M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#32

短期的な相続問題と中長期的な後継者不在を同時に解決
事業の成長発展をかなえるM&A

アイディホールディングス株式会社
(現・アプロホールディングス株式会社)
会長
池田 孝一

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アイディ株式会社
代表取締役 社長
池田 昌宏

主に品川区・大田区に根付き、マンション・アパートの土地仕入から設計・施工、販売および、その請負まで一貫して行うアイディ株式会社。昭和44年の創業から、親子二代にわたり、着実に成長を果たしてきた会社を、池田孝一、昌宏両氏がなぜM&Aによる譲渡を考えるようになったのか。決断に至るまでの経緯についてうかがった。

町工場から総合不動産業への転換。常に時代を先取りした一手を打ってきた

まずは池田孝一会長がアイディ株式会社を創業した経緯からお話しいただけますでしょうか。
池田孝一会長
池田孝一会長(以下、会長)

大手電子部品メーカーに新卒入社し、コネクターの設計業務に従事していたのですが、4年ほど勤めたのち結婚を機に退職。妻と一緒に自営で仕事を始めることにしました。当初、私は牛乳や新聞の配達をしましたし、妻の血縁であるプレス工場から内職仕事をもらっていました。やがて、従業員数人を雇い入れ、内職された物品の検査をする仕事をはじめます。さらに元請けから「内職は安いから、機械で加工する仕事を紹介する」と言われ、NC自動旋盤による金属加工にチャレンジするようになりました。20代後半の頃でしたね。その頃にアイディ株式会社の前身となる池田工業所の原型ができあがりました。

内職をしながら、投入した機械を使ってモノづくりに従事。仕事が増えていくにつれ工場も増やしていきました。当時の大田区内には私たちのような規模の町工場が15,000軒ほどありましたが、その中で優良工場に選ばれたこともありました。その時から価格競争に打ち勝つためにパートの女性を活用。「女性が活躍できる会社にしよう」というキャッチフレーズを掲げたことが話題になったのでしょう。私はその頃から、女性の方が仕事をきっちりしていると感じていました。

現在、メインとされている不動産事業に転換されたきっかけを教えてください。
会長

個人事業主として製造業に従事して10年ほどが経過したタイミングで会社を設立しました。その後も事業は順調に伸びていたため、工場を増やすと同時に従業員も増やしていきました。そこで彼らのために社員寮を作ろうと考えました工場の敷地内にアパートを作り、余った部屋を一般向けに賃貸することにしました。その背景としては、当時から私は“潰れない会社”を目指していて、製造業だけでなく、家賃収入で従業員の給料を賄えるような状態を作ろうと考えていたのです。

 

多角的に展開できなかった結果、立ちいかなくなってしまった町工場もあるなか、会長は“潰れない会社”にするために、先を見越しながらチャレンジをしたということですね。
会長

“潰れない会社”にするのは非常に難しいことです。工場を借りているので、決算を見ると利益よりも家賃が大きいことも多く、“家賃を支払うために働いている”ことに違和感を覚えていました。そこで、家賃を支払わない会社を作ろうと思ったのですね。

幸運だったことに、大田区や品川区などの城南地区は“モノづくり”に関するブランド力があり、製造業に従事する人が多く集まっていました。その地域的な好条件を活かさない手はないと思い、アパートを建てたら、予想通りの手ごたえがあったということです。家賃の5割を銀行への返済に充て、残りの5割を手元に残すという思想で、不動産事業の運営を続けてきました。

 

不動産事業に一本化した理由はどのようなものだったのでしょう。
池田孝一会長
会長

私は製造業に思い入れがあったので、やめたくはありませんでした。しかしご存じの通り、中国の台頭により価格競争の波に飲み込まれ、事業継続が難しくなってしまいました。製造業のボリュームが小さくなると同時に、不動産事業のボリュームが大きくなっていったので、製造業の部分は同業者に社員ごと引き継いでもらいました。

どのようなタイミングで、ご子息の池田昌宏様が社長職を引き継がれたのでしょうか。
池田昌宏社長
池田昌宏社長(以下、社長)

私自身も“モノづくり”が好きだったので、子どもの頃から父の製造業を手伝っていました。私が大学生の頃にはすでに賃貸事業を手掛けていたので将来を見据え、大学卒業後は大東建託に就職。アパート経営の勉強をしようという意図がありました。2年ほど経った頃に父から誘われてアイディに入社したのですが、当時はまだ製造業をメインとし、副次的に賃貸経営だけ手掛けていた状況。そこで私も現場で油にまみれながらモノづくりに従事しつつ、不動産部門も見ているという働きかたをしていました。

