
保険代理店業界のM&A動向
保険代理店とは、保険会社との間で締結した代理店委託契約に基づき、顧客と保険会社の間で保険契約の締結や、保険料を領収することを基本的な業務とする事業者のことを指す。 また、保険会社には、死亡保険や医療保険、がん保険、個人年金保険などを扱う生命保険会社と、自動車保険や船舶保険、火災保険、地震保険などを扱う損害保険会社がある。保険代理店はそのうちのどちらか、もしくは両方の代理業を担っている。

保険代理店は、乗合代理店、専属代理店、独立系ファイナンシャルプランナーに分かれる。 「乗合代理店」とは、複数の保険会社の商品を取り扱う保険代理店で、顧客は複数の保険会社の商品から自分にあった商品を選択することができる。 「専属代理店」とは、特定の保険会社から商品販売を委託されている保険代理店である。保険会社1社のみの商品を扱うため、商品に対する豊富な知識を有していることに加え、顧客は丁寧かつ状況にあったサポートを受けることができる。 「独立系ファイナンシャルプランナー」とは、顧客に将来の人生設計に即した資金計画やアドバイスをする職業であり、保険代理店として保険商品の比較や説明、勧誘を行っている。保険代理店業務を個人のファイナンシャルプランナーとして行う場合と、ファイナンシャルプランナーを集めて保険代理店として行う場合がある。
近年では、ダイレクト型保険といったインターネットを通じて保険商品を契約するものもあり、保険料の面ではこちらに優位性がある状態といえる。
保険代理店で保険商品を契約するメリットは、複数の保険会社の商品を比較できることや、保険代理店の担当者がアドバイスしてくれることにある。
スイス・チューリッヒに本拠地を置く保険会社・Swiss Re社によると、日本の保険業界の市場は、生命保険市場が約38兆円、損害保険市場が約12兆円、合わせて約50兆円の規模とされている。
保険代理店に着目すると、生命保険においては、公益財団法人「生命保険文化センター」による加入チャネル調査で、最多の「生命保険会社の営業職員」の53.7%に次いで、17.8%が「保険代理店の窓口や営業職員」から加入したという結果になった。損害保険においては、保険代理店による取扱いが保険料ベースで全体の約90%を占めている。
売上高を保険代理店別に比較すると、2017年の売上1位はほけんの窓口グループ株式会社で約335億円。
2位の株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティングが約275億円、3位の銀泉株式会社が約244億円、4位のエムエスティ保険サービス株式会社が約130億円となっている。 従業員数を比較すると、2017年の従業員数1位はほけんの窓口グループ株式会社で約3,000人。2位の株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティングが約1500人、3位のエムエスティ保険サービス株式会社が約920人、4位の銀泉株式会社が約750人となっている。
今後の市場動向だが、生命保険に関しては、少子高齢化に伴って1996年以降は市場規模も減少傾向にある一方で、損害保険に関しては、地震保険に加入増加などが要因となり、市場規模も拡大傾向にある。

保険会社、保険代理店にとって、人口減少は大きな課題といえるだろう。とりわけ生命保険は、人口数に依存する要素が強い。一家の大黒柱に万が一があった場合を保障する死亡保障商品のシェアが高いため、少子化のほか、非婚化が進む日本において、生命保険の売上は減少すると予測されている。
損害保険においては、若者の自動車離れから、自動車保険市場の縮小傾向が進むと予測される。損害保険の中でも自動車保険は49.3%、自賠責保険は12.4%と合わせて60%以上を占めており、損害保険市場に大きく影響があるといえる。 これらの課題に対して、保険会社や保険代理店は、若年層をターゲットにした保険商品の製品、コンセプト開発やマーケティング戦略の立案、実行や海外市場への挑戦が鍵となるだろう。
保険業界では、販売コストの減少や販路拡大、市場シェアの拡大、また海外進出のために大規模保険代理店による中小保険代理店のM&Aや、中小保険代理店同士のM&Aが増加している。
―主な事例―
・2019年10月、伊藤忠商事株式会社は、ほけんの窓口グループ株式会社の発行済株式を追加取得し持分比率を57.7%として連結子会社化した。元々両社は2014年6月に資本・業務提携をしていたが、今回のM&Aにより、顧客向けサービスの一層の品質向上と事業拡大が図られた。
・2018年4月
楽天株式会社は、朝日火災海上保険株式会社の全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、楽天株式会社が持つ独自の会員基盤との相乗効果が期待され、より一層の事業拡大が図られた。
・2017年3月、日本生命保険相互会社は、株式会社ほけんの110番の全株式を取得し、子会社化した。九州を中心に複数の保険会社の商品を扱っている保険代理店事業を展開している株式会社ほけんの110番をM&Aすることにより、顧客のライフスタイルに合わせたチャネル展開を推進し、事業拡大が図られた。
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