それぞれの選択 #166 包装資材企画・加工×包装資材企画・加工

庫内 森
庫内 森

変化し続ける需要に応えるために。
想定以上のシナジーが期待される同業種のパートナーシップ

1963年の創業以来、さまざまな工業用特殊紙や包装資材を開発、製造し、卸売りを行ってきた大庫洋紙株式会社。父子2代にわたって、大手企業から大きな信頼を寄せられてきた。前代表取締役の庫内 勇次氏は、当初計画していた親族承継からM&Aに方針を転換し、新江州株式会社の100%子会社となる道を選択する。譲受企業の新江州とはどのようなシナジーが期待されるのか。大庫洋紙の新社長にも就任した新江州の森 和之氏とともに詳しく語っていただいた。

  • 譲渡企業

    会社名
    大庫洋紙株式会社
    所在地
    大阪府堺市
    事業内容
    包装資材卸売を主体に、
    製造販売及び受託加工を行う
    M&Aの検討理由
    後継者不在のため
  • 譲受企業

    会社名
    新江州株式会社
    所在地
    滋賀県長浜市
    事業内容
    包装資材・住宅資材・産業資材の製造・卸売
    M&Aの検討理由
    既存取引先への提案力強化のため

大企業の課題を解決することが発展の道。特殊紙の開発に見た夢

まず大庫洋紙の創業経緯から教えていただけますか。

庫内
大庫洋紙株式会社 取締役 庫内 勇次様(以下、敬称略)

祖父が昔ながらの洋紙店を営んでいたのが当社のルーツです。それに対してアイデアマンであり、営業力もあった父は、紙をさまざまな産業用途に加工し、大手企業との取引を模索していました。ビル用途の磨きガラスに挟む用紙を開発したのはその象徴的な事例です。性能はガラスメーカーに高く評価され、すぐに全国の工場への供給を求められたそうです。
ところが祖父はそうしたビジネス拡大を望んではおらず、父に取引を断るように命じたと言います。小さいとはいえ、自分が手塩にかけた事業が巨大な規模のビジネスに飲み込まれることは、祖父のプライドが許さなかったのだと思います。結果的に父は独立を決心し、自宅の庭に建てた十数坪の工場から会社を始めました。父は「中小企業が中小企業に商売をしても価値は薄い。自分よりはるかに大きい大企業のもとへ行き、小さな困りごとを解決して仕事を取れ」と、いつも言っていました。

庫内様ご自身は、早くから後を継ぐと決めていたのですか。

庫内

私は幼いころから祖父母に3代目を期待されて育ったのですが、父の独立もあって、後を継ぎたいとまでは思っていませんでした。学生時代はずっと登山をしていたので、誘われるまま山小屋に就職したいと思っていたほどです。結局は、父と祖母の説得に折れる形で入社したところ、東京での営業活動を命じられました。渡されたのはA4一枚、10数件の顧客リストだけでしたが、23歳で「東京営業所長」の名刺を持って関東を回りました。
3年後東京から本社へ帰任し、当時主力取引先の担当として、事業の一つである鉄鋼の梱包資材を依頼されるようになったのはこのころです。大手鉄鋼メーカー向けの開発を重ねた結果、長年にわたって発注していただけるような基盤が整いました。

