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M&Aご成約者事例
#58

23株式会社 代表取締役CEO 清水 淳史
株式会社ディスコ 代表取締役社長 新留 正朗
23株式会社
代表取締役CEO
清水 淳史

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株式会社ディスコ
代表取締役社長
新留 正朗

互いに“理想の未来”を描くことができたM&A

動画やデザイナー、エンジニアなど主にデジタル領域に強い“Z世代のクリエイター”を束ね、“Z世代の可能性”を世の中に還元していく23株式会社。「Z世代のニーズをうまく捉えて、Z世代の当事者目線でモノを作る」というコンセプトが注目を集め、急成長を遂げたベンチャーがなぜM&Aを決意することになったのか。代表である清水淳史様にお話を伺うとともに、譲受側の株式会社ディスコ代表取締役社長 新留正朗様、同社執行役員CTO 林健一郎様、ジャフコグループ株式会社 水谷太志様に、これまでの経緯と未来について伺った。

23歳、仲間の思いを受け、学生ベンチャーを立ち上げた

まずは清水様が、23株式会社を創業された経緯からお話いただけますでしょうか。

清水
23株式会社 清水 淳史 代表取締役CEO(以下、清水)

私は愛知県出身なのですが、大学進学を機に福岡へ行くことになり、大学ではデザインを専攻しました。当時、福岡市が「スタートアップ都市宣言」を発信していたため、多くの起業家が福岡にやってきていて、私の大学でも起業家教育を実施していました。そういった環境から、自分の中でも起業がとても身近なものになっていました。20歳のときに大学を休学して、ドローン事業で起業し、COOという立場で事業を始めました。しかし2020年春、コロナ禍に突入したことで資金調達がうまくいかなくなり退任を余儀なくされました。投資家から資金を集めて経営していたので、その期待に応えられなかったこと、また少なからず自分の人生の一部をささげていたものが無くなってしまうことが非常に苦しかったです。

失意の中、東京から福岡に戻り、もう一度、大学生として歩み直そうと考えて復学することにしました。そんな私を周囲の友人たちは起業家としてリスペクトし、温かく迎えてくれたのは非常に嬉しかったですね。友人たちから「もう一度福岡で事業をやらないか」「一緒なら何かできるのではないか」といった声がかかってきます。エンジニアでもデザイナーでもない私にできることは経営しかありません。経営者の立場でみんなと一緒に“何か価値を創り出したい”と強烈に思いました。

清水

どのようなビジネスが良いかを考えるなか、当時の大学生のほとんどが“ステイホーム”で、スキルを身に付ける状況が整っているにもかかわらず、培ったプログラミングやデザインなどのスキルをアウトプットする場がないことに気づきました。一方で、東京から福岡に帰ってきて、色々な企業の方と話をしていると、特に地方ではデジタル人材の不足が深刻化していると実感をしました。学生が培ったスキルとデジタル人材を求める企業のニーズをマッチングさせれば、新たな価値が生まれると考え、当時の年齢をそのまま社名にした会社「23(トゥースリー)株式会社」を立ち上げることにしました。
最初の起業の失敗から得たものはたくさんありました。スタートアップのほとんどが投資家から資金を集めて経営していると思いますが、23は基本的に自分たちのお金でやっていこうと決めました。自分たちのお金で利益を生み、その利益を元手に次の投資につなげていく、それが自分の考える“美しい経営”でした。
もちろん、経営者には色々なタイプがいます。よくあるスタートアップの経営者は、とんでもなく壮大なビジョンを描き、それについていく仲間を探していきます。そのタイプの経営者に憧れはありますが、私自身は全くそうではなく、現実を見るタイプと自覚していました。決められた枠組みの中で利益を最大化させることが得意なので、私はサラリーマンにも向いているとは思います。しかし、それでも経営を続ける理由は、福岡に帰ってきて友人たちのスキルを見て“これは絶対に世の中に出すべきだ”と感じたからに他なりません。
また、“私はなんでも器用にこなせるタイプではない”という自覚も、自分が経営をする後押しになっていると思います。色々なことができてしまったら、何でも1人でやってしまい、会社を大きく成長させることが難しくなります。しかし私にはスキルがなかったために、色々な人や企業を巻き込みましたし、巻き込むことしかできなかったからこそ、起業家、経営者として会社を大きくする必要があったといえます。

