それぞれの選択 #149 DXコンサルティング×DX推進・DXコンサルティング

細江 藤田
細江(民) 藤田

成長のための選択。
相互の強みを活かした攻めのM&A戦略

業務プロセスの標準化とローコード開発を強みとして、大企業のDX支援を手がけてきた株式会社イノベーティブ・ソリューションズ。順調に顧客を増やす一方、人材採用の壁に直面し、成長の踊り場を迎えた同社は、株式会社パワーソリューションズとのM&Aを決断する。両社の強みを活かした補完関係が奏功し、大きく売り上げを伸ばすことにつながっている。何が成功の原動力となったのか、株式会社イノベーティブ・ソリューションズ 代表取締役 細江 浩氏と、株式会社パワーソリューションズ 代表取締役会長 藤田 勝彦氏に決断に至るまでの背景と経緯をお聞きした。

  • 譲渡企業

    会社名
    株式会社イノベーティブ・ソリューションズ
    所在地
    東京都品川区
    事業内容
    DXコンサルティング・
    システム開発

    M&Aの検討理由
    更なる成長発展、将来的な事業承継のため
  • 譲受企業

    会社名
    株式会社パワーソリューションズ
    所在地
    東京都千代田区
    事業内容
    コンサルティング、DXソリューション、
    システム設計・開発、基盤構築、
    運用保守までを一気通貫でサポート
    M&Aの検討理由
    事業の強化のため

「やるなら最初に」の精神で切り拓いたキャリア

はじめに、ご自身がどのような経緯でIT業界に進んだのか教えていただけますか。

細江
株式会社イノベーティブ・ソリューションズ 代表取締役 細江 浩様(以下、敬称略)

岐阜県の山奥で生まれ育った私は、大学でそれまで見たこともなかったヨット部の門を叩きました。上級生になると自分のヨットを持てるようになり、樹脂から船が完成するまでのプロセスを見て、ものづくりの世界に魅せられたように感じます。部活の先輩の導きもあり、豊田自動織機でものづくりに関わりたいと思ったものの、製品を作る事業部ではなく、本社の情報システム部門に配属されることとなりました。

昭和50年代の後半といえば、会社全体を見渡しても1台の大型コンピューターがあるかどうか、という時代です。私が入社した頃、各事業部に分散処理用のコンピューター導入が始まりました。生産に関わるシステムを構築するにあたり、誰も正解を知らない、お手本もないという厳しい環境は、私にとってかえってエキサイティングでした。ただ、コンピューターを使ったことのない製造現場の方々に価値を認めてもらい、業務に役立ててもらうのは簡単ではありません。

思い出深いのは、日米貿易摩擦の真っ只中にある米国中西部のインディアナ州に繰り返し長期出張したことです。日本車が叩き壊される映像を思い出す方も多いでしょう。あのような殺伐とした、誰も行きたがらない環境で工場の立ち上げに関わりました。建設中の工場から分電盤が盗まれたり、駐車場のチェーンがなくなったりと、想像を超える環境でした。警備員に巡回を頼むと「危険すぎて無理だ」と断られるほどです。過酷でしたが、会社のサポートや福利厚生は手厚かったです。この経験を通じて「最初に挑戦する人への支援は惜しまれず、ただし2回目以降は当たり前として扱われる」ことを学びました。やるなら最初にやらなければ損という教訓は、その後の人生にも活きています。それに失敗して当たり前の状況なら、人は大胆になれるものです。

その後、独立するまでの経緯をお聞かせください。

細江

バブル最終期の1991年、情報システム部門は一度、豊田自動織機の子会社として独立を果たしました。しかし外部に踏み出した直後にバブルが崩壊。結果として、業務内容は従来と変わらず、親会社の製造・物流現場向けに限定されたものとなっていました。ただ、顧客である事業部の各部門が行うはずの提案書や企画書を自らが作成し、本体の役員と折衝した経験や、やがて少しずつ自前で顧客を開拓していったプロセスは、その後の役に立ちました。

