それぞれの選択 #160 建設工事・メンテナンス業 × 耐火物メーカー

中橋 西村
中橋 西村

現場を知る者同士だから高められた信頼。
双方向のシナジーが拓く成長の道

大阪・堺市に本社を構え、1961年の創業以来、火力発電所をはじめとする発電設備の建設工事とメンテナンスを手がけてきた株式会社中橋保温工業所。創業家三代目の中橋正博社長は、エネルギー業界の構造転換と若手人材の確保、そして次代への事業承継という命題に向き合うなかで、創業140年の老舗耐火物メーカー・日本坩堝(ルツボ)株式会社との資本提携を選択した。日本坩堝代表取締役社長の西村有司氏とともに、両社のトップに今回の決断と未来の展望についてお聞きした。

  • 譲渡企業

    会社名
    株式会社中橋保温工業所
    所在地
    大阪府堺市
    事業内容
    事業用発電設備を主にプラント・環境設備等の建設工事・メンテナンス工事を中心に保温工事、保冷工事、耐火工事の施工を行う
    M&Aの検討理由
    後継者不在のため
  • 譲受企業

    会社名
    日本坩堝株式会社
    所在地
    東京都渋谷区
    事業内容
    主に鉄鋼・鋳造業界向けに、工業用耐火物製品や溶解炉などの製造・エンジニアリング・メンテナンスを展開
    M&Aの検討理由
    事業拡大のため

大手企業も高く評価する技術力でエネルギーインフラを支える

貴社の成り立ちを教えていただけますか。

中橋
株式会社中橋保温工業所 代表取締役 中橋 正博様(以下、敬称略)

父が当社を創業したのが1961年で、これは私が生まれる2年前でした。当初は「中橋組」という個人事業として、建設業の現場でスタートし、1970年に法人化を果たしています。物心がついたころから、職住一体の環境のなかで、職人さんたちと中橋一家が一体となって暮らしていました。職人さんに風呂に入れてもらうことも私には日常的なことでした。
業務内容としては、創業から一貫して、発電設備やプラントなどにおける保温、保冷、耐火などの工事施工を行っています。エネルギーインフラを支える事業として、無事故・無災害をモットーに、長く取引先に高い評価をいただいてきました。

幼少期から後継ぎとしての自覚をお持ちだったのでしょうか。

中橋

いいえ、学生時代は別の目標を持っていたため、父の会社に入ろうという意識は全くありませんでした。それでも結果的に当社に入ることになったのは、後に二代目社長を引き継いでくださった故・中前 富雄さんの存在が大きかったです。
もともと同じ業界の大手企業で工事部長を担当していた方で、取引先同士として父との交流がありました。父が熱心にお誘いして当社に加わっていただいたのですが、それまで個人経営の延長だった組織が一気に会社らしく変革されていきました。組織体制やガバナンスなど、それまで未整備だった面が整えられていったのです。後年、こうしてM&Aによって上場企業グループの一員として迎え入れられた素地は、前社長である中前さんが作ってくれたものに他なりません。

中橋様ご自身も、中前様からは大きな影響を受けたのでしょうか。

中橋

私がより直接的に薫陶を受けたのは、父ではなく中前さんでした。短期間とはいえ、別会社でサラリーマンをしていた私には特に目標がありませんでしたが、そんな私を「そういう生き方ではいけない、父上の会社を引き継ぐべきだ」と何度も諭してくれたのが中前さんです。父は自分から強く誘うタイプではなかったので、中前さんが背中を押してくれなければ現在の会社の姿はなかったことでしょう。結果的に数年後、父は病に倒れてしまいましたが、中前さんが二代目社長として経営を引き継いでくれました。
中前さんの教えによって、当社では家族経営の中小企業で起こりがちな公私の境界線が曖昧になるようなことがなくなりました。経営者自身が特にお金の面で公私混同してはならないと繰り返し戒められたためです。当社のように創業者の姓が会社名の一部に入っている企業ではなおさら気をつけなくてはならないと仰っていました。社長もまた、会社から毎月の役員報酬という名の給料を受け取って働かせてもらっていることを忘れてはいけない、と自ら律していた姿は今も忘れられません。