“モノづくり”は好きだと話をしましたが、実際に仕事として従事していると、それほど単純な話ではありません。製造業としては下請けなので、比較的安価な加工費で、厳しい納期を守らなければならず、しかも自分の作りたいものを作れるわけではないので、あまり面白くはありません。周りにも製造業の後継者は少なく、徐々に衰退していくイメージしか描くことができませんでした。ところが不動産事業は、オリジナルのアパートやマンションを作っていくなど、明るい夢をイメージできたので、こちらを中心に据えていくべきでは、という気持ちになっていきました。平成15年の決算期から明確に製造業から不動産業にシフトしました。

賃貸から不動産開発へと事業の幅を広げていったのは社長の方針だったのでしょうか。
社長

私が入社した当時は、家賃という安定した収入を得つつ、製造業に従事するという方針で経営を進めていました。しかし先ほど父が申したように製造業そのものが苦しくなる、その前に不動産業にシフト。賃貸経営だけでなく、徐々にその賃貸物件を“売っても良いのでは”と考えるようになり、次第に開発へと発想が膨らんでいきました。

気を付けていたのは、土地の値上がりを期待した投資ではなく、賃貸収益を得ながら長い目で見た事業経営をすることです。その根底には父が常日頃から口にしていた「潰れない会社にする」という言葉があったのは確かです。父は決算書の自己資本比率、すなわち借入と資産のバランスを注意しながら見ていました。またキャッシュフローや手残りの額を重要視していたので、私も同じように気にしてきました。実は製造業時代にも部品ごとに損益を出すようにしていて、決して損を出さないよう厳しく管理していた、その教えが生きています。



会社の発展のために考えたM&A。譲受でなく譲渡を考えるようになった理由

どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょう。
池田昌宏社長
社長

私もまだ若いので、具体的に事業承継を意識していたわけではありません。当初は、会社を大きくしたいという思いから、譲受会社の立場としてM&Aを意識するようになっていました。

もちろん、将来への不安がないわけではありません。会社の純資産が積みあがってきたこともあり、短期的には父から私に株式を承継するにあたって、株式の買い取りまたは相続のための納税で借り入れをしなければならない可能性が出てきました。

中長期的には私から次の代への株式の承継に関しては課題があると考えていました。私には2人の子どもがいますが、息子はバレエの道を志望しており、現在はロシアに滞在しています。娘についても、自分がやりたい仕事をしていますから、どうしても会社を継いでもらうイメージが持てない、そんな状況でした。

譲渡するのではなく、あくまで譲受会社として、M&Aキャピタルパートナーズを含む、いくつかの仲介会社とコンタクトをとっていました。一方で、事業を承継するなら早めに動くべきだという考えもありました。色々な思いが錯綜する中、昨年の6月に息子がロシアから帰ってきて、承継の話をしたのですが、“会社を継ぐ意思がない”ことは明らかでした。であるなら、将来的に従業員に引き継いでもいいと思ったが、借入の際の連帯保証などがネックとなり、誰もやりたがらないのではと思いました。不安に感じていた頃、M&Aキャピタルパートナーズの担当者から「会社を譲渡してもいいのではないか」という提案をもらいました。いくつかの仲介会社と情報交換をする中、そういう話をしてくれたのはM&Aキャピタルパートナーズだけでした。

確かに、会社を大きく発展させるという目的を達成するための一つの手段として考えたときにM&Aは有効です。私の友人も含め、世間一般的には“会社を乗っ取られる”というイメージを持たれがちですが、私自身は“会社を譲渡してからも自分が社長を継続する”イメージを持っていました。M&Aは単純に会社を売却する行為ではなく、事業を継続するためのパートナーを得る手段だと最初から理解していたのです。M&Aキャピタルパートナーズの担当者と話をする中で、より良いパートナーを得て、“一緒に会社を大きくしていけたらいい”と考えるようになっていました。

とはいえ、その段階ではお金をかけてまで検討を進める気はありませんでした。M&Aキャピタルパートナーズは他の仲介会社と違って、着手金もなく、気楽に相談できました。しかも無料期間であるにもかかわらず、担当者が作成してくれた資料がとても丁寧で驚きました。