豊田自動織機を退職したのは2002年頃、IT部門からの卒業を人事から勧められたことがきっかけです。ものづくり企業において、ITは必ずしも本流とは言えなかったのです。そこで、アメリカのある物流ITベンチャーへと転職したのですが、今度はITバブルが弾け、すぐに退職を余儀なくされます。その直後に移った日本のベンチャー企業も、上場ゴールの後始末をしながら既存事業を立て直すと同時に新規事業を起こす挑戦をしましたが、なかなかうまくいきませんでした。

その後、トヨタ流の経験を掲げてカイゼンのコンサルティングにも携わるなど、個人で依頼された仕事を行っていましたが、あるきっかけで中国でのシステム開発を頼まれることとなります。システム設計だけ担当するつもりが、製造まで一貫して頼みたいと言われ、私もオフショア開発会社の副社長として関わることになりました。この仕事はうまくいきましたが、日本で並行していた別の仕事が上手くいかず会社が傾いたため、私が社長として立て直すこととなったのです。

オフショア開発を続けるうち、やがてNTTデータからM&Aの提案を受けました。大きな株式を保有していたわけではない私が、中立に近い立場で売買の調整役を引き受けることとなり、今でいえばM&A仲介会社の役回りだったかもしれません。M&A後のロックアップ(譲渡側の経営者などが一定期間はそのまま残る義務を定めた契約条項)もあり、しばらくは会社にとどまりましたが、今度こそは自分たちにしかできない仕事を形にしたいと思い、共同創業という形で、イノベーティブ・ソリューションズを立ち上げることとしたのです。

創業後、会社は順調に成長したのでしょうか。

細江
細江

実は創業から2年ほどは、3人の個人事業が集まっただけのような状態でした。すでにそれぞれに顧客がついており、複数の仕事を浅く広く掛け持ちしていたためです。これでは当然シナジーも生まれませんし、会社が拡大する機運さえ高まりません。このままでは起業した意味がないと考え、先に人材採用へと踏み切り、新たに仕事を獲得せざるを得ない状況へと自らを追い込んでいきました。

当社の強みは、GeneXusというローコードツールを使うことで、Javaをはじめとする地道なプログラミング開発作業に比べて、格段に短期間かつ高品質なシステム構築ができる環境を提供できることです。さらに、業務プロセスの標準化というコンサルティングの部分も重視しているのが、私たちの特徴です。

業務フローを可視化し、シミュレーションを行うことで、改善効果を数字で示すことができます。その結果、業務フロー改善によってどれほどのコスト削減が見込まれるかも、その場で瞬時にわかります。顧客の経営幹部役員に対して説明すると「条件をこのように変えてシミュレーションしてほしい」といった具体的な要望が出てくるのです。そうしたリクエストにもリアルタイムで応えるうちに、我々が業務フローを深く理解していることが伝わり、ビジネスの規模では釣り合わないほど大企業からも、次々と発注されるようになりました。

こうした強みを獲得できたのは、オンリーワン戦略、すなわち海外で流行り始めている先進的なソリューションを、日本で最初に導入するという戦略があってこそです。一般的なシステム会社がリスクを恐れるところを、私たちはあえて積極的にチャレンジしてきました。お客様のニーズがあるかわからない段階での投資には多少の不安もありますが「やるなら最初」という信念は、貿易摩擦時に生き残りをかけたアメリカ工場の建設プロジェクトから培われたものです。

ただ、少しずつビジネスは伸びていたものの、常に人材確保が課題となっていました。大企業のお客様が順調に増えるとは言っても、大企業の基幹システム案件では、決済に1年、2年がかりの歳月がかかることは普通です。待たされている間に新たなお客様を開拓しようと仕事の重心をずらした頃になると、ストップしていたプロジェクトが動き出して、業務が集中してしまう事態も頻発していました。

成長の踊り場を独力で越えるのは困難だと気づいた

人材不足を補うねらいがあって、M&Aの検討を始めたのでしょうか。

細江
細江

今お話ししたような、自分たちで仕事量をコントロールできないループを3年ほど繰り返すうちに、独力では抜け出せないと感じるようになりました。それまでも採用した人材が定着しないことに悩んでいましたが、コロナ禍によって応募すらなくなってしまったのです。その間にもお客様は増えていくので、いよいよ限界が近づいていました。

