出演 ピースオブシャイン株式会社 沼辺 亜利紗 夫人
創業から9年、化粧品メーカーとして独自の商品力と顧客からの高い支持を誇るピースオブシャイン株式会社は、2024年12月、業界大手の日本精工硝子株式会社との資本業務提携を発表しました。
創業者である沼辺大地社長を公私にわたって支えてきた、副社長の沼辺亜利紗様にお話を伺います。ご自身も美容が大好きで、SNSでの情報発信や商品開発にどのように関わってこられたかを語っていただきました。
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美容と接客の仕事が手繰りよせた出会い
結婚するまでの亜利紗様のキャリアについて教えてください。
美容室での勤務のあとは、百貨店の化粧品売り場で販売員をしていました。幼い頃から母の化粧品やスキンケア用品に興味津々で、こっそり試すような子どもだったのです。美容好きな母の影響で、自然と「美容に関わる仕事をしたい」と思うようになっていました。
百貨店で扱っていたのは、年齢層が高めの方をターゲットとしていたブランドだったため、一緒に働く先輩には母より上の世代の方もいました。初めのうちは失敗も多く、厳しく指導されましたね。あまりの大変さに退職を考えた時期もありますが、父から「すぐに諦めるな」と強く叱咤されたことは、今も忘れられません。
接客技術に磨きをかけ、商品について猛勉強するうちに、お客様から信頼していただけるようになりました。すると売上も伸びていき、やりがいを感じられるようになりました。
社長である大地様とはどのように出会ったのですか。
夫は化粧品ブランドの営業課長として、いくつかの店舗を管轄する立場にありました。私が所属していた店舗も、夫の担当だったことが直接的なきっかけです。
若い販売員がブランドの課長職と話す場面はまずないのですが、同僚についての相談事があり、それがきっかけで少しずつ会話するようになりました。それまで仕事上の上司としてしか見ていなかったはずが、自然と距離が縮まっていき、交際そして結婚へと進んでいったわけです。
年齢的に若かったと思いますが、すぐ結婚を決断したのですか。
当時、22歳だったと思いますが、結婚願望が強かったのです。今ならもっとじっくり考えたかもしれませんね(笑)。夫を想う気持ちも強かったですし、年齢差が11歳あるので落ち着いて見えました。
結婚後は千葉へ引っ越すことになり、都内への通勤が大変でした。夫から「きつい思いをさせたくない」と言われ、近くのエステサロンに職場を変えています。美容を追求するお客様と接する日々は、とてもやりがいのあるものでしたが、やがて長女の妊娠がわかったのです。
「いつか自分でビジネスに挑戦したい」
後押ししたい気持ちが強かった
ピースオブシャインの創業時のタイミングはどのようなライフステージでしたか。
下の娘が生まれて2ヶ月、長女もまだ3歳という時期でした。子育てとの両立に不安がなかったわけではありません。ただ、夫は以前から「自分の会社でビジネスに挑戦したい」と言い続けていたので、心の準備はできていたかなと思います。
夫は、既に化粧品会社を退職して、親孝行を考えて親の家業の経営を手伝っていましたが、状況が変わり、夫としては起業する意志が固まったのでしょう。私も応援したいと思っていました。
育児のかたわら、亜利紗様はどのように貢献しようと考えたのですか。
広告を出す資金もなく、スタッフも最初は夫と2人だけだったので私が中心になり、SNSを使った地道な広報活動を始めました。美容が大好きで、ブログなどでメイク情報を発信していた経験を活かせると思ったからです。
まずは自分が気に入った化粧品を試して、その情報を発信するのですが、当時のフォロワーはほぼ友達のみで、投稿を見てくださる方もほとんどいませんでした。化粧品を買うお金ばかりが出ていく状態で、先行きが見えなくて不安になったこともあります。
現在Instagramで6万7千人ものフォロワーがいる様子からは想像できません。
SNSも今ほど活発ではなかったので、心が折れそうになることも多かったです。アイメイクの投稿をしても全然反応がなくて。それであるとき、メイク動画を撮影することにしました。
私の性格上、真面目な表情では撮れなくて、つい「変顔」のスイッチが入ってしまったのですが、これが予想外に好評だったのです。下の子を抱っこひもで抱きながら撮影していたことも、同世代のママさんに共感を呼んだみたいで、この辺りから急激にフォロワーが増えていきました。
