鍼灸マッサージ
業界別M&A動向

鍼灸マッサージ業界のM&A動向

更新日

監修者プロフィール

鍼灸マッサージ業界において、M&Aは企業の成長戦略の一つです。M&Aを実施すれば、国家資格を持つスタッフや設備、患者を引き継げるため、効率的な成長を図れます。本記事では、鍼灸マッサージ業界とM&Aの関係について詳しく解説します。

M&Aの前に押さえておきたい鍼灸マッサージ業界の情報

まずは、鍼灸マッサージ業界の定義と特色について見ていきましょう。

鍼灸マッサージ業界の定義

鍼灸とは、鍼師や灸師がそれぞれ「鍼(はり)」や「灸(きゅう)」を使用して筋肉や骨、腱などの異常や内科疾患を治療する東洋医学の治療法のことを指します。マッサージとは、あん摩マッサージ指圧師が経穴(ツボ)やリンパに沿って施術する治療法のことです。また、鍼師や灸師、あん摩マッサージ指圧師は国家資格であるため、資格を持っていなければ、鍼や灸、あん摩マッサージ指圧は施術できません。

鍼灸マッサージ業界の特色

鍼灸マッサージ業には、鍼、灸、あん摩マッサージ指圧等の国家資格が必須の施術を行う事業と、国家資格が不要で施術可能な事業があります。国家資格が必須の事業は下記のとおりです。

  • ・鍼:ツボや皮膚一定点に、専用の鍼を接触・穿刺(突き刺す)する施術を行う。
  • ・灸:ツボや皮膚の一定点に、ヨモギの葉の産毛を陰干し・精製取得したモグサを用いて、温熱的刺激を与える施術を行う。
  • ・あん摩マッサージ指圧:あん摩、マッサージ、指圧の各手技(人の体を揉む、擦る、押す、叩く等)で施術を行う。器具は使用しない。
  • ・柔道整復:外傷性の骨折・脱臼・捻挫・打撲に対し、柔道整復術を使い施術を行う。骨折や外れた関節を元の位置に戻す整復、三角巾・包帯・テーピングなどを使用して患部を固定する治療や、電気刺激や運動指導で損傷した箇所の回復を図る治療がある。

国家資格が不要の事業で代表的なものは、カイロプラクティック、整体、ボディーケア、リフレクソロジーなどです。これらの事業は、国家資格は存在しないものの、いくつかの民間資格が存在しており、その種類は年々多様化しています。例えば、骨盤矯正、ストレッチ、ほぐし、ハンドマッサージ、アロマセラピー、タラソセラピー、タイ式マッサージ、台湾式リフレクソロジー、痩身ボディケアなどが挙げられます。

鍼灸マッサージ業界の動向・市場規模

株式会社矢野経済研究所の調査によれば、柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は前年比5.3%増の9,680億円と推計されています。2020年には新型コロナの流行により来院数が減少し、前年比94.6%に落ち込みましたが、2021年には患者数がほぼ平時の水準へと回復しました。この回復の背景には、コロナウイルスの流行に伴うテレワークの推進により、在宅時間の増加や、液晶画面を見る時間の増加があると考えられます。また、患者の症状の変化に伴い、鍼灸の施術傾向も変化しています。

柔道整復・鍼灸・マッサージ市場推移

参照:柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施(2022年)

鍼灸マッサージ業界のM&A事例

鍼灸マッサージ業界でも、M&Aは活発に行われています。以下に、具体的な事例を5つ紹介します。

あゆみホールディングスとGENKIDO

2022年11月、株式会社あゆみホールディングスと株式会社GENKIDOは、事業譲渡契約を締結しました。譲渡側のあゆみホールディングスは、北海道札幌市の各地で整骨院を運営する企業で、譲受側のGENKIDOは、リラクゼーションサロン事業やスパ事業など、全国で100店舗を超える整骨院を展開する企業です。このM&Aは、GENKIDOの札幌エリア出店強化と、ノウハウの融合による両社の成長戦略の加速を目的として行われました。

オレンジコロンとカスケード東京

2022年1月、株式会社カスケード東京の子会社である株式会社アルテミシアは、株式会社オレンジコロンの株式を譲り受けました。譲渡側のオレンジコロンは、東京都調布市で整骨院2院を運営する企業です。譲受側のカスケード東京グループは、介護、整骨・鍼灸院、訪問鍼灸マッサージ、リラクゼーションなどを事業展開しています。このM&Aは、カスケード東京とオレンジコロン両社の整骨院事業の連携により、地域に提供していくサービスの向上を目的として行われました。

