M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#13

「会社と社員のより良い未来のために、
夫婦で決断したM&A」

譲渡企業
三洋電子株式会社
代表取締役社長
青木 信真早

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譲渡企業
三洋電子株式会社
顧問
青木 啓予
譲渡企業

三洋電子株式会社

代表取締役社長青木 信真早(のぶまさ )
南山大学大学院修了。自動車部品メーカーに入社。本件譲渡後も、引き続き代表取締役社長として、後進の指導育成に携わっている。
譲渡企業

三洋電子株式会社

顧問青木 啓予(ひろよ)
愛知教育大学卒業後、自動車部品メーカーに入社。三洋電子株式会社の創業者である父親からの要請に応じて同社に入社。本件譲渡後は、同社の顧問として、若手社員の成長を見守っている。
業界未経験だったご夫婦が、ふとしたきっかけから受け継ぐことになった鉄の熱処理工場。二人で力をあわせて、あらゆる困難を乗り越えながら、経営を続けてきた会社を次世代へと承継したい。それは20年ほど前から、できる限り早く実行したいと考えていたという。どのような経緯から、そういった考えに至ったのか。青木信真早・啓予ご夫婦に、会社を受け継いだときの苦労話や、会社や社員に対する思いなどを伺った。

夫婦二人三脚で進めてきた会社経営

お父様が創業社長として経営されていた三洋電子という会社を、娘さんである啓予さんが継承しようという考えは、いつ頃から意識されるようになっていたのですか。

インタビューイメージ
啓予

正直言って、当初はまったく、継ぐつもりなどありませんでした。私自身は、大学で美術を専攻し、教師になるつもりだったのですが、体調を崩してしまって断念。教授に紹介された会社に入ってデザインの仕事に従事することになりました。 ところが、当時はまだ、4大卒の女性が社会進出する例も少なく、会社としても、私をどのように扱っていいのかわからず、私もそんな空気に馴染めず、悶々とした日々を過ごしていました。そんなタイミングで、父から「うちの会社で経理を見てくれないか」と言われ、深く考えることなく、会社を辞めることにしました。

三洋電子に入ってからはしばらく、手書きの伝票を書いたり、父の運転手をして過ごしていたのですが、やがて父も高齢となっていたので、承継問題を考えなくてはいけないという話になりました。 弟は大学を卒業して大手商社に入社して働いていましたし、姉は私よりも13歳年上で、すでに結婚していましたし、残る私は腰掛け気分で働いていて継ぐ気もない。だったらM&Aを検討しようという話になって、私も父と一緒になってお相手を探すことにしました。

ところが、なかなか条件にマッチする相手が見つからず、M&Aの話も暗礁に乗り上げていました。さて、どうしようか?となったときに、せっかく父が59歳で立ちあげ、一生懸命に育ててきた会社をなくすわけにはいかない。誰にも頼れないのだったら、私が継ぐしかないと考えるようになっていました。 でも絶対に、私ひとりではどうにもならないと思って、パートナー(信真早)にお願いをしてみようかという話になったのです。

信真早

実は、当時、彼女の父親から直接電話をもらって「娘には内緒の話があるから会いたい」と言われました。すぐに伺うと「5年だけこの会社を運営してくれないか」といわれたのです。5年あれば、今の社員さんのほとんどが、年金をもらえる年齢になるから、そこまでやってもらえればいいというのです。 当時、私は上場企業の人事担当として勤めていましたし、そもそも、まだ結婚すらしていない。彼女の父親とは、まだ緊張して話をするような間柄でしたから、さすがに悩みましたが、結局、引き受けることにしました。

こういっては何ですが、そんな状況でよく引き受けられましたよね。

インタビューイメージ7
信真早

体調がすぐれなかった彼女を助けたいという思いもあったし、元々、困っている人を見ると手を差し伸べたくなるような性格で。また、タイミングよくというか、勤めていた会社でも配置異動があって、抜擢と言われたのかもしれませんが、自分としては不本意な仕事に就かざるを得なくなる状況になっていました。 5年だけといっているし、それで彼女と彼女の父親、そして社員さんの力になれるならと引き受け、そのタイミングで入籍することにしました。

啓予

それで、私たち二人で引き受けた途端、本当に全部任されてしまって…。

信真早

そうそう。ほとんど引き継ぎもなしに(笑)。

啓予

父は父で心配ごとはたくさんあったとは思うのですが、任せた以上、逆に口出しをしたら、私たちがやりづらいだろうという、そんな配慮があったのだとは思います。でも、正直いって、二人とも経営は素人だし、未経験の業界でしたから、とにかく最初は苦労しました。