社長を引き継がれた直後の会社の状況を振り返っていただけますか。

庫内
庫内

社長に就任したのは1998年でしたが、今でも資金繰りの苦労ばかりが思い出されます。もともと内部留保の少ない経営を続けてきたなか、ITバブルの崩壊が重なり、金融機関からの借り入れが急速に厳しくなりました。比較的容易に融資を受けられていた時期から一変し、決算書を隅々までチェックされるようになったのには閉口したものです。会社更生法の手続きをとるしかないと覚悟を固めたこともあります。
しかし、メインバンクが中小企業の支援に動いたことで流れが変わりました。再び融資が受けられるようになって数字も上向き、バランスシートも改善していったのです。
ガラスメーカー向けの商品開発と供給を始めたのも、大きく経営改善に寄与しました。当時開発していた「クリーンふわっとライト無塵紙」というクッション性のある特殊紙に関して、あるガラスメーカーからサンプル依頼が届いたことがきっかけです。一度は、樹脂含浸の紙は使えないと断られたにもかかわらず、わずか数か月後には再び声がかかり、すぐに上京してほしいと言われました。彼らが探している紙の切れ端を触ってみると、当社の提携先の製紙工場なら製造できる品質のものでした。パートナーの尽力のおかげもあり、その後の主力となる液晶基板用ガラス出荷用の挿間ガラス合紙が完成したのです。
ガラスメーカーからの受注は、父にとって数十年越しの悲願でした。かつて断らざるを得なかった仕事を取り戻すことができたという意味で、私たち親子にとって特別な出来事だったのです。その後も期待に応え続けるのには努力が必要でしたが、鉄鋼梱包など創業時からの事業に加えて、ガラス合紙という新たな事業の柱が加わったことが会社の飛躍につながったと思っています。

親族承継ではなくM&Aこそが適していると判断

事業承継について考え始めたのは、いつ頃からでしたか。

庫内

父から引き継いだ当初は、私も当然のように息子へバトンを渡すものだと思っていました。しかし、息子が所帯を持ちたいと言ってきたころ、私が節々にアドバイスを求めている方から「息子さんの人生は、息子さんのものです」と諭されて、はっとしました。本人が継ぎたいというならともかく、親族承継が絶対ではない。無理に継がせるのだけはやめようと決めました。
もともと洋紙の卸売と言えば、たいていが洋紙店と名乗っていましたが、父が創業時に大庫洋紙株式会社と名づけたのには「店ではなく会社をやる」という決意が込められていました。個人商店ではなく、会社は公共性の高いものです。いずれは世に問うべきではないかという思いもずっと持っていました。実は7、8年前の時点で、「私はいずれ会社を譲渡するタイミングが来る。親族に継がせるつもりはない」と幹部には伝えていたのです。

M&Aはもともと選択肢の中にあったのでしょうか。

庫内

三重に持っていた事業所を譲渡した経験があったため、M&Aがどんなものかは理解していたつもりですし、抵抗はありませんでした。ただM&Aに乗り出す前に、会社の状態をできるだけ良くして、自信を持って送り出せるようにしたいとは考えていました。長期の借入金を完済し、増収増益を続けて、ようやく胸を張れるタイミングで、本格的に動き出そうと考えました。
数年前から連絡を受けていたM&Aキャピタルパートナーズに久しぶりに連絡をしたところ、吉田さんが訪ねてくれました。

庫内様と初めてお会いになったとき、どのような印象を持たれましたか。

吉田
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 主任 吉田 健人(以下、吉田)

初対面の私に対しても、お父様から引き継がれた経緯や、ご自身の代で売上を倍ほどに伸ばしてこられたことまで、丁寧に説明してくださいました。お会いした時点でM&Aを実行すると決断していらっしゃり、先ほどのお言葉にもあった「会社を世に問う」と覚悟の込められたお言葉が印象に残っております。

大木
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 部長 大木 一樹(以下、大木)

吉田が先にお会いして会社に持ち帰った資料の厚さを見て驚きました。中堅・中小企業様でこれほどまでに細かく自社の分析をされているケースはありませんでした。しかも、庫内様ご自身が詳細に数字を把握されているとお聞きし、また驚いたものです。
後日、お目にかかった際も印象はそのままでした。数字の裏付けを持ってお話ししてくださるので、こちらも確信をもってお相手の候補となる企業に強みをお伝えできると感じました。

