

“隣接事業” ならではのシナジーとは。
興奮と感動を提供するアミューズメントの可能性を信じて
創業から5年、コロナ禍における積極的な出店戦略で急成長を果たした株式会社Standupは、クレーン型ゲーム機の製造や無人ゲームコーナーを手がける企業だ。一方、アミューズメント事業を中心に多角的な展開を進めてきた第一コーポレーションにとって、ゲーム分野は極めて関心の高い領域だった。業種の壁を越え、5ヶ月という異例のスピードで成約に至ったM&Aの舞台裏について、株式会社Standup 代表取締役 石井 友之様と、譲受企業・株式会社第一コーポレーション 経営企画室長 成田 洋助様にお聞きした。
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譲渡企業
- 会社名
- 株式会社Standup
- 所在地
- 千葉県市川市
- 設立
- 2020年
- 資本金
- ―
- 事業内容
- アミューズメント施設の運営・企画、アミューズメント施設向け物件紹介、 ゲーム機レンタル、ゲーム機販売・買取、飲食店運営、物販店運営
- M&Aの検討理由
- 更なる成長・発展のため
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譲受企業
- 会社名
- 株式会社第一コーポレーション
- 所在地
- 埼玉県川越市
- 設立
- 1973年
- 資本金
- 5,000万円
- 事業内容
- 遊技場(アミューズメント)・ビジネスホテル・カルチャーセンターの経営、保育所の運営、宅地建物取引業
- M&Aの検討理由
- アミューズメント事業の拡大のため
形のないものを売るビジネスとの出会いで人生が変わった
まず石井様がゲーム業界に入られた経緯を教えていただけますか。

この業界に飛び込んだきっかけは、ささいな偶然でした。浪人生時代にアルバイトを探していると、たまたま目に入ってきたゲームセンターの求人に応募しました。ゲームに強い興味があったのではなく、すぐに雇ってもらえることだけが魅力だったのです。当時の「ゲーセン」は、今よりも殺伐とした空気で、働き手も少なかったのでしょう。そのおかげで、すぐに採用してもらえました。
1日、2日働いただけで、この業界特有の面白さに気づきました。お客様が何千円、何万円というお金をゲーム機に注ぎ込む姿を見て、「何を買っているのだろう」と考えると、それは形としては残らないものの、見えない興奮や感動、ドキドキ感だと気づいたのです。無形のものを売るビジネスの奥深さ、面白さに目覚めた瞬間でした。
職歴としてもゲーム業界を渡り歩くような形になったのですね。
さらに、ゲームセンターの運営も手がけていましたが、当時の社会的にはまだまだイメージのよくない場所でした。私はこれを一新したいと思い、お客様に喜ばれる空間にするには、接客やサービスの質を上げなければならないと、ディズニーランドの教育マニュアルなどを研究し、その手法を取り入れました。メンター制度も初めて導入し、組織的な教育体制を整えたのもこの頃です。すると接客が良いと評判になり、家族連れをはじめ、価格が少し高いゲームでも多くの人が遊びに来てくれるようになりました。お客様の反応を直接見ることができ、非常にやりがいを感じていました。
その後、ご自身での起業を決断したのはなぜだったのでしょうか。
正社員で雇用してくれた会社がM&Aで買収され、親会社が変わる経験をしました。その中で、これまでの経営方針が少し変わったように感じることもあり、親会社の経営方針も理解できるものの、私としてはこれまで自分たちの成長を支えてきた「サービスや接客を重視する」という方針を大切にしていきたいと考えていました。
そこで、ゲーム部品を扱っていた取引先の社長に頼んで、移籍することを認めてもらいました。さらに、銀行から3,000万円ほどの資金を調達してもらい、新たにゲームセンターを買収。景品の卸売を始め、最終的にはゲーム機の製造にも参入したりしました。前職の人間にも声をかけ、次々と新規事業を軌道に乗せたことで、売上は3年で5倍にまで成長しました。
当時の社長は、会社が成長していくことへの喜びもあったと思いますが、一方で、背負う重圧は計り知れないものがあったと思います。そんな社長を見て、会社を経営することの大変さも感じながらも、いつしか自分自身で起業をして、自分の会社を一流の企業にしたいと思うようになりました。そこで当時の社長と話し合った上で、私は独立することにしました。
独立のタイミングが2020年7月。コロナ禍で社会が停滞していた時期でした。
周りからは「なぜ今なのか」「絶対にやめておけ」と、何度も止められました。たしかに当時は、ゲームセンターがいつ営業できるかわからないような混乱が続いていたので、独立なんて無謀だという意見は分かります。
しかし、だからこそ私は逆にチャンスだと思ったのです。多くの店舗が賃料を払えず撤退しているわけですから、良い立地の物件が信じられないような価格で出てきており、これ以上の出店チャンスはないと感じました。私は基本的に逆張りの人生を歩んできたと思います。みんなと同じことはしたくない。みんなが撤退するなら、それはチャンスだろうと考えたのです。ただ、出店準備中に従業員が全員コロナに感染してしまい、私一人でトラックから荷物を降ろし、店舗を開けたというのは苦い思い出です。
それでも、コロナ逆風下での出店戦略は正しかったと思います。そして「無人のゲームコーナー」という新しいビジネスモデルを確立できました。以前「機械は裏切らない」という考え方に反発した時期もありましたが、独立後に改めて考えると、人件費の高騰や感染症への対策という課題に対し、無人店舗は有効な解決策になると気づいたのです。最低賃金を上げ続けなくてはならないのは明確だったので、無人の店舗を増やせば、数年後には収益の柱になると考えていました。
会社の更なる成長・発展させたいという想い
順調に成長されていたように見えますが、なぜ今回のようなM&Aを考えるにいたったのでしょうか。

