

利用者に愛されるサービスを追求した成長の7年。
熱量とスピード感を託せる相手に出会えた
株式会社STORIESは、埼玉県春日部市を拠点に、障がい者グループホーム10棟を運営している。創業者の木村航氏は、2019年5月の設立以来、全施設の黒字化にこだわりながら事業を拡大してきた。次なる成長を見据えて、医療・介護・福祉領域を全国展開する株式会社桜十字とのM&Aを選択。両者がなぜ共感したのか、また予想外に難航することとなった成約までの道のりを、株式会社桜十字 障がい福祉事業部長 増田修一氏とともにお聞きした。
-
譲渡企業
- 会社名
- 株式会社STORIES
- 所在地
- 埼玉県春日部市
- 事業内容
- グループホーム(共同生活援助)
の運営 - M&Aの検討理由
- 更なる成長発展のため
-
譲受企業
- 会社名
- 株式会社桜十字
- 所在地
- 熊本県熊本市
- 事業内容
- 病院、歯科クリニック、
老健施設などの運営を行う - M&Aの検討理由
- 関東における障害福祉領域の拡大のため
長期にわたって利用してもらえるグループホームを1つずつ手作りしてきた
創業までのご経歴について教えてください。

高校までは北海道で育ち、その後ニュージーランドの大学でマーケティングを学びました。帰国後は、輸入商社の営業に、製薬会社のMR(医薬情報担当者)、住宅営業など、営業をキャリアの軸としています。
とりわけ住宅という高価な商品を取り扱った経験は、後々大いに役立ちました。というのも、お客様を説得して売ろうとする姿勢では成果が表れないためです。お客様に寄り添い、本当に必要なものを一緒に考える姿勢でなければ信頼されません。当然ながら、販売や受注にもつながらないのだと、身をもって学びました。逆に言えば、誠実に向き合っていれば、お客様も応えてくださるものです。これは私の営業観や仕事観につながっていると思います。
独立しようと思ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。
さまざまな仕事を経て30代を迎え今後どのように生きていくかを検討したときに、雇用される働き方よりも、自身で全責任を負う仕事の方が私に合っていると感じたのです。その直感に従うなら、選択肢は自分で起業するしかありません。ただ「これがやりたい」という明確なビジョンはありませんでした。潤沢な資金や強力な人脈がない中、これまでに培ってきた知見や経験をもとに偶然行き着いたのが、障がい者福祉の領域だったというわけです。
いくつもの選択肢の中で、なぜ障がい者福祉の領域を選んだのでしょう。
直感に近い部分もありましたが、振り返ると確かな理由があったと思います。まず、福祉の仕事が私の気質に合っているのではないかという確信です。母が介護福祉士をしており、幼少期から福祉の現場は身近でした。たとえばサポートが必要なクラスメイトがいても、私は嫌だと感じることはありませんでした。中には身構える同級生もいましたが、抵抗感という概念が私にはないのです。生まれ持った強みだったのかもしれません。
そして障がい者グループホームは、ご利用が長期にわたる領域です。ご縁ができれば、何年何十年と暮らしていただくことも少なくありません。「お一人の利用者に対して誠実に向き合い続けることが、事業の継続性につながる」という図式が、私の性分にもあっていたのだと思います。なおかつ賃貸物件で始められ、工事を手伝ってくれる仲間もいましたので、私にとって比較的無理のないスタートができる業態でもありました。
創業が2019年5月とお聞きしましたが、立ち上げ直後はどのような状況でしたか。
想像よりもはるかに厳しい時期でした。最初から2棟を同時に立ち上げましたが、うち1棟は地域の方々のご理解を得るまでに時間がかかり、開設のタイミングが大きくずれ込みました。利用者さんも一朝一夕に集まるものではなく、地道に集客活動を重ねた日々が思い出されます。さらにコロナ禍が重なりました。グループホームは病院から退院後の受け入れ先として期待されているものの、感染対策の問題から見学もできなくなってしまったのです。どんどん入居が遅れてしまい、その間もスタッフの給料は支払い続けなくてはならないため、厳しい状況が続きました。
それでもとにかく入居者を集め、定員が近づく前に次の施設の準備を進めました。これを愚直に繰り返してきただけですが、物件もそう簡単には見つかりません。ただ、この時期に徹底的に染み付いたのが「全施設を単月黒字にする」方針へのこだわりです。会社全体で均して黒字でOKではなく、個々の施設が月次で黒字を達成しなければならないと考えました。施設を増やす際に借入を重ねない経営を行うには、譲ってはならないラインでした。開業の初期費用を抑えたり、債権買取サービスを活用してキャッシュフローを保ったり、できることはすべてやったつもりです。利用者さんとスタッフの生活を背負っているのだという感覚は片時も頭から離れませんでした。
経営において、どのようなことを大切にしてこられましたか。

