M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#35

納得しながら、一歩ずつ共に歩んでくれたM&Aパートナー

譲渡企業

株式会社壹会(いちえ)

ワンマンだった父親から引き継いだ会社を組織化することで多くの顧客から信頼を集め、業界内でも知られる存在となっていった株式会社壹会。着実に成長を続けてきた中で、中村裕二社長はなぜM&Aによる譲渡を考えたのか。決断に至るまでの経緯についてうかがった。

風通しの良い組織を作り、業績を伸ばしていった

まずは、株式会社壹会の沿革、および中村様が入社した経緯からお話しいただけますでしょうか。
中村裕二 様
中村

弊社は、様々な建築現場の多様な要求に応え、作図、制作、施工までといったフルオーダーの金物工事を手がける企業です。1988年に、当時サラリーマンだった私の父が、52歳で独立して創業を果たしました。同じような業界にいたので、父の独立を応援してくださるゼネコンさんがいくつかあり、順調にスタートを切ることができたと聞いています。

当時、私は大学を卒業して、ステンレスの原材料を扱う問屋に就職したばかり。それから7年間に渡り、ステンレス素材の営業を担当してきたのですが、30歳になった時に父から「会社を手伝わないか」と声をかけられたのがきっかけとなりました。前職でも金属を扱っていたので、特に違和感を覚えることなく入社できました。

とはいえ、最初から“跡継ぎ”として迎えられたわけではありません。そもそも、父が前職の会社をやめたのは、そこが同族会社で“これ以上は上にあがれない”と嫌気がさしたという経緯があります。ですから私が入社した時に、父から開口一番に「お前を社長にする気はない」と言われ、社員に対しても“息子が会社に入社したが、社長にはしない”という意思表示として、当時の会社のナンバー2だった方を社長に据えました。ところが、うまく機能せず、ほどなく辞任。会長になっていた父が再び社長に就任することとなります。

そんな状況を目の当たりにし、従業員のほうが不自然に思ったのでしょう。当時、まだ社員数も少なく、父は仕事が終わると社員を集めて飲みに出かけていましたが、酒の席で「息子が社長を継ぐべきだ。社内を見渡しても適任者がいない」と意見をする人がいました。その頃の私は、会長と従業員の間を取り持つ通訳のような役回りをしていました。父が発する強めの言葉を私が一旦受けとめ、社員の人柄に合わせて伝えるようにしていました。社員も私にだったら進言もしやすかったのでしょう。いつの間にか、社内の取りまとめ役のような存在になっていったため、そこが評価されたのかもしれません。

父は、「周りがそのように言ってくれるならば」と、入社から6年目の2000年12月、私が36歳の時に社長に就任。同時に父が再度会長となり、2人代表の二人三脚で12年間、一緒に経営をしてきました。

中村様が社長になられてから、どのように会社を変えていかれたのでしょうか。
中村

私が入社した当時は、父がトップに立ち、部長、課長、係長、一般社員は皆、同列の立場、すなわち組織がピラミッド状態になっておらず、それぞれ役職の肩書きはついているものの何も機能していない状態にありました。社長の父が自ら直接、一般社員に指示を出すので、上席の課長が戸惑ってしまう姿を見ながら、“これでは統制がとれない”と感じていました。父に対して「この会社はおかしい、組織ではない」と言い続けていたのですが、父はそれを認めずにいました。しかし2012年、最終的に父が引退するまでは、私が間に立っていたことで小さなピラミッドができあがり、かろうじて組織として機能していました。

やはり、中小企業であっても組織づくりは重要です。むしろ中小のほうが、それが業績に色濃く影響を与えると思っています。例えば、弊社であれば、お客様に対応する営業部と現場や製造をみる建装部は立場も違い、意見や認識の相違からよくぶつかりがちです。もちろん、わざとぶつかるわけでなく、それぞれの仕事をきちんとやろうとするからこその衝突です。部署間の調整をしっかり行い連携しないことには、会社として収益を上げることはできません。