着眼点と開発力。夫婦の強みがヒット商品を生み出す
新商品も亜利紗様のアイデアから生まれることが多いと伺いました。
私自身が使いたい、手に入れたいと思う商品を世に送り出したい思いが強いので、何か思いついたら必ず夫に伝えるようにしています。
特に思い入れが深いのは、最初のまつげ美容液です。これはまさに、当時の私自身の悩みから生まれた商品でした。出産後は授乳中に栄養が取られてしまうせいか、まつげが抜けやすくなって悩んでいました。
しかし市販のまつげ美容液は、成分の問題で授乳中は使えなかったり、目が赤くなったり副作用が強いものが多かったのです。多くの人が安心して使える商品を作れないか、主人に相談したのがきっかけでした。
大地様が開発した美容液の効果はいかがでしたか。
夫は素晴らしい商品を作ってくれました。効果が高くて、しかも「副作用がない成分の組み合わせを独自に開発できたことが勝因だった」と言っていましたね。
ただ、まつげはすぐに生えてくるものではなく、効果を実感できるまでには3ヶ月ほどかかります。私はもちろん、友人にも試してもらい、みんなに喜んでもらえたときは本当にうれしかったです。全員から良い反応が得られたことで、「これなら売れるはず」だと確信も得られました。
実際に私が商品を使って、SNSで紹介することで口コミが広がっていく流れもできましたし、利用する女性目線でその後の開発を続けたことが大きな支持を得られた要因ではないかと思います。
開発力と宣伝力の歯車が嚙み合って業績は順調だったのですね
私は心のなかで、絶対にこのままうまくいくはずがないと言い聞かせていました。3、4年もすれば必ず下がる時期が来るだろうと。だからこそ、新規のお客様を増やし続けることや、信頼関係を築くことを意識していました。
実際にその予感は当たり、いわゆるインフルエンサーが化粧品をプロデュースし、自ら宣伝するビジネスモデルが増えてきました。そこにコロナ禍で追い打ちをかけられて、定期購入の解約が相次いだのです。
特に在宅勤務でメイクをしない人が増えた時期は、クレンジングと洗顔は必要ないという声も多かったです。そのときも、下を向いていても仕方ないので「自宅でできるセルフ美容」など発信する情報の内容を変えて、時流にあったテーマを工夫しました。
今思えば、このままうまくいくはずがないと予期していたことや、社長を信頼していたので慌てずに次の一手を考えるようになっていたのかもしれません。
慎重で現実主義な社長と楽観的な副社長のバランス
亜利紗様は何が起きても動じないタイプにお見受けします。
基本的にポジティブな性格で、何かあっても「また盛り返せばいい」というスタンスかもしれませんね。一方、主人は大黒柱として会社と家族を支えているので、とても慎重に物事を考えるタイプです。
売上が伸び悩んだときも、私は「いざとなれば私が働けばいい」と口にしますが、夫は従業員や取引先のことも頭に浮かべて真剣に考え込みます。私と性格が違う現実主義者だからこそ、お互いを補い合えているのではないでしょうか。
プライベートの様子も教えていただけますか。
夫は子育てに積極的で、休日は必ずファミリーサービスをしてくれます。育児は私が6割、夫が4割くらいのバランスでしょうか。とても良い関係だと思います。
おもしろいのは夫は10歳以上も年齢が上なのに、私が産んでいない長男みたいです。育ち盛りの子どものように食事の量が足りないと言いますし、身体を鍛えるのが好きで自分の筋肉を見せつけてきます。服装や髪型を何回も確認してくるのでわずらわしいこともありますが(笑)、家族思いでとにかく一生懸命な人ですね。
温泉旅行が大好きで、付き合い始めた頃から変わらない共通の趣味です。今でも「疲れを取りにスパでも行こうか」なんて言って、子どもたちと一緒によく出かけます。
初めてM&Aの可能性について聞いたときはどのように思われましたか。
最初に耳にしたのは3年ぐらい前でしたが、M&Aという言葉自体よくわからなかったのが本音でした。会社を辞めてしまうのか、私も職を失うのかなどと不安になったのは事実です。ただ、会社が大きくなっていくための選択だと聞いたので、前向きにとらえるようにしていました。
ここ数年は、夫にかなりの負荷がかかっている様子も見ていました。人員の面でも少人数では限界がありますし、資金的な余裕があるわけでもありません。私も、何か良い解決策があればいいなと思っていました。
私自身は数字が苦手で、経営や財務に関してはすべて夫の判断に委ねてきました。だからそこは夫の決断に従うつもりでしたが、あるとき夫から信頼できる方で資本業務提携先の方が「副社長にもご挨拶したい」と言っているから会ってほしいと言われたんです。