社員には、一貫して「愛されるサービスであり続けよう」と伝え続けてきました。利用者さんから愛され続けるように、たとえば月に一度、必ずイベントを行っています。私たちが何気なく口にできるファストフードの一食すら、利用者さんには特別な体験になり得ます。外食を支援しても会社の売上にはつながりませんが、こうした小さな積み重ねこそが価値になると信じてきました。そして、誰が担当してもサービスの品質を保てるよう、運用の細部までマニュアル化することにもこだわっています。属人的な状態は、利用者さんを迷わせ、スタッフ同士の関係にも影を落としかねません。
ありがたいことに、私の考えを理解してくれるスタッフが次々と加わってくれました。前職でお世話になった先輩が取締役として参画してくれ、立ち上げ当初から関わるマネージャーは現在も現場を支え続けています。
施設数を増やして経営を軌道に乗せるために必要なのは、とにかく人材です。そこで、待遇を良くした他、常勤・非常勤を問わず労いの言葉を直接伝えるよう心がけてきました。その甲斐もあって、創業から7年でグループホームは10事業所になり、60名(在籍しているサービス管理責任者が2名の状態で運営可能な上限人数)に迫るところまで利用者さんが集まりました。創業時から目標としていた数字が達成できるところまで来られたことに深い感慨を覚えるとともに、多くの方々に支えていただいた幸運に感謝しています。
より多くの人に自分たちのサービスを届けるために規模感を求めた
順調に成長を遂げられた中で、次の展望をどのように考えられましたか。

創業時からの目標が視界に入ったため、次に何をすべきかを考え始めました。障がい者福祉には隣接する事業分野が多く、新たな挑戦を始めることも選択肢の候補でした。ただ、いずれの道を選んでも、また借り入れを起こす必要があり、今いるスタッフから新事業に充てる人員を割き、また数年もの年月をかけて積み上げていく形となります。どうにか成功に導く勝算はありましたが、スピード感も規模感も伴いません。そこで考え始めたのが、より大きな資本のもとに入ることで、私たちが積み上げてきた資産をもっと多くの方に届けられるのではないかということです。
そこからM&A仲介会社をはじめ、付き合いのある税理士、紹介された中小企業診断士の方など、さまざまな立場の方にアドバイスをもらいました。「経営状況を見る限り資金面も問題ないので、急いで譲渡先を探す必要はない」というアドバイスをもらったことは印象に残っています。外部から見える数字と、当事者として内部で感じるものの間には差があることを再認識しました。やはり最後の決断を下せるのは経営者自身です。専門家の話を徹底的に聞いたうえで、自分の気持ちにしたがって決断しようと改めて決意しました。
M&Aキャピタルパートナーズに仲介を任せようと思ったのはなぜだったのでしょう。
最初にお会いした仲介会社の担当者が、M&Aキャピタルパートナーズの小里さんでした。小里さんも私と同じく、ハウスメーカーで住宅の営業を経験していたことにすぐ親近感を持ちました。他にお会いしたM&A仲介会社の担当者も押しなべて優秀な方が多いのには驚きました。財務に関する知識があるのはもちろん、福祉についても詳しい方が多く、打ち合わせのたびに勉強させてもらったと感じています。
ただ、会社の将来を委ねるとなれば、商品の売買取引のような単純な話ではありません。自分たちが築いてきた歴史や信頼関係、人的資産、ノウハウなどをすべて引き渡していく作業ですから、本音で相談できて、時にはぶつかり合うことのできるパートナーでなければ成就しないだろうと直感したのです。そうした点で最初から、小里さんとは率直なやり取りができそうだと感じていました。