インタビューイメージ8
信真早

まず、日々の業務を回していかなくてはなりませんから、伝票の流れから仕事を把握するよう努めたり、社員さんに話を聞こうとするのですが、なかなかコミュニケーションがうまくいかない…。

啓予

私たちが気にくわないとか、いじわるとかではなく、良くも悪くも、昔ながらの職人気質の方々で、人間関係の構築が得意ではない方が多かった。

信真早

人は良いのですけれどもね。鉄の世界ってこうなのかと…大きなカルチャーショックを受けながら、それでも前に進むしかありませんでした。とにかく、仕事を取ってきては、社員の補充をして…なんてことを繰り返していると、当然、若い社員を採用しますから、雇用した経営者としての責任が生まれます。ですから、会社を引き受けたら5年で辞められるわけがないのですよ。もう、どっぷり首まで浸かっていましたね。

啓予

景気が悪い時期の経営は、正直、厳しかったですね。そんな時でさえ、社員さんたちの意識は低く、日中は適当に時間をつぶして、夕方からスイッチを入れて、残業代を稼ぐような…。そんな状態であったにもかかわらず、私たちは注意すらできない…。

信真早

当時、熱処理の仕事自体、業界の中で“焼き入れ屋”と呼ばれ、ワンランク、レベルの低い仕事として受け止められていました。彼らの中に“どうせ…”という自虐的な思いがあって、多少卑屈になっている面もあったとは思います。なんとかプライドを持たせることはできないだろうかと考えだしたのが、ISOの取得でした。 当時としては、私たちのような規模の工場がISOを取得するなんて前例はなく、非常に先進的な取り組みでした。周囲から「何を無駄なことをやっているのだ?」と陰口をたたかれたりもしましたが、しばらくするとISOがなければ仕事をもらえないような時代がやってきましたね。同時に社員の意識も変わり始め、自分の仕事にプライドを持ち始める、ひとつに転機になりました。

啓予

社員さんもさることながら、私の気持ちも大きく変わっていきました。ご縁を頂いた盛和塾で多くの経営者の考え方に触れ、“こういうモチベーションで会社を引っ張らなくてはいけない”と、これまでの自分の甘さを実感。“何のために会社をやるのか?”を考え、理念を策定して、社員教育することが重要だとわかったのです。 そんな私の思いを、しっかり受け止めてカタチにしてくれたるのが夫でした。私ができないことは全部引き受けてくれました。会社の土台の部分であったり、業界内での信用を積み上げてくれて、私は逆に、飛び込み隊長みたいなもので、今の自分の会社にこれが必要だと思ったら、すぐに外の世界に飛び出していって、アタックして協力者を集め、私たちの会社の応援団を作ってきました。そして、「難しい話は主人に…」って(笑)。そんなカタチで、夫が私の良いところだけを伸ばしてくれました。

思いと価値観を正しく理解してくれた

素晴らしいコンビネーションですね。そんなお二人が、M&Aを意識し始めたのは、いつぐらいのことだったのでしょうか。

インタビューイメージ
啓予

ものすごく早かったですよ。子どもがいなかったので、もう40代くらいから考えていました。

信真早

仮に子どもがいたとしても、子どもは子どもの人生ですし、親が決めるものではない。誰か、最適な人に継いでもらうのが良いという考えは元々ありました。

啓予

会社を良くしていこうということと後継者問題は、あらゆる経営者について回る課題です。先ほどもお話ししたように、父の代からすでにM&Aの検討をした経験があったので、潜在的な意識の中に、その選択肢は常にあったとは思います。

信真早

もちろん、プロマーケットで上場して資金を入れて、外部からプロの経営者を入れるという手段もあったし、社員の中から育成するという選択肢もありました。

啓予

ですから、拠点を三つに分けておこうと、第一から第三工場まで準備しました。もしも社員が承継するとなったときに、会社を三つに分けて規模を小さくしておけば、それぞれの会社の経営もやりやすいだろうし、グループとしてチカラをあわせながらやっていけるだろうと考えたりしましたね。

信真早

そういった出口戦略を10年以上も前から考えていました。実際に弊社を買いたいという企業さんからの打診もいただいたり、仲介してくださる会社も現れては消えを繰り返していましたね。そのようなタイミングでM&Aキャピタルパートナーズの担当とお会いすることになったのです。

