

白馬を世界的なスノーリゾートへ進化させる。
M&Aを選んだ若きリーダーの共鳴
長野県白馬村のスノーリゾート開発を手がけてきた株式会社Planetと、香川県で食器販売を主に展開する創業144年老舗企業・株式会社河野のM&Aが2025年9月30日に成立した。中国出身の連続起業家と日本スキー連盟を支援する若き経営者のタッグが実現した背景には、「世界に誇れるスノーリゾートを創りたい」という共通のビジョンがある。ニセコや白馬で不動産開発の実績を積み重ねてきた株式会社Planet 代表取締役社長の遠星 誠氏と、譲受企業である株式会社河野・代表取締役の河野一哉氏がどのように新たな歩みを始めたのか。M&A成約式を終えた記念すべき日に、今後への決意をじっくりとお聞きした。


白馬の美しさに惚れた、中国出身の連続起業家の思い
まず遠星様のこれまでの経歴を教えていただけますか。

中国杭州の出身で、日本に初めて留学したのは2005年のことでした。その後、一度中国に戻って弁護士になり、約8年に渡って不動産や金融の仕事を専門にしていました。再び、2015年に日本へ戻ってくることになったきっかけは、弁護士時代のクライアントである日本企業の方から「一緒に日本でビジネスをやりませんか」と誘われたことでした。その方は不動産ファンドを手がけていたため、私の専門分野がマッチすると考えたのでしょう。
白馬に初めてやってきたのは、2016年の秋だったと記憶しています。妻がスキー好きだったこともあり、かねてから訪れてみたい場所でした。友人の誘いに乗って、家族で訪れると、紅葉の美しさに一目で魅了されました。今でもこの景色は、他で見ることができないと思っています。すぐにこの土地を気に入り、周辺の物件を見て回るようになったのです。
Planetはニセコの開発も手がけてきました。白馬の強みはどのようにお考えですか。
白馬は、東京と大阪という二大都市圏の中間に位置しており、それぞれからのアクセスが良い土地です。ニセコとの大きな違いはオフシーズンにあります。ニセコも素晴らしいリゾート地ですが、冬場以外は人がいなくなってしまいます。一方の白馬は、夏にもマウンテンバイクやハイキングなどと様々なアクティビティができるので、年間を通じて楽しめる場所だというのが大きな違いでしょう。
現在の白馬の状況は、ニセコの5~6年前ほどと似た状況です。これから白馬の開発が進み、2030年頃に地価は、現在のニセコと同じように高騰すると予想しています。投資の対象としても魅力的であることは間違いありません。さらに白馬の中でも、雄大な青木湖を望む湖畔の環境は最高です。景色が良く静かで、極上のリゾートを体験できる唯一無二の場所だと感じています。透明度の高い美しい湖を眼下におさめながらスキーを満喫できるというのは、本場のアルプスにも引けをとりません。
江島様がPlanetに参加した経緯を教えていただけますか。

私がPlanetに加わったのは2022年です。それまで別会社で不動産デベロッパーの仕事をしてきました。遠星とは10年以上の付き合いになり、同じ不動産関連の仕事の相談に乗ってもらったり、逆にアドバイスをしたりという関係でした。家族ぐるみで旅行に行くこともありましたし、そもそも最初に白馬へ遠星を誘った友人というのも、私のことなのです。私自身も白馬が好きで思い入れをもってこの地へ通っていました。長野の市街地から車で向かうと、白馬に着く瞬間にふわっと雰囲気が変わるのを感じるのです。圧倒的な眺望と、村全体がまとう独特の空気感に引き寄せられます。
江島は不動産開発のプロフェッショナルで、特にホテルや宿泊施設の運営について深い知見を持っていました。私は開発のビジョンを描くことはできますが、実際の運営や管理については、江島の力が不可欠だったと思います。これまでの信頼関係があったからこそ、一緒にビジネスを進めることができました。
振り返ってみるとニセコの開発を始めた2020年というのは、コロナ禍の只中でした。夏に取得した土地に50戸の戸建てを建築したところ、実に1ヶ月で完売しました。8月の仕入れ値と10月の販売価格を比べると3倍もの値がついていたにもかかわらずです。
しかし、続けて開発を試みた時には住民の反対運動が起こりました。反対の理由は主に周辺環境の悪化を懸念するものでしたが、私たちは計画を何度も修正して、住民の方々と粘り強く対話を続けました。計4度の住民説明会の末に、最終的には開発許可が下りたという経験があります。
地域との共生の重要性を改めて認識する貴重な機会になりました。単に開発するだけでなく、地域の方々の声に耳を傾け、環境への配慮をしながら進めることの大切さ、開発側の責任の重さを学ぶきっかけになったと思います。
その後、白馬では株式会社White Resort白馬さのさかが運営するスキー場「White Resort白馬さのさか」と、隣接するホテル「WHITE HOTEL GRAND HAKUBA」を傘下に収めました。ただ、当時のホテルは古く、改修もされないまま放置されたひどい状態でした。この内装を約1年かけてすべてリノベーションし、現在のような姿になっています。言うまでもないですが、美しい宿泊環境が整っていることは、スキー場への集客にも良い影響を与えます。
経営母体がPlanetに変わる前からスキー場を切り盛りしていた桑本支配人からも、白馬の変遷を解説していただけますか。