会社は新たなステージへ。
ゴールを決めずに前進したい
実際に日本精工硝子の幹部様と面会したときの印象を教えてください。
社長自身が信頼する人だから、私もはじめから信頼するつもりでした。話した印象としても、誠実そうだということは一目でわかりました。
夫からは、私は人を見抜く力があると言われていて、社員の面接などでもよく頼られます。だから今回の面会後も、私がどう思ったか、感じたかをとても重視していたんですね。私は感じたとおり、仕事をとにかく熱心にする人だという印象を夫に伝えました。
それに、これまでのピースオブシャインの歴史や商品力を褒めてくれたことがうれしかったです。今までの経緯を否定することも一切なく、もっとこうしたほうが良いといった苦言もありませんでした。「今まで通り、お二人がやりたいように全力で取り組んでください」との言葉にとても惹かれました。
SNSなどを通じて長年応援してくださるお客様との関係を大切にしていきたいという思いが強かったので、私たちのやってきた歩みを承認していただけたことは、私のなかで大きかったです。それを社長に伝えると、社長もとても安心した表情を浮かべていました。
M&A後、ご自身や社内の変化はいかがですか。
実は何も変わっていないんです。私は従来通りSNSでの発信に力を入れていますし、社長・副社長の連名でM&Aに関するリリースを出しましたが、立場にも仕事内容にも変化はありません。
社長が社員に説明した際も、正直に言って最初は何が起きたのか伝わっていないようでした。仕事のやり方はまったく変わらないことから、これまで通りお客様のために頑張ろうという話をしたので動揺はありません。
SNSでお客様から、「亜利紗さんはもう関わらなくなってしまうのですか?」との質問が寄せられましたが、これからも今まで通りだとお伝えすると安心されます。ほかにも「会社が大きくなることを祈っています」という温かい言葉もかけていただきました。
今後、ご自身が取り組みたいことについてお聞かせください。
お客様と直接お会いして、「感謝の気持ちを伝える機会を持ちたい」と考えています。これまで9年間の積み重ねのおかげで、多くのお客様、しかもリピーターになってくれる方々にピースオブシャインは支えられてきました。
これまでも、百貨店などでのポップアップやファン向けイベントの開催を望む声をいただいてきましたが、人員や予算面からそのような機会を作れませんでした。例えば、特別なお客様を中心にホテルへお招きして、コース料理を提供しながら直接お話しする機会をぜひ作りたいと思っています。
販売量を増やすことだけ考えたら、有名なインフルエンサーを呼んで商品を提供し、その見返りに宣伝していただくような手法も有効かもしれません。しかし、私たちは長年ピースオブシャインを愛してくださっているお客様を心から大切にしていきたいと考えています。
会社として今後の目標は定めていますか。
私は、あえてゴールを定めたくないと思っています。これは仕事だけでなく、家庭でも娘たちに伝えていることなのですが、伸びしろをずっと持ち続けてほしいからです。人生も、会社も、目標を達成すれば満足などと思ったらつまらないですよ。
だから会社としても、さまざまな商品づくりに挑戦していきたいです。スキンケアにとどまらず、メイクや美容に携わるものを幅広く開発したいと思います。仮に失敗しても、とにかくトライしてほしいと社長にも話しています。
子育ても同じです。私自身が自由に育てられた影響もあって、娘に対して勉強しなさいなどと干渉はしていません。今はダンスに夢中ですが、何か長けていることがあれば、きっと楽しく生きられるのではないかと思います。小学生なのに、かなり前から私のコスメやメイクに興味津々で、自分でメイク動画を撮影して楽しんでいます。美容好きなのは、私の母から3代続く遺伝ですね。
今回の件で大地様とはどのようなお話をされましたか。
何か改まって話をするのは苦手ですが、大きな節目には夫に手紙を書くようにしています。子どもが誕生したときや、結婚10周年、そして今回の資本業務提携がまとまったときにも手紙を贈りました。
内容は「家族のために、いつもスーパーヒーローでいてくれてありがとう」という感謝の気持ちから始まり、「これからもやりたいことにチャレンジしてほしい」とエールを送るものでした。ご縁のおかげで会社としても新しいステージに進むのだから、家族の存在を理由に守りに入ってほしくないですよね。