M&Aキャピタルパートナーズの印象はいかがでしたか。

インタビューイメージ
啓予

最初に対応したのは夫でした。印象はとても良かったと聞いています。二回目の面談の時には、私も同席させていただいたのですが、しっかりお話を聞いてくださって、私たちが大切にしている社員や社風について、いち早く理解を示してくださり、そこを私たちと同じように大切にしてくださったことが嬉しかったです。2社が1社になる訳ですから、当然ながら残る企業(買い手側)の立ち位置で考える仲介会社が多いです。

信真早

他の仲介会社は、数字と技術評価という表面的な条件だけでマッチングしようとしていました。そうなると、結局、デューデリジェンスの段階で、“なんか最初と話が違う”というケースになりがちでした。結局弊社の社員やお客様のことを全く理解していなかったんですね。

啓予

M&Aキャピタルパートナーズの担当は、立ち位置が最初からこちら側にありました。私たちの思いと価値観を正しく理解して、それを大切にしてくれて、私たちと一緒に、この会社と社員にとって良いお相手を探しましょうと、言ってくださいました。

信真早

これまでM&Aの検討を始める際、他の仲介会社はまず着手金をお支払いし、専任契約を取り交わすのですが、M&Aキャピタルパートナーズは、着手金なしのノーリスク状態でスタートできるという点に驚きました。もっと驚いたのは担当者の誠意。東京から地方まで足しげく通ってくれ、一緒になってお相手探しをしてくれました。検討中は本当に費用がかからなかったので、「いつも来てもらって悪いからせめて交通費だけでも請求して」と言ったこともあるくらいです(笑)

啓予

M&Aキャピタルパートナーズは、どんな時でも“三洋電子のために”というスタンスで動いてくれました。お相手の候補の会社が出てきた後も、仲介者という立場で冷静に状況を見極めつつ、お相手の会社に対して、常に私たちの側にたって上手に交渉してくださって、最後の最後まで、私たちのために動いてくれましたし、「社長と会長がいいと思うようにしてください」と私たちの意見や決断を尊重してくれました。

若い世代へとバトンタッチしたい

今回、買い手となりました旭千代田工業株式会社様の印象は?

インタビューイメージ
啓予

本当に良い会社を紹介してくださったと思っています。先方の社長さんも私たちの技術の価値を正しく理解して、リスペクトして迎えてくださいました。家族のように社員さんを大切にする社風にも理解を示してくださって、逆に「社員教育はどのようにやっているのか?」と興味を持ってくださったのはうれしかったですね。 社長さんに対しては、とても生真面目で実直な方という印象を持ちました。そういう意味では信用ができる方だと確信し、安心して社員を託すことができると感じました。

従業員の方々の反応はいかがでしたか?

インタビューイメージ
信真早

調印日の夕方に、全社員を集めて、M&Aを成立させたと説明をしました。ピンと来る人も、“M&Aって何?”“僕らは、この先、一体どうなるの?”という顔をしている社員もいましたが、大きな混乱もなく、皆が前向きに受け止めてくれました。

啓予

若い社員さんにとっては、大きく可能性が広がったと思っています。海外進出も、単なる夢ではなく、今や実現できるかもしれない目標へと姿を変えています。そういうカタチでお渡しできたのは非常にうれしい。みんなには言っているのですよ、先があるぞ!って。ただし自分たち次第だって。

信真早

どんどん若い世代にバトンをタッチすべきだと思っています。私たちはもう、40代から、そうあるべきと思ってやってきました。もう60歳になってしまいましたが、このままあと10年とか経って、70歳にでもなったら、もう会社にとっては老害になりかねません。

啓予

若い人たちが中心となる時代が確実にやってきています。ですから、中小企業の経営者の方々も、若い子を信じてあげて、はやく一線から身を引いた方がいい。私たちは、若い人に対して、大切な考え方の軸だけを伝えて、後押しだけをしてあげれば良いと思います。

信真早

経営哲学とか、普遍的なものはあります。例えば、利他主義のような考え方を備えた経営戦略を彼らが理解してくれたら、恐らく日本の経済はもっと発展していくと思います。もう60代や70代になると、新しい考え方によって頭の中を書き直すことは困難です。世代交代を進めることは、世の中のためになるのは間違いなく、その一つの手段としてM&Aは有効だと思っています。

インタビューイメージ

(文=伊藤秋廣 写真=伊藤元章)2018/06/22

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