かつて1990年代はスキーブームで、ここ白馬も多くのスキー客でにぎわいました。特に1998年の長野冬季五輪の開催以降、観光産業の発展は目覚ましかったのですが、今は客数が減少しています。天然のパウダースノーが楽しめるスキー場は、アジアでこの白馬を含めわずかで、中国やオーストラリアといったインバウンドの人気は大変高いものがあります。
私はこのスキー場に関わって11年目ですが、途中で事業所の責任者が急逝したり、所有した会社が1年で撤退したりと紆余曲折の多い、経営が安定しない状態が続いていました。しかし、Planetの傘下に入って以降、ようやく安定して継続して事業が行える環境が整ったと感じています。それが、近年の売上などの改善にもつながってきているのは間違いありません。
このホテルは、白馬全体を見回してもなかなかないほどしっかりとリノベーションされ、立地でも青木湖が見渡せるロケーションは、インバウンドのお客様に非常に選ばれやすい施設になっています。最近は、海外からのリピーターも増えています。団体予約も着実に入るようになり、継続によってさらにブランド化できそうな手応えも得られ始めました。SNSの口コミも追い風です。
事業所は小規模ですが、少人数で上手に回してくれています。人件費の高騰もありますし、人材を集めにくい状況の中で、桑本さんを中心に少数精鋭のチームを作ってきた賜物だと思います。
今後もともに成長を目指せるパートナーを探したい
これからの成長が見込まれる中で、なぜM&Aを検討したのでしょうか。
これまで資本業務提携していたファンドの方針として、今が譲渡の時期だと判断したことが大きな要因です。投資を回収する期限をいつに設定するのかは、ファンドの方針によるので私たちにとっては仕方のないことでした。
ただ単に譲渡するのではなく、本当に一緒に成長できるパートナーを見つけたいという話はしていました。私たちが築いてきたビジネスモデルや、白馬での取り組みを理解してくれて、さらに発展させてくれる相手を求めていました。
私たちは白馬の可能性を信じていましたし、これからもっと大きく成長できると確信していました。だからこそ、同じビジョンを持つパートナーを必要としていたのです。
M&Aキャピタルパートナーズとの出会いもファンドからの紹介がきっかけだったそうですね。