創業から2年ほど経った頃、大きな取引の話が舞い込んできました。それまで身の丈に合った慎重な経営を続けてきたつもりですが、このチャンスは逃せないと判断して、投資に踏み切ったのです。ところが事業開始から数か月後、会社を大きくするための先行投資もあり、足元の資金繰りが苦しい時期を迎えました。会社が成長し続け、安定した経営状況になる未来が見えていただけに非常にもどかしい気持ちでした。
毎月の支払いが重くのしかかる中、銀行にも相談に行きましたが、なかなか資金調達の目途は立ちませんでした。そんな中、以前から会社をより成長・発展させる手段としてM&Aに興味がありましたが、この状況になって改めて選択肢として考え始めました。大きな資本力を持っている企業と資本提携することで、会社の成長だけでなく、従業員が安心して働けるような環境を作ることができると感じていたため、M&Aの話を聞いてみたいと思うようになったのです。
それまでもいろいろな仲介会社から電話がかかってくるので、話だけは聞くようにしていましたが、具体的な引き受け手の候補がいなければ、時間を取るつもりまではありませんでした。
なぜM&Aキャピタルパートナーズとは会ってみたいと感じたのですか。
緒方さんから連絡をいただいて、まずそのレスポンスの早さに驚きました。M&Aキャピタルパートナーズは大手の仲介会社として知っていましたが、丁寧かつスピード感のある対応には「この会社なら何とかしてくれるかもしれない」という期待が湧きました。
初めて緒方さんとお会いしたときは、予想以上にお若い方だったので、思わず「大丈夫かな」と感じてしまったのは事実です。ただ、私自身も過去にM&Aを受ける側として、また事業統合に関わる側として、様々な仲介会社の方と接してきた経験があります。そのため、話の内容やスタンスで、信頼に足る人かどうかは見極められるつもりでした。実際に緒方さんからのお話を聞いた瞬間、これは面白いと感じました。

石井様は初めてお会いした当初から譲受企業様に求める要素などに対して、ご自身のお考えがあり、具体的なパートナー候補について社名や業種などをご質問いただいた印象が残っています。お話を伺っていく中で、会社や従業員の将来を真剣に考えていらっしゃる思いが伝わってきました。ご自身でリスクを引き受けて、わずか数年でここまで成長させた経営者あり、誠実な方だったので、何としてもお手伝いしたいと思いました。
業績が伸びている一方、財務面での課題があることは承知していました。それ以上に石井様のビジネスに対する情熱、ゲーム業界に対する他業界からの期待が高まっていることに可能性を感じていました。
M&Aを検討する前から、3つの条件を決めていました。まず1つ目は、同じゲーム業界ではないことです。同業からは頻繁に声をかけられていましたが、この業界独特の商習慣を知っているだけに、長期的に良いパートナー関係を築けるかどうかに不安がありました。2つ目は、財務体制がしっかりしており、今の苦境を乗り越えられるだけの資金力を持つ会社であること。そして最後に、アミューズメントやゲームへ関心があり、業界参入に意欲的な会社であることです。私たちの事業価値を正しく理解してもらうためにも、この条件は欠かせないと考えていました。