庫内様がお相手に求めた条件は、どのようなものでしたか。

庫内

まずは当社が大切にしてきた主要な取引先から、誰一人として反対の声があがらない相手を選ばなくてはなりません。仕入れ先と得意先、どこかから懸念を表明されるようなら、たちまちビジネスが立ち行かなくなる恐れがありました。それだけ業界の主要企業と多くお付き合いしているという自負もありましたので、逆に安心していただける相手以外はあり得ないということをお伝えしたのです。
また、当社が育んできた大手企業との取引実績ばかりに魅力を感じている企業もなじまないだろうと考えました。やはり残る従業員や取引先をさらに発展させてくれる覚悟と、しっかりしたビジョンを示してもらえる相手でなければ困るということは伝えていました。

吉田 大木
吉田

これに加えて、従業員の雇用を守ることも条件としてはっきりおっしゃっていたので、期待に沿うだけのお相手を探さなくてはなりません。会社の規模や数字だけにとらわれず、庫内様の想いを受け継ぎつつ、真のシナジーを生み出せるお相手が理想だと考えました。

大木

最終的には10社近くから意向表明をいただきました。紙の卸売業でこれだけの人気が集まったのは記憶にありません。少なくともこの10年では圧倒的に多い社数でした。それだけ、庫内様が磨いてこられた事業の強みが、多くの企業に評価されたということです。

庫内様ご自身は、検討の過程では、どんなお気持ちで臨まれていたのですか。

庫内

とにかく冷静を保つように努めていました。ありがたいことにさまざまな申し入れをいただきましたが、先入観を持って特定の会社に肩入れすれば、客観的な判断ができなくなる恐れがあります。よい話を持ってきていただいても、表情には出さないようにしていました。

吉田

当時は、庫内様の反応が薄いと感じていたのが率直な想いです。自信を持って新たなご紹介をしても、いつもポーカーフェイスで、手応えがわからないと大木に相談したこともあります。今思えば、ずっと冷静に見極めていらっしゃったのですね。

1社単独では限界がある。初めての譲受を決断した経緯

譲受企業である新江州株式会社の成り立ちと事業について教えていただけますか。

森
新江州株式会社 代表取締役社長 森 和之様(以下、敬称略)

当社は1947年、滋賀県で紙の販売からスタートした会社です。大判の紙を仕入れて断裁し、地元の企業に届けるという役割で、紙の卸売と加工を商売の土台にしてきました。ただ、紙の需要は時代とともに大きく変わります。やがてコピー用紙が主流になり、通販で安く手に入るようになって、私たちは紙の事業そのものを畳む決断をしました。このように創業のルーツと、そこから派生した関連事業があるという点では大庫洋紙とも似た会社です。
今は安泰の事業でも、いつか必ずなくなるという考えが当社には息づいています。次なる新たな動きを模索しなければ、10年後、50年後は生き残れないという危機意識が常にあるのです。私も、今の事業をどう守るかより、10年後にどんな会社を作るかを考え続けてきました。現在は、段ボールの製造、包装・建築・土木資材、ガラスフィルムへの特殊印刷、商品パッケージのデザイン、さらには化粧品の受託加工までを手がける複合企業になりました。

生き残りという点では、M&Aは以前から積極的に取り組んでこられたのでしょうか。

M&Aには早くから関心を持っていましたが、今回の大庫洋紙が初めてとなりました。社長就任後は、将来を見据えて経営基盤の強化に取り組んできました。その中で、これだけ世の中の変化が激しいと、1社単独で取り組めることには限界があると実感しています。やはり情報源やネットワークを太くし、広げることが重要です。そのための手段としてはM&Aが最適だと、ずっと意識していました。
ただ残念ながら、初期に会ったM&A仲介会社の仕事ぶりに嫌な思いをさせられたというのが本音です。その後は、最初から私が仲介会社とお会いするのではなく、一度フィルターをかけてもらうようにしていました。

林様がそのフィルター役を担ってこられたのですね。さまざまなオファーをどのように選別されていますか。

林
新江州株式会社 執行役員 管理部部長 林 幹也様(以下、敬称略)

