それぞれの選択 #158 BPOサービス × 家電製品等の卸業

井上 高瀬
井上 高瀬

互いの強みが新たなシナジーを生む。
異業種ならではの“掛け算のM&A”

東京都で行政関連のBPOサービスを手がける株式会社トムスエージェンシー。事業のさらなる拡大を目指す上で課題となっていたバックボーンの強化とリソース不足解消のために選んだパートナーが、生活家電や日用品の商社である、大阪府の株式会社デンキョーグループホールディングスだった。業種も規模も立地も全く異なる両社が選んだのは、"足し算"ではなく"掛け算"のM&A。そのシナジーは、成約直後から早くも生まれつつある。

  • 譲渡企業

    会社名
    株式会社トムスエージェンシー
    所在地
    東京都渋谷区
    事業内容
    セールスプロモーションに関わる企画立案、人材の手配、制作、運営から検証までワンストップで手掛けるBPO事業を主力としている。
    M&Aの検討理由
    更なる成長発展、選択と集中のため
  • 譲受企業

    会社名
    株式会社デンキョーグループホールディングス
    所在地
    大阪府大阪市

    事業内容

    グループ企業9社の持株会社

    M&Aの検討理由
    川下領域の強化、事業領域拡大のため

成長著しいBPO市場で独自の強みを発揮する

はじめにトムスエージェンシーの歩みについてお聞かせください。

井上
株式会社トムスエージェンシー 顧問 井上 誉士様(以下、敬称略)

私たちトムスエージェンシーは比較的若い会社で、創業は2019年の秋です。当初はセールスプロモーションを事業の柱に据え、クライアント企業の商品やサービスの販売促進活動を手がける企業としてスタートしました。ところが立ち上げて半年ほどで直面したのが、新型コロナウイルスのパンデミックです。各種のイベントが次々と中止になってしまい、当社もその影響をダイレクトに受けてしまいました。創業したばかりだというのに、いきなり倒産の危機に直面してしまったのです。

この危機を乗り越えるために当社は、行政を中心としたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス、つまり外部委託へと大きく舵を切りました。これが功を奏し、一つの実績が次の受注につながるという形で事業が回り始め、現在では売上の大部分が行政のBPOで占められるまでになっています。

創業直後に経営危機に直面した際は、どのような思いでしたか。

井上

私1人なら何をしても食べていく自信はありましたが、社員を抱えていましたし、キャッシュがどんどん減っていく現実を目の当たりにしますと、やはりプレッシャーは大きかったです。ですから行政のコンペに参加したときは、絶対に受注してみせると、連日2時間ほどの睡眠で準備を進めました。幸いにもこの案件を受注でき、しかもかなり大規模な案件だったことで、ようやく一息つけました。私の人生の中で一番大変な時期だったことは間違いありません。

BPOは成長市場ではありますが、競合も多いと聞いています。御社の強みはどのような点でしょうか。

井上
井上

私は新卒で大手商社系の人材派遣会社に入社し、様々な経験を積んだ後、独立して人材派遣会社を設立し、引き続き人材系の事業を手がける中で、業界の幅広い人脈を築いてきました。それによって、BPOサービスを展開する上での“仕入れ”、すなわち人材確保のルートを築くことができたんです。

ただ、当社の真の強みはそこではなく、集めた人材をマネジメントするノウハウにあります。例えば500人の人材を確保できたとしても、クライアントのニーズに応じてきめ細かなBPOサービスを提供するには、個々の業務に対して適切なアサインを行わなくてはなりませんし、そのための教育も必要です。当社は人材の確保から教育、現場での業務管理など、細かなオペレーションについて的確にマネジメントできることを最大の強みとしています。

また、特に行政の案件については、情報漏洩などのセキュリティ面について厳格な対応が求められており、こうした面での管理にも自信があります。

社名のトムスエージェンシーには、このようにトータルなマネジメントでソリューションを提供する(TOtal Management Solution)という意味が込められています。当社のこれらの強みはクライアントに高くご評価いただいており、特に大型の行政案件については応札前の企画段階からご相談いただくこともあるほどです。

﨑山
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 﨑山 颯人(以下、﨑山)

BPOという業態の企業様を担当させていただいたのは私にとって初めてのことで、非常に複雑なビジネスモデル、案件ごとのフロー、業界慣習や特有の財務的論点を正確に理解するには時間がかかりました。BPO市場自体が成長していることに加え、その中でトムスエージェンシー様独自のポジションや強みなどが明確であることから、大変ポテンシャルの高い企業様であると当初から感じておりました。