住宅の営業という共通の経験で親しみを感じてくださったのは、とても嬉しかったです。木村様は、包み隠さず率直に話してくださる経営者様だと感じていましたので、できればお役に立ちたいという想いを持っていました。
ただ、創業時にご自身が立てた目標の達成まであと一歩の段階にいらっしゃることもお聞きしましたので、必ずしもM&Aを急ぐ必要はないとも感じていました。M&Aを検討するタイミングは重要ですが、いつが最適かというのは企業の置かれた状況によって異なります。今回のように、目標達成をすでに視界に捉えたタイミングというのは、この先の成長余地を明確に示せるのがメリットです。山登りに例えると、山頂までたどり着いた後よりも、八合目、九合目の段階で譲渡を考えるほうが、結果として譲受企業が描く未来像は大きくなる可能性があります。
当初は目標の定員達成までじっくり時間をかけるおつもりだったようですが、結果的に早めに決断されたのはなぜですか。
何年もの間、経営者としての重責を背負ってきましたが、その重みが日に日に増していくように感じていたことです。行政による制度変更への対応や最低賃金の引き上げといった外部環境の変化の目まぐるしさに加え、内部でも、規模が大きくなるほど人間関係の複雑さが増していきます。そしてあらゆる事案の最終判断者は私一人でした。
スタート時に2施設だったものが、9施設になり、そして10番目の施設の話が動き出した時期がキリの良いタイミングだと感じたのです。ここで本格的に小里さんへ相談させていただきました。

STORIESの経営は、最初に拝見した段階から盤石だという印象がありました。やはり木村様が全施設の単月黒字にこだわり続けてきた点が大きかったと思います。これは決して当たり前にできることではありません。個別のグループホームの収支を一棟の例外もなく成り立たせていく緻密な経営姿勢は、ご相談初期にいただいた数字からも明確に伝わってきていました。このような実績があるからこそ、まだ具現化されていない新規施設であっても、黒字化の蓋然性を織り込んだ説明ができます。譲受企業の候補先に対しても、目下の利益の評価だけでなく、それ以上の魅力をお伝えできると確信していました。
譲渡先を選ぶうえで、特に重視された条件は何でしたか。
最も大切にしていたのは、会社を飛躍させてくれるかどうかです。利用者さんが長く安心して暮らしていただけて、なおかつ従業員が働き続けたい、挑戦したいという未来を描けるかが重要なポイントでした。
木村様はご自身たちが培ってこられたノウハウに自信を持ちながらも、もっと多くの方にサービスを届けたいとお考えだったので、お相手の規模の大きさもさることながら、STORIESの運営文化に共感しつつ、力強い推進力を持つパートナーをご紹介したいと感じていました。候補先を選ぶ中で桜十字の名前は、早い段階から私の頭に浮かんでいたお相手のひとつです。
ベンチャーのようなスピード感と熱量を初対面の時点で感じていた
株式会社桜十字の事業概要、またM&Aに対する方針を教えていただけますか。