社内の広範な事業を幅広く把握できる管理部門の立場を活かし、紹介をいただくたびに当社の既存事業と明確なシナジーが描けるか、または当社の課題を補えそうかという観点で、可能性を感じたものだけを選ぶようにしていました。
森をはじめ当社経営陣は合議制を大切にしています。そのため、役員会で1人でも反対が出たら、そこでストップするという方針は一貫していました。財務的な理由で見送りとなることも多く、トップ面談まで進んだケースはごくわずかでした。
実は今回の件も、最初にノンネームシート(社名を伏せた状態で企業概要を伝える書類)を送っていただいた際に見送っていました。ところが吉田さんから、もう一度検討してほしいと連絡をいただき、そこまで言うからには、何か大切な背景を見落としているかもしれないと再検討することにしたのです。

大木
吉田

失礼ながら再度おすすめしたのは、庫内様の求める「主要な取引先に反対されない相手」という条件に新江州がぴったり合うのではないかと感じていたためです。同様にガラスメーカーと強いパイプがあることも、公開されている情報から把握していました。なんとか資料を見ていただきたいという一心でした。
今回、取扱製品や取引先をはっきり書くと、見る人が見ればすぐに大庫洋紙だと特定されてしまう恐れがありました。通常よりもノンネームシートをぼかして作ったという背景があったため、当初は魅力が伝わりにくかったのだとも感じています。

庫内

ぼかしてほしいというのは、私の意向でした。早い段階で「売りに出た」と思われるのは好ましくないと考えたためです。さまざまなステークホルダーにどのような噂が回るかわかりませんでしたから。どこまで情報を出すかというさじ加減は非常に迷いましたが、吉田さんは嫌な顔一つせずに、ベストな資料を追求してくれました。

本格的に検討した結果、トップ面談に進もうという判断になったのですね。

社内ですべての役員が賛同を示しましたので、それなら一度、トップ面談をお願いしようというフェーズに進みました。全員が賛成した理由は、何よりも事業の相性を感じ取ったことにあります。庫内さんがおっしゃったように、小さな商売を重ねることも大切ながら、大企業と骨太な商売を作れる会社こそ、本当に強い体質だと当社も考えてきました。大庫洋紙が魅力的に映ったのはまさにこの点で、大手中心のビジネスを築き、育ててきた事実があることです。
実際にお会いすると、庫内さんからは迫力というか、オーラを感じました。そして話してみるととにかく真面目で誠実な方で、自然と惹きつけられました。当社の人材採用でも、最も重視しているのはその人が真面目かどうかです。後に大庫洋紙の社員と会ったときも真面目で堅実な性格の方ばかりで、私たちの社風と必ず合うと確信できました。

庫内

私も同じ感想です。森さんからは迫力を感じましたが、真面目で誠実で、事業のことをよく考えていらっしゃることが言葉の端々から伝わってきました。何より、人間的な魅力にあふれた方だなと思ったのです。私が懸念したような「いいとこ取り」を目指す方ではないと、すぐに直感しました。
当社の事業を切り分けて、儲かる部分だけを残すといった未来は、私にとっては最も不本意な形です。しかし、森さんはそれとはまったく逆で「ともに成長する未来を目指したい」と言ってくれました。その言葉に偽りがないことは、すぐに分かりました。

成約に向けては、デューデリジェンス(企業監査)もありましたが、いかがでしたか。

庫内

事業所を譲渡したときに一度経験していましたので、どんな質問が来るかはある程度想定できていました。経理の古参社員と、M&Aに詳しいアドバイザーをアサインしており、内々に資料を用意していたのも奏功したと思います。多くの企業は書類作成に苦慮すると聞きますが、当社の場合は情報がそろっていたので、どの資料を提出すべきかといった取捨選択に気を遣いました。

