M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#57

M&Aによって介護と障害福祉の連携を行い、
社会的問題解決に貢献

譲渡法人

株式会社nCS

リハビリデイサービス「nagomi」「nagomiプラス」、リハビリ訪問入浴「nagomi」など、社会的に意義のある事業を、都内を中心に全国展開してきた株式会社nCS。圧倒的なリーダーシップを発揮しながら会社を成長に導いてきた小川義行社長はなぜ、自身が育てあげた愛着ある会社を、M&Aで譲渡することを考えるようになったのか。決断に至るまでの経緯をうかがった。

母の介護体験から生まれたリハビリデイサービス

まずは小川様が、株式会社nCSを創業された経緯からお話しいただけますでしょうか。

株式会社nCS 代表取締役 小川義行
株式会社nCS 代表取締役 小川義行様(以下、小川)

小さな頃から母に迷惑をかけていたので、社会人になったら親孝行をしたいと、ずっと考えていました。そこで母親に家を建てることを目標に様々な仕事を経験した後、念願かなって家を建てることができました。ところが家を建てた1年後に親が難病にかかってしまい、介護が必要な状態になってしまいました。当時、母はまだ59歳のときです。

難病とはいえ、自分のことは自分でできたのですが、当時の介護サービスは“世話をする”だけで、寝たきりの方を対象としたサービスしか存在しませんでした。母自身は、“自分でできることは自分で”という気持ちがあったので、どうにかできないかと思い、昔野球をしていた時にお世話になったトレーナーに相談をしてみたところ、母の状態を踏まえて、専用の運動メニューをつくってくれたんです。それを使って毎日リハビリをさせてみたら、普通なら5年間でほぼ寝たきりになる病気だったにもかかわらず、5年経っても症状が悪くならなかったのです。その時に、残存機能を1日でも長く残していくことはとても重要だと、身をもって理解しましたね。介護も大事ですが、“介護にさせない”、いわゆる“介護予防が大事”なのではと考えました。

また、私が以前勤めていた会社は新築、リフォームの事業を中心に展開していたのですが、私自身の営業活動の中で、バリアフリーの需要が大きいと日々感じていました。家の老朽化と自分たちの身体の状況に合わせて住まいを変えていくように、リフォームを所望するお客様のほとんどがシニアの方々だったのですが、今と違って当時はリフォームをした際に「手すりをつける」、「段差を解消する」、「スロープをつける」というような介護的視点での必要なサービスが滅多にありませんでした。そこに目をつけて、会社の新規サービスとして提案したのですが、却下されてしまい実現することができませんでした。ただ、そこであきらめるような私ではないので、その後すぐに会社を辞め、自身で起業することにしたのです。それが1999年のことで、翌年2000年から行政による介護保険が開始しました。

小川社長はものすごく行動的な方ですね。
その後、どのようにして会社を発展させていったのでしょうか

株式会社nCS 代表取締役 小川義行氏
小川

結果的に、母の身体状況と並行する形で事業規模が拡大していきました。その当時、母は、ふらつきがあるものの自分の足で歩くことができたので、家中に手すりを付けて、自宅をバリアフリー化したのですが、その“手すりを付ける”というサービスを、最初の事業としてお客様に提案していきました。そして次第に母の足が弱くなって段差を越えられなくなったときに、お風呂の改修事業をスタートさせています。その頃、会社にキャッシュが溜まってきたので、施工工事も手掛けることができるようになってきました。その後、母の日常動作が難しくなってきましたので、“ハードだけでなくソフト面でもサポートをしていく必要がある”と思い、母が通うことができるようなデイサービスを探したのですが、母の状態に合う施設がなかったため、今度はリハビリデイサービスを立ち上げようと考えました。

母の身体状況を追っていれば、お客様の身体状況に応じたサービスのアプローチができるし、独りよがりではない、正しいサービスがつくれると思っていました。それに翌年から始まることになっていた介護保険に合わせてアジャストしていけば、なんとか事業として成立すると考えていました。ですので、自信はありました。それに、自分が実際に感じてきた不便さをもとに考えたサービスとして広げているので、社員に対してもお客様に対しても説得力があると思っていました。母はすでに他界しましたが、私に教えてくれた最後の教育だと感じています。