桜十字は熊本県を発祥とし、医療・介護・福祉の領域で全国に事業を展開する会社です。これまで各領域でM&Aを積極的に進めてきており、私はそのうちの障がい福祉事業を統括する立場で熊本や福岡のほか、神奈川、そして埼玉の4つの事業所を運営しています。多くの事業者をグループに迎え入れてきましたが、最近はそれらをグループの傘の下でしっかりと束ね、それぞれを成長させていくフェーズに入りました。
私はもともと、老人ホームの運営を担当していましたが、グループホームは老人ホームと比べご利用期間が長く、安定した事業構造である点が魅力です。家賃や食費といった料金設定にも厳格なルールがあり、事業者の都合で利益を上乗せすることは認められていません。制限があるとは言っても、正しい方法で経営すれば、安定した運営を実現できる、非常にフェアで堅実な事業と言えます。一定以上の規模感のあるグループホーム事業にはぜひ腰を据えて取り組みたい、とかねてから考えてきました。
STORIESについての最初の印象はいかがでしたか。
とても堅実な事業者であるというのが第一印象でした。10事業所、定員60名規模まで見据えて組織が構築されており、規模感もここまでの運営姿勢にも、注目すべき点が多くありました。
埼玉の春日部という立地も魅力的です。ここより都心に近づくと家賃相場が急に上がるため、事業として成立させるハードルが一気に高くなります。一方、埼玉県内はまだ比較的リーズナブルであり物件取得の柔軟性もあるため、さらに郊外へ向けてドミナント戦略を展開できるという地理的な優位性もあります。グループホーム事業を展開する立地として、非常に良い場所だと感じました。
実際に初めてお会いになった時は、どのような印象を持たれたのでしょうか。
お会いしてすぐに感じたのは、増田さんおよび桜十字が持つ熱量とスピード感です。当社よりもはるかに大きな規模ながら、ベンチャー気質が息づいているのが分かり、嬉しくなりました。医療、介護から福祉の領域にも事業を拡大する中で、私たちのグループホームに関心を持ってくださったこと自体も、光栄に感じています。また子どもから高齢者まで、人生のあらゆるライフステージを支えたいと事業を拡充している姿勢にも、私たちがずっと描いてきた世界観と重なるのを感じました。
木村さんは、細かいところまで本気で考え抜かれている方であり、グループホームのプロフェッショナルだという印象を持ちました。当時、私は先に譲り受けた別のグループホームの運営で不明点、疑問点を多く抱えていたので、相談できる相手がほしかったというのもあります。初対面にもかかわらず、不躾な悩みの相談や質問にもすべて丁寧に答えてくださったのが印象的でした。しかも、STORIESの実体験に基づく知見だったので、説得力がまるで違います。

私も質問に回答するのが楽しかったです。増田さんの疑問または不安というのは、当社も、また多くのグループホーム運営事業者も通る道だと感じたので、私たちの経験が何かの参考になればと、つい熱を込めてお答えしてしまいました。
木村さんの熱意を直接感じたことで、ますますSTORIESへの想いが増していきました。成約後にPMI(経営や文化における両者の統合プロセス)を担う私にとって相談しやすい相手がいるというのは本当に大切なことです。連絡しづらい相手、相談するたびに気をつかう方だと、やはりスムーズには進みません。その点、木村さんとお話ししていると勉強になることばかりですし、財務、事業所の運営、人材育成に力を注いできた自負も感じます。ここに当社の資本や規模が加わることで、ビジネスが加速するのは間違いないと確信できました。
お二方とも互いに熱量の高い方でしたから、自然な対話の中でお互いの素を感じ取っていただくのがいちばん良いと判断しました。とは言っても、初対面ならではの緊張感があるため、私たち仲介役が話を盛り上げようと振る舞うこともあります。しかし、過度に演出をすると、後のフェーズになって当初思ったほどの相性のよさを感じられなくなってしまうこともあるので、私たちが「取り持とう」と意識せずにうまく話が弾むのが理想です。今回で言えば、私が積極的に話題を振らなくても、お二方だけで十分に盛り上がるだけの素地ができていました。
初めて施設を拝見した時にも、細部まで考え抜かれた運営をされていることがすぐにわかりました。建物は既存のものを最大限活かして、過度なコストはかけていません。一方、利用者さんが過ごす場所など、お客様の目に触れる部分はきちんと整えている様子が伝わってきました。華美ではないですが、決してみすぼらしくはなく、住環境としても十分に整っているというこのスタンスが、桜十字が大切にしている価値観と共通するものを感じたのです。
初期から非常によい関係だったのですね。順調にお話が進む中、ご不安や迷いはありませんでしたか。