起業後、会社は順調に推移しましたか。
清水

起業するにあたり、福岡を始めとする地方にはエンジニアなどのデジタル人材が如実に不足している問題があったため、案件の獲得についてはそこまで苦労はしませんでした。どちらかというと私たちの挑戦は、案件を遂行するための優秀なクリエイターをいかにして取り込み、どう組織化するのかにありました。言うまでもなく、それは事業成長とリンクしています。

清水

最初の10人は、私に声をかけてくれた友人や、周りにいる優秀な人を口説いて集めていきました。そこから30人にするまでは、さらにその周りにいるクリエイターに手を広げていきました。そこから先は、SNSを経由して対外的に発信しているZ世代のクリエイターたちにアプローチをして、現在の90人ほどの体制を作り上げていきました。90人全員がクリエイターというわけではなく、その中にプロジェクトマネージャーの肩書を設けて、その方が案件をマネジメントするという仕組みにして、組織として成長を維持しています。
時代の波にとても助けられていると思います。起業してから2年ほどで「Z世代」という言葉がメジャーになってきましたし、デジタル人材に対する政府の支援も流れとしてあります。そこまで見通していたわけではありませんが、偶然にもその流れと私たちのビジネスモデルがマッチ。メディアに取り上げられることで顧客からの期待もオファーも増え、企業として成長ができたと感じています。

 

M&Aキャピタルパートナーズだけが23の未来を信じてくれていた

清水様が社長として発展をさせてきた会社です。どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょう。

清水
清水

これからも23を大きくしたいという成長意欲がベースにあります。そのためにはいくつかの課題をクリアしなくてはなりません。まず一つ目に、人材をどのようにして増やしていくかという課題がありました。受注案件はある程度あるなかで、クリエイターをどう増やしていくか。クリエイターとクライアントをつなぐプロジェクトマネージャーも必要ですが、そこを担っていた私自身のキャパシティーの問題もあります。これから23を大きな企業にする上でネックになっていると感じていました。
二つ目の課題は、営業力と中堅・大企業を目指すうえでのガバナンス強化です。成長のためにはクリエイターに案件を安定供給しなければなりませんが、そのためには、新規の営業活動で安定的に案件を受注できる体制構築や会社の知名度が必要です。学生起業で生まれた会社なので、正直言って経営基盤が安定しているとは言いがたい状況にありました。それらをバランスよくしっかり整えながら伸ばしていかなければなりませんし、さらに業務委託のメンバー中心で進めていたプロジェクトマネージャーやクリエイターを正社員として抱え“企業としての顔つき”を整えていく必要があると感じていました。
しかし、当時のガバナンスや営業体制ではそれが難しく、5年、10年という長いスパンで育てていく余裕もありません。できるだけ短い時間でそれらのリソースを獲得したかったので、大企業の力をうまく使って、23と自分自身の人生にレバレッジをかけていくべきだと、選択肢のひとつにM&Aを加えても良いのではないかという発想が生まれました。
とはいえ、最後まで確信は持てませんでした。福岡には色々なスタートアップが生まれていますが、私には相談できる人が全くいません。同年代の経営者はほとんどいないですし、同じような業態をしている人もほとんどいません。自分の中でも確信が持てなかったので、いくつかのM&A仲介会社に問い合わせて情報収集をしようと思いました。そのなかのひとつにM&Aキャピタルパートナーズがありました。

ここからは、M&Aキャピタルパートナーズの担当者である松木さん、大川さんも交えてお話をうかがいます。お互いの第一印象からお聞かせいただけますでしょうか。

 

松木
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社  松木 奨吾(以下、松木)