そんな中ではじめた、リハビリデイサービスの立ち上げは大きなチャレンジでしたし、ターニングポイントにもなりました。それまでは工事を外注していたので、従業員10人ほどでもうまく回せていましたが、デイサービスの施設を構えるにはお金や経営ノウハウ、人材も必要です。会社をもっと大きな規模や従業員数にしようとしたときに、人やモノ、金に対するマネジメントに非常に苦労しました。

しかし、社員を養っていかなければならないですし、彼らをもっと豊かにしていきたい。そしてお客様にしっかりとしたサービスを展開しなければならないという強い思いがありました。また、全国チェーン化をすることで社会的インパクトを与えたかったですし、リハビリの分野でナンバーワンにしたかったのです。そのために、全国に100店舗をまずは目指すことにして、2003年になんとかデイサービスの1号店をスタート。2006年に日本で初めて機能訓練に特化したデイサービスも立ちあげました。それで収益も上がり、オペレーションができ、行政にも認められたので、多店舗展開に乗り出しました。2008年からは毎月新店舗を出店し、2012年には100店舗を達成。毎月新店舗を出していると、社員もヤル気になってきます。自信もついて、経営に対する感覚もわかってきました。

度重なる介護報酬の改定を乗り越えていくために

小川様の優しさがかたちになって、拡大してきた会社です。
どのようなきっかけからM&Aを意識するようになったのでしょう。

株式会社nCS 代表取締役 小川義行氏
小川

2015年頃には店舗数も180店舗になっていたので、私の中で一区切りついたような気がしていたのですが、すでに海外にも進出していたので、次を考えなければならないと思っていました。上場するという選択肢や、海外での事業拡大なども考えていたのですが、ふと思ったのは“私が急にいなくなった後に会社を継ぐ人がいない”ということでした。そこで、後継者となる人材の育成に力を入れ、社員が能動的に動けるようにしたいと考え、2015年にホールディングスに切り替えました。社名をイー・ライフ・グループ株式会社とし、介護や障害、海外事業、建築をすべてぶら下げて、それぞれの事業に社長をつくったのですが、それまでずっと私の背中を見てきた役員たちだったので、切り替えがなかなか難しかったのか、なかなか上手くいかない時期が続きました。

それに加えて、2015年と2018年に介護報酬の改定がありました。これらは業界にとってはとてもネガティブな内容で、そこから徐々に介護事業者が減っていきましたが、2回とも弊社は何とかクリアできました。しかし、それを乗り切るための戦略は私が1人で考えていたのです。チェーン全体でメンバーが1,500人もいるのに、“私1人で良いのか”という疑問がわいてきます。私が生きていさえすれば、次の2024年や2027年の改定も乗り越えることができるでしょう。しかし乗り越えることが目的ではなく、さらなる成長のためにはどのような器にするかが重要です。経営陣もそれぞれが部分的に役割を担っていたのですが、大きな未来を描けてはいません。会社全体を見直す手段の一つとしてM&Aを意識しはじめたタイミングで、まずは情報を収集しようと考え、いくつかのM&A仲介会社にオファーを入れた1社にM&Aキャピタルパートナーズがありました。結局、実績もあり一番親身になって話を聞いてくれたのが、M&Aキャピタルパートナーズの松本さんと三浦さんでした。

とはいえ、2019年当時は、まだ自分が先頭に立ってやっていくという選択肢も残っていたので、それほどM&Aにウエイトはおいていなかったのですが、そのタイミングでコロナ禍に見舞われることになります。あっという間に感染は拡大し、クラスターも続出。統合などを行いながら店舗数を50店舗ほど減らして乗り切ろうとしました。2020年には大きく特別損失を出しましたが、翌2021年には私が陣頭指揮を執って利益を出し、将来を考えていたころに、私の周りで亡くなった経営者が少なからずいました。私も少なからず基礎疾患があるので、一度新型コロナウイルス感染症に感染したときに医師から重症化リスクが指摘されます。“このまま私が陣頭指揮を執り続けても社員やお客さんを守れない”と思い、再びM&Aキャピタルパートナーズに相談をして、中断していたM&Aの話を再開しました。

ここからはM&Aキャピタルパートナーズの担当者である松本さんと三浦さんを交えてお話をうかがいます。
まずはお互いの第一印象をお聞かせください。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 松本 喬太
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 松本 喬太(以下、松本 )