あくまで事業の発展が目的にあるので決して弱気にはならず、“あくまで条件が合うところがあれば”といったスタンスで臨んでいました。したがって、検討を始めた段階で、本気度はそれほど高くはありませんでしたが、丁寧な資料と分かりやすい説明によって、徐々に気持ちが動いていきます。その過程で思ったのは、タイミングが重要だということ。おそらく10年後には役員たちも年齢を重ねているので、交渉が難しくなる、しかし今なら、私たち主導で強気に譲渡できるのではないかと考えました。そういった正しい判断ができる数多くの材料を、M&Aキャピタルパートナーズの担当者が足しげく通って提供してくれました。

会社を譲渡すると判断したことを会長に説明する際、“理解してくれるか?”という不安はありませんでしたか。
社長

そうですね。最初は“とりあえず聞いてもらおうかな”という感覚でした。会社の業績が傾いているわけではないので、急いではおらず、良いお相手があれば譲渡するというスタンスだったので、父親には気楽に相談できましたね。抵抗されたら仕方がない、諦めようと思っていましたから。

 

池田孝一会長と池田昌宏社長
会長

M&Aについては、私も息子と同様、譲受側の立場で、ここ10年ほどの間、勉強を重ねていました。当然、私の中にも相続税対策などが大きなテーマとしてあったのは確かです。私のビジネスモデルは、“借金をしてレバレッジを効かせて、フリーキャッシュフローを得る”というものです。その中心にあるのは、“借金は怖くない。借金をしていてもそれに見合った不動産を持っていれば大丈夫”という考えです。しかし、誰もがみんな、同じような考えを持っているわけではありません。なのでM&Aで会社を譲渡すると聞いたときも悪い気はせず、“世の中の変化への挑戦”であると感じました。今の時代は“先祖代々…”という考えは流行りません。むしろ新たな変化に挑戦するのは良いことだと思いました。特に反対する理由などありませんし、“ご縁”だと思っていたので、ご提示いただいた条件をそのまま受け入れようと思っていました。

安定基盤を武器に“潰れない会社”が新たなチャレンジを

成約したことで、新たな希望や相乗効果など生まれましたでしょうか。
池田孝一会長と池田昌宏社長
社長

今回、パートナーとなったディア・ライフ社は、私たちとは資産規模が大きく違っています。なので、例えばこれまでの私たちにとっては、3億円の額ともなればビッグプロジェクト扱いでしたが、ディア・ライフにとっては一般的な額となります。ですから、これからは大きな物件にチャレンジできるということになります。

また、私たちはこれまで経営を安定させるため、すなわち“潰れない会社”を作るために多角化を目指していました。しかしディア・ライフ社は強固で安定した資産を背景に利益を生み出している会社なので、私たちも同様の手法を踏襲していけば、安定した経営基盤を築けるのではないかと思っています。もちろん、ディア・ライフ社にはない、私たちの強みを提供して相乗効果が生まれれば、さらに成長が望めるものと考えます。

今回のM&Aの一連の流れの中で、M&Aキャピタルパートナーズは、どのようにお役立ちできたでしょうか。
社長

M&Aは初めてのことでしたが、スケジュールや流れなどもしっかり説明してくれたので何の不安もありませんでした。自分で必要な書類を集めたり、従業員に知られないようにするのは大変でしたが、M&Aキャピタルパートナーズの担当者がしっかりフォローしてくれました。とにかくこちらからの質問に対する回答も早く、スムーズに手続きを進めることができました。

 

ありがとうございます。最後に、これからM&Aを検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。
社長

会社の事業を継続させることを考えたときに、身内や従業員への承継だけではなく、M&Aも選択肢のひとつとして考えたほうが良いでしょう。これからの日本において、会社の継続は重要なテーマになっていきます。せっかく素晴らしい技術やノウハウを持っているのに、後継者不足のために会社が閉じざるを得ないのは非常にもったいない。そのためにもM&Aを頭から排除するのではなく、まずは話を聞いてみることです。さらに多くの人がM&Aの本質を理解することを望みます。

会長

こだわりを持たないことですね。不動産の売買の時にも、こだわりを持っている人がいますが、それが判断の邪魔をすることもあると思います。会社も同じです。自分が会社を育てたと言っても、死ぬときに会社を持っていくわけにもいかないので、こだわりを持たずにあまり悩まずに、まずはプロに相談してみるといいですね。自分の会社の価値を知って、大局観を持って考えていくことが重要です。

 


(左から)弊社竹内謙太 池田孝一 様 池田昌宏 様 弊社小沼航大

文:伊藤 秋廣   写真:伊藤 元章  取材日:2021/11/3

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