M&A成約事例・実績
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M&Aご成約者事例
#43

地域医療に貢献する歯科医師の情熱を承継するM&A

譲渡法人

医療法人白愛会

一般歯科のみならず、訪問診療による高齢者・障がい者診療や痛みや恐怖を感じさせない小児歯科に注力。愛媛県新居浜の地で、長きにわたり地域医療に貢献してきた医療法人白愛会 白石歯科医院がなぜM&Aによる譲渡を考えるようになったのか。理事長の白石亨院長にM&Aの決断に至るまでの経緯についてうかがった。

地域に“なくてはならない”医院として信頼を集めてきた

まずは白石先生が歯科医院を開業した経緯からお話しいただけますでしょうか。

白石

大学卒業後は、歯科医でありながら大学病院の麻酔科に10年ほど勤務し、全身麻酔や痛みを取る治療などを行っていました。その後、地域の患者さんの健康維持に貢献したいという想いから開業を果たすのですが、当初から“こころを診る・人を診る”という、患者さん一人ひとりにあった治療を行うため、コミュニケーションを取ることを大切にしており、歯科医という範疇に限定しない医療方針を掲げ、一般の歯科医院とは少し違ったアプローチで患者さんに接したいと考えていました。

医療法人白愛会 理事長 白石氏

その方針に則り、地域に根ざした歯科医として、できるだけ親身になって相談に乗ってきたことから、患者さんから心臓疾患をはじめ、がん治療など、私の専門領域以外の質問を受けるようになりました。その都度、様々な学会や勉強会にも参加。自己研鑽しながら自らのスキルを高め、患者さんの疑問や不安を取り除くよう努力してきました。その中で、高齢者の口腔ケアの重要性を改めて認識するようになります。

今でこそ一般的な考え方として定着していますが、当時はまだ、高齢者施設やご家族でもそこまで気が回ってはいませんでした。高齢者に対する口腔ケアは単にお口をきれいにするだけでなく、誤嚥性肺炎を防ぐことにも繋がりますし、口内の状態から別の疾患の予兆を発見できる可能性もあります。口腔ケアを通じて地域の患者さんの健康維持に貢献したいという意識から、必然的に訪問歯科の必要性を強く認識するようになりました。実際に訪問診療をはじめてみると、それが寝たきりの患者さんの健康管理だけでなく、生きる希望になることを認識するようになりました。

あるドクターから、長期入院の後に自宅で終末期医療を過ごす患者さんをご紹介いただいたことがあります。その方は入院中、数か月の間、食事ができていなかったようですが、私がご自宅を訪問し、口腔ケアや食事の仕方を指導すると食事がとれるようになり、クリスマスとお正月を家族で祝うことができました。残念ながら年明け、数日後にその方はお亡くなりになったのですが、年末年始に一緒に食事ができたことについて、本人はもちろん、ドクターやご家族がものすごく喜んでくださったことが印象に残っています。

「食べることは生きること、生きることは食べること」とよく言いますが、歯科医は、歯の痛みをとるだけでなく、おいしいものを食べ、健康に過ごせる状態を一日でも長く継続できるようサポートする仕事だと自負しています。患者さんの食べる喜びを取り戻し、安心して生活が送れるように、という想いを胸に日々の往診に向かっています。

お子さんの治療にもご注力されているとお聞きしましたが。

白石

大学卒業後、麻酔科にて歯科治療恐怖症について研究しました。“怖くない、痛くない治療”をすることに加え、お子さん本人やご両親としっかりコミュニケーションを取りながら、恐怖や痛みを取り除くことを心がけてきました。患者さん主導の治療を実施して、無理やり処置することがないので、当院で泣くお子さんはほとんどゼロ。その評判が広がり、今では下は0歳児から、さらに他の歯科医院で対応できないお子さんも遠方から通院していただいております。お子さんだけでなく、障がいをお持ちの方も多く治療にいらっしゃいます。それぞれの身体の状態に合わせて、笑気ガスや静脈内鎮静を使用しながら安全な治療を進めています。

金銭だけではない。“診療に対する信念”を熱心に聞いてくれた

0歳児から終末期を迎えた高齢者まで診療する、まさに“この地域になくてはならない医療機関”のひとつとして
認識され、貢献されてきた医院です。どんなきっかけからM&Aを意識するようになりましたか。

