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M&Aご成約者事例
#61

株式会社マルイチ 代表取締役社長 安本 重一
株式会社SHOTEC 代表取締役社長 三田 将也
株式会社マルイチ
代表取締役社長
安本 重一

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株式会社SHOTEC
代表取締役社長
三田 将也

家族で守ってきた優良“モノづくり”企業を次世代へとつなぐM&A

今年81歳を迎えた安本重一氏が、今から50年前に創業した株式会社マルイチ。自らが考案し、300種類の特許を取得している屋根材金具の製造販売会社として、業界内で知らない人はいないほど有名な製品を製造する。名だたる大手企業との取引のなかで着実に事業を拡大し、確かな実績と信頼を積み重ねてきた優良企業が、なぜM&Aを決意することになったのか。創業者である安本重一様、その妹で経営をささえてきた上中野順子様、そして譲受側の株式会社SHOTEC代表取締役社長の三田将也様、副社長の三田佑香様に、これまでの経緯と未来についてうかがった。

アイデアをカタチにした製品が淀川製鋼所に採用される

まずは安本様が、株式会社マルイチを創業された経緯からお話しいただけますでしょうか。
株式会社マルイチ 代表取締役社長 安本
株式会社マルイチ 代表取締役社長 安本 重一様 (以下、安本)

若いときには親の仕事を手伝いながら、粘板岩を用いて作られるスレート屋根の付属品を作っていました。その時は十分に生活ができていたのですが、いつかは時代遅れになるのでないかという心配がありました。そこで30歳の頃に起業しました。当時はスレート屋根が主流の時代だったのですが、金属の板を折り曲げ加工した折板屋根が出てきたので、折板屋根に対応する金具を作ってみようと考えました。一応、当時も専用の金具はあったのですが、板に当たり音が発生してしまうという問題がありました。その問題を解決できる仕組みを考えたのですが、最初に作った製品は、なかなかうまくはいきませんでした。それでも“何か新しい仕事を立ち上げるときには苦労するものだ”とわかっていたので、諦めずにコツコツと改良を加えていきました。

妹さんが、事業を手伝うようになったのはどのタイミングだったのですか。
株式会社マルイチ取締役 上中野
株式会社マルイチ取締役 上中野 順子様(以下、上中野)

私が会社に入ったのは、兄が起業してすぐの頃です。なかなか製品が売れずに在庫を積んでいた時代でした。しばらく間は売上も上がらず苦労していましたが、“いつかは売れるだろう”と信じていました。アイデアマンである兄に対する期待もあったのだと思います。しばらくして兄の努力が実ります。2つ目に作ったコンパクトな二重折板の金具が鉄鋼大手メーカーの淀川製鋼所の目に留まり、評価されることに。そこから潮目が大きく変わりました。

安本

私は自分で考えて、新しいものを作ることが好きなのですよ。その製品のアイデアは突然生まれました。淀川製鋼所に採用される以前に試作品を作ってみたのですが、より良い製品にするために、夜中まで考えて改良を加えていきました。とにかくお金を稼ぐために必死になっていたのです。

上中野

そこから良い製品がどんどん生まれていきました。淀川製鋼所だけでなく、他のお客さんも使えるような製品も作っていったのですが、すべて社長である兄のアイデアでした。するとどんどん業界内で会社の名前が勝手に知られていきました。品質も良いし、その頃にはまだ他に同じような製品がなかったので、どんどん広まっていきましたね。今世の中に出回っている屋根断熱金具の多くは、兄が開発したものがベースになっていると思います。

安本

我々が作る金具は、熟練した職人でなくても取り付けられるようにできています。それも良かったのでしょう。さらにマルイチの金具を使った屋根で、台風などの強風で飛ばされたという話は聞いたことがないです。その信頼性も評価されていました。しっかり特許を取得したので、他社に真似される心配もなく、私たちの製品は業界内でどんどん採用されていきました。また、メンテナンス用の金具など、関連商品も開発し、右肩上がりでシェアも拡大し続けていきました。

信頼できる人からの助言が決め手に

安本様を中心に、ご家族で着実に成長させてきた会社です。どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょうか。
安本・上中野
安本

年齢を考えると、そろそろ事業承継を考えたが良いと思う一方で、まだまだ自分でやりたいという気持ちもありました。しかし周囲からは心配されていたようです。

上中野

私の中でも“会社を今後どうしようか”という悩みはありました。兄も私もまだ元気なうちに辞めて、自分たちの好きなことをしても良いのではないかと思ったこともありました。家族や社員全員に「継ぐなら継いでほしい」と声を掛けましたが、誰も継ぐ人はいません。誰も会社を継がないと分かっても、だからといってどうすべきかが分からず、話はそこで止まっていました。