さらなる成長へ次の一手としてM&Aを選択

事業の課題については、どのようにとらえていらっしゃいましたか。

井上

当社の事業は、受注した案件のアウトソーシングサービスを終えたら次の案件を取りに行くというビジネスモデルです。特に大型案件を受注した後はサービスの提供自体に数カ月という時間を要するため、なかなか次の受注に向けた営業活動ができません。大型案件の受注時は売上が急伸する一方、その対応に追われて次の営業活動ができず、案件が終わるたびに売上が落ち込むことの繰り返しでした。人手さえあれば取れたはずの案件を逃す──その悔しさを常に感じていました。

そうした課題を解決する手段としてM&Aを検討されるようになったのでしょうか。

﨑山 井上
井上

ええ、その通りです。もう1点、新たな事業を立ち上げたこともM&Aを考えるきっかけとなりました。これは接客業に特化した人材マッチングサービス『pafema(パフェマ)』で、2024年に分社化して株式会社パフェマとして独立させています。ネーミングには“パーフェクトなマッチングを提供する”という意味を込めており、アプリもリリースしました。この新事業の手応えは十分ではあるのですが、BPOと『pafema』、2つの事業を同時に展開するのは私の手に余るのではないかと危惧し、より『pafema』に集中できる環境をつくるためにもM&Aを考えるようになりました。

﨑山

井上様と本格的にM&Aの検討を始めたのは、そんなタイミングでした。トムスエージェンシーのポテンシャルや課題感など様々なお話を伺う中、ぜひ当社のネットワークを通じてベストなお相手を探させてほしいと提案いたしました。

井上

実はM&Aについては以前から多くのお声がけをいただいていたのですが、一度会ってみようと思ったのはM&Aキャピタルパートナーズが初めてでした。業界の中でも大手企業で、難易度の高い大型案件の実績も十分という点がその決め手です。﨑山さんがご来社された際の第一印象は「ずいぶん若いなあ」というものでした。お話ししてみると、大変に礼儀正しいですし、社会人としてとてもしっかりされていると感じ、この人なら安心して任せられそうだと思い、すぐに専任でお任せしました。

﨑山

企業様を訪問する際は事前に徹底的に調査・仮説設計を行います。しかし、井上様に初めてお目にかかったときは、私が想定していた企業イメージとトムスエージェンシーの当時の実態が、良い意味であまりに違ったので非常に焦ったことを覚えています。というのも、これほど急激に業績を伸ばしている会社の経営者であるにもかかわらず、とても腰が低く、私のような若手に対しても実に丁寧に接してくださったからです。おかげで初対面にもかかわらずお話はスピーディーに進み、アドバイザリー契約の締結を経て、早速お相手の企業様を探しましょうということになりました。
将来性の高いBPO市場で順調に業績を伸ばしていらっしゃるということで、必ず素晴らしいお相手が見つかるとの確信がありました。ただ、ビジネスモデルが複雑なこと、売上の波が大きいことなどから、お相手探しには少し苦戦し、結局ご成約まで1年半近くかかってしまった点は、井上様に対して申し訳なかったです。

井上

買い手の立場で考えれば逡巡するだろうなとは思っていましたので、そこは気にしませんでした。むしろ当社のことをしっかりご理解いただいていない状態でM&Aに踏み切ることには抵抗がありましたし、結果を急ぐのではなく、十分に時間をかけて最適の相手を見つけていただきたいと思っていました。後になって「この会社を譲り受けて損をした」と思われることだけは、絶対に嫌でしたので。

最良の相手にめぐり合うために焦りはなかった

譲受企業のデンキョーグループホールディングスとは、どのような経緯でお話を進めたのでしょうか。

﨑山

トムスエージェンシーとまったく異なる業種の企業様ですので、すぐに有力な譲受候補先としては想定しておりませんでした。しかし、以前から弊社と接点があり、投資方針などのお話を聞くうちに、トムスエージェンシーとの具体的なシナジーが期待できるのではないかと思い至り、仲介を提案させていただきました。