父が引退し、私が実質一人で会社を運営するようになってから、「部署の風通しをよくすること」をずっと心がけてきました。そのことを毎日、口を酸っぱく社員に伝えたことで、誰も喧嘩をせず、私が何かを言い出す前に、それぞれの部門長が集まって、それぞれの立場で建設的な意見を交わし、共通認識を持って仕事に取り掛かるような体制になっていきました。そして社員全員が同じレベルで情報や考え方を共有できるようになり、現場で何か想定外のことが起こってもすぐに対応ができる組織へと進化していきました。強固な組織だからこそ実現できる設計力や工事品質、現場対応力によって信頼を勝ち取った結果、多くのお客様からご愛顧いただける企業へと成長していきました。

常に付きまとっていた個人保証の重荷

中村様が社長としてしっかりとした組織を作り、成長させてきた会社です。どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょう。
中村裕二 様
中村

弊社のような規模の会社では、どうしても個人保証の問題が付きまといます。父が現役のときには2人代表だったので、2人で融資を受けていましたが、父が引退をして私の代になり、事業承継をどうするか?となった時に、この個人保証の問題がネックになりました。私には娘がおりましたが、親族承継は考えられず、次の社長は弊社の社員から選ばなくてはなりません。サラリーマン社長に私と同じように個人保証を背負わせるには無理があるだろうと感じており、なかなか具体的に話を進めることができずにいました。

そんな中、新たな問題が生じます。去年の春先に大規模工事を受注し、今期の売上目標が達成できる見込みがあったのですが、新型コロナウイルスの影響もあってか、一向に工事が進みませんでした。また大規模工事ということもあり、この期間に他の工事を入れていなかったため、当期決算で赤字になることが明らかになりました。弊社は、この34年間の中で一度も赤字決算となったことはありません。これまでも多少の工期ずれはありましたが、これほどまで金額が大きく、長い期間のずれはありませんでした。建設業は、いわゆる“前出しの後もらい”なので、物件が大きくなればなるほど、原材料費など先に出ていくお金が大きくなります。しかも決算期を挟んでいたので、今期は、“原価は発生するけれども、売り上げが立たない”という状況になることが予測できました。

この業界は、常にお金が先に出るため、銀行との関係を良好にしておかなければなりません。赤字を出すと資金繰りに影響する可能性があります。そういった状況に直面すると、“このままでは、全て個人保証しているので、今まで築き上げた財産を一瞬にして失う可能性もなくはない…”と、どんどん悪い方向へと頭が回っていきます。コロナの状況を見ていても、“いつどうなるか分からない”という不安もありました。このまま私個人の会社として経営を続けていくには無理がある、おぼろげながら“頼りになるパートナーと組む”という手段もあるのではないかと考え始めていました。

建設業界の仕事は工期が長いという特徴があることから、市場状況を見渡すと、現時点では何とかこの先、5年くらいまでは仕事があることは予想できますが、その先はまったくの不透明、先細っていけば、パートナー探しも難しくなるのではないかとも思いました。そうなる前に、ある程度状況が良い時期に決断をすべきだろうと考え、以前から気になっていたM&Aについて真剣に考えてみようと思ったのです。

以前から、M&Aを気にされていたとのことですが、何かきっかけがあったのでしょうか。
中村裕二 様
中村

特別なきっかけがあったわけではありませんが、何となく耳にはしていましたし、私には後継者がいないので頭の片隅に“何かあったらM&Aを検討しよう”という考えはありました。銀行もM&Aに力を入れていると聞いていましたが、メインバンクに話をもっていったとして、もしもうまくいかなかったら、以降、融資を受ける際の障害になるかもしれないと考え、何のしがらみもないM&A専門の仲介会社に話をした方が良いだろうと考えました。