中橋様ご自身が社長になられたのはそれから8年後でしたが、当時の状況はいかがでしたか。

中橋
中橋

2001年には、中前さんも病気で急逝されました。私はまだ38歳、経営のバトンを受け取る心積もりはできていませんでした。そして当時の経営は、最も厳しい状況でした。規制が変わった影響で、当社の売上の柱だった電力会社から依頼される定期点検工事が激減していた時期です。さらに利益率が低いといった事情から、新規の建設工事の受注を意図的に縮小してもいました。
中前さんは私財を投じて財務の改善を図ろうとしていましたが、根本的な解決は難しかったのでしょう。当時の私は工事部長として現場のことに集中していましたが、社長を引き継いだ時には、会計事務所と相談しながら人件費の見直しにも着手するなど、経営の立て直しに迫られていました。
最もインパクトの大きかった改革は、大手プラントメーカーから請け負う建設工事を再度受注することでした。当社の都合で一時期は断っていた建設工事の引合いに参入させて頂くことは簡単なことではありません。建設工事は、メンテナンスと比べると技術面で厳しい水準と安価なコスト競争が求められるためです。「本当にできるのか」と厳しく品定めされる場面もありましたが、なんとか再受注を獲得できました。父や中前さんから受け継いだ技術力には確かな自信がありましたので、評価をいただければ継続的に仕事を任せていただけると信じていたのです。

そこから業績が安定していくきっかけがあったのでしょうか。

中橋

長く続いた業績でしたが、工事の需要は2000年代から少しずつ増え、メンテナンス事業にも復活の兆しが見え始めていました。業界全体で安全への意識が大きく高まったタイミングで、点検工事のスパンが短くなる方に見直されたためです。点検作業は、本来一定の周期で必要不可欠なものですから、安全面への関心が高まれば当社には大きな追い風になります。その流れに当社の技術がうまく噛み合ったことで、なんとか経営的にも持ち直すことができました。

ホームページには大手プラント企業からの建設実績が並んでいます。中橋保温工業所の技術に対する信頼の裏付けと言えますね。

中橋

何十年もの取引がある企業名がいくつも並んでいるのは、本当にありがたいことです。私はずっと、専任の営業を置かず「現場を見ていただくことが営業の代わり」という考え方を貫いてきました。ホームページもほんの3、4年前に開設したばかりです。取引先がほぼ固定化されているので、わざわざ情報を開示することで不要なリスクを負う必要もなかったわけです。これを「現場第一主義」と呼び、当社の根幹に据えています。

人材不足と承継の課題が顕在化しつつある中でパートナー探しを託した

資本提携をお考えになるようになったのは、いつ頃のことでしょうか。

中橋
中橋

60歳を迎えた頃、ちょうど今から3年ほど前のことです。きっかけは大きく分けて3つありました。1つ目は人手不足です。当社の規模では募集をかけても若手がなかなか思うように集まらず、自社の採用力では限界に達していました。2つ目は、エネルギー業界全体の構造転換です。環境アセスメントの改定によって、それまで主力だった石炭ボイラーの新設工事が事実上できなくなる流れが見え始めていました。長く続けてきた建設工事の大きな柱が、変わらざるを得なくなったわけです。そして3つ目が事業承継の問題でした。私には2人の子どもがいますが、いずれも別の職種に就いています。直近5~10年ほどで中堅の従業員に経営を引き継ぐことも考えましたが、まだそこまでの経験やリスクを背負わせるのは難しいと判断しました。
ただし事業を畳むという選択肢はありませんでした。当社にメンテナンス工事をお任せいただいているお客様のためにも、その先でエネルギーを利用されている方々のためにも、発電設備を止めるわけにはいきません。持続可能な形で引き継ぐためには、社内の力だけで難しいとなれば、外部の力を借りるしかないと考えたのです。