夫自身とても努力していて毎日頑張っていますが、まずは健康が一番大切と言い聞かせながら、これからも一緒に歩んでいけたらと思います。
担当アドバイザーが語る、
沼辺亜利紗さんの素敵ポイント
亜利紗様とお話をしていると、根っからの美容好きだということが伝わってきます。ご自身でさまざまな商品を試して、「本当に良いものだけを情報として届けたい」という実直さのある方です。自社製品でなくても、伝える価値があると思った商品をわかりやすく、自分の言葉で表現してきたからこそ、何万人ものフォロワーの皆さまに支持されているのでしょう。
数字が苦手で自分は宣伝しかできないと謙遜されますが、広告予算のないなかで、懸命に情報発信の工夫を続けてこられた姿は、会社と大地社長にとってこのうえなくありがたい存在だったに違いありません。
また、美へのこだわりを強く持ちながら、破顔一笑という言葉がぴったりなほど、表情豊かに喜びや楽しさを表現します。素直でありつつ、人を惹きつける天性の魅力にあふれ、大地社長を精神的に支えていることも容易に想像できました。社長を尊敬する一方、ご子息のように接する夫婦関係も素敵で、あこがれのご家族だと感じますね。
今回のご縁を通じて、ピースオブシャインとご家族の皆さまがますます発展されることを確信しています。今後とも、変わらぬお付き合いをいただけたらと願っております。
担当アドバイザー
- 企業情報部 部長 井野 幹也 米国公認会計士
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- 米国の大学を卒業後、Big4(世界4大監査法人)にてメガバンク及び大手証券会社などの金融機関向けの会計監査・コンサルティング業務に従事。
その後、外資系メーカー(ファイナンス部)、Big4系FAS(投資銀行業務・FA業務)、投資ファンド(プライベートエクイティ)などを経て弊社入社。現在は、金融・物流・飲食・コンサルティング・建設・工事業界など、幅広い業種のM&A案件を手掛ける。
夫婦二人三脚で歩んだM&Aへの道
「お客様のために本当に良い商品を届ける」。
会社の安定性とマーケティング力を高め、
化粧品をより多くの人に届けるための決断
化粧品製造販売×株式譲渡
- 譲渡企業
- ピースオブシャイン株式会社
代表取締役 沼辺 大地
- 譲受企業
- 日本精工硝子株式会社
安心安全かつ品質重視の化粧品開発から販売まで一貫して行ってきたピースオブシャイン株式会社。2024年12月、同社はさらなる顧客満足度や認知度向上、業務拡大のため日本精工硝子株式会社とのM&Aを選択した。その経緯と今後の展望についてピースオブシャイン株式会社 代表取締役 沼辺 大地 様に伺った。
成約事例インタビュー
晴ればれ
社長を公私共に支え続けた社長夫人について取材し、M&A譲渡やM&Aによって感じられた変化など、
“社長夫人の視点”からのインタビューを「晴ればれ」としてご紹介しております。
「M&Aで見つめた家族の未来。」
家族と歩んだM&Aまでの道のり。
- 出演
- 株式会社Pros Cons
安部 恭子 夫人
AIを活用した外観検査システムを開発・提供する株式会社Pros Consの創業者・安部正一郎 様と公私ともに歩む安部恭子夫人です。
恭子様は企業に勤める傍ら、法務のプロフェッショナルとしてPros Consの法務や人事関連の業務も担っています。
「ラーメン二郎」をきっかけに出会い、起業してコアコンセプト・テクノロジーとのM&Aに至るまで、どのような思いで正一郎様を支えたのか。AIベンチャー経営の苦労や、M&Aを決断するまでの想い、そして今後の展望を伺います。
コロナ禍、そしてがん発覚。
夫婦で乗り越えたM&Aまでの試練の壁
- 出演
- 株式会社アロマヒーリング
大石 純子 夫人
「晴ればれ」第三回に登場するのは、東京都内を中心にエステティックサロンを多数運営する株式会社アロマヒーリングの経営者・大石基二さんを公私ともに支える大石純子夫人です。
医療法人田本会とのM&Aまでの道のりは、コロナ禍での苦しい経営や大石社長の病気発覚、2度のM&A検討など、決して平坦ではありませんでした。この度のM&Aでの譲渡に至るまでの出来事や当時の想いを伺います。
M&A成約実績
弊社では、創業以来、累計1,000組以上のお客さまをお手伝いしてまいりました。国内No.1の調剤薬局業界のM&A成約実績の他、多種多様な業界・業種において多くの実績がございます。