私が最初にお話を伺ったのは、2023年10月でした。ファンドの方のご紹介で、Planetと、白馬さのさかスキー場の概要を教えていただきました。
遠星様は弁護士のご出身で連続起業家とお聞きしていたので身構えていたのですが、ラフな普段着で登場されたため、ギャップに驚いたことをよく覚えています。しかし、お話をお聞きする過程で、インバウンドの需要の強さ、世界から見た日本の魅力について、私が理解の及んでいなかった視点を教えていただきました。どこにビジネスのチャンスがあるかを的確に捉える卓越した眼をお持ちだということがすぐ分かりました。
千田さんの第一印象は、責任感の強い方だという一言に尽きます。弁護士として様々な経営者を見てきたので、信頼できるかどうかを見抜く自信はありました。何か達成したい目的に向かって、あらゆる手段を講じて必ずたどり着ける人を私は最も評価し、そして好みます。千田さんはまさにこのタイプの人であり、彼の協力を得られれば、成功の可能性が一番高いと思いました。
譲受先を探すプロセスでは、どのような課題がありましたか。
まずPlanetのビジネスモデルが非常にユニークで、一般的な企業からの理解が得にくかった点があります。通常、日本の不動産開発では、ディベロッパーが資金を用意し、建設後に販売するのがビジネスの流れとしては一般的です。これに対してPlanetでは先にお客様からお金をいただき、それを開発に回すという販売から建設という順番のモデルです。理にかなっているモデルですが、商習慣としてはなかなか受け入れがたい、理解できないという同業者も多くいました。
私たちは開発のプロセスでは、銀行からの融資は必要としません。すべて自己資金と顧客からの前受金で開発しています。あらゆる角度からメリットが大きいのに、なぜ理解されないのかが、理解できませんでした。
また開発した不動産を原則としてすべて海外へ販売するモデルに対して、拒否反応を示す方もいました。白馬のリゾート開発と聞くと反応がよく、多くの企業が手を挙げるものの、途中で話がストップしてしまうケースが多かったのです。
しかし、ビジネスモデルや将来のポテンシャルに可能性を感じるパートナーは現れるはずだと、さまざまな方面にあたってお相手を探しました。その中で、巡り合ったのが株式会社河野グループだったというわけです。
創業140年超の伝統企業がスノーリゾートの活性化に挑む
河野様のご経歴と、株式会社河野について教えてください。

株式会社河野は香川県高松市に本社を構え、食器やカトラリー、サウナ設備などの販売を手がけています。1881年に創業された河野は140年の歴史を誇り、私で5代目になります。
四国の会社といっても、私は東京で生まれ育ち、父がアルペンスキーの選手だったこともあり、物心ついた時からスキーをしていました。30年以上ウィンタースポーツと付き合ってきたことになります。事業の多角化は祖父の代から始まっていますが、スノーリゾート事業は私の代で初めて挑戦する分野です。
なぜスノーリゾート事業に興味を持ったのでしょう。
私が生まれたのがバブル期で、スキー場が一番元気な時代でした。しかし年々元気がなくなっていく様子も目の当たりにしてきました。近年は再びスノーリゾートが盛り上がってきて、宿泊単価も上がってきています。
ただ本拠のある中国・四国地方の飲食宿泊業界は、コロナ禍で受けたダメージがまだ癒えていません。これだけ増えているインバウンドの恩恵も弱ったままです。一方で、スノーリゾートには大きな可能性があると考えました。私自身、長野に住んでいた経験があり、知り合いも多く、娘たちもアルペンスキーの選手として活動しています。
そのようなご縁もあって全日本スキー連盟(SAJ)の男子スキーチームのオフィシャルサポーターとして支援も行うようになりました。
今回のPlanetはどのような経緯で知り、またその時の印象はいかがでしたか。
以前にM&Aキャピタルパートナーズの三上さん(M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 三上 将史)とゴルフでご一緒した時、私のスノーリゾートへの思いをお話しする機会がありました。それから程なくして、この白馬の件を持ってきてくれたので、まずは「ありがたい」と感じました。
私は以前から白馬にずっと通っていて、移住の計画が持ち上がって、家を探した時期もあるぐらい、この地に特別な思いをもっています。そして実際に詳細を見せていただくと、憧れの強い、ぜひ関わりたいと思っていたエリアだったことに驚きました。青木湖の眺望を売りとしたスキー場には、運命的なものを感じましたが、高額で手が出せないという現実にも目を向けざるを得ませんでした。ただ金額の問題はさておき、一度お会いして詳しくお話を聞いてみたいと思い、面談をお願いしました。
初めてお会いした時の両者の印象を教えてください。