とても優秀な方だと思いました。ご面談前にホームページを拝見していたのですが、やり手のベンチャー社長というイメージで、“どんなイケイケの人が来るのか”と思っていました。しかし実際にお会いすると“本当に25歳なのか?”と驚くほどの落ち着きと風格がありました。お話される内容も的確で、頭の回転が早く、率直に“こんなに優秀な人がいるのか”と驚きました。

大川
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社  大川 裕太郎(以下、大川)

学生ベンチャーで設立3期目、清水社長は当時25歳でしたので、初めての年下のオーナー様でした。松木と同様、私もイケイケな若い経営者というイメージを持っていましたが、実際にお会いすると正反対で、誠実さと謙虚さを持ち合わせながら、かつ堂々としており、良い意味で年齢不相応に落ち着かれていたというのが、第一印象です。

清水

問い合わせした仲介会社の中で、最後にお会いしたのがM&Aキャピタルパートナーズでした。その前に面談をしたM&A仲介会社は、23に対する“学生ベンチャーで設立間もない”という先入観を露骨にそのまま私に対して向けているように感じました。そのせいで、M&Aに対するモチベーションが少し下がっているなかお話をすることになりましたが、M&Aキャピタルパートナーズのお二方だけが、23の未来を信じてくれていると感じました。
23には正社員もいないし、受託制作なのでプロダクトもないため、定石通りの考えると企業価値算定が難しいことはわかります。しかしお二方は「こういうシナジーが創出できて、こんな未来が描けるから、こんな風に企業価値を高めていけるのではないか」と話してくれて、明確に他社との違いを感じました。

清水さんのお話をきいて、どのようにお役に立てると思ったのでしょうか。

テストテスト
松木

清水社長・23様の課題を解決し、独立独歩では成し得ない加速度的な成長ができるのかどうかという観点でお役に立ちたいと思いました。事業モデルもユニークで他にはないものだったので、私たちも“これは伸びる”と思っていましたし、そのために最良のパートナーを探すのが私たちの使命だと思いました。私たちも常にアンテナを張って、どのような企業がマッチするのかを考えていて、その中で候補としてあがったのが株式会社ディスコでした。

ディスコ様は人材採用支援事業を主軸としており、新卒向けサービスの「キャリタス就活」がメインとなっております。直近でジャフコグループ様の資本を受け入れており、今後の成長戦略として、より多くのデジタル人材を自社で抱えながらサービスに磨きをかけ、業界最大手を目標にしていくことを伺っておりました。23様の特徴である、18~25歳のデジタル人材を多く抱えZ世代視点での企画・開発ができる点と、ディスコ様の思い描く今後のビジョンがマッチしていると考え、提案をさせていただきました。

企業価値算定についての懸念はなかったのでしょうか。
大川

教科書的に考えると先ほど清水社長がおっしゃった通りですが、杓子定規に教科書的に算出する企業価値は、清水社長にとって有益な情報とはなり得ませんし、社員が1名というのは形式的な話に過ぎません。23様は清水社長が圧倒的なリードオフマンとして存在し、かつZ世代の優秀な大学生や若い既卒の方が副業で関与されております。また、全メンバーが業務委託でありながら非常に優秀で、福岡から東エリアに拡大されている状況でしたので、とてもポテンシャルが高く、紹介する企業の戦略次第では23様が化ける可能性があると思っていました。ですから、化けられる会社との縁組ができるか、どんなお相手が魅力的な提案をしてくれるのか、とてもワクワクしていました。

