

焼肉店のノウハウと想いを結集するM&A。
それぞれの歩んだ40年の歴史が従業員の未来を創る
株式会社むさしは、千葉県八千代市などで地域密着型の焼肉専門店として40年以上も愛される「焼肉店むさし」を運営する。長年組織を率いてきた創業者・長山強会長は、親族や社内での承継を模索した後、食産業に特化した事業承継を手がけるまん福ホールディングスグループの株式会社サンフレッシュミートとのM&Aを決断する。ともに焼肉の業態で歴史を積み重ねてきた両者が新たな一歩を踏み出すことになった理由、そして将来への展望について、長山氏とサンフレッシュミート代表取締役の水谷昌道氏に思いを伺った。
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譲渡企業
- 会社名
- 株式会社むさし
- 所在地
- 千葉県八千代市
- 事業内容
- 焼肉店の運営
- M&Aの検討理由
- 後継者不在のため
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譲受企業
- 会社名
- 株式会社サンフレッシュミート
(まん福ホールディングスグループ) - 所在地
- 東京都練馬区
- 事業内容
- 輸入、国産食肉卸業、食肉加工販売業等
- M&Aの検討理由
- 焼肉事業の強化および
食肉調達・加工機能とのシナジー創出のため
18歳で志した焼肉店の経営。今日までよりよいものを追求してきた
長山様のご経歴から教えていただけますか。

出身は奄美大島でしたが、兄が大学に行きたいと言い出したことがきっかけで、6人家族全員で都市部へ移住することとなりました。大阪そして横浜と生活の拠点を移したのですが、親戚筋にあたる不動産屋から店舗付きの物件を勧められた両親は一念発起してラーメン屋を始めることになったんです。このラーメン屋が軌道に乗ったおかげで、職人を雇えるようになり、私たちも学校へ通わせてもらえました。しかし、私が二十歳を過ぎたころ、両親が相次いで亡くなってしまい、このラーメン屋を閉めることになったのです。
私も「大学に行く」などと口にはしていたものの、もともと勉強があまり好きではなかったので、高校を出るとすぐに焼肉の見習いとして働いていました。親のラーメン屋をそのまま真似るつもりはなかったので、それなら焼肉だと決心しました。修業に入ったのは当時都内でも一流と言われた焼肉店で、ここで肉の切り方から仕入れなどといった焼肉のいろはを学びながら、1日も早く自分の店を持ちたいと心に決め、資金を貯めることにしたのです。
ご自身のお店を持った経緯についてお聞かせください。
1978年に(千葉県)船橋市にむさし1号店を出しました。私が28歳の時でしたが、こちらも両親の時と同じく不動産屋からの誘いがきっかけです。知り合いの不動産屋には以前から、自分の店をオープンしたいので、どこかによい物件があったら教えてほしいと話しており、そこで紹介されたのが、あるラーメン屋が営まれていた物件でした。
13.5坪と店舗面積は決して大きくありませんが、店を閉めることが決まっていたため、看板だけでなく什器や調理器具も、すべて残してもらえることとなりました。この時に、店の名前「中華料理634(むさし)」を、そのまま使うことで初期費用を大幅に抑えたのです。
なんと、むさしのスタートは焼肉店ではなかったのですね。
図らずも、両親と同じくラーメン屋を手に入れたのは不思議な縁を感じますね。手元の資金が心もとなかったので、とにかくラーメン店をスタートさせて軌道に乗せることを優先しました。とは言っても、ラーメンを作った経験はほぼゼロだったので、知り合いに頼み込んで、1ヶ月間ずっとラーメン作りを修業し、バイクを買って出前専門としてオープンしたのです。出前なら麺が伸びても、多少は言い訳が効くだろうという戦略だったのですが、予想以上に多くのお客様がついたおかげで貯蓄を作ることができました。
1年後、店を焼肉店の仕様に転換しようと、今度は閉鎖予定の焼肉屋を見つけ出して、テーブルや椅子、焼き台も無料でもらえる場所を探し当てました。冷蔵庫なども格安で引き取って、お金を極力かけない「焼肉むさし」が誕生したというわけです。
その後、店舗数を増やしていく戦略をとられたのでしょうか。
現在は3店舗を構えていますが、店舗数の拡大を目的としたことはありません。まず自前の人材育成ありきでやってきました。そうでなければ、同じレベルの店を揃えることができなくなってしまうからです。物件との巡り合わせもあり、1986年(昭和61年)には、八千代市内に100席を超える店を構えました。これが現在は、本店となっています。その後、成田、幕張にも店舗をオープンしています。特に幕張店は以前に洋食店だった建物で、焼肉屋としての改装費用だけで億単位の費用がかかりました。振り返れば、これら自社物件の返済にあたって資金のやり繰りには、ずっと頭を悩ませてきたように思います。
長年にわたって地域で支持され続けてきた要因は、どのようにお考えですか。

