M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#46

お互いに「誠実さ」を大切にしたM&A

譲渡企業

日本計器株式会社

設計から生産まで一貫したオーダーメイドで液面計を開発し、独自のノウハウ・スキルを有することで、圧倒的なシェアを確立してきた日本計器株式会社。着実に成長を遂げてきた同社が、なぜM&Aを決意することになったのか。どのような経緯で、M&A仲介のパートナーとしてM&Aキャピタルパートナーズを選んだのか。日本計器株式会社の社長である安田雅章様と安田様の奥様で取締役の安田久美子様、そして譲受側の株式会社セイワホールディングスの代表取締役 野見山勇大様、取締役最高財務責任者 井川径成様に、これまでの経緯と未来についてうかがった。

先代が残した莫大な借金を引き受けた“決意”

まずは、安田様が日本計器株式会社の代表になるまでの経緯からお話をいただけますでしょうか。
日本計器株式会社 安田様
日本計器株式会社  安田  雅章 社長(以下、安田)

日本計器株式会社は、私の父が創業した会社です。私は写真家を志望し、大阪芸大の写真学科に進学。卒業したもののなかなか希望の就職先が見つからず、父からアルバイトとして就職が決まるまでの間、会社で働くように言われ、正直、腰掛けのつもりで入社しました。当初は現場で機械をまわしていたのですが、設計担当者が退社したため、急遽、設計部門へ配属となり、慣れない状態で図面を書くようになりました。そこから長きにわたり、技術職の一員として仕事に邁進してきました。

1995年、阪神淡路大震災の年に父が亡くなりました。私は3人兄弟の長男で、母も含めた4人が会社の役員になっていたのですが、その時初めて、父親に莫大な借金があることがわかりました。兄弟2人は、このままの状態で会社を継承するのは荷が重いと、いち早く離脱したのですが、当時12~13人の従業員もいて、それなりに責任を感じていたので私だけ辞めるに辞められずそのまま代表を引き受けることになりました。同時に私の妻も取締役になってもらうようお願いしました。

奥様は、どのようなかたちで会社にかかわっていたのですか。
日本計器株式会社 奥様
日本計器株式会社  安田  久美子 取締役(以下、奥様)

私たちは、高校2年の時から付き合い始め、大学を卒業してから1年後の23歳の時に結婚。夫は将来的に写真家になる夢があったので、腰掛けのつもりでこの会社に入ったことも知っていました。先代の社長の時代に主要な幹部たちが次々に辞めていき、夫が慣れない技術職としてひとりで頑張っている姿を見て力になれないかと思い、私もパートとしてまずは入社しました。技術職の業務を手伝ったり、タイプを打ったり、それこそCADを操作したりもしました。それまでは、一度もパソコンのキーボードすら打ったことはなかったのに…何とかなるものですね。

先代社長が亡くなって借金があることを知り、私が「会社を辞めよう」と言った時に、夫は「相続人である母さんに借金の負担がのしかかったらあかんから、俺がやる」と一言。そういう人なのです。確かに、お義父さんのことでお義母さんも随分と苦労されたのは確か。そこで私も覚悟を決めて、夫と一緒にこの会社を守っていこうと決心したのです。

安田

“俺は社長の息子やから”という思いがどうしてもありました。父が残した借金はこの会社を辞めて、サラリーマンになって返せる額ではありませんでした。だから、ここで一生懸命働いて返すしかないと、決断したのは37歳の時でした。経営も決算書も公認会計士の話もまったく理解できない状況からのスタートでした。妻にはかなり苦労をかけましたが、とにかくギリギリの状態の中で、がむしゃらにやるしかありません。父の借金を完済するまで、19年もの月日が必要でした。そこからようやく、“前を見て進んでいこう”という気持ちになりました。

そこからまずは、どのような施策を打っていかれたのですか。
日本計器株式会社 安田様 奥様
安田

まずは機械を入れ替えて、若い社員を積極的に採用していきました。彼らは、加工の技術については何もわからずとも、機械の運転については習得がとても早く、わずか3カ月で老練の技術者と同じレベルの仕上がりが可能になりました。技術継承がスムーズに進むと、お客様からの評価も高まります。

奥様

さらにPR活動にも力を入れました。カタログはもちろん、ホームページもお金がないため、専門業者に作ってもらうこともできないので、何でも私たち2人でやりました。写真家を夢見ていた夫が商品写真を撮り、私がカタログや簡単なホームページを作成。それを使ってアピールするようになってから、少しずつお客様が広がっていきました。