テストテスト
清水

M&Aキャピタルパートナーズに依頼して良かったことのひとつに、“私が見えていないシナジーを見出してくれる”点があげられます。私が想定していたのは、デジタル系の制作会社や広告代理店、またはエンジニアのリソースが不足している企業に入っていくことでした。学生のインサイトを使ってこれからサービスを伸ばしていくというシナジーは、私が想定していた枠組みを大きく超えていました。そういう意味で、私が思っている23のポテンシャルのさらに上を見出してくれて、提案していただいたので、その点は非常に良かったと思います。結局、他社の仲介会社と自然と離れていったのは、M&Aキャピタルパートナーズとしっかり会話をするようになったあたりからです。やはり自分たちのことを理解してくれて信頼ができました。
もちろん経験したことのない世界に足を踏み入れる不安はありました。M&Aは、長く経営者人生を歩んだとしても何度も経験することではないでしょうし、手順は示されていても実際にそのときにならなければ分からないですし、他にも本当に提案してくれる企業が出てくるのか、どういった条件が出てくるのかなど、すべてのフェーズで常に不安でした。だからこそ信頼できるM&A仲介会社が必要で、その手順を知っている方が進めてくださらなければ、私は前に進めなかったかもしれません。

トップ面談時には“未来をどう描くか”を議論

ここからは、譲受企業である株式会社ディスコの新留様、林様、ジャフコグループ株式会社の水谷様にも参加いただいて、お話を聞かせていただければと思います。まずは株式会社ディスコの事業概要とM&Aに対する基本的なスタンスをお聞かせください。

新留
株式会社ディスコ 新留 正朗 代表取締役社長(以下、新留)

当社のメイン事業は企業の人材採用支援と大学などの学生募集広報の支援です。人材採用支援の中でも注力しているのは新卒領域です。2023年10月に50周年を迎えます。昨年10月にジャフコグループの資本を受け入れ、次の50年に向けてさらに発展できる会社にしていきたいと考えているところです。主力サービスの「キャリタス就活」以外では、ボストンキャリアフォーラムなどグローバル人材の採用支援や、採用アウトソーシングが強みで、提案力や業務遂行力は顧客に高く評価をいただいています。本丸である就職情報サイトが業界3番手に甘んじている状況で、上位2社と競争できる状態を作りたいと考え、今後はシステム開発をはじめとするDX分野の強化をテーマのひとつにしていました。

「キャリタス就活」の大規模なサイトリニューアルを今年4月に行い、今後さらにサイトの利便性などに磨きをかけていこうとする矢先で、23とのM&Aの話が持ち上がりました。23にはWEBに長けた知見を持っている優秀な業務委託メンバーの学生や若い社会人の方が数多く登録しています。清水社長の話を重ねていくことで、「キャリタス就活」をはじめとした新卒メディアの企画で、シナジーを生むことができると確信しました。

水谷
ジャフコグループ株式会社 水谷 太志 プリンシパル(以下、水谷)

ジャフコグループはディスコと同じく、今年50周年を迎えた企業です。祖業はベンチャーキャピタルで、現在は国内外であらゆるステージへの投資を行っています。私が所属するバイアウト部門は、資本参画後により深く投資先企業に入り、一緒に経営をするという役割を担っています。私もディスコでは取締役として、会社の発展や成長を一緒に実現していく黒子として、ポテンシャルを最大限に高めていく使命を担っています。
ディスコの業績も伸びてはいますが、今までにない能力や強みをスピード感持ってどのようにして獲得していくのか、その一つの手段としてM&Aがあります。ディスコのサービスは新卒学生向けのものが多く、若い方が利用します。23は18歳から25歳の方が中心に集まっていて、クリエイティブ力に強みを持つ。また、それだけでなく23に在籍する若いメンバーの持つインサイトをディスコのサービスに取り込むことができれば、よりよいサービスを提供できるようになるのではないか、という考えがありました。



ディスコのような大企業が、1人で経営している清水社長のポテンシャルを見出したことに驚きがあります。経営陣のなかで葛藤や反論などは正直なかったのでしょうか。

新留
新留

清水社長が1人で経営されている会社ということでやや不安はありましたが、業務委託登録されている学生や社会人の方の経歴や、これまでの成果物を確認させていただき、話を重ねていくうちに、それら不安は払しょくされました。そして、我々と一緒になることで、23としてもさらに成長できるのではないかと感じました。さらに清水社長は、ローカル企業のマッチングもビジネス化したいというアイデアをお持ちだったので、それは我々が一番得意とする分野であり、より事業シナジーが生み出しやすいのではないかという期待も大きくありました。