体育会系で迫力があり、とても勢いがある方だと感じました。しかし単に勢いがあるだけでなく、ご自身の経験を踏まえながら先のことまで計算してご判断される非常にクレバーな方ということもすぐに分かりました。本格的に再始動したのは2022年5月頃です。
もちろん、他にも上場などのご選択肢はありますので、ご選択肢の一つとしてM&Aのお話しをさせて頂きました。本来は代表オーナー様とのみお話を進めるケースが多いのですが、今回は株主でもある専務と取締役も最初から一緒に検討していらっしゃったので、次のキーマンである専務や取締役、そして従業員の皆さまが、どのようなお相手であればモチベーションを持ち続けられるのか、雰囲気が合うのか等もポイントとして考えました。自分がそれぞれの立場の方に成り代わったつもりで、どのようなお相手が最善かを考えて探すことができたように思います。

対談3人の写真
小川

金融機関やベンチャーキャピタルなどともM&Aキャピタルパートナーズと同じようにコミュニケーションを取っていましたので、私はフェアな形で、どのM&A仲介会社と一緒に進めていくのかを選ぶことができました。ただ、M&Aをするにも、そのタイミングの重要性を理解し、私が目指すことに対する理解をしっかりとしていただいていたのが、M&Aキャピタルパートナーズでした。ポイントとしていたのは金額ではなく、”社員や会社が発展できる可能性”です。そして私もM&A後に残ることを前提として、どんな選択肢があるかを提案してもらいました。

松本

M&Aを検討するうえでタイミングは大事だと思いますので、お相手からの詳細な譲受希望条件やM&A実行後の方針等に関する情報をお伝えしたうえで、「今じゃない」と言われれば先延ばしにする予定でした。会社のことを一番理解しているのは、小川社長であって、私たちが“今が御社にとってベストなタイミング”と言い切ることは間違っていると考えておりました。ですので、多くの情報をしっかりとお伝えした上で、タイミングも含めて最終的にご判断するのは小川社長だと考えてご提案を続けていました。

小川

ちゃんと会社の状況は把握して欲しかったので、会社の情報は毎月、松本さんと三浦さんには情報を共有していました。仲介役いうよりは、当社の社員になったつもりで、“どの会社だったら、一緒になりたいかな”という感覚を持ってほしいと思っていましたから。
そういう、お二人にとっては手間になるようなことも、他社のM&A仲介会社や金融機関と比べてしっかりと誠実に向き合ってくれましたと感じました。

一緒になれば社会的問題の解決ができる

どのような会社がパートナーとして適していると考えて、小川様に提案したのでしょうか。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 三浦 仁志
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 三浦 仁志(以下、三浦)

私たちの仕事はあくまで仲介なので、両者が良いと思わなければ成立しません。両者の意向を丁寧に確認しながら、その中で一緒になった未来が面白そうなところ、経営の面でもシナジーを生みやすそうな企業様を選定して、提案させていただきました。

大きな軸でいうと、そもそも介護の知見がある大手企業か、または介護の知見はなくても、一緒になることによって小川社長のノウハウを上手く発展させられる資金力のある異業種などが候補に上がると考えていました。

今回のケースで最終的な候補に上がったのは介護事業の大手と、成約に至ったLITALICO様の2社。結果的に選ばれたのが、一緒にビジネスをする上で面白さがあるだろうと判断されたLITALICO様でした。

LITALICO様のどこに惹かれたのですか。

株式会社nCS 代表取締役 小川義行
小川

弊社にないものがいくつもあったことです。また、創業社長のことを知っていて、一緒に本を書いたり講演をしたりと交流があったということもあります。そして、「社会的問題をビジネスで解決しよう」という理念も同じ。さらにいえば、我々は介護から障害福祉、LITALICOは障害福祉から介護と順番が逆なだけ。LITALICOの介護事業としてはインターネットのプラットフォームのみ運営していました。また、我々が障害福祉を始めるときに、創業社長を招いたこともあるなど、とにかくこれまでにもたくさんの縁がありました。