まずは、このオフィスから近い仲介会社に話を聞きにいくことにしました。そこでM&Aの仕組みは理解できたのですが、何となく夢物語のような話をされた気がして、“そんなに上手くいくものかな”と疑問に思ったのも確かです。その不安を解決するために、もう2社ほど話を聞いてみようとお声がけさせていただいた中の1社がM&Aキャピタルパートナーズでした。

会うたびに信頼が重なり、打ち合わせが楽しみになった

ここからは、担当の滑川さんも交えてお話を伺います。お互いの第一印象からお聞かせいただけますでしょうか。
MACP滑川

初めてお伺いした時は、同業他社と仲介契約締結直前という状況でした。お話を進める中で、1点だけ引っかかったのは、「株主全員の連名での契約が必要だ」と他の仲介会社の担当から言われたということ。私は、同業他社の「M&Aありき」の強引な進め方に疑問を持ちました。

M&A仲介者の立場からすると、最初に株主全員の同意が取れている方が話を進めやすいという点は理解できます。ただお相手先も決まっていない状況で従業員株主にM&Aの話をすると、漠然と不安を持たれる方もいらっしゃると思います。また通常の業務に支障が出たり全従業員へ情報が拡散してしまうと取り返しがつかなくなり大変です。

まず社長限りで検討を始め、納得できるお相手先が出てきた後に従業員株主にお話をし、不安に思う方がいらっしゃれば、お相手先とのご面談も交えて、不安を解消していくといった進め方がよいことと、アドバイザリー契約締結のタイミングで株主全員に言うべきではないと社長に伝えさせていただきました。まだ話していないのであればその契約書の締結を待ち、我々の提案内容も聞いて欲しいと伝えました。それが最初の面談でした。

弊社・滑川 中村裕二 様
中村

そうでしたね。滑川さんより先にお会いしていた会社に言われるがまま、うちの株主でもある社員に事情を説明していました。そこから情報が漏れる危険もあるが、これが“ルールなんだろう”と思っていたところがあります。滑川さんからは「このような話の情報は、お伝えする内容やタイミングが重要で、情報漏洩の観点からも関係者を限定した方がいいんですよ」というアドバイスをいただいたのですが、その時に“この人はしっかりと色々なことを教えてくれるな”と感じ、何よりも真剣さが強烈に伝わってきたため、滑川さんにお任せすることにしました。

中村

また、滑川さんの会社がよかったのは、我々の担当と譲渡先の担当を滑川さん1人が担っている点です。1社目の会社は、我々の担当と譲渡先の担当が別だったので、2人体制では上手く回らないのではないかと感じていました。滑川さんは、1人で全ての情報を持って動いているので、間接的に別の担当者を通すのではなく、滑川さん自身が見て聞いたことを相手先に説明していただけるという安心感がありました。そこが滑川さんの会社の良さだと思いました。

滑川さんの“真剣さ”は、以降の話を進めていくうえでも実感することになります。話が停滞することがまったくなく、滑川さんがいらっしゃるたびに、どんどんステップが上がっていき、ゴールに近づいていることが感じられました。しかも、確実な情報しか話をせず、とても慎重だったので、その点についても信頼が置けました。

決算書をお渡しし、弊社の資産状況を見ながら資料を作成してくれたのですが、内容がとても充実しており、それを拝見できる打ち合わせが楽しみになるほどでした。次々に、弊社の実態を滑川さんがあぶり出してくれた感覚です。決して夢物語ではない、実態が分かってくると、それ相応の心積もりができてきます。滑川さんの動きは本当に早く、驚くほど確実で一段一段上がっていくことがよくわかりました。

“打ち合わせが楽しみになる”というのは、とても素敵な表現ですね。
弊社・滑川 中村裕二 様
中村

そうですね。打ち合わせの度に、しっかりとした資料をいただき、しかもスケジュールもきちんと進展していくのですから、これほど気持ちのいい話はありません。一番驚いたのは、最初に作成した工程表通りに物事が進んだこと、これは大変すばらしいことだと感じています。私も工事会社を運営しているので、工程やスケジュール管理の重要性は痛感しています。会うたびに工程表通りに進んでいるという、この確実性が安心感を生みました。