ところが、当初相談していたM&A仲介会社とのやりとりは、あまりうまくいかなかったのです。私たちは、最初から100%株式を譲渡することには抵抗があり、柔軟なスキームを希望していました。しかし、その仲介会社から紹介を受けて話を進めていた企業にはそのような希望は伝わっていなかったようで、話がかみ合いません。そもそも、私たちの考えを理解し、サポートしようとしてくれているのか、疑問に思うようになりました。

M&Aキャピタルパートナーズとの出会いについて教えてください。

細江

話が折り合わないまま1年ほど時が流れた頃、M&Aキャピタルパートナーズから電話を受け取りました。すでに別の仲介会社とやりとりをしていたため、最初はセカンドオピニオンのつもりでした。比較のために話を聞いてみよう、という程度の考えです。しかし、栁田さんとの対話を重ねるうちに、私たちの希望と真っ向から向き合ってくれているのは彼らなのだと感じるようになりました。一生懸命に提案してくれる姿に、心が動かされていきました。

栁田
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 栁田 勝貴(以下、栁田)

最初にお時間をいただいて、お話を伺ったとき、細江様がどのような目的でM&Aを検討されているのか、またどのようなお相手を望んでいらっしゃるのかを丁寧にお聞きしました。そのヒアリングを通して、人材面のリソース確保や業務の標準化、そして従業員の皆様にとって発展的なイメージが持てるかどうかを大切にされていることがわかりました。

また、柔軟なM&Aスキームにこだわりたいというご希望も明確にお聞きできたので、ご要望をお相手に正確に伝えたうえ、最適な提案を検討してくれる柔軟なお相手に絞ってご紹介する方針をお示しさせていただきました。

細江

最初は驚きました。私たちとしては譲れない線がありましたが、そうした条件を満たす会社は存在しない、といった反応や、会社としてのバリューが下がると言われたこともあります。一方で、栁田さんは「そんなことはありません。ご意向に沿うような条件を提示してくれるお相手を一緒に探してみましょう」と言ってくれたのです。

ひょっとすると、仲介会社の目的が仲介手数料を得ることだとするなら、とにかく手近な相手・スキームで話をまとめてしまいたいという考えがあるのかもしれません。ただ、M&Aキャピタルパートナーズから、そういう姿勢を感じたことはありません。

安田
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長 安田 直人(以下、安田)

私たちは、お客様のご希望を丁寧にお聞きしたうえで、その条件に合う候補先をご紹介するという方針でご支援を行っております。特に今回は、すでに別の仲介会社を通じてさまざまな企業との面談に臨まれていた状況を踏まえ、闇雲に多くの選択肢を示しても細江様のためにならないと考えておりました。細江様のご負担にも配慮し、本当に関心を持っていただけて、なおかつご希望に応えられる柔軟な候補先に絞ってご提案しました。

栁田

細江様との面談を重ねお話をお聞きするほど、単に人材リソースを補充できる会社ではなく、グループイン後も独立した役割を持たせてもらえ、一緒になって成長していける会社が最適だろうと考えました。従業員の皆様のモチベーションにつながる発展的な取り組みになるかという点を重視しました。

安田
細江

さまざまな面談を通じて感じたことは、こちらの希望に対応するとは言いながらも、どこか上から目線のように感じられるケースが少なくなかったことです。やはり、私たちの希望する条件を煩わしいと感じるのが本音だったのでしょう。それでは、一緒になったとしてもうまくいくイメージは持てません。こちらの既存の取引先をカットして、当社の人材を自社の仕事に当てがおうとしている会社もありました。そうした点で、パワーソリューションズは、初めにお会いした時から感触が異なっていたように思います。

本気でシナジーを感じたから柔軟なスキームへの対応を決めた

譲受企業である株式会社パワーソリューションズの会社概要をご紹介いただけますか。

藤田
株式会社パワーソリューションズ 代表取締役会長 藤田 勝彦様(以下、敬称略)