会社を退職する従業員の中には「障害福祉に従事したい」という人が結構いたのですが、社内ではそういったキャリアチェンジができる環境にありませんでした。反対にLITALICOには「介護をやりたい」という理由で退職する人がいたので、一緒になればプレイヤーとしても社会的問題の解決ができると考えました。また、LITALICOはエンジニアを抱えているので、一緒になればできることが増えるとも考えました。そして何よりも、社長の熱意を感じました。私よりも一回り年下ですが、いつも「世界を変えたい」と熱く語っています。創業当初から一緒に仕事をしてきた役員も「転職するならLITALICOがいい」と言ったので、迷いなく決断しました。

現状と描く未来についてお聞かせください。

株式会社nCS 代表取締役 小川義行氏
小川

今の自分たちに足りないのは人材だったので、LITALICOから管理担当と採用担当の2名に役員として入ってもらい、日々連携しながら取り組んでおります。また、店舗開発においても、弊社とLITALICOとはやり方が違う部分もありますので、そのノウハウを共有することでシナジーが生まれ、どちらにもメリットがある関係性が築けていると思います。

M&Aキャピタルパートナーズへのご評価をいただけますか。

対談中の三人の画像
小川

M&A仲介会社が間に入ってくれたことで選択に客観性が生まれたと感じています。成約したときにお二方にお礼状も出していますが、本当にこちらの身になって各プロセスをしっかりと対応してくれました。スピーディかつ真摯に、M&Aキャピタルパートナーズの理念に沿ってサポートしてくれました。金融機関やコンサルティング会社は堅苦しいイメージがありましたが、お2人はまったくとげとげしくなく、人間味を出して接してくれました。その点は、他社との違いを感じましたね。

やはり担当者の人柄はとても大事です。とくに我々の業種は非効率なものなので、そこに効率を持ち込まれても困ります。非効率の集大成が効率になっている業界なので、M&Aキャピタルパートナーズには、そこをしっかりと理解していただいたと思っています。

ありがとうございます。
最後にM&Aを検討しているオーナーに向けてひと言ずつメッセージをお願いいたします。

小川

日本経済は成熟しているので、日本の中で各社が描く成長戦略には間違いなく“統合”というキーワードが出てきます。どの業界でも成長戦略の主戦場がM&Aとなってきているのは間違いないと思います。その中で自分の将来を描いたときに、M&AキャピタルパートナーズのようなM&A仲介会社に相談して、知見を増やし視野を広げるという作業をすると、最終的にM&Aを選択しなかったとしても、自分自身の整理ができることもあると思います。これからの社会においては、M&Aの知識をつけて、M&Aを仮想体験することが重要になってくるのではないでしょうか。今はインターネットである程度解決できることも多いのですが、それよりもちゃんと対面して、親身になって会話をしてくれる相手に相談すべきだと思います。

三浦

M&Aアドバイザーとして本件に関ることができて大変光栄だと感じています。介護事業者で小川様の運営してこられた「nagomi」を知らない人はいません。すばらしい経営者様と関われたことをとても嬉しく思います。日本は高齢化が進み、現役世代が減っているなかで、社会保障費の財源を確保し続けることが厳しくなっていく環境にあります。介護や福祉はその財源が必要な事業であるため非常に厳しい状況になっており、その経営効率を改善して事業者側が利益を取れるようにするためには、業界再編が必須だと考えています。本件は事業戦略上発展的なM&Aという位置づけになるかと思いますが、組織継続のための再編も今後、介護・ヘルスケア領域において加速されることが想定されるので、今後も全力でサポートしていく所存です。

松本

成約後に小川社長からいただいたお言葉の中に「社会に役立つように頑張ってほしい」とメッセージがあって、それを読んだときに本当に力がわきました。M&Aをする、しないは別として、少しでもご選択肢として考えられている場合は検討を進めることが重要だと考えております。検討をしなければ、そもそも比較もできません。コロナウィルスのような想定外の出来事が生じ、会社の状況が悪化してしまうと一気にご選択肢がなくなってしまうので、まずは状況の良い時に一歩踏み出していただければと思います。これは仲介会社が言うとセールストークのように聞こえがちですが日々、本心から思っていることです。今後も1人でも多くのオーナー様をサポートできればと考えております。

弊社・松本、小川義行様、弊社・三浦

(左から)弊社・松本、小川義行様、弊社・三浦

文:伊藤 秋廣   取材日:2023/4/26

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