経営陣だけでなく、働いている社員、アルバイトスタッフまでもが「もっと美味しくしたい、もっと良くするにはどうしたらいいか」と、数十年にわたって追求し続けてきました。18歳でこの世界に身を投じた私も、70代半ばですが、今も美味しい焼肉の提供を考え続けています。
各店で継続している試みとして、週1回のミーティングで、お客様からいただいた要望やクレームをみんなでシェアし、どう対応するかを議題にしています。現在、社員15名のうち半数はアルバイト出身者です。それぐらい自社の経営理念に共感し、教育を受けた人材に店を任せることを心がけてきました。どの店舗でも同じ味を再現できることは、今も当社の誇りとしている点です。そのために待遇も大切にしてきました。昨今のように最低賃金の上昇が話題となる前から、店長職をはじめとする給与体系は、他の飲食店に見劣りしないように取り組んできたつもりです。
味へのこだわりについても教えていただけますか。
焼肉はまず肉とタレのマッチングが大切です。味を染み込ませるためのタレと、つけダレの2種類がありますが、肉とマッチしたものでなくてはなりません。もちろん肉の仕入れと加工、切り方も大切です。私たちはハラミ、カルビ、ロースといった主力の肉を仕込んでから、2日以内で売り切るようなルールにしています。3日以上経つと肉独特の匂いが出てくるため、品質を守るための取り決めです。
価格帯やコンセプトについても重要です。高級路線を目指そうとしたことはありませんでした。店舗周辺にいらっしゃる一般的な家庭の方たちが「今夜は食べ放題の肉ではなく、ちょっと美味しいものを食べたい。むさしなら1人4,000円も出せば満足できる」そんな店を目指すよう、ずっと意識し続けてきました。
子息や社員への承継を模索した後にM&Aを選択すると決心
後継者については、どのようにお考えだったのでしょうか。

息子と娘がいますので、経営者としての適性があれば継いでもらいたいと、約10年前に会社へ加わってもらいました。5年前、妹に社長を引き継いだのは、ワンクッション置くことで、判断できるだけの期間を準備しました。私の考えでは社長に必要なものは、人を引っ張っていくリーダーシップや、何かが起きた時の判断力です。しかし2人に無理やり、社長としての役割を与えても、負荷が大きいのではないかと考えました。もちろんそんな状態は従業員にとっても幸せとは言えません。社長ができる人に社長を務めてもらうのが最善だという結論に至りました。
社内や社外からの後継者という選択肢はいかがでしたか。
もちろん既存社員からの抜擢も検討しましたが、会長や社長のほか、部長職のようなポジションはなく、次というと各店舗の店長が該当します。外部から社長候補の人材をリクルートすることも考えましたが、これもうまくいきませんでした。
さまざまな試行錯誤をするうち、私も70代半ばに差しかかったことで、それ以外の方法を模索するようになりました。このままでは、働いてくれる従業員たちに迷惑がかかるのではないかという懸念も少しずつ強くなっていったように思います。
M&Aを意識されたきっかけを教えていただけますか。
1年ほど前に、2名の経営者仲間がM&Aによって会社を譲渡したことが、私がM&Aについて深く考えるきっかけとなりました。いずれも同世代で、複数の会社で飲食業を営んできた先輩方です。直接会いに行き、M&Aを行ったことがどうだったか率直な体験談を聞かせてもらったところ、当社もM&Aが最適なのではないかと考えるようになりました。
M&A仲介会社でどこがよいのかといった情報は持っていませんでしたが、案内そのものは郵送でも多く届いていました。その中で、一度話を聞いてみたいと思えたのが、M&Aキャピタルパートナーズのお手紙だったのです。テレビCMで存在も知っていましたし、手紙に書かれている内容に惹かれるものがあったことは覚えています。
実際にアドバイザーと会った時の印象はいかがでしたか。
竹俣さんと初めてお会いした時から「この人たちなら、任せられそうだ」とすぐに感じました。事前に当社のこともよく調べてくれましたし、説明が明確でわかりやすいことに好感を持ちました。その後、M&Aに向けて話が進む中で、私はメールや電話でかなり頻繁に連絡を差し上げたかと思います。それにもきちんと、誠実に答えてもらえるのは、心強く感じていました。