井上

﨑山さんがおっしゃるように、当社はBPO企業、デンキョーグループホールディングスは卸の企業と、まったく立ち位置の異なる領域で事業を展開しています。しかしよく考えると、デンキョーグループホールディングスは卸としてメーカーや量販店と多くの接点があり、そこは当社が得意とするBPOやセールスプロモーションのフィールドでもあるわけです。その領域に当社が入ることで、卸としてのビジネスにプラスαの貢献ができるのではないかと思いました。意外と両社は親和性が高いというのが私の印象でした。

﨑山

デンキョーグループホールディングスには非常に多くのお取引先があり、トムスエージェンシーの企画力・販促力が加わることで、単なる卸を超えた付加価値が提供できるわけです。一般的にM&Aと聞くと同業でのシナジーが想起されますので、仲介会社としてはバリューの高い案件に関与できたのではないかと考えております。

初めてのご対面は、いかがでしたか。

井上

東証スタンダード市場の上場会社ですので緊張しましたが、役員の皆さんが大阪からわざわざ上京してくださり、非常にフレンドリーに接していただきました。おかげで、予定の時間を少しオーバーするほど盛り上がりました。印象的だったのはお帰りの際「もっとワンマンな方かと思っていました」とおっしゃっていただいたことです。

﨑山

創業から間もないにもかかわらず業績が急激に伸びており、かつ営業出身の経営者ということで、いわゆる“カリスマ”的な雰囲気があるのではと思われていたようです。ところが実際の井上様は非常に腰が低く、誠実で礼儀正しい方だったので、いい意味で想定外だったということでしょう。

井上さんはこれまでも幾つか企業のご経験があるとお伺いしておりますが、今回のM&Aについてはどのような思いですか。

井上

私は、実家が建設業を営んでいたことから、幼い頃から経営に興味がありました。ゼロイチで何かを立ち上げ、育てていくことが好きだったのです。過去に人材派遣会社やイベント会社などを設立してきましたが、これらは親族や友人に譲り渡しており、本格的なM&Aは今回が初めてとなります。いくつか起業してきたものの、人生の残り時間を考えると、さらに起業するよりも今ある会社を大きくすることに注力するのもいいのではと思うようになりました。今回のM&Aにはそんな気持ちが込められており、非常に素晴らしい出会いを紹介していただいたと感謝しています。ただ、私自身は仕事が好きで、早く引退したいとはまったく思っていません。デンキョーグループホールディングスの力を借りながら、顧問としてトムスエージェンシーをさらに大きく成長させると同時に、株式会社パフェマについてもIPOを目指して取り組んでいきたいと考えています。

異業種だからこそ想定外のシナジーが期待できる

譲受企業であるデンキョーグループホールディングスについてご紹介ください。

高瀬
株式会社デンキョーグループホールディングス 代表取締役社長 高瀬 一郎様(以下、敬称略)

当社は1948年、大阪市南区(現・中央区)にて創業いたしました。創業時の社名は「電響社」で、文字通り電気・音響関連製品の卸売を目的とする個人商店としてスタートしました。その後法人化し、全国にネットワークを拡げてきました。
1984年には大阪証券取引所に上場、市場統合に伴う東京証券取引所第二部を経て、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

ここに至るまで、グループ力の強化にも努めてきました。具体的には電子機器や家電の商社、非家電領域の日用品の商社、さらにはデザイン家電のメーカーもグループ会社化しています。
こちらは、しずく型の加湿器という大ヒット商品で知られる企業です。また、最近では大手玩具メーカーの傘下企業をグループ会社化しました。こちらは非常に個性的なキャラクター家電などを製造しています。さらに、かつてカセットテープやビデオテープなどで一世を風靡したマクセル株式会社と業務提携し、コンシューマ部門にグループ入りしてもらいました。このように卸以外の機能を強化してきました。
 
小寺
株式会社デンキョーグループホールディングス 財務・経理部 財務グループ担当部長 兼 経営企画室 小寺 賢一郞様(以下、敬称略)

特色のあるものづくりをしていらっしゃる企業様に、弊社の営業基盤を活用頂き拡販しています。世の中にない面白い商品を見つけ出す“目利き力”も、長年培ってきた当社の強みではないでしょうか。

高瀬

長い歴史も当社の強みではあるのですが、その間は決して順風満帆とは限りませんでした。卸業ですので、特に仕入先様の倒産に大きな打撃を受けたこともあります。他に代わりの利かないユニークな商品でしたから、このときは仕入れが止まって一気に10億円単位で売上が落ちました。