石井様とアポイントをいただけたと緒方から報告を受け、事前の準備に取りかかっていました。当社内で情報を共有したところ、第一コーポレーションの名前がすぐに挙がりました。直近で別案件のサポートで関わらせていただいた中で、アミューズメント施設の譲受ニーズが非常に高まっていることを教えていただいていたのは、重要なポイントだったと思います。
第一コーポレーションは、遊技場運営を主力としながら多角化を進めており、先ほど石井様が挙げた3つの条件にも合致していました。事前に同社のご承諾をいただいたうえで、石井様に第一コーポレーションという具体的な社名を早い段階でお伝えできたのは、こうした背景があったからです。
緒方さんから話を聞いた瞬間は、驚きました。多くの仲介会社は、面談をしてから相手を探そうとしますが、M&Aキャピタルパートナーズはその組織力と情報力を活かして、私にはじめから回答を提示してくれたわけです。緒方さんのスピード感と準備の良さに、「この人なら信頼できる」と確信しました。
石井様が結論を急いでいるという事実を重く受け止めていました。だからこそ、一刻も早く最適な相手との対話を実現することが、私に課された使命だと思って面談に臨みました。
3つの条件をすべて満たしシナジーを感じさせるパートナーとの出会い
改めて譲受企業である第一コーポレーションの事業概要をご説明ください。

現在、埼玉県内に9店舗、千葉県に1店舗の計10店舗を展開しており、主力事業が売上の約85%を占めています。
祖業は約60年前の百貨店で、そこから建売住宅事業へと派生しました。しかし、不動産は建設から販売までに時間がかかるため、キャッシュフローの改善手段として50年前に遊技事業を始めたという経緯があります。私は店舗の統括などを経て、現在は経営企画の責任者として「豊かな暮らしを育む」という理念のもと、100年企業を目指した多角化を推進しています。
現在は、都内と神奈川県内で認可保育園を29園運営するほか、介護施設やホテル、カルチャースクール、さらにはベトナムで現地向けの幼稚園なども展開。時代の変化に合わせて、かつての住宅事業からは撤退するなど、積極的に事業の入れ替えを進めてきました。
なぜゲームやアミューズメントの分野に注目したのでしょうか。
実は1、2年ほど前から、ゲームセンター事業について社内で独力の研究を始めていました。風俗営業法に定められた事業区分では、パチンコ店が「四号営業」、ゲームセンターが「五号営業」と呼ばれ、隣接する事業という身近さがあります。施設運営のノウハウや物件情報のネットワークなど、当社のリソースを効果的に活用できる分野だと考えていました。近年、主力事業の市場環境が厳しくなっていますが、同じアミューズメント領域でも、ゲームセンターには大きな可能性があると感じていたのです。
研究する中で、遊技場跡地をゲームセンターに転用すると、収益性が高いという事例を複数見てきました。ある大手事業者が撤退したターミナル駅前の物件を引き継ぎ、ゲームセンターとして事業を再生・成功させたケースは、都心でも郊外でも散見されています。
従来の遊技場では商圏が半径5キロ程度と言われますが、大型のファミリー向け施設なら半径20キロまで拡大可能です。車で来店できる駐車場完備の大型店舗であれば、土日に家族連れが集まる上に、同等の営業利益率で推移できれば、容易に勝算が立ちます。
両者が初めてお会いしたときの印象を教えてください。