初めてお会いした時から、従業員の方々を第一に、ものすごく大事にされている経営者様だという印象があったことを覚えています。さまざまな企業からオファーが届く中、長山様は「従業員みんなが幸せになるにはどの相手がよいか」という視点を、一貫してお持ちでした。その気持ちに応えようということが、初めてお会いした時から自分の中にありました。
各社とお会いする前の段階で、竹俣さんが候補先となりうる企業一覧を提示してくれましたが、その中で決まるかどうかは別としても、やはりプロに任せればしかるべきお相手と引き合わせてくれるだろうと感じました。

M&Aありきではなく、社内承継や親族への承継も含めて、本当に何が一番いいか、長山様と一緒に考えてきたつもりです。結果として複数社とトップ面談をしていただきましたが、従業員が幸せになれる相手を優先するという考えに基づき、ご自身に判断していただきました。
竹俣さんは始めから決めつけないように「選択肢の一つ」だと言ってくれましたが、相談を持ちかけた時点で、私の心はM&Aに決まっていました。あとは、どのように相手を選ぶかです。
グループの成功メソッドと経営陣を確認し将来を託せると確信した
譲受企業である株式会社サンフレッシュミートの事業概要を教えていただけますか。

サンフレッシュミートは、食肉加工・卸事業と直営焼肉店「焼肉山河」を運営しています。2024年、M&Aによってまん福ホールディングスのグループ会社となりました。
私は、あきんどスシローで20年ほどキャリアを積み、そこからまん福ホールディングスに誘われて転職してきました。回転すし店では、1店舗に社員は2~3名しかおらず、約80名のアルバイトスタッフを管理します。高校生から60歳代のパートさんまで、マニュアルに沿って画一的に育てるのではなく、個人別の特性を捉えた上で適材適所に動かすことをここで学びました。また現在の私の土台にもなっている考え方です。まん福ホールディングスに移り、最初に任されたのは唐揚げ店の経営でした。言わば魚から肉へと、扱うものが変わる戸惑いはありましたが、人的マネジメントのポイントは変わらないと思っています。やはり経営者として全責任をもって経営する仕事にはやりがいを感じています。
サンフレッシュミートについても、グループイン後の2年弱で焼肉山河の店舗数を7から14店舗へと倍増させることができました。卸売りについては約300社の取引先がありますが、これも数は着実に増やせています。
むさしに対する印象はいかがでしたか。
お話を最初にお聞きしたのは、半年も経たない比較的最近の話だったかと記憶しています。まず美味しい料理を提供されているという好印象が大前提にありました。各店舗を訪れましたが、味の偏りが全くなく、お肉の質もチルドで店内で加工してから提供しているのが分かるクオリティが保たれていました。
またあえてピークタイムを外したこともありますが、その時間でもこちらが気持ちよくなる接客ホスピタリティを提供してくれたことも強く記憶に残っています。3店舗を食べ比べて、どの店でも同じクオリティが出せるのは、並大抵の努力ではできないことです。まずその点が素晴らしいと思いました。