また、中小企業の経営者向けのセミナーに出席して、決算書の見方など経営についてもたくさん勉強しました。

安田

経営方針をきちんと示し、今の売上や利益もオープンにしないと従業員のモチベーションは上がらないということを学びました。以前は、会社の売上について社員も誰も意識していませんでしたが、今では「今月はちょっと仕事が少ないね」「今月は頑張っているね」という状況を共有。仕事に対するモチベーションもアップして、以来、会社自体も順調に成長を重ねることができました。

大切な従業員を託せる相手に求めたのは“誠実さ”

2人で協力して、大変な時期を乗り越え、そして成長をさせてきた素晴らしい会社です。どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょうか。
日本計器株式会社 安田様
安田

気が付いたら、現場で主力になっているのが40代の社員。私は、あと15年もすれば80歳になって先がありませんが、彼らにとっては子どももまだ小さく、10年、20年とまだまだ頑張っていかねばなりません。そうなったときに、私が中途半端な状態まで引っ張って「では、この辺でしんどいからやめる」というわけにはいきません。そのためには、いつまでも居座るのではなく、ゆっくりフェードアウトしながら、この会社をまた別のステージに上げていく必要があると考えていました。ちょうどそんなときに公認会計士が主催するセミナーでM&Aという手法を知ったのです。

私には息子が2人いますが、これだけ苦労して経営を続けてきたことから、妻は「こんなにしんどい会社は引き継がず、しっかり自分の道を見つけて進め」と、ずっと彼らが小さいときから言い聞かせてきました。なので息子たちを後継者にする気持ちはなく、従業員から1人あげるか、M&Aという2つのパターンしかないと思っていました。

しかし、社内で後継者を育成するにはどうしたらいいかと、この2年ほどずっと組織の状態を見ていたのですが、チームワークが良いため、その中の1人の役職が上がると逆にバランスが崩れてしまうのでは?と感じました。バランスが崩れてしまうならば、現状のポジションをそのまま維持して、経営者だけが変われば綺麗な状態になると考え、それにはM&Aが最適だろうと思いました。

そこで、公認会計士が主催するセミナーで名前が挙がっていたあるM&A仲介会社さんにすぐに電話しました。情報源が一つだけというのは心許ないので、もう一社だけ相談相手を見つけようと考えたのですが、銀行にお願いすると、資産状況も全て知られ、日常的な取引に弊害が生まれるのではないかと判断。そのとき、たくさんのダイレクトメールの中から、たまたまM&Aキャピタルパートナーズの藤田さんからのお手紙を見つけることに。同時に2社の話を聞くことに決めました。

プロフィールを見る限りでは、とても優秀な方なので、どんな人が来るのだろう?と少し緊張して迎えたのですが、やってきた藤田さんに実際にお会いすると、お手紙の“優秀でクールそうな”イメージとは違って、腰が低く物腰柔らかい人だったので、とても安心しました。実は、藤田さんよりも先にお会いしていた別のM&A仲介会社では着手金を求められていました。正直、“うちのような小さな会社を貰ってくれるところはあるのかな”と半信半疑だったので、先に着手金を払うように言われて躊躇していたのですが、藤田さんに聞くと「着手金は必要ない」と言われたのですね。

奥様

もうひとつの会社は着手金が必要なうえ、「各専門の担当が順番に来ます」と言われました。M&Aキャピタルパートナーズは、藤田さんが専属で担当してくれるとおっしゃる。着手金がないということは、成立しなければ商売にならないので、一生懸命やってくださるんだろうという気持ちもありました。そこの真剣さが違うのかもしれないと思いましたね。

藤田さんは、この素敵なご夫婦にお会いしてどのような第一印象を持たれましたか。
MACP 藤田
M&Aキャピタルパートナーズ  藤田(以下、藤田)

お二人は非常に仲がよく、とても誠実で謙虚な方々だと感じておりました。もちろん、とてもお力を持っている会社であることは間違いなく、それは財務状況からも明らかでしたし、素晴らしい人間性のお二人だからこそ、今の優良な経営状態を作り上げることが出来てきたのだと感じました。そういう意味で、初対面から、なんとかお力になりたい、また、お力になれる気がすごくしていました。