会ってみて、事前に聞いていた通りの方だと感じたことを覚えています。ゲーム業界で長年キャリアを積み、ゼロから会社を立ち上げて成長させてきた実績と、現在のビジネスに対する熱い思いが伝わってきました。この人が一緒なら、間違いなく事業を伸ばせると直感しました。
成田さんの私の話を聞いてくださる姿勢に、誠実さや真摯な思いを感じました。私が掲げていた条件をすべてクリアしていた会社ですから、お会いする前から期待はありましたが、成田さんは、私たちのポテンシャルを高く評価してくれているのも感じました。
ただ、一緒に事業を成長させていくパートナーとして、長く付き合える相手かどうかをしっかり見極める必要があります。面談だけでは、どうしても表面的な部分しか見えません。これから一生をかけてともに歩むからこそ、人間性をきちんと知りたいと思い、顔合わせの後すぐに会食の場にお誘いしました。ざっくばらんに話をして、お酒も飲んで、仕事を離れた時にどういう話をするのか。そういう時間を共有しないと、本当の相手は見えてこないと考えたのです。
私も「ある程度自由にやらせてもらえれば、責任を持って必ず結果を出しますよ」と率直にお伝えしました。譲渡後に静かだった親会社が細かく口を出すようになり、主力社員が次々と辞めて業績が悪化したケースなども見てきたという不安感もありました。成田さんはそんな心配さえも受け止めて「好きにやっていいです」と言ってくださいました。これが大きな決め手になったのです。
私はこの面談の段階で「ご一緒になった方がいい」と確信しました。相性、特にビジネスモデルとして理想的な統合後のシナジーが見えたからです。Standupは、もともとディストリビューター、つまりゲーム機の仲卸として事業をスタートし、より利益率の高いメーカー側に転換してきました。しかし、資金負担の大きいメーカー事業を中小企業が単独で拡大するには限界があります。ここに第一コーポレーションが加わると、メーカーとしてのノウハウに、オペレーターとしての第一コーポレーションの店舗運営力、さらにディストリビューターとしてのネットワークが合わさります。つまり、製造から販売、運営までの垂直統合が実現するのです。
その結果として期待できることは、エンドユーザーの反応を直接見て、ニーズを先取りできる点です。自社で運営する店舗で、どのゲーム機が人気なのか、お客様が何を求めているのかをリアルタイムで把握できます。そのニーズを基に、メーカーであるStandupが新しいゲーム機を開発すれば、市場でヒットを生み出す可能性は高まると感じました。
物件情報のネットワークという点も見逃せません。当社は長年にわたる遊技場運営を通じて、業界内で物件情報を素早くキャッチする情報網を持っています。通常なら業界外のゲーム事業者が情報を知る頃には、すでに商談が進んでいることが多いのが当然です。しかし、第一コーポレーションの情報を駆使すれば、業界内の誰よりも早く良い物件を押さえられる可能性があります。これは今後、大きな競争優位性になり得ます。
シナジーが描けることは未来の希望につながりますが、Standupには財務面での課題もありました。
Standupの財務状況を単に伝えるだけでなく、客観的なデータに基づく今後の見通しを示す必要があると感じていました。どのように第一コーポレーションに説明すればよいかは、このディールを左右しかねない重要な問題です。そこで事業計画を精緻に作り込み、どのような投資をすればどれだけのリターンが見込めるのか、納得いただける形で提示することに注力しました。
ここは私たちが最もこだわった点だったかと思います。当時の財務状況に関しては、解決すべき問題がたしかに多くある中で、残り時間が限られていたのも事実です。しかし大局的に見れば、この両者のM&Aには双方のビジネス拡大につながるという大義がありました。だからこそ、ミクロの課題に動じず、常に大局観を持って両社の経済効果を追求するお手伝いを心掛けました。

会社の財務状況を包み隠さずに明かすことしか、私の選択肢はありませんでした。その上でリスクを評価しつつ、それでもなお当社の可能性に賭けてくれる相手でなければ、M&Aは成立し得ません。その点において、成田さんが社内の反対を押し切ってくれたことは想像に難くありませんでした。
正直に言えば、数字だけを見れば、破談もあり得る状況。役員会でも、最後まで慎重な意見がありました。私自身は、実際に石井さんと対話を重ねる中で、石井さんの誠実さ、ビジネスに対する情熱、嘘をつかない姿勢を信頼できると感じていました。加えて、ゲーム業界での長年の経験と豊富な人脈は、当社にはない貴重な資産です。
当社の売上は約420億円で、その85%を遊技場運営事業が占めています。しかしアミューズメント事業でこれに匹敵する規模の事業を育てられれば、当社の事業ポートフォリオは劇的に変わります。リスクを上回る意義のある投資だと説明し、最終的な了承を得ました。
このM&Aが正解だったと一日も早く成果で示したい
無事に成約を迎えた後、お二方の仕事にどのような変化がありましたか。