その頃から、M&Aに関するダイレクトメールがさまざまな会社から来ていましたが、そもそもM&Aが何なのか、 会社を譲り渡すということもわかりませんでした。開封しないで捨てていたのですが、たまたま銀行の担当者と話しているときに「廃業するのではなくM&Aを検討したほうが良い」と言われていて、“そんな考えもあるのか?”と、顧問税理士に相談してみました。

そして、仲介会社に頼むのであれば、信頼できるM&Aキャピタルパートナーズに相談してみたらとアドバイスをもらいました。その税理士の先生が非常に信頼できる方だということもありましたし、偶然にもM&Aキャピタルパートナーズから案内のハガキが来ていたこともあり、まずは話を聞いてみようと思いました。

安本

税理士の先生にM&Aキャピタルパートナーズの大木さんを紹介してもらいました。大木さんはとても若くて驚きましたが、目が澄んでいて嘘をつかず、とても誠実な人だと思えました。

上中野

大木さんからM&Aについて教えてもらいましたが、100%理解ができたわけではありません。それでも話を進めようと思ったのは、税理士の先生に勧められていたこと、担当の大木さんも良い人だと感じていたことが理由です。“この2人が言うのであれば、間違いないだろう”と思えました。

ここからは、担当の大木さんも交えてお話を伺います。
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 大木
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 大木 一樹(以下、大木)

ありがとうございます。先ほど上中野様からお話のありました税理士の先生とお仕事をご一緒した縁から、今回、お二人に「M&Aについて説明をしてほしい」ということでご紹介していただくことになりました。当然ながらお二人はM&Aについてこれから理解していこうという状態でした。M&Aについてはネットで調べたり、知り合いに聞いたりすることでは適切で網羅的な情報は得られません。ケースバイケースで、それぞれのオーナー様にとって最良な選択肢があると思います。そのうえで、マルイチはたいへんすばらしい会社ですが、社内のご状況をお聞きすると事業承継課題を抱えていらっしゃることが分かり、ご親族やご従業員に承継されるよりもM&Aが最適な選択肢になりうるのではないか、それがマルイチと安本様だけでなく、ご従業員様やお取引先にとっても最良なのではないかと考えました。また、何よりも “この会社をこのまま潰してはいけない”と強く思い、何とか私ができることでお力添えしたいと考えました。

上中野

大木さんと税理士の先生が何度も足を運んでくださって、丁寧に説明されているうちに、“M&Aをすれば自分たちの会社が存続するかもしれない”と思えるようになりました。それだけ時間をかけてくださったことに感謝しています。

最初の面談で“この人なら間違いない”と直感的に思った

ここからは、譲受企業である株式会社SHOTECの三田将也様と奥様の佑香様にも参加いただいて、お話を聞かせていただければと思います。まずは事業のご案内からいただけますか。
株式会社SHOTEC 代表取締役社長 三田
株式会社SHOTEC 代表取締役社長 三田 将也様(以下、三田)

SHOTECは主に建物の骨組みを作っている会社です。私が24歳の頃に独立し設立しました。夫婦ではじめたので、溶接などの作業も2人で行っていました。やがて金物工事から鉄骨工事、建築工事へと事業を拡大し、今は保育園の運営も手掛けています。新しい事業に挑戦し続けてきたのは、やはり自身と社員の成長を意識してのことです。“なんでもやってみよう”の精神で経営を進めてきました。

保育園の運営もされているのは、たいへんユニークですね。
株式会社SHOTEC 代表取締役社長 副社長 三田 佑香
株式会社SHOTEC 副社長 三田 佑香様(以下、佑香)

私自身、こだわりがあって鉄工所を経営しているわけでなく、偶然、結婚相手が鉄工所を経営しているから私も携わっているだけのこと。業種や業態は関係なく、柔軟に新しい事業にチャレンジするべきという考えを持っています。鉄工所がある程度大きくなってきたので、他の事業にも挑戦できるのではないかと思いました。もとはと言えば、SHOTECで働いている優秀な女性社員のために子供を預ける場を用意しようと考えたのですが、手ごたえを感じ、本格的に保育所運営に乗り出したという流れです。