ワイズとベスト・ケアー

2022年1月、株式会社ベスト・ケアーは、株式会社ワイズから鍼灸整骨院3店舗を譲り受けました。譲渡側のワイズは、自費リハビリセンターの運営や、リハビリ事業者向けの支援サービスなどを展開する企業です。譲受側のベスト・ケアーは、居宅介護支援や訪問介護、通所介護、福祉用具貸与・販売などの事業を首都圏で展開しています。ベスト・ケアーは、介護事業の拡大とヘルスケア事業への参入を目的としてM&Aを行いました。

MCJとMJG

2020年5月、株式会社MCJは、株式会社MJGの店舗19か所と研修所1か所を取得しました。譲渡側のMJGは、整骨院や鍼灸院、整体サロンを経営する企業で、譲受側のMCJは、パソコン関連事業や総合エンターテインメント事業を手がける企業です。このM&Aは、事業ノウハウの共有を目的として行われました。

株式会社ケイズグループとケア・トラスト、ルーツアイランズ

株式会社ケイズグループは2018年に株式会社ケア・トラストの「ひまわり整骨院グループ」3店舗の事業を譲り受けました。また、2020年4月には株式会社ルーツアイランズの鍼灸整骨院・美容鍼灸院6店舗を含む、すべての鍼灸整骨院事業を譲り受けています。これらのM&Aは、ケイズグループの事業拡大を目的として行われました。

鍼灸マッサージ業界でM&Aを活用するメリット

M&Aは、企業の成長戦略の一つとして広く活用されています。特に鍼灸マッサージ業界では、以下のようなメリットがあります。

国家資格を持っている人材を確保できる

柔道整復師になるためには国家資格が必要です。整骨院・鍼灸院の増加に伴い柔道整復師の数も増えていますが、優秀な人材を確保できるとは限りません。M&Aを利用して人材確保を行うことで、求人のための資金を節約できるだけでなく、経営を始めるまでの時間も短縮できます。

設備や治療機器をそのまま活用できる

M&Aを行うことで、使用している設備や治療機器を引き継げます。整骨院の電気施術に利用される治療機器などをゼロから揃えるには多くの費用が必要ですが、M&Aの実施によりスムーズかつコストをおさえて機器を入手できるでしょう。

患者をそのまま引き継げる

M&Aを利用することで、買収した会社の患者を引き継げます。また、事業拡大を行うことで、新規エリアに進出が可能です。買い手側のブランド力・知名度を集客に活用できます。

鍼灸マッサージ業界におけるM&A成功のポイント

売り手側の従業員がM&Aに反発した場合、せっかく買収しても、退職されてしまう可能性があります。そうした事態を避けるためには、従業員が納得して働けるような給与体系や待遇などを真摯に考えることが重要です。契約前に売り手・買い手・従業員の三者で話し合うなどの対応が必要になることもあるでしょう。また、買い手側は、引き継ぐ治療機器が使えるかの確認も重要です。

鍼灸マッサージ業界における今後のM&Aの課題と展望

鍼灸マッサージ市場は、国家資格を持つ人材の確保と同時に、整形外科や、国家資格を必要としない施術を行うリラクゼーション市場の成長に伴った顧客の流出への対策が必要です。

顧客に対し、技術力の高さだけではなく、リラクゼーション市場や整形外科などと差別化できるようなサービスの提供やスタッフ教育が必要であり、人材の確保やサービスの多角化のためにはM&Aが有用になると考えられます。これらの課題と展望を踏まえ、鍼灸マッサージ業界のM&Aは今後も活発に行われるでしょう。

弊社のM&Aご成約実績

  • 成約年数
    2022年10月
    対象会社(譲渡会社)
    整骨院・鍼灸院
    地域:北海道
    譲受会社
    整骨院
    地域:関東
    取引スキーム/問題点・概要
    株式譲渡
    北海道札幌市内で整骨院を6店舗及び整骨院3店舗を運営。コロナの影響及び保険請求の段取り間違いにより、業績が悪化し、債務の返済の目...
    実績詳細を見る
新着案件情報
  • 詳細業種 中古車買取・販売
    所在地 関東
    概算売上 2.5億円~5億円
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  • 詳細業種 ソフトウェア受託開発業
    所在地 関西
    概算売上 1億円~2.5億円
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  • 詳細業種 建築工事業
    所在地 関東
    概算売上 5億円~10億円
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  • 詳細業種 産業廃棄物収集運搬
    所在地 関東
    概算売上 5億円~10億円
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  • 詳細業種 土木工事、コンクリート製造販売
    所在地 中国・四国
    概算売上 10億円~30億円
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  • 詳細業種 建設機械器具賃貸・販売・修理・検査業
    所在地 非公開
    概算売上 非公開
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  • 詳細業種 建設工事
    所在地 関東
    概算売上 5億円~10億円
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  • 詳細業種 下着の卸売および販売
    所在地 関東
    概算売上 1億円~2.5億円
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  • 詳細業種 アパレル・雑貨EC通販
    所在地 関東
    概算売上 5億円~10億円
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