M&Aは、厳粛に執り行われる法人の取引という印象を持っていらっしゃるオーナー様が多いですが、最終的には人対人の信頼関係で成立することが多いため、単純に業績等の数字だけではなく、経営者のお人柄であったりとか、どのように会社を作ってきたかという背景も大切です。少なくとも、私はそういったことを最重要視しております。

安田

第一印象だけでなく、何度か面談を重ねる中で、さらに藤田さんに対する信頼が深まっていきました。藤田さんは私の息子よりも若く、ますます信頼ができるので、M&Aの担当者という立場を超えて、さらに親身に話ができたように思えます。藤田さんのご家族の話もしてくださいましたね。

もう一社のM&A仲介会社の担当者は、何となく事務的な話をされていましたが、藤田さんは、そうではなく、私たちの話もしっかり受け止めていただきながら、さらに深くM&Aについて説明してくださいました。私たちにとって有益な提案をしてくださったり、私たちの会社の事情もしっかり聞いて受け止めていただいたので、私たちの会社とマッチしないお相手は紹介しないだろうという信頼も強くなっていきました。また、彼はことあるごとに“人と人との繋がりが大切”という話をされていて、それは私と全く同じ考え方だと思いました。

奥様

私たち夫婦の間ではもうすでに早い段階から、“すべて藤田さんにお任せしよう”という認識になっていました。

日本計器株式会社にとって価値ある出会いの場を提供するために藤田さんはどのようにお考えになって、行動をされたのですか。
藤田

安田様のお話をうかがっていると、一般的な事業会社と一緒になって、相手先から様々な要望を出されることは、もしかしたら嫌なのではないか?と感じとっていました。一方で、長期的な視点に立って成果を挙げられてきた方なので、早期に結果を求めるファンドも合わないかもしれないと考え、そのどちらでもないお相手をご紹介しようと思いました。具体的に関心をいただいた企業が数社あるなかで、私個人としては今回、お相手となったセイワホールディングス様も比較検討の俎上に乗せていただければと思っていたのですが、安田様は、一社ずつ話を聞いてみたいというスタンスで、同時並行で検討したくないとおっしゃいました。本音としては、同時並行で一緒に条件提示をしてもらった方が客観的に見られると思っていたのですが、お二人の誠実な性格が、それを良しとしませんでした。

安田

そうですね。一社ずつしっかり見ていきたいと思いました。私の責任で従業員の生活が大きく変わるわけですから、しっかり吟味する必要があります。最初にご紹介を受けた会社さんは、最初のWEB面談で「お宅の言った通りに全部しますよ」とおっしゃっていたのですが、どこかに違和感がありました。話を詰めていくうちに、どうも腑に落ちない点が次々に出てくる。正直なところ、私も妻も“いくらで会社を売ろう”なんて全く考えていませんでした。言われた通りの金額でいいと思っていました。それよりも従業員をしっかり守ってくれるかが重要だったのに、“このままいくと従業員を守ってくれない”と感じて、止めることにしました。

それで、藤田さんが勧めるセイワホールディングスさんにお会いしてお話を聞いたら、私たちが初めて藤田さんと会った時と同じように“この人たちだったらいいかな”という感覚を覚えました。

奥様

印象に残っていることがあります。とても寒いときに監査があり、そこで初めてセイワホールディングスの野見山さんにお会いしました。監査は、うちの会社ではなく、組合会館の部屋を借りたのですが、そこはとても古く、とても寒くて午前中はみんな震えていたのですね。そこでお昼休みに私と夫と2人で、会社から手押し車にストーブを乗せて運んできたのですが、ちょうど野見山さんたちが私たちの工場を見学に行くために外に出られていて、私たちの姿を見て、野見山さんをはじめみなさん全員がすぐに飛んできてくれて、次々に荷物を持って運んでくださいました。それが本当に嬉しかった。

安田

ストーブを皆さんで一斉に運んでくださった姿が、会社そのものに見えました。会社は、それぞれが力を合わせてやっていくものです。それがその出来事で見えたような気がして、“ここなら大丈夫”と確信を持ちました。監査を終えてから2人で、「あの人たちならば問題ないね。いい人たちだったね。会社を譲り受けてくれたらありがたいね」という会話をしたのを今でもよく覚えています。

時間をかけてしっかり引き継いでいく

ここからは、譲受企業の株式会社セイワホールディングスの代表取締役 野見山様と取締役最高財務責任者の井川様にもご参加いただきます。まずは、株式会社セイワホールディングスの事業概要からお話をいただけますでしょうか
株式会社セイワホールディングス 野見山 様
株式会社セイワホールディングス  野見山  勇大 代表取締役 (以下、野見山)