わざわざピークを外して各店を見に来てくれた事実には、強い熱意を感じずにはいられませんでした。新たな店舗を出店する時点で、私たちが一番こだわってきた品質の担保を確認してくれたことは素直に嬉しかったです。
それに加えて、むさしは国産のチルド肉を扱うノウハウや仕入れのネットワークを持っていらっしゃいます。各国から厳選した肉を仕入れているサンフレッシュミートにとっては、これまでにない大きな強みが得られるとも感じました。
長山様がなぜまん福ホールディングスとサンフレッシュミートを選んだのか、その決め手について教えてください。
まずは経営システムの充実ぶりを感じたためです。まん福ホールディングスはすでに10社以上のM&Aを手がけていましたので、その譲渡企業を1社ずつ調べました。サンフレッシュミートが食肉の卸売を手がけ、同時に焼肉店も運営しているということだったので、私も実際に食べに行ったんです。味も素晴らしく、急成長していることを知りました。
そしてトップ面談の際に、戸倉さん(戸倉大輔 取締役副社長COO グループ営業推進本部 本部長関東・九州グループリーダー)にお会いしたことも大きかったです。なるほど、この人だったらむさしを伸ばしてくれると判断しました。その後も何度かお会いしていますが、そのたびに私の目に狂いはなかったと感じるほどです。

戸倉はコミュニケーションに長けており、長山会長が一番聞きたいであろう点を端的に伝えるのが得意です。その点をご評価いただいたように感じます。またサンフレッシュミートに限らず、まん福ホールディングスグループとしての承継会社がすでに14社あり、食肉や魚、そしてアメリカにも展開しているという多様なバックボーンについても強調してお伝えしたつもりです。
雇用や社名の存続など、長山様がM&Aの決断にあたって重視した点をお聞かせください。
まず雇用が守られること、これが一番です。できるなら「むさし」の名前も残してほしいとは願っていましたが、これは2番目です。私自身の処遇、特にすぐ退くかは、まん福ホールディングスの意向に従います。現在の従業員が辞めてしまうようなことがあれば申し訳ないので、軌道に乗るまではもちろん全力を尽くすつもりです。繰り返しになりますが会社と従業員にとってベストな道になるように従うだけです。
デューデリジェンス(企業監査)における書類準備など、成約に向けた手続きはいかがでしたか。
今思い出しても、大変だったという記憶がよみがえります。正直なところ、私は料理を提供するなど現場仕事を中心に何十年と歩んできましたので、書類や数字の整理については不得意です。ただ竹俣さんが献身的にサポートしてくれた点について感謝しています。それに加えて、細かく見られるのも真剣さの表れだと感じるようになりましたので、結果としては初めて知る内容も多く、勉強になったという感想です。手続き自体には確かに苦労しましたが、今となっては清々しさも感じています。

当社ではデューデリジェンスのサポートについても、士業の専門家をアサインするなど、盤石なバックアップ体制を取っていると自負しています。40年もの歴史ある企業の資料ということで紙ベースの書類を掘り起こす必要もあり、長山様をはじめむさしの方々にはご負担もかけてしまったかと思います。
私たちのサポートが少しでも負担軽減に役立っていたなら幸いです。また長山様もおっしゃったように細かな確認作業は、まん福ホールディングスグループの熱意の強さでもあります。大変な作業ではあったものの、通常よりもかなり短い期間でデューデリジェンスを終え、成約を迎えることができてよかったと思っています。
デューデリジェンスには直接的に関わっていませんでしたが、スムーズに手続きが進んだことそのものによい印象を持っています。長山会長をはじめとする方々のご苦労とともに、M&Aキャピタルパートナーズの対応もスピーディでした。
途中で提出書類が増えるのを聞くと「またか」と思ったこともあります。これで会社をたたむのなら、こんな苦労はないのかもしれません。しかし、会社の経営を別の会社が引き継ぐことの影響の大きさを感じました。私たちと一緒になりたいと思ってくれる方たちがいてくれて、竹俣さんのような信頼できる人が支えてくれるのはありがたいことです。
それぞれの40年が一つに連なり新たな成長のフェーズへ
今後のビジネス展開についてはどのようにお考えですか。

