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KDDI(9433)、医用工学研究所とヘルスケア・医療データの利活用を進めるべく資本業務提携
医療機関との連携により、2023年度中に約400万人の電子カルテ由来のデータ分析に取り組み、がん・心疾患・脳血管疾患などの薬剤効果検証や、医薬品の研究開発に役立つ分析サービスの提供を目指している。KDDIは本提携により、MEIを持分法適用会社化した。
■背景
少子高齢化が進むなか、医療従事者の減少や医療費の適正化といった課題から、医療データの利活用が注目されている。なかでも電子カルテデータは、レセプト (診療報酬明細書) データや健康診断データなどでは得られにくい治療結果に関する情報が含まれており、薬剤の効果測定や診療行為の分析精度の向上が期待されている。一方で、データは各医療機関内で管理されていることが多く、医療機関内ではデータ分析を行う人材の不足がビッグデータ活用への障壁となっている。
MEIは、2004年に設立以来、電子カルテ・医事会計(注) システム・各部門システムなど、病院内の各システムに分散したあらゆるデータを一つに集約させる医療用データウェアハウスシステム「CLISTA!」の提供を通して病院内の大量なデータの横断的な検索や統計処理を行い、病院経営をサポートしてきた。
「CLISTA!」は国内主要電子カルテベンダーとの豊富な接続実績をもち、電子カルテの導入率が高い大病院を中心に、数多く利用されている。
KDDIは、2015年に郵送型血液検査サービス「スマホ de ドック」を提供した。さらに日々の健康管理からオンライン診療、オンライン服薬指導、薬局連携などの医療体験までスマートフォンアプリでトータルに提供するauウェルネスを2020年に開始するなど、ヘルスケア・医療領域における事業開発を進めてきた。また、株式会社ARISE analytics (本社: 東京都渋谷区、代表取締役社長: 家中 仁、以下 ARISE analytics) において350名を超えるデータサイエンティスト集団を有し、データアナリティクス領域に関するアセットの強化に取り組んでいる。
提携内容
本提携により、MEIとKDDIは共同で医療データプラットフォームの構築に取り組む。2023年度中にMEIが医療機関のデジタル化をサポートする過程で、医療機関の理解・協力を得た電子カルテ由来のデータ約400万人分を蓄積し、KDDIグループの通信事業で培ったセキュアな環境構築およびAIなどの知見を活用した分析を実施した。
全国の大規模病院も多く含む電子カルテ由来のデータは、後期高齢者を含む全世代をカバーしている。これにより、製薬企業などに対して、例えば、がん・心疾患・脳血管疾患、生活習慣病などさまざまな疾患の薬剤効果測定およびマーケティング高度化、医薬品の研究開発に役立つ分析サービスなどの提供を目指す。
さらに今後、両社はKDDIの3,000万人の顧客基盤を活用した個人のデータやauウェルネスを軸としたPHR (Personal Health Record) などを加え、日常生活から医療診療データまでを網羅し、高度な分析力をもつARISE analyticsとともに分析基盤の拡張につなげる。
これにより、例えば、既往歴を持った退院患者の再発リスクの予兆発見や再発予防、重症化予防のためのサービス提供など、データに基づく患者への新たな体験価値の創出に共同で取り組んでいく。
■株式会社医用工学研究所概要
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- 商号: 株式会社医用工学研究所
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- 本店所在地: 三重県津市栄町3丁目141番地1号
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■KDDI株式会社概要
■KDDIのヘルスケア事業について
KDDIグループは、KDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を掲げ、人生100年時代における健康的な生活の実現を支援している。
先端テクノロジーを活用した健康・予防から医療までを支えるトータルヘルスケアアプリ「auウェルネス」の提供に加え、企業・自治体・医療機関をはじめとしたパートナーとの連携やデータの活用を通じて健康寿命の延伸を目指す。
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- 注)
- 医療機関における会計の一分野であり、医療サービスの提供に伴う収益や費用の計上・管理・分析を行う会計のこと。
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