水谷

確かに、会社情報だけを見ると実態が分からず、疑問に感じるところもありました。しかし実際に清水社長にお会いして感じた“人となり”と、“実際のアウトプット”を見たときに、疑問は無くなりました。年齢だけいえば清水社長は確かに若い経営者ですが、考えの深さや仕事に対する哲学と、顧客への真摯な向き合い方は一流だと感じました。

 

ディスコは創業50年ですが、今回のような資本を絡めた提携は初めてになります。これから色々な会社と組んでいこうというときの1社目として考えたときに、今回のご縁はとても良い機会だと思いました。一緒になって、これからの50年を描いていけるのではないかという期待を持つことができました。
私は経営者が何歳であろうと、何年会社を経営していようと関係なく、良い経営者と次の未来を創っていきたいと考えています。面談を重ねていく中で清水社長は良い経営者だと感じることができました。



トップ面談の際のお互いの第一印象を教えてください。
新留
新留

とても25歳には思えないほど、堂々と説明をされている姿をみて、率直にすごいと思いましたし、話す内容からも実力を感じました。

清水

ありがとうございます。M&AキャピタルパートナーズのおかげでM&Aを能動的に考え、23の未来をしっかり捉えることができると感じました。そこから優先度が高くなり、M&Aについて前向きに話を進めるようになったのですが、さらにディスコとの初回面談で気持ちが高まっていきました。
23のビジネスモデルである受託制作会社では見いだせない可能性を提示してくださったのが非常に嬉しかったですね。学生という強みを存分に活かせると思いました。また、これから23は自社サービスの展開も考えていたので、その部分での私の個人的な願いも柔軟に受け入れてくれました。その点で本当に安心してパートナーシップを組めるお相手だと感じました。
M&Aは未来の話なので、トップ面談時には“未来をどう描くか”という点でお話をさせていただきました。水谷さんからも“ディスコと23が一緒になったらどういうことができるのか”についてお話いただきました。お互いの未来をわずか1時間の中でぎっしりお話ができたので、“ここまで未来が描けるのであれば、私としても人生を捧げる意味がある”と思えました。

水谷

水谷

M&Aキャピタルパートナーズの役割もすばらしかったです。事前に相当なビジネスに関するディスカッションの場になることは聞いていました。清水社長が今回求めていることは、“いかに23の持つポテンシャルを活かして同社の将来成長につなげていけるか”ということだと聞いていたので、そういう意味でも、初回面談から非常に面白い時間になるのではないかと考えていました。

松木

まず、清水社長のご意向を我々がしっかりと受け止めること、そしてディスコ様から質の高い提案をいただくために情報を余すことなく提供する、この2つに尽きると考えていました。事前に滞りなくコミュニケーションを取れていたディスコ様・ジャフコグループ様であれば、良い提案をしていただけると確信がありました。

水谷

我々はM&Aはあくまで一手段に過ぎず、M&Aの後に何を描くかが重要だと考えています。清水社長にお会いする前に会社概要を教えていただき、それをもとに事前検討を行い、ディスコの経営陣とも話をして、ディスコとしてできそうなことを総意としてまとめて提案させていただきました。2社の未来につながるかどうかが重要ですので、道中では多くの議論を重ねました。

林
株式会社ディスコ  林 健一郎 執行役員 CTO(以下、林)

ディスコのデジタル組織を強化・整備していくCTOの立場として、私も面談に同席をさせていただきました。面談のなかで感じたのは、“清水社長に協力いただくことで、DX分野を強化するスピードを速められるのではないか”という期待でした。
デジタルの世界はサイクルが早いため、素早くプロダクトをデリバリーして回さなければなりません。そういう意味でも、清水社長の会社と密に連携を取りながらそのサイクルを早めていけたら、というのが最初に抱いたイメージでした。また、清水社長を含めてメンバーのみなさんが若いので、インサイトを得るという意味でも十分収穫を得られるとも思いました。現場寄りの目線としては、これらを基点に様々なシナジーを生めるのではないかと期待しています。