弊社は、製造業の中で後継者不足に悩まれている会社様が多くいらっしゃる昨今、そのような問題を解決したいという目的で会社の運営をさせていただいております。主に中小企業の中でも力はあるけれども、5年後、10年後、次の人にどのように渡していけばよいのか悩まれているオーナー様や、既存の事業では伸び悩みがある、今後に不安を抱いていらっしゃるオーナー様とお話をして、一緒に手をとらせていただきながら経営をサポートさせていただいています。

私自身が、2代目として父親の会社を継ぎ、製造業の中小企業を経営していましたが、マーケットが縮小する中、会社を残し、成長させていくことの難しさを感じていました。それでも企業を成長させていきたいという思いからM&Aを実行。初めてご一緒になった会社があります。それから1、2年が経過した頃、ある社員の方から、「また同じ場所で、同じようにボーナスがもらえて働けると思いませんでした」と言われました。その時に、誰かの大切な居場所を“守る”ことに少しでも役に立っているのだと思いました。元々は成長目的で始めたM&Aでしたが、自分たちがせっかく人生をかけてやるならば、製造業への投資、運営を通じて、後継者不足問題を解決するべきではないかと、少しずつ事業をシフトしていきました。

私は、製造業に対してネガティブな印象を持ってはいませんが、長年、業界に身を置いている方の中には“うちの会社に新しい人材は来ない”や“製造業は今後衰退していく”と決めつけている人たちも少なからずいらっしゃいます。そこに自分たちが入っていって、客観的な目線で、その会社の価値や良さを伝えたい。実際に誰もが当たり前だと思って言えなかったこと、気付けなかったことを、我々が入ることによって表面化させることで価値を発揮できている、そんな会社がたくさん生まれつつあります。現にグループの中で初めて新卒採用を始める会社が3社ありました。

最初にM&Aキャピタルパートナーズから日本計器株式会社を紹介されたとき、どのような印象を持たれましたか。
株式会社セイワホールディングス 井川 様
株式会社セイワホールディングス  井川  径成 取締役最高財務責任者(以下、井川)

率直に申し上げると、最初は“液面計って?何?”と思いました。裏を返せば、それだけニッチということ。そもそも私どものグループは、“ニッチな製造業”に注力しています。なぜなら、いわゆる汎用的なものを作っていても大きな資本にはかないません。ニッチな業界で尖り、中小でもある程度、強気の価格設定で利益が取れることが重要だと考えるからです。ですから、書類を一目見て“お会いしたい”と思いました。

野見山

その当時、私どものグループに参画いただいていた企業が関東に5社、東海地方に4社あるものの、関西にはご縁がありませんでした。名古屋に拠点を持つ弊社としては距離的な観点から、このタイミングで関西の企業様と仕事をすることが本当に適切なのかという議論が当初はありました。多少の懸念を抱きつつ、実際に安田様ご夫妻にお会いすることにしました。

井川

実際にお二人にお会いすると、これほどまでに会社のこと、従業員のこと、製品のことを想い、愛されている方はなかなかいないのでは?と感じました。ですから、もし譲り受けさせていただくのであれば、並大抵の覚悟では駄目だと思いました。

ご一緒する会社は数字だけではなく、経営者の姿勢やお人柄を重要視されているからこそ、自分たちも生半可な気持ちでご一緒するわけにいかないということですね。
野見山

まさにその通りです。時々、トップ面談で、従業員のことを悪く話されるオーナー様もいます。やはりそういう方とご一緒するのは難しい。安田様ご夫妻は、最初の面談で会社に対する愛情が強く感じられました。これまで70歳を超えて80歳でも経営をされている方に沢山お会いしてきましたが、お二方は早めに決断してゆっくり引き継ぎをしたいと考えていらっしゃいました。どちらかというと、オーナー様が辞められた後の業務を引き継げる方がいないので、正直待ったなしのケースが多い。ですから、とにかく私たちが初期段階から毎日、常駐で入らざるを得なくなります。ところが、お二方は長期的な引継ぎを考えていらっしゃったので、それが距離の懸念を和らげる結果となりました。3年間で自分たちがしっかり引き継げるのであれば、お力になれると思いました。