当社は、企業のDX推進やDXコンサルティングを主力事業とし、売上の6割以上を占めています。主に金融機関に向けた業務コンサルティング、システムの受託開発および運用保守といったシステムインテグレーションを中心に、アウトソーシングやRPA関連サービスも提供しています。私自身は、野村総合研究所で資産運用のソリューション事業などを経て、2020年からパワーソリューションズの代表取締役会長に就きました。新規事業による事業拡大を統括し、M&Aにも積極的に取り組んできました。

当社のミッションは「あらゆるラストワンマイルにITで立ち向かう」です。企業において、せっかく立派な基幹システムを導入したにもかかわらず、肝心の現場では使いにくいという声が上がることは珍しくありません。使われないまま埋もれてしまうシステムも多くあります。原因は、企画設計側とユーザー側にギャップが生じているためで、私たちはそんなギャップを埋める存在でありたいと考えてきました。

一方で、これまで手がけてきたのは、比較的小規模な周辺システムが中心です。大型案件を受注する経験は乏しく、経営層に直接提案する営業力や、体系だった業務コンサルティング能力には課題がありました。イノベーティブ・ソリューションズに関心を持ったのは、そのような課題を解決できる会社では、と感じたからです。

イノベーティブ・ソリューションズに関心を持ったのは、そのような課題が影響しているのでしょうか。

藤田

まさに細江さんは、億単位の大型案件をトップ営業で受注する経験が豊富です。しかも、IT部門だけでなく経営企画やCFOに直接提案し、説得する力をお持ちです。さらに業務コンサルティングの能力があり、お客様の業務を深く理解した上で経営層に提案できるのは、我々にない強みそのものでした。

栁田

藤田様をはじめとするパワーソリューションズの経営陣は、単にリソースを補充するためではなく、「グループに入った会社と一緒に成長していく」というM&Aの基本戦略を大切にされています。過去に弊社でご縁組をさせていただいた投資先オーナーからも良い評判をお聞きしておりましたので、もし本件が成立した場合には良い取り組みになるのではないかと期待をしておりました。

細江 藤田
藤田

イノベーティブ・ソリューションズの企業概要書を拝見しただけで、これまでの取り組みレベルが高いことは十分に伝わってきました。業務コンサルティングを人力だけでなく、システムで実現している点も注目に値します。iGrafx(アイグラフィックス)という業務コンサルティング支援システムを使い、業務を可視化・標準化するアプローチは、とても画期的で、お客様の信頼を勝ち得ることができると思いました。

また、一般的なシステム会社なら、お客様の要望に合わせてどんなソフトウェア言語や開発案件にも対応するという戦略を採用しがちです。しかし、イノベーティブ・ソリューションズは、ローコード一本に絞って、そこで勝負している点にもプライドを感じました。

両者が初めてお会いになったときの印象をお聞かせください。

細江

最初にお会いしたときの藤田さんは、話しやすい方だと感じました。譲受企業という立場に立つのではなく、対等な目線で話を聞いてくれたことを覚えています。私たちの事業内容や強み、課題についても深く理解しようとしてくださっている姿勢が伝わってきましたし、単に人材が欲しい、売上を増やしたいという話ではなく、「一緒に何ができるか」を真剣に考えてくれていることが感じられました。それに、年齢が同じという偶然にも、不思議なご縁を感じましたね。

藤田

細江さんは、事前の印象通り、頭の良い方だと思いました。事業コンセプトが明確で、高単価で勝負されている企業だからこそ、自分たちが提供している価値を深く理解し、自信を持っていることも感じられました。

しかも、普通の会社なら取り組まないこと(例えば、GeneXusを含め日本初のグローバル業務パッケージの導入など)にも大胆に挑戦してきた理由をお聞きしたところ、「前例がないことはリスクもあるが、誰よりも先に取り組むメリットも大きい」とおっしゃっており、これは素晴らしい経営者だと感じました。

細江

リスクを過大評価すると、チャンスを逃してしまうというのが創業以来の精神ですね。もちろん、リスクを下げるための取り組みは大事です。ただ、二番煎じでは面白みも、うまみもありません。