大川

ディスコ様もジャフコグループ様も終始柔軟な姿勢で対応して下さいました。23様は設立3期目なので、本件は過去の数字よりも将来の事業計画に関する議論がポイントとなりましたが、双方向の積極的な情報開示のご姿勢が功を奏し、入口から充実したディスカッションができたという印象です。

松木

清水社長の要望として大きかったのは、“相談できる相手が欲しいと”いうこと。清水社長からは「水谷さんと林さんと一緒に体制を作りたい」とご指名をいただいておりました。ディスコ様からご提出いただいた意向表明書には、ご要望通りにバイネームで記載をいただきました。我々にとっても初めての経験だったので、柔軟にご意向を汲み取っていただけたと嬉しく思いました。



それだけ23株式会社に期待していたということでしょうか。
水谷
水谷

そうですね。このようなパートナーシップを組む際に、我々の中で必ず、“なぜ組む必要が有るのか、それは自分たちだけではできないのか、組むことでどの程度の利点があるのか”ということを議論します。23が行っている各地方の若いクリエイターを集めてコミュニティを作り、仕事を渡しながらまとめていくということは決して簡単ではなく、ディスコ単体ではノウハウ的な意味で難しい、またできるとしても多くの時間を要すると判断しました。

また、清水社長が会社に残らないという考えであれば、我々も23と組みませんでした。清水社長はディスコが持っている様々なアセットに対してやりたいことをどんどん出してくれて、それもとても良かった。ディスコが自分たちではまだ活かしきれていないアセットを有効活用して23自体が大きくなっていく構想について面白いと感じました。

そうは言っても、500人規模で創業50年の会社のグループに3期目のスタートアップが入ってくるとなると、連携が難しいのではないかとも思いました。ジャフコグループという外の立場である私と、現場にいる林さんの2名が架け橋となってつなげていければと当初から考えていたのですが、まさか逆にご指名いただけるとは思っていなかったので驚きました。

自社のポテンシャルを気づかせてくれた

成約後から、現在に至るまでの状況の変化を教えてください。
林

足元のところで言うと、お客様から請け負う採用ホームページ案件や、キャリタス就活内の追加ページや企画ものをすでに依頼をして、一緒に進めています。今後は、さらにもう一段密にコミュニケーションを取り、キャリタス就活内の企画コンテンツを作るだけではなく、“このように作ろう”といったサービスへのインサイトを提案してもらいながら、改善をするサイクルをいち早く確立していきたいと思っています。一緒にやっていくことで、23の実績も積み上がっていくのではないかと考えています。開発だけでなくマーケティングチームとも連動して、23の業務委託メンバーの方に経験を積んでもらうことで、メンバー自身の価値を高めていけると思っています。そうすれば、清水社長の構想する新規事業の価値も高まっていくでしょう。お互いの価値を高めていく取り組みを、一刻も早く進めたいと思っています。

清水

これまで経営者としての人生しか歩んでこなかったので、M&Aが成立した日が、いわば私の社会人人生のDay1だと捉えています。この2カ月のあいだ、なるべく東京に足を運んでみなさんと接点を持つようにする中で、ディスコの人に毎日のように声をかけていただいています。資本業務提携はお互いにとって初めてのことでしたので、どのような関わり方が良いかお互いに分からない中で会話をしていますが、前向きに連携を進めていこうということを経営者のみなさんからもメッセージとして発信していただいていましたし、それが現場の方にも届いているので、非常にコミュニケーションがしやすいです。私自身、非常に居心地のよさを感じています。