河野さんと初めて会った時、会社紹介のパワーポイントをご自身で作ってこられたのが記憶に残っています。グループを率いる代表が自分でプレゼン資料を作るというのは珍しいことで、この事実から並々ならぬ熱意を感じました。これは良いパートナーになれるのかもしれないとよい印象を持ちました。
そうですね。私たちにとっても初めての試みなので、自分自身の言葉で気持ちを伝えたいという思いはありました。会話する中で、遠星さんもここを世界的なリゾートにしたい、やり方次第でできるという思い、そして日本のスノーリゾートの現状に歯がゆさを感じている点が一致していると分かりました。
そしてお互いに、この青木湖を含む、さのさかのロケーションへの愛が深いことも確認でき、ぜひ一緒にやっていきたいと思いました。また改めて、日本人が見る日本と、外国の方の目線で見える日本の魅力の違いにも気づかされました。私たちが当たり前だと思っている、日常にも海外の方には新鮮な驚きがあります。だからこそ両方の視点を合わせて一つのものを作っていくことに、価値があり、挑戦する意義があるとも思ったのです。
スキーへの関わりや思いを誇らしげに語られる河野様のお姿を拝見しているうちに、Planetと河野の双方にとって理想的なマッチングだと確信できました。たしかに資金的な課題はありましたが、河野は140年以上続く老舗企業で、資産も実績もしっかりある企業でいらっしゃいます。銀行に掛け合っていただくこととなったのです。
アドバイザーの枠組みを越えて資金調達に必要なアクションをサポートしてくれた
成約に至るまでの過程で、障壁となったことがあれば教えてください。
顔合わせ以降、遠星様も、株主であるファンドも、そして河野様も皆さんが非常に前向きな姿勢でした。あとは、譲渡資金の調達の問題だけでしたが、ここは河野様の執念が実ったという印象です。中四国エリアの主要な金融機関は一通り足を運ばれたのではないでしょうか。
銀行だけでも20行ほどは回りました。当社のメインバンクは四国にありますが、物件は白馬ですので、エリアの遠さから難色を示されてしまいました。東京ならともかく白馬はカバーできないなどと納得できない理由で断られた経験もあります。
借入金額も高額になるため、行内の手続きもかなり複雑だったようです。可否を待たされた挙句に結局は断られるなど、徒労に終わることも少なくありませんでした。10、20ヶ所と諦めずに訪問を繰り返していましたが、さすがに難しいかもしれないとなった時も、千田さんが励ましてくれました。

通常のM&Aアドバイザーは資金調達の部分には深く関与しません。しかし、私はかねてから私たちにもできることがあると思っていました。お客様が本当に実現したいと思っていることがあるなら、お金の話であってもできる限りのサポートをするのがアドバイザーの役割だというのが私の信条です。
千田さんのアドバイスも受けて、中国銀行に話を持ち込むと、そこの支店長が大変魅力的な方でした。岡山に本店のある中国銀行も、同じく白馬は遠いと言いながらも、四国の企業がこうやって頑張ろうとしていることを支援したいと、言ってくれました。
ここで千田さんが銀行との間に入り、強調すべきポイントを整理してくれたり、どういう資料を用意すればいいかアドバイスしてくれたり、細かなフォローは大変心強く感じました。
支店長が協力的だったとはいえ、銀行組織の厳しい審査をクリアしなくてはなりませんでした。定量的な根拠はもちろんですが、追加での土地取得の見通しといった、本来は定性的で説明が難しい部分まで、すべて数字に落とし込んでいく必要がありました。その結果、支店長の尽力のおかげで、銀行の融資枠を大幅に引き上げていただくことができました。
千田さんがいたから、この結果が出たといっても過言ではありません。銀行向けだけでなく、デューデリジェンス(企業の監査)に必要な資料の作成資料の受け渡しや資料作りなど、細かな部分まで完璧に遂行してくれました。事務手続きが完璧な水準というのは当たり前のように思われるかもしれませんが、当事者である私たちが全くストレスを感じずに済んだのはまさしくプロの仕事だったと思います。
世界標準のスノーリゾートへと進化する新しい時代が始まる
白馬は世界に誇れるスノーリゾートになれるというお話がありました。具体的にはどのようなことを行いたいですか。
さまざまありますが、ライト層でもスキーやその他のレジャーを楽しめる環境の提供だと思っています。日本はこれまでヘビーユーザーに目線を向けがちでしたが、極端に言えば、スキーの経験が全くない人、興味のない人が来たくなる場所を作っていかなければなりません。
世界的に有名なカナダのウィスラーが私は大好きです。ここでは、ゴンドラを降りてすぐパブがあって、昼間からお酒を楽しみながらスキー場を眺める“チル”な雰囲気があります。こうした世界観は、ここ、さのさかにも作れるはずです。
私も世界中のスキー場、アメリカ、カナダやヨーロッパ各地を見てきました。日本のスキー場のように、スキーを滑って、温泉で汗を流して終わりなんてパターンはありません。
スキーリゾートは、リフト券と昼ごはんを売るだけの場所ではないのです。宿泊や夕食など、全てをこのスキーリゾートの中で完結できるようにしたいと考えています。その方が利益も大きくなりますし、お客様の満足度も高まります。スキーができない人も体験できる、素晴らしいリゾートにしていきたいです。