栁田

今回は、両者の認識に齟齬がないよう一度だけでなく複数回ご面談の場を設定させていただきましたが、両者の話が弾んだことは有意義だったと思います。事前に藤田様は「きっと人気が高く、高嶺の花のような存在なので、私たちに振り向いてもらえないのでは」ともおっしゃっていました。それほど、ビジネスモデルや経営陣の手腕に対する高い評価の表れだったように思います。

両社とも、規模や業種は違えどさまざまな企業をITで支援してきたという共通点があり、そこで培われた価値観が一致していたのだと思います。事業内容の親和性に加えて、経営者同士の考え方が合致していることが、その場の空気から伝わってきました。

安田

こうした柔軟なスキームへの対応が可能な譲受企業は、決して多くありません。ただ、パワーソリューションズが最初からそういった姿勢を示してくれたことは、細江様にとって大きな安心材料になったのではないかと思います。

細江

もちろんです。それだけでも、パワーソリューションズが本気で一緒にやろうとしてくれていることを感じました。私にも、売り逃げのような考えはありませんし、だからこそ本気で経営に取り組めると考えました。

藤田
藤田

細江さん自身が、これからも経営を続けていく意欲をお持ちで、本気で会社を成長させたいと考えている。当社としては、残られるオーナーにとってもインセンティブとなるような制度設計に向けて柔軟に対応させていただきました。

成長を望んだからこそのM&A 譲渡だけがゴールではない

M&Aキャピタルパートナーズのサポートについて、改めて評価をお聞かせください。

栁田 細江 藤田
細江

繰り返しになりますが、私たちの希望を真っ向から受け止めてくれたことに感謝しています。そして、夜遅い時間に相談のメールを送っても、すぐに返信を送ってくれる安心感も大きかったです。スピード感があって助かりました。

藤田

M&Aの仲介では、双方の意見を伝言ゲームのように伝えるだけの会社もあります。そうなると相手の本当の考えが見えなくなり、疑心暗鬼になりがちです。しかし、M&Aキャピタルパートナーズは、相手方の希望や考えの背景まで率直に話してくれました。時には「相手方の意見が妥当だと思います」とはっきり言ってくれることもありました。公平さを失わずに意見してくれる人の存在は貴重です。

栁田

いずれの立場にも偏らずに公平であることは、私たちの大切な価値観です。そうした点を評価いただけることは、非常に嬉しく、ありがたく思っております。これも、両者が誠実かつ真剣に今回の件に向き合ってくださった賜物だと思っています。

M&Aの成約から1年半あまりが経過しています。どのような変化がありましたか。

細江

期待以上の成果と言っていいと思います。売上が1.3倍に成長したのは、ひとえにパワーソリューションズから15人もの開発人材が加わってくれたおかげです。これまでリソースの問題から引き受けられなかった仕事も、憂いなく受注できるようになりました。開発部門だけで比較すると、人員はほぼ倍になっています。私たちは従来、開発担当者が15人ほどでしたから、そこに同じくらいの人数が加わったインパクトは大きいです。

藤田

成約から2か月後、イノベーティブ・ソリューションズが10周年を迎えた時の記念イベントで、細江さんが「我々の力だけでは、どうしても人的なリソースの拡大ができず、ビジネスの限界があったが、これからは違う」と話されたのを聞いて、当社はこの期待に対して、絶対に結果で報いなければならないと覚悟を決めました。

細江

本当にありがたかったです。あのスピーチは、社員に向けたこれまでのエクスキューズであると同時に、期待を込めたメッセージでもありました。これまで人手が足りなくて彼らにも苦労をかけてきましたが、これからは変わるのだと伝えたかったのです。そして、その約束通りの支援を藤田さんが実現してくださいましたね。

人材の融合も順調だったと思います。当社が特化しているローコード開発については、パワーソリューションズ出身者には経験がありません。一方で、金融業界の業務知識やプロジェクトマネジメントの経験は豊富です。そのため、技術的な部分は私たちが教えつつ、マネジメントや顧客対応はパワーソリューションズのチームが担当するという、補完関係ができあがりました。