まず現状把握をしっかりと行う必要があります。それでなければ、正しい打ち手が決められません。私たちのグループでは「100日プラン」を作成しPMI(Post Merger Integration=M&Aによる統合効果を最大化するためのプロセス)を行ってきました。M&Aから最初の100日にやるべきことが全てリスト化されています。そこから1年、または3年程度の中長期のプランを考えていきます。ただ過去には、100日プランを再度やり直した事例もありました。最初のフィットをどれだけ大事にできるかを重視しています。当然、長山会長にお力添えいただく部分もありますし、こちらで対応できる部分もあるので、適切なバランスを見極めながら進めていきたいと思います。
具体的にはどんなシナジーを期待していらっしゃいますか。
一つは仕入れの面です。むさしでは国産牛をメインに仕入れてチルドで使っています。会長が厳選してきた高品質な和牛や国産牛をリーズナブルに提供できる点が強みです。一方、山河では輸入の冷凍品をメインにしてきましたが、どちらにも長所があります。2つをうまく掛け合わせることで、双方の魅力を成長させられるはずです。
また、人材育成という点でもシナジーが期待できます。むさしで育った社員が、グループ内で出向するなど、他社で他のビジネスを経験するチャンスが得られます。もちろん、むさしのノウハウが大いに参考となるケースも出てきます。むさしの外で得た知識やスキルは、再びむさしに持ち帰ってもらいたいとも思っていますし、これらは比較的早くから取り組める内容です。

改めて従業員にとっても素晴らしい可能性が広がる話だと思っています。今後、店長職を目指す者だけでなく、より大きな野望を持つ者も出てくるかもしれません。焼肉店以外のキャリアの可能性も開けますし、年収アップといった夢を叶えてくれる会社、またはグループになります。雇用を守るだけでなく、より充実した人生を歩む素地を整えることができたと思っています。むさしがこのグループに入って成長することで、働く人たちは一層満足してくれることでしょう。
むさしが1978年に創業したのに対して、サンフレッシュミートは1987年です。互いに40年という長い年月にわたって、同じ焼肉業態で頑張ってきた会社同士です。それらが一つになること自体が、ものすごい意味を持つことだと改めて感じています。積み上げた歴史や思い、美味しさ、そういうものを会社として引き継ぎたいと思います。それは自分たちの側の人間として少なからず持っている気持ちです。遠慮せずにこういうご縁を大事にしていきたい、そう強く思っています。
このようにそれぞれ素晴らしい歴史を持った両者がこれからの運命をともにするという決断をし、そのお手伝いができたことを嬉しく思っています。水谷様のお言葉にあったように、これからのPMIを経て、どのような化学変化が起こるのか、楽しみにしています。
最後に、後継者問題や事業承継に悩むオーナーの方々へ、メッセージをいただけますか。
多くの社長がこれからもずっと自分で経営したいと思われているかもしれませんが、現実的にはずっと継続することはできません。将来を託せる存在が自社にいないのなら、正しい形で経営を続けてくれ、会社を発展させてくれる外部の会社にお願いするのが最適なのではないでしょうか。
私もかつては親族内の承継を模索しましたが、その選択に無理があれば、当人たちや従業員にも悪い影響が及びかねません。さまざまな選択肢を真剣に考えた時、M&Aという手段も考えてみてよいのではないかと、同じ立場の経営者に伝えたいです。
長山様は焼肉の世界に入った時から「ここで旗を揚げよう」と決めていたとおっしゃっていました。こうして掲げた旗が引き継がれ、長く存続できることがM&Aという選択肢の大きなメリットです。今後、水谷様たちが引き継ぎ、さらに高く掲げてくれるようにバトンの受け渡しをできたことが、一番の良かったことです。短期間でご成約を迎えられたことも喜ばしいことですが、ここからが本当のスタートだと思っています。
長山会長を筆頭にむさしで働いてきた人たちが積み上げてきたものは、味だけではありません。よいところをできる限りすべて受け取り、一緒に次のステージへ育てていきたいと思っています。

文:蒲原 雄介 写真:平瀬 拓 取材日:2026年3月27日
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