最近では、量販店がメーカーと直取引するケースも出てきていますし、中国のメーカーが一気に取引をストップしてきたこともありました。さらに直近では物流費の高騰に頭を悩ませています。こうした背景もあって、もっと商品の調達力を高めていこうとの狙いから、メーカー機能の強化にも取り組んでいるところです。

さらなる成長の先に、グループ売上高1,000億円を目指しておられます。

高瀬

そうですね。売上高1,000億円企業を実現するためには、グループパーパスである「毎日をもっと、もっと、ここちよく」を軸に、より幅広い領域への事業展開が必要と考えています。しかしながら、現状のグループパワーだけでは十分とはいえないため、総合力を高めていく一つの手段として、積極的にM&Aを進めたいと思っています。

M&Aキャピタルパートナーズに対しては、どのようなイメージをお持ちでしたか。

小寺

私は経営企画室という立場柄、常にM&A関連情報にアンテナを張っており、M&Aキャピタルパートナーズとは以前から情報交換を行っておりました。非常に実績豊富な仲介会社であり、今回の件についても、同社からご紹介いただく案件なら“入り口”としてまず間違いはないと思いました。

トムスエージェンシーに対しての印象はいかがでしたか。

高瀬 小寺
高瀬

同じ業種業態の企業をグループ化する“足し算”のM&Aではなく、異なる領域への進出を視野に入れる、いわば“掛け算のM&A”にて、新しい化学反応を起こしたいと思っていました。

今回、トムスエージェンシーをご紹介いただき感じたのが、この“掛け算のM&A”の発想でした。両社が一緒になることで、我々の既存の得意先様に対し、これまでに無い新しい観点での提案ができるのはもちろんのこと、トムスエージェンシーの取引先に対して当社ならではの提案ができると考えました。

とはいえ、今まで経験したことのない業界なので、最初は戸惑いが大きかったことも事実です。華やかでキラキラしたイメージがあり、地味で堅い社風の当社とうまく融合できるのか、社員がアレルギー反応を起こさないかと不安もありました。ただ、井上さんや取締役の方等にもお目にかかったことで、そうした懸念はすっかり消えました。皆さん、非常に誠実なお人柄で、この方々なら必ず一緒にやっていけると確信しています。

井上

今回のM&Aを振り返って私が一番感動したのもまさにその点で、高瀬さんから当社の社員をほめていただいたことが非常に嬉しかったです。私自身、ずっと素晴らしい仲間と一緒に仕事をしてきたと自負しており、それが間違っていなかったと確信しました。

懸念点はありましたか。

小寺

最も気になったのは、先ほども出た売上高の大きなブレです。なぜこんなにも業績が変動するのか、将来の数字をどう見立てるべきなのか、私の中に納得感が生まれるまでに時間を要しました。この点については、開示いただいたデータに基づく井上さんとのやり取りだけでなく、早々に面談させて頂いた取締役や執行役員の方からもお話を伺いイメージを固め、腹落ちできました。経営の次の担い手として魅力的な方々であったのも大きかったと思います。

既存の事業領域で新たなビジネスチャンスの創造へ

“掛け算のM&A”として、具体的にどのようなシナジーが期待されますか。

高瀬
高瀬

当社は卸業として小売業者様中心に商品を販売していますが、店頭での販売をサポートするために活動しているのが、ラウンダー部隊です。ラウンダーとは店舗を定期的に巡回し、陳列の提案や在庫管理、商品補充などを行う専門スタッフのことです。当社では先ほどご紹介したマクセル株式会社との業務提携により、このラウンダーを一気に70名ほど増員しています。ラウンダーは当社の販売戦略を強力に推し進める精鋭部隊ですが、現在はサービスの外販もしています。

トムスエージェンシーはBPO事業を通じて人材マネジメントに素晴らしいノウハウと実績をお持ちですので、ラウンダーのより効果的な運用を通じ、この外販の輪を広げていけるのではないかと考えています。既にその方向に沿った案件の検討にも入っておりますが、両社のビジネス拡大に向けた大きなプラス材料であり、今後が非常に楽しみです。他にも幅広い領域で協業できるはずなので、一緒に取り組む中で、あんなこともできる、こんなこともできると、チャレンジすることを増やしていきたいですね。