森

当社にとって初めての譲受だったので、先回りしての対応はありがたく感じていました。書類作成をお願いすると、すでに作成していて時間を置かずに提出していただけるのには驚きました。むしろ、こちらのチェックでお待たせしてしまったほどです。
また、M&Aキャピタルパートナーズの対応にも感謝しています。こちらが不慣れなため、どのタイミングでどのような検討、判断をすべきなのか把握できていなかった点は否めません。
しかし、私たちにも寄り添って、両者の役割分担を適切に整理してくれました。無事にスケジュール内にまとめることができたのは、デューデリジェンスが佳境を迎えた時期に、ほぼ毎週のようにミーティングを重ねてくれたおかげです。

大木

譲渡側である大庫洋紙では、過去のご経験もあって、驚くほど資料が整っていました。一方、新江州は初めてのM&Aです。両者の足並みをそろえることが、私たちの役割だと考えていました。いずれかが極端に先行、後退しないように気を配ったつもりです。

終盤でも両者の話し合いが続いたようですね。

庫内

実はIM(企業概要書)の制作段階で、私が退任する意向をはっきりと示していませんでした。そのため新江州からの意向表明には、私が社長として続投する前提の方針が記載されていました。しかし、私の本音では退任したいという意向を固めていたため、途中で条件の変更をお願いしたのです。こうした難しい依頼も、吉田さんが調整してくれたことは本当にありがたかったです。

勇退されたいとの意向を聞き、戸惑ったのは事実です。急にこちらが社長を引き受けるということは、社員と家族の生活まで背負うわけなので、その重圧は決して軽くありません。しかしここでも、バランスの取れた仲介のもと対話を重ねることで、最終的には私が大庫洋紙の社長に就任すると覚悟を決めました。

庫内

森さんのご決断には、心から感謝しています。そして粘り強い仲介役がいてくれたから、最後にほころびが表れた場面でも、丁寧に仕上げてくれました。見事な仕事ぶりだったと思っています。

100社に1社のポテンシャルを実感。想定以上のシナジーが期待される

成約から数か月が経ちました。現況についてはいかがですか。

森
庫内

半分以上の肩の荷が下りたというのが現在の進捗です。私の希望通り、社長は退任させてもらいましたが、現在も引継ぎが残っています。現時点では、組織のリーダーとして引っ張ってきた私を頼ろうとする気持ちが従業員に残っているのは事実です。
しかし、社長が交代し、体制が変わったのもまた事実で、これから何がどう変わるのか、皆がそれを待っているように感じています。早く新江州の評価制度や社内のさまざまなルールをインストールしてもらうのがよいかと思います。それを最後までやり切れば、名実ともに私は経営を離れられます。

やはり庫内さんの存在の大きさを実感せずにはいられません。長年の信頼関係を一朝一夕で引き継ぐのは難しいので、前社長のお力を借りながらPMI(M&A実行後の統合プロセス)を前進させたいと思っています。
一方、事業シナジーとしては期待していた以上のものを感じています。新江州と大庫洋紙のビジネスは似ているところがあるものの、仕入れ先も販売先も絶妙にバッティングしないのです。これは互いの長所、短所がちょうど噛み合うことにもつながっています。M&Aの前段階でここまで想定できれば理想ですが、現実的にはやってみて初めて分かることも多くあります。もし今後、当社が100社とのご縁を結んだとしても、大庫洋紙を上回るほどの事業シナジーを発揮するケースはないと思います。それほどのよいご縁でした。

人事評価制度など整えるべき課題は把握できています。両者の基準を揃えて、同じ評価で昇進したり、異動したりする形にしていかないと混乱が生じかねません。会計についても、利益が出たはずが基準でずれていたのでは後々困りますので、勘定科目から合わせていく必要があります。地道で時間のかかる作業ですが、焦ることなく慎重に進めていく考えです。

ただし拙速に進めてはいけません。まずは大庫洋紙の社員に寄り添い、彼らがこれまで以上に仕事をしやすい環境を整えていくことです。工場を見学し合うなど、相互理解を深める取り組みも始めました。先ほどお話ししたように事業的なシナジーは予想以上ですので、まずはグループとして売上高200億円を目指し、その後の共通目標を一緒に議論できたらと思っています。