株式会社セイワホールディングス 野見山 様 MACP 藤田
藤田

私は、今のお話を初めてうかがいました。やはり引き継ぎ期間が大事なのですね。

野見山

もちろん、短期でも長期でもどちらでも対応していますが、やはり遠隔でしたので「明日から週5でコミットしてください」と言われると人手が足りないので正直言って難しいです。特に初期段階で重要なのは、しっかりと全従業員に説明しM&Aに対する不安を払拭することです。
オーナー様がM&Aへ至った経緯を知らないケースが多々あります。急に決定したため、場合によっては気を悪くされたり、理解ができないこともよくありますね。オーナー様が悪い印象になってしまうこともあるので、そこはしっかり押さえるべきと意識しています。

何が変わって、何が変わらないのかをきちんとお伝えしないといけないので、1人ずつ時間をいただいてミーティングをしました。「給料が下がるんですか」「社長はすぐに辞めるのですか」など、従業員さんの懸念になりそうなことや、関係のあることを一人一人としっかり対話します。今回も、初日に全員面談を実施しました。

藤田

しっかりご面談をされたことで、やはり今回、誰一人として離職される方がいなかったと伺っております。

野見山

そうですね。本当に私たちがやりやすいよう、安田様に立ちまわっていただいたおかげです。本当にありがたいですね。

藤田

私の視点からすると、ご成約に至るまでも、成約後も本当にスムーズに話が進んでいったものと受け止めています。両者とも当初から提示されていた条件が変わらず、最後まで話が進んでいったのも非常に良かったと思っています。

安田

今年4月にM&Aが成立しましたが、弊社の決算は9月だったので、みんなで「今までにないような成果を見せようではないか」と頑張った結果、今期は過去最高の売上を達成。事業承継ができた、この年に一番のピークを迎えることができました。やはりセイワホールディングスさんに、“うちはこれだけ頑張った”と見せたかった。経営体制が変わっても、従業員のモチベーションは上がり、結果も出せる組織力を評価していただきたかったですね。

うちは、決算賞与制度を設けているので、今回は野見山さんと井川さんに無理を言って、同じように出していただきました。それで従業員もすごく安心したのですね。これまでと変わらないということを確信し、定着したと思っています。

奥様

たくさん賞与を出してもらえたので、みんな、ものすごく喜んでいました。従業員の奥さんからも、「野見山社長にお礼をお伝えください」と言われました。

野見山

今年は50期という節目なので、良い期にしたいと思っていました。営業にも力を入れていこうと話をしていますし、原価管理のプロジェクトも進めています。さらに今後を担える人材の選定も進めている段階です。直接、お客様の声を聞くことは重要ですので、現場に入ってもらい、それこそしっかり営業もやってもらおうと考えています。その中で、この会社は何が強いのか、何が今後の改善の種なのかを見つけることができますし、そういう社長であるべきです。

M&A仲介は、とても繊細な仕事

交渉が進む中、M&Aキャピタルパートナーズはどのようにお役にたてたのでしょうか。また藤田さんのようなM&A仲介役の介在価値についてどのようにお考えでしょうか。
安田

藤田さんがお一人で最後まで面倒を見てくださったのは本当にありがたかった。こちらの事情もすべてわかってくださいますし、お相手に対して「こうしてほしい」ということもすべて伝わりました。藤田さんのお人柄が良かったので、すぐにうち解けましたし、我々が言葉にしない思いまでも通じ合えたような気がします。だから、このように比較的早く話がまとまったと感謝しています。

奥様

私たちが知らないところで、藤田さんは相当頑張られたのだと思います。「藤田さんでなかったらできなかった」と、野見山さんと井川さんともお話させていただきました。本当に感謝しています。

井川

実務的に言うと、藤田さんと一番やり取りをさせていただいたのは私かと思います。M&A仲介会社には、色々な方がいらっしゃいますし、仕事柄、これまでも多くの方とお話をしてきましたが、藤田さんは大変誠実な方だなと感じました。我々は、譲り受ける側としての経験が何回もあるので、ある程度の情報や、方法を知っています。これは個人的な意見ですが、M&A仲介会社はどちらかというとオーナー様に寄り添った上でバランスをとっていただいた方が結果的にうまくいくと思っています。そこをしっかりやっていらっしゃったと感じています。