井上

多くの家電メーカーが省力化・効率化の流れの中で店頭プロモーションを外部委託する傾向にあり、ラウンダーの市場も今後拡大すると考えています。当社が積み重ねてきたノウハウとデンキョーグループホールディングスの組織力の融合という新たなシナジーは、必ず大きな成果を生むことでしょう。

大阪と東京という、地理的に離れた関係である点についてはいかがでしょう。

﨑山 井上 高瀬 小寺
高瀬

当社は発祥の地である大阪に本社を置いていますが、関東にも拠点を持っておりますし、東京に本社があるグループ会社もあります。ビジネスとしての規模はやはり東京の方が大きいですし、地理的な距離は心配していません。

今後、井上さんにはどのようなことを期待されますか。

高瀬

井上さんには顧問として引き続き携わっていただくことをお願いしました。井上さんの人脈を通じて獲得したクライアントもいるでしょうし、「井上さんがいるから」という信頼感は、今後事業を発展させていく上で不可欠ですので、ぜひご協力いただきたいと思います。

井上

おっしゃるように人間関係が大切な業界ですので、可能な範囲で営業活動にも携わっていくつもりです。

振り返ってみて、M&Aキャピタルパートナーズのサポートはいかがでしたか。

小寺

こちらの気になる論点に対して、長い時間をかけて丁寧に対応して頂きました。細かな気配りもいただき、大変お世話になった、との印象を持っています。

高瀬

繰り返しになりますが、業界が違うゆえにトムスエージェンシーについて理解できない点は多々ありました。売上高の波が激しいことなどはその典型です。具体的な折衝は小寺に任せていたので、私の疑問は小寺経由で伝えさせていただきましたが、それに対して﨑山さんは、本当にスピーディーに答えを返してくれました。おそらく時間的にハードな局面もあったかと思うのですが、その真摯な対応には心から感謝しています。

最後に今後の抱負をお聞かせください。

成約式の様子
井上

本日、成約式が行われ、正式に譲渡が成立しました。今までは個人の裁量で経営してきましたが、今後は上場企業に経営を委ねるということで、心機一転、新たな責任のもとで出発します。先ほど高瀬社長よりラウンダーについてのお話がありましたように、我々が強みとしてきた領域でデンキョーグループホールディングスのリソースを活用できることは、売上を一気に拡大させるチャンスと受け止めています。こうしたチャンスをいただけたことに感謝しており、ぜひ数字でお応えしていきたいと考えています。

高瀬

先ほどパーパスについて少し触れましたが、当社では2025年4月からインナーブランディングに本格的に着手し、その一環としてパーパスを策定しました。同時に「まだ気づかない、その先へ」というビジョンも策定しました。これらはできたばかりで、まだ社員に十分定着しているとは言いがたい状況です。だからこそ、何か象徴的な事例を通じて社員の心を一つにし、前へ進んでいきたいと考えており、今回のM&Aがその契機になればと期待しています。

小寺

今も高瀬が申したとおり、私も社員のモチベーションを上げていく一つのきっかけにしたいです。これまであまり触ってこなかったバリューチェーンの下流域にも進出することで、社員の活躍できる場や将来の可能性が拡がっていく、とのメッセージになればと思っています。

﨑山

今回、異業種のM&Aではありましたが、トムスエージェンシーの課題感と、デンキョーグループホールディングスの強みをしっかりと噛み合わせることができ、業種の違いを乗り越えて新たな強みと確かな可能性を生み出すことができたかと思います。その意味で私個人の成長にもつながったと感謝しています。異業種M&Aという難題に向き合う中で、業種の壁を超えて新たな価値を生み出すことがM&Aの本質だと改めて実感しました。両社のさらなる発展を心から楽しみにしています。

﨑山 井上 高瀬 小寺

(左から)弊社﨑山/弊社 コーポレートアドバイザリー部 コーポレートアドバイザリー課 ディレクター 長谷川 秀和/小寺様/井上様/高瀬様/弊社 企業情報部 課長 東小薗 岳/株式会社デンキョーグループホールディングス 広報戦略室 室長 阪下 千恵 様

文:丹後雅彦 写真:平瀬 拓 取材日:2026/4/1

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 﨑山 颯人

    企業情報部主任﨑山 颯人

    九州大学出身。学生起業や税理士法人での業務経験を経て「後継者不在問題」に当事者意識を持ち、新卒社員2期生として当社へ参画。学生起業時に培った経営者の想いや背景に深く入り込む対話力を強みとし、最適な意思決定を伴走型で支援している。

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