新留
新留

まだ2カ月なので、今の時点では大きな変化はありませんが、清水社長のように学生起業した会社と我々が一緒になることによって、ディスコ社員の活性化にもつながればと考えています。水谷さんとも話していますが、新しいことにチャレンジしたいという社員が23で修行したいといってくるようなことが今後起きてくると、より面白くなっていくと思います。ディスコのグループ内に、若手社員でも自分の力を存分に試せる環境を用意できれば、より活性化できるという期待を持っています。

清水社長にはディスコの経営会議にも参加してもらっています。経営会議には事業部長以上が出席しますが、47歳の私でも若い部類に入ります。その会議の中に25歳の清水社長に入っていただくというのは、私にとっても他の出席者にとってもいい刺激になっていると思います。

水谷

清水社長はすでに経営会議に溶け込んでいます。清水社長もすごいですが、受け入れるディスコ側の柔軟性の高さも感じています。また、清水社長のような経営人材がグループ全体の経営にも参画して共に成長を目指していくことができれば、組織としてもさらに強くなれると感じています。

大川

当初から事業の親和性も然ることながら、ディスコ様が新卒向けのサービスをメインとしているなか、23様のインサイトをどう取り込むかという点がポイントでした。清水様はご一緒になられるだけではなく、ディスコ様側にどのような良い影響を与えられるかという点も含め、最初から考えられていたので、当初のイメージに近い取り組みが実務面で進行していることを実感し、改めてとても良いご縁だと思いました。

M&Aキャピタルパートナーズへのご評価をいただけますか。
水谷
水谷

非常に難しい仕事をしていると思います。M&Aキャピタルパートナーズと一緒に仕事をするうえで、毎回のように“1人1人の戦闘力がとても高いな”と感じています。本件についても、双方で考えが合致する部分もあれば、異なる部分もあったかと思います。昨日まで交わらなかった会社同士が握手をするわけなので、一つひとつを積み上げて、それを実現させるのは非常にハードルが高い仕事だとみています。振り返ったときに “素晴らしいご縁だったな”と感じ、“必然的に出会ったのではないか”とすら思えます。M&Aでは右手で握手をしながら左手で殴り合うような場面もあります。しかしそういった場面でも、お互いがノーガードにならないように仕切ってくれたり、ある種のクッションになってくれたり、互いの本音を引き出し、つないでくれるので、一緒に仕事をするうえでとても気持ちが良い。稀有なアドバイザーだと思っています。

私自身としても会社としても初めての取り組みでしたので、 “こんなにスムーズに決まっていくものなのか”と驚きました。こちらが必要な情報を適切に与えてくれたので、非常に助かりました。清水社長と密にコミュニケーションを取っていたからこそだと容易に想像できます。水谷さんと23の福岡オフィスに訪問したときも道中、完璧なセッティングをしていただき、流れるようなコミュニケーションで本日を迎えることができました。それがM&Aキャピタルパートナーズのお二人のすごさなのだと感じています。

新留
新留

テクニカルな面は水谷さんをはじめとしたジャフコグループのメンバーが中心になって進めてくださりましたが、やり取りを見ているだけでも、松木さんや大川さんが清水社長をしっかりサポートされていることはわかりました。2人を見ていて、M&Aキャピタルパートナーズは誠実で真面目な会社という印象を受けました。初めてのM&Aでしたが、こんなにスムーズにいくとは思いも寄りませんでした。

清水
清水

M&Aキャピタルパートナーズの二人には、本当に感謝しています。M&Aは人生で何度も経験するものではないので、通常は思惑が入り乱れて、どうしても情報の非対称性が発生してしまうと思います。しかし今回はそういうものを一切感じませんでした。全ての情報を私に提供してくれていましたし、私の思いもディスコ、ジャフコグループ側に正確に伝えてくださいました。一切の情報の隔たりがなかったからこそ、結果的に未来を一緒に描くことができたのだと思います。そういう意味でも、お二人は一切の偏見なく私たちを受け入れ、この案件を進めてくださいました。もし半年前に戻ることがあっても、私はまたお二人にお願いするでしょうね。