滑川さんから、金属加工を生業にされている日創プロニティグループの日創エンジニアリングさんがトップ面談を希望されていると聞いた時、もしも日創プロニティグループが親会社になっていただけたら、大きな相乗効果が期待できると感じました。日創エンジニアリングさんは金属工事の施工機能をもち、日創プロニティさんは金属加工の工場を持っておられます。弊社は工場を持たず国内外の協力会社に依存している状態でした。滑川さんが弊社の強みと弱みをきちんと理解してくれたからこそ、ご紹介いただけたものと理解しています。

MACP滑川

ありがとうございます。壹会様の強みは作図・設計力、および品質管理能力で、一方の弱みは施工人員不足だと感じていました。施工部門を強化できれば、売り上げが伸ばすことができる、また協力会社に依頼していた金属加工の製作部門を一部内製化できれば、為替リスクも安定するだろうと理解しました。私は、お互いのビジネスモデルを理解し、相乗効果が発揮できるようなご縁組となるような譲受先企業様を探しました。当初お会いされていた同業他社はゼネコンを提案されていたようですが、仮にご一緒になったとしても、壹会様にはメリットは何もないと考えていました。

中村

素晴らしい分析力です。滑川さんが作成した各企業様へのプレゼン資料は、弊社のカタログにしたいほど素晴らしい出来栄えでした。

どの会社か?ではなく、どの担当者に頼むか?

実際に成約して、どのように感じていますか。
中村

肩の荷を下ろすことができて、心の底から良かったと思いました。そして、これから日創さんの工場をいかに稼働して収益を上げていくかを考えるようになりました。日創さんと共に実現可能な、様々なビジョンを描いています。私自身、必要なくなれば勇退するつもりですが、まだ利用価値があるならば、私の持っている能力で一生懸命、会社に貢献していきたいと思っています。

社員に不安を与えないために、情報開示の際のスピーチを考えていました。「中村商店から上場会社の傘下に入ると、極端な話になるが今までは潰れるかもしれない会社だったが、潰れなくなる。企業価値という面で、住宅ローンを組む際に以前よりローンが通りやすくなるなど、メリットはたくさんある。私は代表者を外れるが、社長としては今までと変わらず陣頭指揮をとるし、業務はいっさい変わらない。株主が変わっただけのことだ」と伝えると、みんなびっくりはしていましたが、異論も無く、今も変わらずに働いてくれています。

今回のM&Aの一連の流れの中で、M&Aキャピタルパートナーズは、どのようにお役立ちできたでしょうか。
中村

最初にM&Aの成功報酬額を聞いた時には、正直言って“それなりにするな”とは思いましたが、結果として値段以上の価値を感じています。前期の決算が赤字着地であることなど、普通だったら言いづらいことを包み隠さず滑川さんに伝え、それを相手が安心するよう伝えてくださいました。もちろん、仲介会社選びも大切ですが、もっと重要なのが、どのような担当者とお付き合いできるか。どんなに会社が大きくても、担当者が機能しなければ意味がありません。私の目に狂いはなかったということです。

 

ありがとうございます。最後に、これからM&Aを検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。
中村

経営者は孤独です。物事を決めるために、参謀に相談はするかもしれませんが、最終的に決断するのは経営者です。迷われてる方がいらっしゃれば、まずはM&Aの仕組みを聞きに行くのは良い選択肢だと思います。その時にどれだけ情報を持っていらっしゃる会社なのか、どれだけ真剣に対応してくれる担当者なのかを見極めることが重要です。

 

(左から)弊社・滑川、 中村裕二 様

文:伊藤 秋廣   写真:伊藤 元章  取材日:2022/2/15

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