M&Aキャピタルパートナーズと出会われた経緯について教えてください。

中橋

取引銀行などにアドバイスをもらう中で、M&A仲介会社の代表格として、M&Aキャピタルパートナーズという会社の名前を聞いていました。そんな情報が頭の片隅に残っていたタイミングで、ちょうど佐野さんからダイレクトメールをいただいた偶然が重なったのです。「これも何かのご縁かもしれない」と感じ、お話を伺ってみることにしました。とはいえ、最初の段階ではすべてをお任せしようと決めていたわけではありません。そもそもM&Aも、さまざまな手段の中にある1つの選択肢という印象でした。
佐野さんと、大木さんとの初回面談は、気づけば2時間半を超えるほどでした。大木さんは若くして、公認会計士の資格を取ったのにも驚きましたし、お二人とも私の子どもとそう変わらない年齢でしたが、お二人とも私の話に対して熱心に耳を傾けてくれたのが印象的です。初対面なのにもかかわらず、これほど自分の考えを話せたのには自分でも驚きました。

佐野
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 佐野 晃大(以下、佐野)

口調が優しく、会社のことを本当にしっかり考えていらっしゃるオーナー様だと感じました。同時に、まだご検討の初期段階で、本当に「少し話を聞いてみよう」という温度感でいらっしゃる印象もありましたので、急かさずに中橋様のペースで検討いただきたいと感じていました。

大木
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 部長 大木 一樹(以下、大木)

私も最初のご面談が2時間半ほどに及んだのは印象深く覚えております。おそらく中橋様にとって、M&Aという切り口でこれだけ深くお話をされた、初めての場であったかと思います。ただ、お話を伺うほどに、ご家族や社内への承継が現実的に難しいご状況であることも明らかになっていきました。そこから、私たちにできるご支援があるのではないかと、少しずつ会話が広がっていった感覚があります。

中橋様としては、お相手にどのような条件を求めていらっしゃいましたか。

中橋

まずは当社の従業員が安心して働き続けられることが重要だと考えました。そして、長くお取引いただいているお客様に安心して受け入れていただける企業であることも、同じくらい大切なことです。プラントメーカーや電力会社など、誰もが名前を知る企業と何十年もの信頼関係の上に成り立っている取引が多くあるので、譲渡は当社だけの問題ではないと考えていました。
もちろん事業シナジーが見込めて、当社の課題である人材確保の面で力になってくれる企業なら、より望ましいことはたしかです。こうした条件を、佐野さんにはじめからお伝えしていました。

佐野

中橋様から伺ったお考えを一つの軸に据えながら、ご紹介の可能性があるお相手を1社ずつ丁寧に検討しました。従業員様やお得意様への安心感と事業シナジーの両方を満たせる企業は、決して多くありません。そのため、多くの候補を机上に並べて選ぶのではなく、絞り込んだ上で丁寧にご紹介するのがよいだろうと、考えていました。

そうして慎重に絞り込んだお相手と、トップ面談へ進んでいかれたわけですね。

中橋

互いにどんな経営者なのかを知るという点で、トップ面談は重要です。実は成約の前に1社「ここなら魅力的ではないか」と思える企業とのご縁がありましたが、具体的な話には進展しませんでした。率直なところ、面談前に比べると気持ちが遠ざかってしまったためです。それから約半年ほどは、特に進展のない空白期間がありました。

中橋  佐野 大木
佐野

中橋保温工業所の業績は安定しており、M&Aを早期に実行しなければならない切迫した状況ではありませんでした。そこで私たち仲介会社が、結論を急かすような関わり方をすべきではないと感じていたのです。あくまで中橋様ご自身の気持ちが大切です。ただし、その一方でオーナー様にご納得いただき、ご満足いただけるパートナーにめぐり会えるかどうかは、私たちアドバイザーの努力にかかっています。だからこそ、お相手探しの部分に汗をかきたいと、それまで以上に候補探しに動いていました。

中橋

進展がない間にも、佐野さんは折に触れて連絡をくれました。短い会話の中でも本当に当社のことを理解し、紹介してくれていることが伝わってきます。だから、もしまた佐野さんが選んだ企業とご縁があるなら間違いないだろうという気持ちは私のなかに残っていました。

