
研究所業界のM&A動向
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研究所とは、社会政策や政治戦略、軍事、技術、自然科学、人文科学、社会科学の研究、研究開発、試験および鑑定を行うための機関を指す。設立者は様々であり国際機関、国の中央政府、大学、企業、財団、個人などが挙げられる。企業が企業内に設立したものを企業内研究所といい、個人で設立した研究所の私設研究所と区別される。

諸分野(社会政策、政治戦略、経済、技術、文化など)に関する調査・提言を主たる業務とする研究機関を、シンクタンクと呼ぶこともあり、民間企業が運営する民間シンクタンクと、国や省庁が運営する政府系シンクタンクに区別される。多くのシンクタンクは、大手の金融機関やグループ企業の子会社であることが多いため、グループ全体でのノウハウや高度な見識をベースとした調査や分析、コンサルティング、グループ企業のネットワークを活用した営業活動が行われている。
日本における研究所・シンクタンク業界の始まりは1970年代前半にさかのぼる。高度経済成長期に陰りが見え、公害論、環境論、都市問題論が発生し、企業自ら研究調査に積極的となったことから、情報関連分野の研究機関、シンクタンクが多く設立された。第2次設立ブームは、1980年代後半から1990年代初頭にかけてであり、金融機関あるいは保険会社を資本系列とする研究機関が設立された。1990年後半は、環境問題が多くクローズアップされたために、その分野に特化した研究機関が設立された。その後、2000年以降は、それまでに多く設立された研究所・シンクタンクが再編され、解散や廃止、事業撤退が行われることや、研究事業を大学へ移管されるケースが多くなった。
研究所業界の売上を企業別に比較する。なお、シンクタンクにはコンサルティング業務が含まれることが多いため、純粋なシンクタンクとしての業務のみの売上高ではない。2020年度の売上高は上から順に、株式会社野村総合研究所が5,288億円、みずほ情報総研株式会社が1,224億円、株式会社日本総合研究所が1,432億円、株式会社三菱総合研究所が920億円、株式会社大和総研が889億円であった。
ペンシルヴァニア大学の「グローバルシンクタンクインデックスレポート2020」によると、日本における研究機関、シンクタンクの数は137であり、世界で第13位であった。他国を見ると1位はアメリカの2,203、続いて中国が1,413、インドが612、イギリスが515、韓国が412、フランスが275、ドイツが266、アルゼンチンが262、ブラジルが190、ベトナムが180、イタリアが153、ロシアが143であり、レポートの発表を開始した2008年の調査時より各国研究機関数は大きく増加している。
IT技術の発達や社会の変化により、研究所・シンクタンクに求められるアウトプットは年々高度になってきている。そんな中、研究所業界では再編が継続的に行われており、民間シンクタンクにおいては大手金融機関やメーカー等のグループ企業であることが多くなっている。
今後、研究所・シンクタンクに寄せられる、クライアントからの要望は、高度かつ複雑になってくることが予測されており、研究所・シンクタンクはグループの総合力を活用した提案や実行力が求められることが多くなる。そのため、グループ内の連携や協力は必須になるだろう。
研究所業界において、M&Aが行われているケースは、各企業のグループ会社内や親会社のM&Aと併せて行われることが多い。
2021年、みずほ情報総研株式会社とみずほ総合研究所株式会社が合併契約を締結して新会社「みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社」を設立した。みずほ総合研究所株式会社は2002年に第一勧銀総合研究所株式会社が社名変更し、さらに株式会社富士総合研究所コンサルティング部門とM&Aしている。この合併で、デジタル化やサステナビリティの重要性の高まりなどのマクロトレンドを的確に捉え、両社が有する数多くの知見と技術を結集し、これまでのシンクタンクやシステム開発企業の枠を越え、顧客や社会課題解決に向けたサービスの提供を目指した。
2019年、株式会社三重銀行と株式会社第三銀行を傘下に持つ株式会社三十三フィナンシャルグループは、両行のシンクタンク部門を統合した。なお2021年には両行は合併予定である。いずれも金融情勢や地域経済などを調査・研究しており、統合で事業の相乗効果を高める。
2013年、株式会社三菱総合研究所は、エヌユー知財フィナンシャルサービス株式会社をM&Aした。このM&Aで、株式会社三菱総合研究所の得意とする技術コンサルと知財評価サービスの相乗効果を狙った
2005年、株式会社三菱総合研究所は、株式会社三菱東京フィナンシャル・グループのシステム開発会社ダイヤモンドコンピューターサービス株式会社をM&Aした。このM&Aで、株式会社三菱総合研究所は情報システム開発事業に本格進出することとなり、政策や企業戦略のコンサルティングに加え、情報システムの構築までを一貫して手がけることが可能となった。
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