
語学学校業界のM&A動向
語学学校とは、海外留学や、就職、資格取得、趣味などのために語学を習得するための学校である。
2〜6名程度の少人数グループによる授業のほか、1対1での授業、インターネット上の画面を通じて行うインターネット授業など語学学校により、授業の形式は異なる。 言語としては英語の語学学校が多いが、英語以外にもドイツ語やフランス語、スペイン語、中国語、韓国語、ロシア語などを取り扱う語学学校もある。
語学学校は、外国語教室や語学スクールと呼ばれることもある。

大きな枠組みとして語学ビジネス市場があり、語学学校はその中の語学学校市場に属している。さらに、高校生以上を対象とした「成人向け語学学校市場」と、0歳~中学生を対象とした「幼児・子供向け語学学校市場」、英語のみで教育・保育・託児を行う幼稚園や保育園、託児所の「プリスクール市場」に分かれている。 語学ビジネス市場は語学学校市場のほかに、PCやスマートフォンで学習する「e-learning市場」や語学学習を目的としたゲーム機やパソコンのソフトウェアを展開する「ソフトウェア市場」、語学習得の通信講座・通信教育を対象とした「通信教育市場」、語学関連の書籍、参考書などを扱う「書籍教材市場」がある。 また周辺市場として、各外国語言語の資格試験等を対象とする「語学試験市場」や、留学ビジネス・留学エージェントを対象とする「留学斡旋市場」、通訳・翻訳に関わるビジネスを対象とする「通訳・翻訳ビジネス市場」もあり、近年では特にこの3つの市場は好調を維持している。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2018年度の語学ビジネス市場の市場規模は、前年度比2.3%増の8868億円であり、2019年度には前年度比2.6%増の9,093億円になると予測されている。語学学校に着目すると、語学学校全体の市場規模は3530億円であり、その内訳は成人向け語学学校市場が2100億円、幼児・子供向け語学学校市場が1035億円、プリスクール市場が395億円となっている。
業界内の売上高を企業別に比較すると、株式会社ベネッセホールディングスが4300億円、株式会社GABAは106億円、株式会社レアジョブは25億円となっている。 語学学校業界は、教育現場だけでなく、企業からの需要も期待できる業界である。
グローバル競争が激化する社会において、英語を中心に、外国語はビジネスパーソンに必要なスキルになっている。
また、2020年のオリンピックにおいても、各企業のビジネスチャンス拡大のためのサービス提供などから、外国語の需要増が続くとみられ、これらの動きは語学学校市場の規模拡大につながると予測される。

語学学校業界では、学習スタイルの多様化が進んでおり、顧客獲得競争が激化している。成人向けの語学学校においては、e-learningや英会話カフェなど、気軽に取り組める学習スタイルが運営会社により展開され、顧客獲得競争が激化している。子供向けの語学学校においては、2020年実施の学習指導要領見直しによる英語教育改革を目前に、学習塾との競争が激化しており、大手の語学学校が撤退するシーンもあった。 2020年には東京オリンピックが開催されることもあり、各業界においても外国語の需要が増してきている。業界全体の売上が伸び、成長市場である語学ビジネス市場において、多様化する外国語の学習サービスに顧客を奪われないために、どのような対策を展開するのかが鍵となるだろう。
語学学校業界では、事業基盤の拡大やノウハウ獲得のためのM&Aが行われており、買収側としては今後も成長する語学学校業界において営業利益の拡大が図られる。売り手としてはM&Aを利用し、会社の売却や語学学校事業のみを売却することで、創業者利益を得ることが目的である。
―主な事例―
・2017年11月、KDDI株式会社は英会話教室などを運営する株式会社イーオンホールディングスの全株式を株式譲渡により取得し、子会社にすると発表した。このM&Aにより、KDDI株式会社は教育事業に参入することになり、自社のサービスと組み合わせた教育事業の推進が図られた。
・2017年5月、ヒューマンアカデミー株式会社はカナダにて語学学校を運営するJRCP Holdings、International House Career College Inc.および、アメリカにて語学学校を運営するNET PACIFIC GROUPの3社の出資持分を取得し、子会社化した。このM&Aにより、世界各国を通じた幅広い事業展開や事業領域の拡大が図られた。
・2016年4月、RIZAPイノベーションズ株式会社と株式会社アチーブゴールが合弁会社である RIZAP ENGLISH 株式会社を設立した。科学的なメソッドと徹底的に寄り添うサービスが強みのRIZAPイノベーションズ株式会社と、年間4000人以上の日本人が英語をマスターするために受講しているセブ島の語学学校を運営する株式会社アチーブゴールが合弁会社を設立することで、双方の強みを活かした独自カリキュラムを確立し、顧客の獲得、サービスの向上が図られた。
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