早い段階で、私の気持ちは「桜十字グループに入りたい」と決まっていました。小里さんを通じて、増田さんの前向きな言葉を受け取っていたので、無事に成約までこぎつけたいと願っていたのですが、期せずして大きな山を乗り越える必要が出てきました。
その部分は私からご説明しなくてはなりません。実は、本件を進めている中で、当グループは20周年を迎え、これからの10年、20年先に向けた戦略の見直しがあり、本件にも少なからず影響が出ました。
その影響で、当初予定していたクロージング日が後ろ倒しになり、最悪の場合はブレイクもあり得る状況でした。
ただ、事業部としては本件を進めたいという気持ちに変わりはありませんでしたので、改めて事業計画資料を提出し、社内承認を取り直す対応を行いました。
当社スタッフの人生、利用者さんの暮らしを背負っている立場としては、交渉が暗礁に乗り上げたことに焦りを感じました。もし破談になれば、仕切り直しになりかねません。なんとか前に進めたい一心で、小里さんとは何度もやり取りを重ねていました。
増田様のお立場も理解できますし、もちろん木村様の戸惑いにも寄り添わなくてはなりません。内心は私も冷や汗が出る思いでしたが、少なくとも、増田様と木村様両者の想いにはブレがありませんでした。
そこで、桜十字の社内合意形成に使える材料として、木村様とともに事業計画や将来の収益の見通しなどを一緒に整え直すことにしたのです。木村様にはかなりのご負担をかけてしまいましたが、増田様が社内で話を通すためにも説得力ある資料をお渡ししたいという一心で取り組みました。
小里さんの動きには本当に助けていただきました。実際には、そのまま頓挫した投資判断も少なくありません。一方、STORIESについて最終的に経営陣の理解を得て社内決裁が下りたのは、説得力のある事業計画のもと、足元の利益だけでなく事業の将来性も示せたことが理由です。受け取った書類からは、木村さんと小里さんの魂がこもっていることを感じずにはいられませんでしたから、最後の最後で社内を説得できたことに安堵しています。
小里さんとリモートで行った夜の緊急会議のことは忘れられません。当初は、突然ハシゴが外されたような想いになり、不安や怒りがなかったと言えば嘘になります。ただ、その想いをプラスの力に変え、事業計画をさらに精緻なものとすることにフォーカスできたのは小里さんのおかげです。
グループホームをたしかな基盤に新たなビジネスへも挑戦していく
スタッフの皆様に対して情報をオープンにした際は、どのような反応でしたか。