三田

M&Aに興味を持ったのも同様に、“挑戦することが成長につながり、その成長の姿が幸せである”という思いがあったからです。とにかく、何かに挑戦することがとても好きで、時にはノープランで物事を進めてしまうこともあります。やったことがないことの経験値が上がることに喜びを感じるタイプなので、好奇心のアンテナを張り巡らし、そこで見つかったのがM&Aでした。

マルイチの情報を目にしたときにどのように感じましたか。
佑香

この会社が手掛けているものは私たちもよく知る商品でした。特許をたくさんお持ちで、従業員も長年勤めている方ばかり。安定した優良企業のイメージを持ちましたので、譲渡を検討されていることが、正直信じられませんでした。

三田

そうですね。私たちが資料を拝見したとき、社名は非公開で「屋根金物の製造販売」という説明書きだけがありました。業種的に私たちに近いものを感じたので、詳細を見てみると、自分たちが仕入れたことのある金物が載っていて驚きました。ちょうど新しい事業を考えていたのですが、この会社だったら私たちが求める部品を作れるかもしれないと、自分の中で夢が膨らんだのを覚えています。

大木

お互いに資料を見ているとは言え、会社の中身は人です。やはり重要なのは、どういう方がどんな想いで経営しているかという人の話になるかと思います。マルイチが製作した商品を現場で取り扱ったことがあるSHOTEC、両社の事業面における近さもありましたが、方向性や想いなど、目には見えない重要な部分を踏まえても良縁になるのではないかと感じました。対面して、お互いを知っていただきたいと思い、資料を見ていただいた翌週にすぐトップ面談をセッティングしました。

トップ面談の際に抱いた、お互いの第一印象を教えてください。
三田・佑香
三田

面談場所がホテルの会議室ということもあって、私自身、とても緊張していたのですが、安本社長は最初から冗談を言って空気を和ませてくれて、すぐに緊張が解けて話が弾みました。

佑香

そうですね、初対面であるにもかかわらず、“昔からの知り合い”という感覚になりました。面談後には、もう“マルイチと一緒になりたい!”という気持ちが100%になっていました。そして“もし選んでいただけた場合は、とにかく誠実にこの会社を引き継いで守っていきたい。その責任を果たしたい”と強く思いました。なぜ、そこまで強く思ったかというと、面談を通して安本社長のモノづくりに対する情熱を感じたからです。まだお話が決まっていたわけではないのに、“この会社をしっかり守っていかなければならない”という責任感を覚えました。

三田

私たちも独立して、一から自分たちで作り上げてきた会社なので、素晴らしい会社が世の中から無くなってしまうと想像したら、とても寂しい気持ちになりました。安本社長の立場になって考えたときに、我々がこのマルイチという会社を承継すべきだと考えました。

 

安本

私も最初の面談で、三田社長の顔を見て、“この人なら間違いない”と直感的に思いました。そしてすぐに“この人に任せよう”と考えるようになっていました。

上中野

面談の時に、奥様の手を一目見て“働き者の手”だとわかり、すっかり惚れこんでしまいました。私も兄同様、第一印象で、“私たちの会社を託すならこの人たちだ”と思いましたし、同席された税理士の先生も同じ意見をお持ちでした。

面談時のご様子については、大木さんの目にはどのように映っていましたか。
大木・上中野
大木

両社にとって初めての面談でしたので、まずはこれまでのご経歴や事業内容などをお話しいただくような堅苦しい進め方を考えていました。ところが、開始直後から安本様の冗談話から始まり、場の雰囲気は一気に和やかに。私の考えていた流れには全くなりませんでしたが、それ以降も終始良い雰囲気で、両社のお人柄や大事にされている想いについてもしっかり理解いただける非常に良いご面談であったことを記憶しています。

面談後は両社とも100%前向きだったこともあり、事務的なことは私が巻き取って、この良縁をなんとか成立させなければと思いました。M&Aは財務・税務・法務・労務等、細かい資料をたくさんご用意いただく必要があり大変な作業だったと思いますが、最後までみなさんが“一緒に走ってくださった”、まさにワンチームとなって今を迎えていると感じています。非常に感謝しています。

上中野

そうですね。資料作りは確かに大変でしたが、分からないことがあれば大木さんに聞いたり、税理士の先生に聞いたりしながら進めました。お二人のバックアップが大きかったと感じています。

最後の最後に運よく、素晴らしい出会いがあった

成約時の率直な気持ちをお聞かせください。
安本
安本

正直、寂しい気持ちはありました。しかしもう、年齢も年齢ですので、割り切らなければとも思いました。

三田

あまりにもテンポよく話が進んだので、大木さんには冗談で「ついていけないかも…」などと言っていました。恐らく、ご縁があったからこそこれだけ早く、順調に手続きが進んだのだと思います。結婚と同じですよね。成約時は“責任をもって頑張ろう”と改めて覚悟が固まりました。