そこでめぐり合ったのがお相手となる日本坩堝だったのですね。

中橋

佐野さんから初めて名前を聞いたあとに、公的な域経済団体に相談しました。社外の存在ではありますが、絶対的信頼を置けて、会社や経営状況を見る目も確かな人物です。そのかたに社名を打ち明けると「とてつもない歴史のある会社」だと教えてくれたのです。創業140年の老舗であり、堅実経営を続けている企業だとお聞きし、すでに「ご縁かもしれない」と直感的に感じました。

歴史と現場を大切にする創業140年の老舗との出会い

まず日本坩堝株式会社の会社概要、およびM&A戦略を教えていただけますか。

西村
日本坩堝株式会社 代表取締役社長 西村 有司様(以下、敬称略)

当社は耐火物メーカーとして自動車関連の鋳造分野を主軸にしてきました。しかし、自動車産業のグローバル化が進むなか、海外への対応が構造的に難しいという背景から、ポートフォリオを広げていく方針に舵を切ってきました。この事業領域の拡大は、私が社長に就任する以前から1つの柱として掲げてきたものです。目安として10分の1程度の規模の会社をグループにお迎えしながら、1社ずつ丁寧にPMI(企業同士の統合プロセス。M&Aによる成果を最大化するために行われる)を図ってきました。

PMIにおいて、特に大切にしていらっしゃることはありますか。

西村

特に大切にしているのは、対話です。規模の小さな会社が上場グループに加わることの副作用として、これまで比較的自由だった部分が、急にコンプライアンスやガバナンスのもとに締め付けられるような点があるのは否めません。どのようなケースでも、異なる歴史を持つ会社同士が合流することによる温度差は生じますから、当社が上から押しつけるのではなく、ともに発展するために必要だと理解いただくプロセスを大切にしています。
そして、人と人とのつながりも新たに生まれるのがM&Aの魅力です。大切なのは商材よりも人材であると考え、家族を増やす、家族を迎え入れる気持ちも丁寧にお伝えするようにしています。

中橋保温工業所のお話を最初にお聞きになったとき、どのような印象を持たれましたか。

西村

環境工事事業は今後伸ばしていきたい領域でした。その中核はやはり人材です。新規でなかなか人が入ってこない時代に、現場で技術を磨いた職人さんがいらっしゃるかどうか、まとまった人員をどう確保していくかが何よりの命題でした。中橋保温工業所の場合、技術を持った現場スタッフがいらっしゃることに加えて、当社にとってまだ手が届いていなかったエネルギー・発電分野でお仕事をされている。そこに当社の技術や施工力が融合すれば、互いに伸ばし合える領域があると、すぐに感じました。

実際にトップ面談で中橋様とお会いになって、いかがでしたか。

西村
西村

中橋社長は生真面目で、昔からコツコツと積み上げてこられた方だなと、お会いしてすぐに感じました。私も経営者として大切にしているのは、誠実さ、真面目さ、そして粘り強さです。その点で共通項を感じました。
そして私が感動したのは、中橋社長が私たちのことを詳しく調べてきてくださったことです。ホームページにも載っていないような当社の歴史に関する文献にも目を通され、それを原稿も見ずにご自身の言葉でお話しになる姿に感銘を受けました。それだけ思い入れを持ってくださっていたということが、何より印象に残っております。

西村 中橋
中橋

地域経済団体の知人から、日本坩堝の歴史を教えてもらったことがきっかけです。私自身も、中橋家の家系をたどると10代目にあたります。父からは仕事のこと以上に、家としてどうあるべきか、家訓のようなものを繰り返し伝えられてきました。代々続く家に生まれ育つと、自然と自分のなかに引き継がれるものを感じずにはいられません。創業140年を誇る日本坩堝の歴史に向き合うために、特別な敬意と準備で臨むのが当然だと思ったのです。西村社長に加え、幹部の方々にもお会いしましたが、一人ひとりのお人柄から、会社の社風そのものが滲み出てくるようでした。創業から受け継がれるものづくりに対する純粋な志が、今もそのまま脈々と受け継がれていると感じます。
後日、定期点検工事の最中だった当社の現場に幹部の方をお招きしたときは、あいにくの雨でしたがボイラーの上までご一緒し、さまざまなお話をさせていただきました。現場第一主義を貫いてきた当社にはとても大切な時間で、役員やその場に居合わせた従業員も、そのお話しぶりから「本当に現場のことをよくご存じの方だ」と感じ取ったようです。140年もの歴史を持つ会社で、これほどまでに現場を大切にされる方々と一緒に歩めるのは本当にありがたいと感じた瞬間です。