地元ではかつて小中学校でアルペンスキーに取り組むのが当たり前でしたが、今は十分な練習環境はありません。河野会長は、スキー業界全体を盛り上げたいという意欲を持った方です。ここを中心に、地元の人たちや子どもたちにとっても再びスキーを身近なものにしていきたいと思います。ここでの取り組みが一つのモデルになればと思っています。
そのためにも日本のスノーリゾートが世界から評価される状態にしたいのです。そうすれば、地域経済全体は活性化します。ニセコのように海外資本ばかりが入ってくると、地元の方々はかえって安い賃金で働かざるを得ないような状況になってしまいます。
私たちは日本企業として、地域の事業者や従業員の方々と一緒に成長していきたいと考えています。自社のビジネスネットワークや取引先であるホテルやリゾート関係者、地元のマイクロビジネス事業者を巻き込んで、一つの町としての発展を目指しています。
先ほど成約式を終えたばかりですが、今のお気持ちを聞かせていただけますか。
本当に素晴らしいパートナーと出会えたことを嬉しく思っています。河野会長は非常に熱意があり、経営能力も管理能力も素晴らしい方です。白馬を世界的なリゾートにしたいという同じ夢を共有できています。これから一緒に、この青木湖のロケーションを活かした、世界に誇れるスノーリゾートを作っていきたいと思います。
やはり運命的な出会いだったと感じています。海外の本物のリゾートを知る者同士が白馬で出会い、志を一つに世界を目指すというのは、本当にワクワクするストーリーです。環境を整え、白馬のすばらしさを発信していきたいと思います。
正直、ここまでたどり着くのは簡単ではありませんでしたが、今日この日を迎えることができました。早速、今年度からさまざまな施策を打ち出します。ゲレンデの中腹には高価格帯のレストランを開業させるなど、積極的な投資によりインバウンドのさらなる取り込みを図っていきたいです。
Planetの体制になってからの3シーズン、一定の成果も出てきました。このタイミングはホップ、ステップ、ジャンプで例えると、ステップの段階に入ったと思います。このスキー場とホテルの魅力を誰よりも知る者として、スタッフ一丸となってお客様に最高の体験を届けられるように精進していきたいです。

【成約式の様子】
最後に、M&Aを検討している経営者の方々へメッセージをお願いします。
今回初めてM&Aをしたわけですが、結論から言えば良かったと感じています。ただ、違う価値観を持った人たちとビジネスをすることになるので、難しさもあります。すべての方におすすめするわけではありません。ただし、違う価値観が出会うからこそ、自分が想像していなかった知見が増え、ビジネスをもっと成長させるチャンスや、お客様を喜ばせるチャンスに出会えます。難しさと表裏一体でワクワクに出会えるという意味で、非常に良いものだと思います。
よく会社と会社の相性と言われますが、私は人と人の相性がより重要だと思います。双方のリーダーの夢に共通点はあるか、価値観が合うか。金額やシナジーよりも、まずは人間同士の確認作業が最重要です。運命を同じくした家族が増えるようなものなので、よい家族なら一緒にビジネスをやることに大きな問題はないと思います。
異なる強みを持つ両者のご縁組みができたことを嬉しく思っております。このM&Aによって、白馬の地から日本のスキー業界、地域経済の新たな可能性が広がることでしょう。
多くの経営者の方々が、会社や業界、地域に対してさまざまな課題意識をお持ちだと思います。その課題克服に取り組むための時間を買うのがM&Aです。ショートカットしたい、早く到達したいという意思が強いのであれば、M&Aは最適な実現方法の一つです。まずはどんな可能性があるのかを情報収集するつもりで、お気軽にご相談いただけたらと思います。

文:蒲原 雄介 写真:岡沢 晴也 取材日:2025/10/1
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