ありがとうございます。最後にそれぞれのお立場から、読者である経営者の皆様にメッセージをお願いいたします。
新留

変化の激しい時代に新しい事業にチャレンジするうえで、M&Aは非常に有効なツールだと考えています。今後、23と良いシナジーを生み、第二、第三の会社と組むことができたらと思います。M&Aキャピタルパートナーズが仲介してくれて本当に良かったと感じていますし、これからも新たなご縁に期待したいと思っています。

清水

まず話を聞いてみるのが重要だと思います。私の場合はこれまで1人で経営してきて、誰かに相談することなく進めてきたので、23が持っている潜在的なポテンシャルは全て私の頭の中にしかありませんでした。それを今回、M&Aキャピタルパートナーズの2人やディスコ、ジャフコグループの皆さんとお話する中で、“23にはこんなポテンシャルがある!”“こんなシナジーを生める!”という気づきを得られただけでも、私は相談して良かったと思っています。お話をする中で、23の持つ天井を崩せた感覚です。そういう意味でもあらゆる経営者に言えることは、まず話を聞いてみること、そして第三者の視点を入れてもらったうえで、自分の会社の可能性をもっと広げることが大事だと思っています。

水谷

M&Aは互いにフェアな話だと考えておりますが、どこかで“どちらかが上だ”という状況が生まれることもあります。しかし本件はM&Aキャピタルパートナーズが間に入って本当の意味でのフェアな対話ができたと感じています。結果的に片方の会社だけが得をするM&Aもありますが、双方が成長できるM&Aはなかなかありません。お互いが腹を割って成約前に本音でぶつかり合うからこそ、“これであればお互いが成長できる”と納得できる案が出てくると思います。臆さず本音で話し合い、互いの相性について合うかどうかを両社が見極める、それ以外の方法は無いと思っています。

大川

我々は決して資本面の事業承継のみに焦点を当てているわけではなく、本件のように会社の固有の課題に対して完全にオーダーメイドで組み立てていく姿勢を大切にしております。今回の清水社長の場合は、設立3期目で資本面での課題は何一つございませんでしたが、福岡の地で単独経営をされている現状と比較し、今後は経営に関する多様な意見を受け入れ、23様の成長にドライブをかけていくうえで必要となる経営資源の獲得を目指すための選択肢の一つとしてM&Aが視野にあったと認識しております。このようにオーナー様や会社様と膝を突き合わせてストレートに向き合い、課題を正確に捉え、それに対してM&Aという手段で解決できる可能性があるのであれば、全力で提案させていただくという立場で、常に全力で仕事をしております。

松木

大川の言うとおり、後継者不在の事業承継だけでなく、今回のような成長・発展型のM&Aも増えてきています。その場合、どんなお相手と手を組むかによって描ける未来は大きく変わってきます。会社や個人の課題をざっくばらんにお話いただき、独立独歩では成し得ない成長することができる未来を描くお手伝いをできればと考えております。

(左から)水谷様、林様、新留様、清水様、弊社松木、弊社大川

(左から)水谷様、林様、新留様、清水様、弊社松木、弊社大川

文:伊藤 秋廣   写真:服部 健太郎  取材日:2023/5/22

担当者プロフィール

  • 企業情報部  松木 奨吾

    企業情報部松木 奨吾

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人に入社。
    金融商品取引法監査及び会社法監査を中心に実務経験を積む。
    IPO支援業務にも携わり、複数社の上場支援実績を持つ。
    当社入社後、IT・外食・製造業界を中心に事業承継の支援を行っている。
    IT業界M&Aプロフェッショナルチームメンバー

  • 企業情報部 課長 大川 裕太郎

    企業情報部課長大川 裕太郎

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人に入社。
    金融商品取引法監査及び会社法監査を中心に実務経験を積む。公営企業の民営化支援業務にて、内部統制構築支援業務、財務諸表作成支援業務にも従事。
    当社入社後、サービス業、製造業、卸売業等、幅広い分野にてM&A支援実績を有する。

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