医療法人白愛会 理事長 白石氏
白石

年齢を重ねてきて、自分の将来を考えると様々な不安が生じてきます。特に心配になるのは患者さんのことです。私を必要としている患者さんが多いことには自負があり、訪問歯科治療を待っている患者さんやご家族はもちろん、県外から泊まり込みで来院される方もいるような状況の中、「もう、歳なのでやめます」というわけにいきません。なんとしてもこの医院を継承していかなくてはならないという大きな責任と重圧がありました。しかし残念ながら、その時点では、この医院を継いでくれる人が思い浮かびません。私には子どもが二人いますが、医療の分野に携わっておらず、身内で継いでいくのは難しいだろうというのはわかっていました。また後継者育成という観点から、勤務医の指導にあたってきましたし、実際に相談をしたこともありましたが、考え方の違いや実力の問題から、それも難しいと感じていました。

そもそも歯科医師界における後継者不足という課題は、誰もが共通認識として持っています。課題解決に関する情報源もたくさんあり、その中でM&Aという手段があることは知っていました。

色々な方法を模索する中、知り合いのドクターとの共同経営を考え、実際に誘ってみたこともありました。先方は自由診療をメインとしている規模の大きい歯科医院で、お互いに不足しているものを補えるということで、院長同士では合意したものの、最終的には経営管理が煩雑になるという判断から破談。それでも諦めきれず、M&Aの仲介会社や銀行に相談することにしました。数社ほどご紹介をいただき、具体的なアプローチもありました。新居浜まで当医院に見学にくる法人もありましたし、規模の大きい医療法人とのお話もありました。しかし、どうしても先方は私の技術を「どのように若いドクターに伝授し、私たちに還元してくれるのか」という話に終始。それに応えることは難しいと破談になったり、もっと売上を上げることを要求されたりすることもありました。

M&Aを実施するうえで私がこだわっていたのは、自分が何十年も続けてきた知見の蓄積が活かされること、そしてここに残って今の医療を継続できること、さらにこの診療スタイルを他に波及させること、この3つの条件でした。どうしても先方とは目指しているところが大きく異なり、話がうまく進まない…そんな日々が続いていました。

M&Aは進めたいけれども、なかなかうまくいかなかったので、他にしっかりとサポートしてくれる会社を探すことに。そんな中、HPから問い合わせをした先が、M&Aキャピタルパートナーズでした。お恥ずかしながら、それまではM&Aキャピタルパートナーズという会社の名前すら知らず、お付き合いしてから、上場しているし、テレビコマーシャルも放映していることに気づいてびっくり。しっかりしている会社であることは後から知りました。

大切なのは“自分が今までやってきた生きた証”を残せるかどうか

ここからは、担当の円谷さん・松井さんも交えてお話をうかがいます。まずはお互いの第一印象からお聞かせいただけますでしょうか。

白石

都会から遠路はるばる愛媛の田舎まできて大変だなと感じました。円谷さんは礼儀正しく、物事をはっきりとお話しされ言葉を濁さないので、最初から信頼できる方だと感じていました。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報第九部 主任 円谷
円谷

2021年の8月に初めてお会いしました。初めてのご面談の開始時間は、患者さんの診療後の19時半で、それ以降の打ち合わせも19時半以降のお時間がほとんどでしたので、地域医療に注力されているお忙しい先生だと感じました。最初にお話をうかがった際に、「訪問歯科診療に力を入れており、患者さんが食べることができるようになることに喜びを感じている」というお話から、僭越ながら医療に対する情熱を感じました。白石先生には、ご自身のお考えや困っていることを正直にお話しいただけた印象です。






お話を聞いて、どのようなお相手をご紹介するイメージが浮かびましたか。

円谷

初めてお会いしたときに、明確に紹介相手をイメージできたわけではありません。白石先生からは、実は他のM&A仲介会社との間で6社ほどのお相手候補先にお会いされたこともうかがいました。白石先生が単純に後継者を探しているだけであれば、6社と面談されたのですから、お相手が見つかっていてもおかしくはありません。まだ見つかっていないということは、白石先生が求めるものはもっと違う部分にあるのではないかと考え、その点について率直にご質問させていただき、潜在的な部分について教えていただきました。

白石

色々話を聞いていただきましたね。他社は金銭のことばかりで判断しようとしてくる。もちろん経済条件も大事ですが、そればかりではありません。お金に困っているわけではなく、大切にしたいのは、今やっていることをこの地域に残し、発展させることです。円谷さんは他社とは違い、私の想いを汲み取ろうと熱心に聞いてくださった印象を持ちました。 

円谷さんの上司である松井さんは、報告を受けてどのような印象を持ちましたか。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報第九部 次長 松井
松井

