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事業承継とは?

事業承継M&Aの基礎知識

事業承継とは?

日本社会の高齢化が進む中、好業績の優良中小企業のオーナー経営者にも同様の高齢化と事業承継が課題となっている。

帝国データバンクが発表した「2017年全国社長分析」によると、全国の経営者の平均年齢が59.3歳と過去最高を記録した。また、東京商工リサーチが2017年1月に発表した「2016年休廃業・解散企業動向調査」では、企業倒産件数が8,446件と8年連続で減少する一方、倒産件数の約3.5倍の29,583件が休廃業・解散に追い込まれており、休廃業・解散した企業の経営者の年齢も60歳代以上が82.3%を占めた。ここでいう「休廃業」は債務超過ではなく、資産超過状態での事業停止なので、経営不振による赤字倒産といったような業績面以外の問題を抱える中小企業が増加していることになる。経済産業省の内部試算では黒字廃業を放置すれば2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円に上る国内総生産(GDP)が失われる恐れがあるといわれている。

事業承継にはいくつかの選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがある。株式の大半を所有しているオーナー経営者にとって、自社の業績が好調で自身も元気なうちに事業承継の選択肢を知り、適切な判断を下し、円滑な引継ぎができるような対策と検討、そして準備を進めていくことが求められている。

主な事業承継の方法

ここでいう事業承継とは、社長が交代するという経営の承継だけでなく、オーナー経営者個人が所有する株式や資産を誰に継承するかということも含まれる。

事業承継の方法として、「親族への承継」、「役職員への承継」、「株式上場」、そして、「第三者への承継」が挙げられる。通常であれば子供に株と社長の役割を引継ぎ、自身は会長として残るような状況が望ましいが、そもそも子供がいない、子供がいても継いでくれないというケースも少なくない。

オーナー経営者の右腕ともいえるような従業員も経済的な理由で株式の引継ぎが困難であることが多い。

日本の中小企業の現状

日本では、中小企業が経済・社会を支えているといっても過言ではない。2014(平成26)年経済センサス-基礎調査の結果に基づく企業規模別の企業数と従業者数の内訳は以下の表の通りで、日本企業382万者のうち380.9万者(99.7%)が中小企業、そのうち325.2万者(85.1%)が小規模事業者となっている。


日本の中小企業の現状01

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

ここでいう「大企業」「中小企業」「中小企業のうち小規模事業者」の定義については、1963年に施行された中小企業対策の基本法である中小企業基本法に記載がある。

同法第一条には、「中小企業に関する施策について、その基本理念、基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、中小企業に関する施策を総合的に推進し、もつて国民経済の健全な発展及び国民生活の向上を図ることを目的とする。」と書かれており、同法第2条に中小企業と中小企業(小規模事業者)の定義がなされている。(以下の表参照)

日本の中小企業の現状02

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

全体の企業数の推移については、1999 年から2014年までの15年間で484万者から382万者と約100万者減少している。2009年から2014年までの5年間で見てみると、421万者から382万者と約39万者減少しており、内訳を見てみると特に小規模事業者の廃業の影響が大きい。

日本の中小企業の現状03

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

中小企業経営者の高齢化

中小企業経営者で最も多い年齢は、1995年時点では47歳であったが、2015年時点で66歳となり、経営者のボリュームゾーンの山がおよそ20歳高くなっている。

平均引退年齢も中規模企業経営者で65歳以上、小規模事業者経営者に至っては70歳を超える状況となっている。

2025年時点で引退年齢を迎える中小企業経営者が約245万人と、全中小企業の6割以上。アンケートではその約半数にあたる127万人が後継者未定であるという結果が出た。

日本の中小企業の現状01

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

日本の中小企業の現状01

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

成長意欲、投資意欲の低下

年齢を重ねるごとに保守的になり、企業の成長への意識、投資意欲について、低下する。

経営者の年代別に見た成長への意識「雇用を維持・拡大していく必要がある」「積極的に投資していく必要がある」「成長には、リスクを伴う行動が必要であるし、積極的にリスクをとるべきだ」という項目については、年代が上がるにつれて低下している。