藤田

当社メンバーは、システム開発の経験を持ちつつ、マネジメントが得意な人材が多いので、この良さを細江さんたちがうまく使ってくれました。そのおかげで、当社単独では受注できなかった10億円超の大きなプロジェクトに、イノベーティブ・ソリューションズが営業を主導するもとで、一緒に取り組んでいます。このように、当社メンバーにとっても、ローコード開発という新たなスキルを身につけるきっかけとなり、新たなチャレンジに取り組むムードが醸成されました。

当社の、イノベーティブ・ソリューションズの仕事に携わった人達は、以前にも増してイキイキと働いています。新しい技術や挑戦に触れることでモチベーションが引き出されるというのは、お金には換算できないほどの価値があります。

細江

そういう話を聞くと、本当にこのM&Aをやってよかったと思います。当社の社員も、1名たりともネガティブな反応を示していないんです。M&A発表直後は不安を感じた社員もいたかもしれませんが、実際に一緒に仕事を始めてみると、前向きな提案が次々と出てくるようになっています。これも、経営者としては嬉しいことです。

栁田

成果をお聞きして、本当に嬉しく思います。M&Aはゴールではなくスタートですので、その後の統合がうまくいっているかが大切です。両社が互いに学び合い、成長されている姿を見ると、今回ご支援できて本当に良かったと感じます。

最後に、これからM&Aを検討される経営者の皆様へメッセージをお願いします。

細江

私たちのように、短期的な利益を得るためではなく、成長のためにM&Aを選択する会社もあるということを知っていただきたいです。たしかに、高齢化や後継者不在を理由に売却を決断する経営者の割合は高いのかもしれません。そのため、仲介会社やお相手企業も、その前提の立場でいることが多いように思います。でも、それだけではありません。若い経営者にも、自力では越えられない壁があって、パートナーを探している人はいるのです。

だからこそ、仲介会社には、譲渡側の真の意図をくみ取り、きちんとお相手に伝えてほしいと思います。一緒に成長したいという気持ちが伝われば、必ず良いご縁を引き寄せられるはずです。

藤田

おっしゃる通りで、成長に悩んでいる会社こそ、M&Aを検討する価値があると思います。自分たちだけでは見えない世界があり、顧客、技術、人材といった要素を自社の枠組みの中だけで考えるには、どうしても限界があります。その枠を広げる手段がM&Aです。

当社がイノベーティブ・ソリューションズから学ぶこともあれば、その逆もあります。お互いに成長の機会を生み出していける関係こそが、M&Aの本当の価値ではないでしょうか。

安田

M&Aを検討される経営者の皆様は、事業承継、成長促進、課題解決など、それぞれ異なる目的や思いをお持ちです。私たちM&Aアドバイザーは、その状況に合わせて最適なご提案をするために、まずは皆様のお考えを丁寧にお聞きすることを大切にしています。

今回のケースでは、細江様のご希望が最初から明確でしたので、そこに応えられるお相手を探すことに注力しました。シナジーを優先し、柔軟なスキームでも対応したいと考えてくださる藤田様と出会えたことで、よい形でのM&Aが実現できたと思います。

栁田

順調に成果が出ているというお話を伺えて、本当に嬉しく思っています。ただ、両者にとってはまだ道半ばだとも思います。これからのますますの成長と発展に向けて、私たちができることを、今後もサポートさせていただけたら幸いです。


 

文:蒲原 雄介 写真:平瀬 拓 取材日:2025/11/28

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 栁田 勝貴

    企業情報部主任栁田 勝貴

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人に入社。大手企業に対する会計監査業務やIPO支援業務に従事し、複数社の上場支援実績を持つ。
    当社に入社後はIT、建設、医療関連の分野を中心に様々な企業の成約実績を有している。

  • 企業情報部 部長 安田 直人

    企業情報部部長安田 直人

    大手総合化学メーカーに入社後、ヘルスケア領域での業務に従事。
    当社に入社後、幅広い業界での成約実績を重ね、上場企業のカーブアウトや組織再編の経験も有する。
    IT業界では社内トップクラスの実績を重ねており、業界内における様々な業態での成約経験を有している。

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