改めてM&Aキャピタルパートナーズのサポートについて評価をお聞かせください。

庫内

こちらの要望を、いつもきちんと受け止めてくれたのが心強かったですね。要望を伝えても、仲介会社のところで取捨選択されて、こちらの意図が薄まって相手に伝わることもあるのだと感じていました。しかし、吉田さんと大木さんは、決して安易に間引かず、常に寄り添ってくれました。
もちろん要望が受け入れられないこともありますが、それはフラットな目線で理由を伝えてくれます。だから、冷静に次の一手を考えることができました。そうしたやり取りの呼吸が、私にはとても心地よかったです。

別のM&A仲介会社での苦い思い出から、仲介という仕事そのものにあまり良い印象を持っていなかったのが本音です。今回も最初は身構えていましたが、想像よりずっと仕事が丁寧で、急かすこともなくこちらのペースに合わせてくれたことに一番感謝しています。仲介への苦手意識は、いつしか払拭されていました。
M&Aはご縁が大部分だと思っていますが、そのご縁を取り持つ人が信頼できるかどうかで、結果はまるで変わります。今回はそこに恵まれたと感じています。

最後に、M&Aを検討されている経営者の方々へ、メッセージをお願いします。

庫内

まずは経営者が先に腹を決めておくのが大切だと思います。親族や従業員の承継を手持ちのカードとして持ちつつM&Aを検討するのももちろん大切ですが、こちらの決意が中途半端だと、途中で迷いばかりが大きくなってしまうようにも思います。私の場合は、先に腹決めしていたからこそ、会社と従業員にとって何がいいかを冷静に考えることができました。

譲受企業としては、自社に足りているものと不足しているものを見極めることです。そのうえで、お相手の特徴とうまく噛み合うかの判断が重要です。今回は、まさにこの点が見事でした。ただ、最後はやはりご縁であり、人と人です。数字や条件だけでなく、「この相手となら一緒にやっていける」という手応えが何よりも大切だと私は思っています。

自社に何が足りていないのか、そして本来は何を実現したいかを、できるだけ具体的にしておくことが大事だと思います。漠然と良い相手を待つのではなく、こちらの形を先に描くことが、結局は良いご縁への近道なのだと、今回学びました。

吉田

初めてのトップ面談から、新江州の熱量の高さは際立っていました。ありがたいご評価の言葉もいただき、お手伝いできて本当に良かったと、心から思っています。

大木

M&Aでは、当初は見えていなかったシナジーが後から次々と出てくるパターンも多くございます。今回はまさにそれで、ご一緒になってから新しい発見が続いており、本当に良いご縁を紡げたと感じています。両者の今後のご発展を心待ちにしています。

弊社 佐野/中橋様/西村様/弊社 大木

(左から)弊社 大木/森様/庫内様/林様/弊社 吉田

文:蒲原 雄介 撮影:蔵屋 憲治 取材日:2026年6月9日

担当者プロフィール

  • 企業情報部 主任 吉田 健人

    企業情報部主任吉田 健人

    大学卒業後、大手製薬会社にて医薬品情報提供業務に従事。
    当社入社後は、工事、ディスプレイ広告、商社、製造業
    等の幅広い分野にて全業務を一気通貫で行い、成約実績を重ねている。

  • 企業情報部 部長 大木 一樹

    企業情報部部長大木 一樹

    • 公認会計士

    公認会計士試験に大学在学中に合格後、大手監査法人、外資系コンサルティング会社に入社。
    大手企業に対する会計監査や経営コンサルティング業務に従事。
    その後、世の中を支える中堅中小企業の発展と継続に、より一層寄与したいという思いから、M&Aキャピタルパートナーズに参画。
    当社入社後、製造業からITベンチャーまで幅広い分野にてM&A支援実績を有する。

お勧めの事例インタビュー


M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。