クレジット業界のM&A動向
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業界の定義
クレジットカード業界は、クレジットカードを媒体として「国際ブランド」「クレジットカード発行会社」「加盟店管理会社」で構成されている。クレジットカードとは、消費者が商品を購入する際に、カードの契約者の信用によって、後払い決済(支払)が可能なカードのことを指す。消費者が入手するためには、クレジットカード発行会社の審査を通過する必要がある。同様のカードにデビットカードやプリペイドカードがあるが、現金が引き落とされるタイミングが異なるため、仕組みとしては全く別物である。
業界の特色
クレジットカード業界は「国際ブランド」「クレジットカード発行会社」「加盟店管理会社」の3つの会社により成り立っている。
「国際ブランド」とは、クレジットカード発行会社に全世界で使用できる決済機能を提供する会社のことを指す。世界でも有名な国際ブランドは、VisaやMastercard、JCB、American Express、Diners Club、銀聯(ぎんれん)があり、これらは6大国際ブランドと呼ばれている。
「クレジットカード発行会社」とは、実際に利用者へクレジットカードを発行する会社のことを指す。消費者からクレジットカードの申請があった際に入会審査や手続き、会員管理を行う役割を担っている。また、ポイントや特典や、海外旅行保険や国内旅行保険、ショッピング保険を利用者へ提供しており、各クレジットカード発行会社によって様々な特色がある。
「加盟店管理会社」とは、クレジットカードの加盟店を管理する会社のことを指す。加盟店管理会社は、クレジットカードの利用情報から加盟店の売上データを受け取り、クレジットカード発行会社へ提供することや、クレジットカード発行会社から徴収した売上代金を加盟店に受け渡し、また加盟店の新規開拓などを担っている。
市場の規模
経済産業省の特定サービス産業実態調査によると、「クレジットカード業、割賦金融業」の年間売上高(信用供与額、それに伴う手数料収入等の収入額及びその他の売上高)は76兆2,690億円であった。2010年に改正貸金業法が施行されて、グレーゾーン金利の廃止があったことから決して好調とは言えない状態が続いていた。しかし2013年からは売り上げ増加が続いており、確実に成長している業界である。
一般社団法人日本クレジット協会のクレジットカード発行枚数調査結果によると、日本国内のクレジットカードの発行枚数は2020年度で2億9,296万枚であった。結果を公表している2016年から年々増加しており、成人1人あたり2.8枚所有している計算となる。この、クレジットカード普及の追い風になっているのが、電子マネーとネット通販の普及が大きい。現金を持たないキャッシュレスな取引ができる電子マネーの発達で、クレジットカードが利用されることが多くなった。また、ネット通販業界の決済は、消費者がクレジットカード決済を利用することで、手数料やポイントの還元の優遇制度が設けられることが多く、クレジットカードの利用者数の増加につながっている。
課題と展望
経済産業省の調査によると、キャッシュレス決済の比率は2010年時点で13.2%だったが、2019年には26.8%と2倍近く増加していることがわかった。2018年は、クレジットカードがキャッシュレス決済の伸びの大きな要因となったが、2019年にはQRコード決済の伸びも大きくなっている。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626014/20200626014-3.pdf
政府は、クレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済を推進しており、キャッシュレス決済比率を2027年までに40%へ引き上げることを目標にしている。キャッシュレス決済の大半を占めるクレジットカード業界にとっては追い風であるといえるが、顧客獲得競争という観点から、電子マネーやQR決済の比率も伸びている点においては注意が必要である。
クレジット業界のM&A動向
クレジットカード業界は事業規模拡大のためのM&Aなどが行われてきた。特に、銀行系クレジットカード会社を中心としたM&Aは、昔から繰り返し行われてきている。M&Aにより新たなネットワークや顧客、営業エリアの獲得や、経営基盤の強化や人材確保のメリットがある。また買収される側としても大手企業とグループを形成することで、ブランドイメージ向上や大手の知名度を活用して経営につなげることができる。
2016年、アジアで銀行業を中心にファイナンス事業を展開するJトラスト株式会社が韓国の株式会社DH貯蓄銀行、モンゴルのファイナンス事業会社であるCapital Continent Investment NBFI(CCI)とM&Aを行った。Jトラスト株式会社にDH貯蓄銀行が加わることで、韓国における貯蓄銀行業の営業エリアを拡大することとなり、またCCIをM&Aすることで、グループにとって初進出となるモンゴルを新たな営業エリアとすることができる。Jトラスト株式会社は、このM&Aでアジアでのファイナンス事業を拡大した。
2008年、株式会社オーエムシーカード、株式会社セントラルファイナンス、株式会社クオークの3社が合併され、株式会社セディナが発足した。株式会社セディナは、2019年に三井住友カード株式会社にM&Aされ、完全子会社された。
2006年、当時業界3位の株式会社クレディセゾンとユーシーカード株式会社が合併している。
2005年、信販系のトップであった日本信販株式会社は株式会社UFJカードと統合しUFJニコス株式会社となった。2007年、株式会社ディーシーカードのM&Aにより、三菱UFJニコス株式会社が誕生して業界1位となった。
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