事業シナジーの具体化についてもすでに形になっているとお聞きしました。

中橋

すでに日本坩堝から当社に対する工事の発注があり、逆に当社が受注した建設工事に必要な耐火工事を日本坩堝に依頼させていただくことになっています。当社の規模の問題から対応が難しかった工事も、今後は引き受けられるようになるでしょう。

西村

すでに工事の仕事が双方向で動き始めていることには、手応えを感じています。当社としてはエネルギー・発電分野に、ようやく本格的に踏み出すことができます。カーボンニュートラル対応もデータセンター関連の需要も、これから業界全体に大きな追い風が吹いてくる場面です。当社の耐火物・耐火工事の技術と、中橋保温工業所の培ってきた施工力を掛け合わせることで、互いの成長の可能性を感じています。

デューデリジェンス(企業監査)については、いかがでしたか。

中橋

書類準備など負担がかかるとは聞いていたものの、私自身は初めてのことばかりで、何を準備すればよいかさえ分かりませんでした。佐野さんからのアドバイスのおかげで、特に不安なく進めることができたと思います。

佐野 大木
佐野

中橋様はご相談初期の段階から、会社のことも財務のことも非常に率直にお話しくださっていました。前社長のご助言を真摯に守って、これ以上ないほどきれいな経営を実践されていたので、いつも通り臨んでいただければ大丈夫ですと自信を持ってお伝えしました。

大木

職業柄、決算書を拝見すると、経営者のお人柄や考え方が浮かび上がってくるように感じられることがあります。そこからも中橋様の堅実で実直な経営方針が伝わってくるようでした。そのような素地があったからこそ、デューデリジェンスでは過去の課題を洗い出すのではなく、業界動向を今後どう捉えていくか、これからの課題解決をどう進めていくかという未来志向の議論が中心となりました。私どもが関与してきたなかでも、やや異色のデューデリジェンスだったと申し上げてよいかと思います。両社の皆様の前向きなご協力姿勢があったからこそ、滞りなく進めることができました。

お話が進むなか、会社が自身の手を離れることへの葛藤や不安はありませんでしたか。

中橋

葛藤はなかったですね。手放すとか、売るといった表現は、今の気持ちには当てはまらないのです。信頼できる相手にお預けするという感覚が近いですね。明るく前向きな変化として受け止めていました。役員や従業員も将来に向けて安心感が強まっていると感じます。

早くも生まれる双方向の“工事シナジー” 引き続きリーダーとして率いる覚悟

中橋様は、社長としてこれからも会社を率いられます。今後の体制やご自身の役割についてはどのようにお考えですか。

西村 中橋 佐野 大木
中橋

社名もそのままで、当社従業員の仕事も基本的には変わりません。ただ、上場企業グループの一員となった以上、これまでとは違うガバナンスや規定の整備に取り組む必要が生じています。日本坩堝から来ていただいた取締役を中心に、これまでなかった仕組みを整えており、従業員とともに新しい体制に順応している途上です。
私自身は、社内が新しい体制になじむまでは責任を持ってお預かりしたいと考えており、数年ほどを目途にやり切れたらと、使命感を持って取り組むつもりです。お許しいただけるあいだは、中橋保温工業所の社長として日本坩堝グループに貢献したいと思います。

西村

これまで当社が行ってきたM&Aは、オーナーが退任されるケースがほとんどでした。相応の対価を受け取り、経営のバトンを完全に引き継ぐことを望む方が多かったのです。一方で中橋さんが社長を続けてくださることは、改めて私たちにとって心強いことだと感じています。後継者がいないからこそ、育ててほしいという責任感で続投してくださるので、その気持ちに応えていきたいと思います。ただ中橋社長にはできる限り、長くお続けいただきたいとも思っています。

