただきました。ヘアメイクのサービスだけでなく、PRのサンプリングでも活躍していただいています。

石田

まずは現在のヘアメイク事業を、スタッフの人数や質も含め、より安定させ、ある程度オートマチック化、マニュアル化したいと思っています。誰でもできるような体制を整えることで、私自身の手を空けることで、ルームズやマテリアルグループの仕事もお手伝いできると考えているからです。

川口

人材探しは本当に大変ですが、グループの看板があることで、今後は集めやすくなると期待しています。業界も大きく変化し、特にコロナ禍と働き方改革の影響で、従来のような過酷な労働環境は許されなくなっています。複数人でのローテーション体制を組むなど、様々な配慮が必要になりました。また、ヘアメイクだからこう、スタイリストだからこうという従来の役割分担も変化してきており、私たちからも積極的に提案できるような環境になってきています。より創造性を発揮できる時代になったと感じています。

石田

一方で、方法は柔軟に変えていかなければならないと思います。これまでのような業務委託ベースではなく、専属の契約社員のような形で、しっかりと人材を抱え込んでいく必要があります。私の取り組みやノウハウを受け継げる体制を一緒に築いていくことも大きな目標です。

川口

人材育成は、ヘアメイク事業だけでなく、全事業に共通する重要な課題です。プロダクトプレイスメント事業でもスタイリスト事業でも、すべて人が資本となる仕事です。石田さんには長年の経験で培ったノウハウがありますので、どのようなステップを踏めば確実に人材を育成できるかを、相談しながら進めていきたいと思います。

徳田

今回は、相性の良い両社をマッチングできたことを非常に嬉しく思っています。同じクリエイティブ業界でありながら、それぞれ異なる専門性を持つ両社が手を組むことで、素晴らしいシナジーが生まれるとは予見していました。このように直後からその萌芽が表れていることは特筆すべきことだと感じています。

最後にM&Aを検討している経営者の皆様にメッセージをお願いします。

石田

M&Aは、小規模な法人や、当社のように従業員がいない会社でも、出口戦略の一つとして考えられるのではないかと実感しました。私自身、今回初めてM&Aを当事者として経験しましたが、当社のような会社でも対象になるのかとはじめは驚いたものです。知り合いの経営者仲間からも意外に思われることが多いです。しかし、資本や組織のバックアップを受けることでビジネスが成長する可能性さえあれば、私のように重要なパートナーに巡り合える可能性はあると思います。

川口

私自身、かつてM&Aを通じてグループに参画した経験者として、M&Aがもたらすエキサイティングな側面を実感しています。一緒に未来を作り上げていくワクワク感があり、社員にとっても様々な刺激を受ける機会になります。今までやってきた手法とは違うアプローチを持ち込むことは、爆発的な成長を生むチャンスです。言わば強制的な変化のきっかけが得られるのは、M&Aならではの魅力です。こうしたポジティブな面を、多くの経営者に知ってほしいと思います。

徳田

事業規模に関わらず、魅力ある実績と人的資産があればM&Aという選択を取ることが可能です。多くの経営者の皆様にとって、事業のスケールアップや後継者問題の解決に向けた選択肢の一つとなり得ます。M&Aは難しいと感じられるかもしれませんが、まずは検討のステップを踏み出してみてください。弊社は、お相手企業からの条件提示に対してオーナーご自身が承諾されるまでは、費用は一切いただいておりません。途中でプロセスを止めることもできますので、可能性を狭めずに具体的に検討してみることが大切だと考えております。今後も多くの企業様とのご縁を結ぶお手伝いをしてまいりたいと考えておりますので、ぜひお気軽にお声がけください。


 

文:蒲原 雄介 写真:関口 史彦  取材日:2025/8/4

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 徳田 祥己

    企業情報部主任徳田 祥己

    大学卒業後、銀行に就職。企業担当として法人及びオーナー様への融資業務、資産運用商品の販売、ソリューション業務に従事。銀行時代に自身が承継問題の解決に携わった経験・実績をきっかけに当社に参画。当社入社後は一貫してM&Aアドバイザー業務に従事し、美容事業、運送事業、建設事業、広告事業、IT事業を中心に事業承継の支援を行っている。

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