野見山

M&Aは、譲渡側の経営者にとっても譲受側にとっても、非常に重要な行為になるので、細かいことが気になります。例えば、話し方一つ、言葉尻一つ、メールの文面一つとっても私はとても気になるのですね。なぜなら、オーナー様が大事にしていること、価値観、会社のことをどのように表現するか、どのように一緒にやっていくのかなど、細部にわたって配慮が行き届かなければならない、繊細な仕事だと思います。藤田さんは、とても丁寧にお仕事をしてくださり、我々としても本当に良い担当者に出会えたと思っています。

株式会社セイワホールディングスのお二人から、今後の展望についてお聞かせいただけますか。
株式会社セイワホールディングス 野見山 様 井川 様
野見山

日本計器自体は、このような困難な時代の中でもずっと右肩上がりです。こんな会社は、なかなか見当たりません。堅調に事業を成長させて、従業員の待遇向上もできています。ですから、今後はより業界の中で認知度を上げていきたいと思いますし、そのために一緒に、新しいお客様に気に入っていただけるよう、まずはしっかりやっていきたいと思います。

もう一つは、管理体制の整備です。具体的に今まで見えなかったものを見て、誰でもできることを増やしていきたいと思います。会社として重要なのは、今後、誰がどのように方向性を作るか、後任メンバーを決めていくことだと思っています。ここは安田様ご夫妻と一緒に相談させていただきながら考えていきたいですね。私自身もきちんと力添えできると思っていますが、新しいメンバーをしっかりと根づかせて、お二方が安心して大丈夫だと思っていただけることが、我々にとっての次のスタート地点になると思っています。

井川

思いや綺麗ごとだけでは、やはり事業は成立しません。この思いを大切にしながらも、5年後、10年後、外部環境がどうなるかわからない中でも、体力を持って生きていけるような骨太な会社を目指します。その実現のために、財務基盤の強化と持続的な成長を可能にする人材基盤を作っていきたいですね。

ありがとうございます。最後に、安田様、野見山様から、これからM&Aを検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。
安田

会社を続けていくならば、早いうちに決断をして、次のステップに移していくべきです。歳を重ねると判断力が鈍ってきます。若いエネルギーをもらいながら変わっていくほうが、従業員もさらに力を発揮するのは間違いありません。会社を発展させるため、若い力を高めるためにも、M&Aは非常に威力があると実感しました。新しい風を吹かせていくためにM&Aは必要不可欠です。

野見山

あまり私は人にM&Aをおすすめしません。とても大変なことで、正直言って、毎日良いことばかりではありません。企業を成長させ、利益が出たら新しい投資ができたり、新しい人材に還元できるという意味では、M&Aはその会社が資産や人材など今まで持っていなかったものを自社のグループに取り入れることができるので、非常に効果的な戦略ではあります。その一方で、オーナー様が大切にしてきた思いや、従業員の皆様が大事にしてきている文化を、どのように継承していくのかが課題になってきます。要するに、生半可な決意で進めるものではないということです。とても意義のある活動だと思っているからこそ、私は強い意志を持って取り組ませていただいています。もちろん大変なことがある分、とても大きな喜びも感じています。

藤田

先ほど仲介者に対する過分なお言葉をいただき本当に感謝しています。私は何か特殊な能力があるわけではありません。ご縁に恵まれ、最初にお会いできたのが安田様だったからこそ、M&A後も順風満帆な人生を安心してお過ごしいただきたい、一生懸命に頑張りたい、と勝手に思っていたに過ぎません。そのためには、何よりも安田様のお考えを深く理解し、相手先の紹介だけでなく法務・財務・税務面のサポートも万全に行う必要がありました。安田様の誠実で深いお人柄に私が心打たれ、安田様・従業員様・会社のために事業承継のお手伝いをしたいと、心から感じ、成長の機会をいただけたと感謝している次第です。

また、昨今日本経済に関して暗いニュースが数多くある中、上を向き強いパワーで頑張られているセイワホールディングス様にも感銘を受けながらやる気にしていただき、私は恵まれたと思っています。この仕事の良いところは、関係者の方々皆様の幸せを実現できる点です。M&Aは従業員さんも、お取引先も会社も、譲渡側も譲受側も、皆様から喜んでいただき、さらに社会意義のある仕事だと思っています。これからも多くの皆様のお役に立てるよう邁進していきたいと思います。


(左から)弊社藤田、安田様ご夫妻、野見山 様、井川 様

文:伊藤 秋廣   写真:鈴木 厚志  取材日:2022/10/20

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