成約後は会社や事業を理解するためにと、何度もマルイチに訪れ寝泊りもしています。来てみると驚くことの連続です。仕事をしようとパソコンを持ってきたのですが、どれだけ探してもWi-Fiが飛んでいない…。そんなところからのスタートでした。でも、それが新鮮でしたし、改革を進めるうえでやりがいを感じています。


経営実務に関して、すべて上中野さんの頭の中に情報が入っていることに“すごい”と驚きました。逆に、Excelなどにまとまっているわけではないので、それを一つひとつ上中野さんに丁寧に教えていただきながら理解を進めている段階です。手書きの見積書など、昔、自分の母が記入していたのを思い出し、懐かしい気持ちになりながら教わっています。

佑香

本当に驚くことばかりで、マルイチの経営にやりがいを感じています。

M&Aキャピタルパートナーズはどのようにお役立ちになりましたでしょうか。
安本・上中野・大木・三田・佑香
佑香

とにかく大木さんは人柄が良いです。「M&Aキャピタルパートナーズ」という社名のイメージからすると、ツンとした人が来ると思っていたのですが、ハートフルな人で安心しました。

三田

最初に会ったときは丁寧すぎて堅い人なのかもと感じましたが、何度か会うたびに“しっかりしている人”というイメージに変わっていきました。また、大木さんは公認会計士の資格を持っていると聞き、とても立派な人が担当になってくださり安心してお任せできると感じました。何もかも完璧な大木さんでしたが、最後の成約式のときにちょっとした忘れ物をされて、それを見て人間味を感じホッとしました。

安本

本当に大木さんが担当で良かったと思います。長年の友だちみたいな感覚です。

上中野

良い話ばかりを言うのではなく、とても正直に接してくれて、それがとても良かったです。きれいごとばかりでは逆に疑ってしまいますよね。

ありがとうございます。最後に、皆さまから、これからM&Aを検討する経営者の方々にメッセージをお願いします。
三田

M&Aは“きっかけ”です。今回、M&Aを通じて、いろいろな人と知り合えたことが何よりも楽しく感じました。安本社長や上中野さん、大木さんと出会えて本当に良かったと思っています。

佑香

本当にそう思います。違う場所で生きているので、今回のことがなければ知り合わない人達でした。この出会いをくださったM&Aキャピタルパートナーズに感謝しています。

上中野

相手が三田社長でなかったら、今回のような良い結果になっていなかったと思います。それだけ相性の良い出会いだったと思います。

安本

人間には持って生まれた運というものがあります。どれだけあがいてもダメなものはダメだと思いますが、それでも努力は続けなくてはなりません。私たちもこれまで、長い間、努力を続けてきましたが、最後の最後に運よく、素晴らしい出会いがあったと思っています。つないでくれた大木さんには感謝しかありません。

大木

皆様がもはや家族のような関係になられていて、私としても非常に嬉しく思っています。最初の段階から良縁だと思いましたので、スムーズにご縁を紡げられるよう、誠心誠意対応させていただいたつもりです。正直な気持ちで接していたので、中には失礼なこともあったかと思いますが、それにも嫌な顔ひとつせずに、最後まで一緒に走ってくださいました。

私がこの仕事をはじめたのは、父親が働いていた会社が廃業して苦しい思いをしたことがきっかけです。安本社長はまだまだお元気ですが、三田社長に引き継いだことで、今後10年、100年とこの会社が残っていくかもしれない、その可能性が生まれました。そうすれば従業員の方々も取引先も、そのご家族もご安心いただけるのではないかと思います。今回のご縁組によって、それが実現できたとしたら、私としてもたいへん嬉しく思います。ありがとうございました。

(左から)弊社、様、様

(左から)弊社アドバイザー大木、三田様、佑香様、安本様、上中野様

文:伊藤 秋廣   写真:鈴木厚志  取材日:2023/6/9

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 大木 一樹

    企業情報部主任大木 一樹

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人、外資系コンサルティング会社に入社。
    大手企業に対する会計監査や経営コンサルティング業務に従事。
    その後、世の中を支える中堅中小企業の発展と継続に、より一層寄与したいという思いから、M&Aキャピタルパートナーズに参画。
    当社入社後、製造業からITベンチャーまで幅広い分野にてM&A支援実績を有する。

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