目の前の資金繰りに追われる日々から抜け出し、精神的な重圧から解放されたことで、ようやく前を向いて事業を考えられるようになりました。ただそれ以上に、第一コーポレーションの資本力とネットワークを活用できるようになりましたし、何より真剣に当社の成長を考えてくれていることをありがたく感じています。成田さんは週に4日、私たちのオフィスに出社し、文字通り机を並べて、再建に取り組んでいます。
まずは足元の財務面を整理して、黒字体質へと転換を図ることが最優先です。しかし、石井さんとなら早期に成し遂げられると確信しています。普段から隣で電話のやり取りを聞いているだけでも、石井さんが様々な取引先と信頼関係を築いていることが伝わってきます。
早速、シナジーも生まれており、当社のIT事業部門から人材を派遣し、業務のDX化を進めています。意外にもゲーム業界にはアナログな部分が多いので、ここを効率化できれば大きな改善が見込めます。成約前は最も慎重な姿勢だった役員も、今では最強の応援団です。決断前は慎重に、決断後はサポートを惜しまないというのも私たちグループのカルチャーです。
私自身は、Standupをグループインさせてよかったと思ってもらえるよう、期待以上の結果を出したいと思っています。成田さんをはじめ、応援してくれる第一コーポレーションの方たちに「あの時の判断は正しかった」と言わせたいのです。
そのためにも、まず目の前の業績をしっかり作っていくことが不可欠です。ワクワクしながら、挑戦を楽しみたいと思います。
M&Aを検討している経営者の方々へメッセージをお願いします。
M&Aは両者の相性がすべてだと言っても過言ではありません。私たちはこうした奇跡的な巡りあわせによって、会社の危機を脱するとともにさらなる成長のきっかけを掴むことができました。それまで何十人もの仲介業者から電話を受けてきましたが、初めて「これだ」と思えるアドバイザーに出会い、今回の案件にたどりつきました。一期一会、出会いを求め続けたのが良かったと思います。周りにも、誰に相談したらいいかもわからない、M&Aには漠然とした不安があるという経営者は多くいますが、適切なアドバイザーとの出会いがあれば、新しい可能性が開けると思います。

譲受側からすると、大義の存在が大切だと感じています。自らの目指す理想像があるからこそ、新たな企業と一緒になる理由が生まれます。優れたM&Aの仲介業者は、マッチングのプラットフォームであり、私たちが常日頃から情報交換し、希望を伝えておけば、相応しいマッチングをしてくれるということを実感しました。
私たちアドバイザーは、M&Aの知識やビジネスへの解像度が高いことはもちろんのことです。さらに、経営者の人柄や将来の希望までも含めてご相談をいただいてこそ、譲渡企業のオーナーにとって最適なマッチングの機会をご提供できると考えています。相談したからといって、すぐにM&Aの決断をする必要などありません。情報交換だけでも十分です。顧問弁護士や税理士と同じ感覚で、信頼できるアドバイザーを備えておくと、いざという時に安心なのではないでしょうか。
「奇跡的な出会い」と言っていただけるような両社のご縁組みをお手伝いできたことを、心の底から嬉しく思っています。私はアドバイザーとして、譲渡企業と譲受企業で関わるすべての方の立場や考えに思いを寄せることが大切だと信じています。
特に石井様、成田様という人格的にも素晴らしいお二人のために、最速かつ時間を惜しまずサポートできたことは、私個人の自信を深める機会にもなりました。今回のようなスピード感も重要である案件では、私たちアドバイザーはもちろん、社内外の公認会計士や弁護士の資格者も含め、両者が安心かつ納得できる座組をご提供できる組織体制になっています。一方、もしも決断の後押しをすべきでないと当社が判断した時は、それをお止めする仕組みもあります。これはM&Aを成立させることが目的ではなく、私たちが両者の成功、成長こそを目指している証です。今後も誠実さを最優先にしたアドバイザーであるために、精進していきたいと思っています。

文:蒲原 雄介 写真:一ノ谷 信行 取材日:2025/9/30
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