医療に対する白石先生の強い信念を感じました。M&Aにおいて経済条件は重要であるものの、先生が考える優先順位を間違えてはいけません。入口で方向性を間違えず、道筋を立てて良いお相手を見つけられるよう、進めていこうと考えました。白石先生とお打ち合わせを重ね、コミュニケーションを深めたうえで、最適なお相手をご提案できるように準備し、これまで他のM&A仲介会社からご紹介を受けていないであろう、白石先生のお考えに合致するお相手先をご紹介しようと考えました。

ご紹介を受けたお相手先に対して、どのような印象を持ちましたか。

白石

とても良い印象を受けました。こちらとしては何の不服もなく、すぐにお相手の方が新居浜まで来られてそれでほとんど決定しました。私の医療を発展させていきたいという想いに対して十分すぎるほどご理解していただき、賛同してくださる法人でした。これまで他社で話が進まなかったことが、円谷さんと松井さんが現れたことでガラッと変化し、とても不思議な感覚でした。

M&Aの手続きを進めるにあたり、ご苦労された点はありますか。

医療法人白愛会 理事長 白石 亨氏
白石

M&Aをするにあたり、正しい評価をしてもらうための監査がありますが、医療に没頭してきた開業医はどうしても世の中のことに疎く、一般開業医がどのようにみられているかを知らない、もしくは知る必要がないと思っている節があります。私もそうでした。自分が一生懸命やって腕を磨いたら、必然的に社会的評価は上がると思っていましたが、実際はそうではないということを痛感しました。評価されるための準備や監査があり、社会的に誰が見ても、私やこの医院がどのような評価を受けるのかを知ることが重要だと改めて感じました。

日常の診療を行いながら準備を進めるのは大変だったのでは。

白石

円谷さんと松井さんがしっかりスケジュールを組んで、几帳面にステップバイステップでサポートいただいたので、お二人に完全に任せることができました。お二人のサポートがなければ、もしかしたら監査や手続きが嫌になってやめてしまう先生もいるかもしれません。辛いことではありますが、世の中の評価を勝ち得て、医院をこの地域に残し、発展させるための一つの手段だと思います。

成約から数ヶ月が経ちました。今のご心境をお聞かせください。

白石

大きな病院では事務長やスタッフがいますが、私のような開業医は、自分自身で事務仕事をしたり、人事をみたり、それこそ経営もしなくてはなりません。これまで一人でやってきた様々なことをM&Aのお相手先がサポートしてくださることになっており、今後は医療に専念できると期待しています。また今回のお相手は私の診療スタイルを医療連携により全国的に波及させたいというビジョンを持っているので、それをお手伝いできるのであれば本望だと思っています。

最後に、皆様からM&Aをこれから検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。

白石

紆余曲折あると思いますが、大切なのは“自分が今までやってきた生きた証”を残せるかどうかです。そういった意味でM&Aは、まさに“後悔のない終活”を実現できる手段であると実感しています。自分が求める相手と一緒になることが出来て、本当に決断して良かったと思います。

円谷

今回は、後継者不在の問題解決と地域の医療インフラとしての継続およびさらなる成長・拡大ができるお相手様を見つけることができましたが、白石先生と同様、業績が好調であるにもかかわらず、後継者候補がおらず後継ぎをどうするかというお悩みをもつドクターは多くいらっしゃいます。また、歯科医師、歯科衛生士や歯科助手はもちろん、非臨床部門の経理・総務・人事等の「人材不足」のお悩みや、理事長が現場でドクターとして医療を行いながら、経営も行わなければならないという「医療と経営の両立」の難しさからM&Aをご検討いただくことも多くあります。

もちろんご親族や役職員の方に後継者候補がいる場合はその方に継ぐことを第一にお考えいただければと思いますが、後継者がいない、今の医院をより成長・発展させていきたい、人材がなかなか定着しない、より医療に専念できる体制にしたいというご意向があれば、M&Aを選択肢の一つに入れることで可能性が広がるのではないかと思っております。情報収集の機会としてぜひ私たちをご活用いただければと思います。

松井

歯科医院をはじめ、医療法人のM&Aはイメージがつきにくく、ハードルが高いと感じておられる先生方も多いかと思いますが、まずは情報収集をしていただくことが重要です。弊社は東証プライム市場に上場しており、創業以来、着手金を頂戴していないという点もポリシーとしております。秘密厳守かつ金銭的なリスクなく情報収集が可能となります。医療法人のM&Aの進め方、スキームがどうなるのか、ご自身の歯科医院、病院、クリニックの法人価値がどのくらいになるのか、そもそもM&Aが選択肢になるのかどうかも含めてお気軽にお問合せいただければ幸いです。

弊社・松井、白石 亨様、弊社・円谷

(左から)弊社・松井、白石 亨様、弊社・円谷

文:伊藤 秋廣   取材日:2022/7/26

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