M&Aキャピタルパートナーズの仲介に対する評価をお聞かせください。

中橋

佐野さん、大木さんのお二人だったからこそ、私もここまで踏み込めたと感じています。お二人の人間性、そして与えていただいたご縁の両方がなければ、決断には至らなかったでしょう。中橋保温工業所の内部外部を綿密に調査し、私の性格や気持ち最大限くみ取ってくれた仕事ぶりは、見事だったとしか言いようがありません。

西村

常にひと呼吸置いて待っていてくれるところを、私は心地よく感じていました。適切なご提案をしてくださったあと、我々が検討する時間をしっかりと待ってくれる方ばかりではありません。たとえ中身のよい提案でも、押し売りのように感じさせるような営業スタイルだと、私はやや引いてしまうときがあります。本業がある経営者で同じように考えている人は多いのではないでしょうか。少なくとも今回は、本当に当社のことを考えて仲介してくれていることが確信できたのは、お二人のおかげだと思います。

これからM&Aをご検討される方に向けて、メッセージをお願いいたします。

中橋

M&Aに対して怖さや迷いがある方も多いかもしれません。最初は私自身がそうでした。ただ信頼できるアドバイザーとのご縁こそが、決断を支えてくれたと今は断言できます。M&Aは「自分で相手を探す」というより、導いてくれる方とのめぐり合わせによって成立していくものだからです。

西村

M&Aで大切なのは、シナジーと人材の確保です。事業領域の拡大と、通常なら採用できない専門性を持った職人さんたちを迎えられるという2点に大きな意味があります。当社は今後も、ただ規模を追うのではなく、お互いの強みが合致するご縁を模索し、丁寧に育てていきたいと考えています。 M&Aを検討されるオーナーも、相手の企業が何を大切にして人を迎え入れているのか、その姿勢を見極めることが、大事になってくるのではないでしょうか。

佐野

M&Aありきで最初からご相談に来られるオーナー様は、そう多くありません。「M&Aとはどんなものか」という段階で相談していただくのは普通のことです。ただ、潜在的にお悩みを抱えていらっしゃるオーナー様にとっては、 M&Aが有効な選択肢になるケースが少なくないのも事実です。初期段階で私たちが無理におすすめすることはありませんので、まずはお気軽にお声がけいただければと思います。

大木

中橋様と西村様のお話をお聞きしていて、よいご縁の一端を紡がせていただけたと、改めて実感しています。事業承継の課題を解消すると同時に、日本坩堝グループのポートフォリオ拡充にも貢献し、さらなる成長が見込まれることも確信できました。さらに従業員の皆様、ご家族、お取引先まで安心してくださっているとお聞きし、M&A仲介のやりがいを再確認しています。こうした良縁を、一つでも多く紡げる仕事を、これからも誠実に続けていきたいと思います。

弊社 佐野/中橋様/西村様/弊社 大木

(左から)弊社 佐野/中橋様/西村様/弊社 大木

文:蒲原 雄介 写真:平瀬 拓 取材日:2026年4月28日

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 佐野 晃大

    企業情報部主任佐野 晃大

    大学卒業後、野村證券にて、法人・オーナー様のウェルスマネジメントや、M&Aを含む事業承継などの総合金融コンサルティング業務に従事。当社入社後は、工事、IT、小売、製造業
    等の幅広い分野にて全業務を一気通貫で行い、成約実績を重ねている。

  • 企業情報部 部長 大木 一樹

    企業情報部部長大木 一樹

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人、外資系コンサルティング会社に入社。
    大手企業に対する会計監査や経営コンサルティング業務に従事。
    その後、世の中を支える中堅中小企業の発展と継続に、より一層寄与したいという思いから、M&Aキャピタルパートナーズに参画。
    当社入社後、製造業からITベンチャーまで幅広い分野にてM&A支援実績を有する。

お勧めの事例インタビュー


M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。