最初は驚きの声がありました。私が現場を細かく見ていた印象が強かった分、「社長が抜けて大丈夫なのか」という心配する気持ちも理解できます。だからこそ、この決断に至った理由と、桜十字グループと一緒になれば当社にどんな世界が開けるのかを丁寧に伝えたつもりです。スタッフ一人ひとりの未来に目を向けると、選択肢が広がる方向に進んでいると私が信じているので、最終的にはみな前向きに受け止めてくれました。
そうした木村さんのポジティブな態度が現場にも伝播しているのを感じています。マネージャークラスの方々とは、積極的にコミュニケーションの機会を増やし、一緒に食事をしたり、当グループが支援しているバスケットボールチームの応援で盛り上がったり、少しずつですが相互理解を深められているかと思います。
今回のM&Aキャピタルパートナーズのご支援について率直な評価をお聞かせいただければ幸いです。
これまでさまざまな仲介会社の方とお仕事をしてきましたが、今回ほど、仲介業としての真価を発揮していただいた機会はありませんでした。先述したように当社の事情で話が止まりかけた局面でも、こちらの再検討がスムーズに進むように最大限のサポートをしてくれました。それに譲渡企業に対しても常に寄り添う姿勢で、木村さんの気持ちを丁寧につないでくれたのも小里さんの努力の賜物だと思います。小里さんでなければ、間違いなく成約にたどりつけなかったでしょう。感謝しています。
まずは、すぐにM&Aへハンドルを切るのではなく、当社のフェーズに合わせて伴走してくれる姿勢がありがたかったです。不安な場面でも、小里さんが最後まで前向きなマインドでいてくれたことに救われました。M&Aは「ご縁を結ぶ」などと言いますが、言葉にするのは簡単です。実際にそれを体現するには、M&Aアドバイザーの誠実さや人間力が問われるのだと、実感しました。小里さんにサポートをいただけて本当によかったです。
今回、私も仲介という仕事の意味を再認識しました。今の温かいお言葉をお聞きして、ありがたいですし、取り組ませていただいてよかったと思います。お二方がそれぞれ一緒になりたいという強い想いを最後まで持ち続けてくださったからこそ、私もその想いをつなぐことに集中できました。
率直に申し上げると、最終的に社内で承認された事業計画は、当初の案より回収期間が短い、チャレンジングな内容になっています。木村さんと小里さんから受け取ったバトンを、私としてはただ守るのではなく、上回って見せたいと考えています。そのために現在のグループホームとしての磐石な基盤を活かしながらも新たな挑戦をしたいと考えています。
日中、多くの利用者さんは施設外で過ごすため、この時間帯を活かして、より幅広い支援につなげていくことは、1つの重要テーマです。案として、就労支援や生活介護といった日中サービスを併設して展開できるかもしれません。ありがたいことに、STORIESの現場の方から具体的なアイデアが上がってきています。現場の知見と、桜十字グループとしてのリソースを掛け合わせれば、グループホーム単独で見える事業価値を大きく超えるものが描けるはずです。
私たち自身のリソースだけではなかなか踏み込めなかった事業領域でしたので、桜十字の力で動き出すのが、本当に楽しみです。
これからM&Aを検討する経営者の皆様に対して、メッセージをお願いいたします。
おかげさまで、後悔のない選択ができました。それは自分がどうしたいかを整理し、いろいろな立場の方に率直に相談したうえで、最後は自分で決断したからだと感じています。
会社の将来については、あらゆる経営者が常に考えていることだと思いますが、自分自身や家族の人生についても考えることをおすすめしたいです。私は会社への想いに偏っていたので、今回の機会を経てようやく、自分と家族の人生を見つめ直すことができました。そのことも、より良い選択にたどり着くための要素だったと思っています。
仲介業者は世の中に数多くいますが、今回のような誠実な仕事ぶりを拝見していると、改めて信頼できるアドバイザーとのつながりが財産だと感じました。これからM&Aでの譲渡を検討する方も、譲り受ける企業にも、お相手選びと同じくらい、仲介役を選ぶ大切さを伝えたいと思います。
私たちはお会いするオーナー様に必ず、「M&Aありき」ではなく、数ある選択肢の一つであることをお伝えしています。独立独歩の経営にも、M&Aにも、それぞれメリットと留意点があります。やはり正しい情報を多く取り入れたうえで、ご自身で納得して決断されることが、最も後悔のない判断につながるはずです。私たちは、その判断のための材料を集め、整理することに、これからも誠実に取り組んでまいります。

(左から)弊社 小里/木村様/増田様
文:蒲原 雄介 写真:松本 岳治 取材日:2026年4月24日
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却はお気軽にご相談ください。