反対に「リスクを伴ってまで成長はしたくない」と考える中小企業経営者は年代が上がるにつれて上昇している。

経営者の年代別に見た成長への意識
経営者の年代別に見た成長への意識

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

今後3年間の投資意欲についても、「設備投資」「IT投資」「人材投資」「海外展開投資」「研究開発投資」「広告宣伝投資」いずれの項目も年代が上がる二つ入れて投資意欲が低下している。

今後3年間の投資意欲
今後3年間の投資意欲

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

70歳までに事業承継体制を整えないと、
企業の成長が落ち込む

帝国データバンクの企業価値評価サービス「Value Express」(21万社収録)を用いて、本調査の対象企業のうち価値算出が可能な12万7911社について企業の事業価値を算出。売上高に占める事業価値の比率(売上高事業価値比率[%])を企業の“稼ぐ(キャッシュを生む)力”として定義し、これを、後継者の有無という観点から業種別、社長年齢別に分析した。

算出された事業価値については、収益構造の違いなどから業種毎に指標となる数値に差異があるものの、「後継者不在」企業の売上高事業価値比率は「後継者あり」企業の2分の1以下と、非常に低水準であることが判明した。業種別に見ても、「建設業」をはじめ全業種で「後継者あり」企業が不在企業の売上高事業価値比率を2倍前後上回っており、後継者問題と企業の“稼ぐ力”が密接に関わりあっていることがわかる。 この結果は、後継者が決定していることで長期の経営計画が立てやすく、企業のパフォーマンスが向上するという見方ができる一方で、元々事業価値(キャッシュを生み出す能力)の高い企業であるが故に後継者が決まりやすいという見方もできる。中小企業の中には「事業を継続したくても、業績不振や先行きの見通し難から親族などに継がせたくない」と考えているケースも多く、事業承継問題の抜本的解決には、各種の承継サポート以外にも、企業自体の業績回復が必要不可欠であると考えられる。

売上高事業価値比率を社長の年齢別にみると、分析対象企業の少ない「30歳未満」を除く全てのレンジで「後継者あり」企業が「後継者不在」企業を大きく上回っている。一方で、企業の“稼ぐ力”は社長年齢が「70歳代」を超えると急速に下降線をたどり、社長が「80歳以上」の企業では、ピークである「60歳代」の6割程度に低下。とくに「後継者不在」企業では、「70歳代から」大きく売上高事業価値比率が落ち込み、「80歳代」は「60歳代」の3分の1以下にまで下降している。 前述のとおり業績悪化が後継者不在に繋がっている可能性が指摘できるが、遅くとも社長年齢が70歳となるまでに事業承継体制が整っていないと、企業の成長力・収益力ともに大きく落ち込む可能性が高いと言える。

売上高事業価値比較×社長年齢
売上高事業価値比較×社長年齢

「後継者問題に関する企業の実態調査」2014年7月、株式会社帝国データバンク

人材不足

2014年ごろから労働力が不足している様子が伺える。製造業、小売業、建設業、サービス業、卸売業いずれの業種についても、「不足」になっている。また、従業者規模別雇用者数の推移をみると、従業員数が多い企業の雇用者数が増加する一方で、従業員数が少ない企業の雇用者数が減少していて、特に中小企業の労働力が不足していることが伺える。

従業員数過不足DIの推移
従業員数過不足DIの推移

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

従業員数過不足DIの推移
従業者規模別雇用者数の推移

中小企業庁「2017度版 中小企業白書」

増加するM&A

日本のM&A草創期から国内外の数多くのM&Aを提案・実行してきた老舗のM&A仲介会社である株式会社レコフによると、日本企業のM&Aは、1985年の統計開始以来、リーマンショックや東日本大震災などによる一時的な不況期を除けば一貫して増え続けている状況にあり、1996年の年間約600件から2017年の年間約3,000件と、公表されている件数だけでこの20年間で4倍以上となっている。

売上高事業価値比較×社長年齢
M&A件数推移

資料:M&A専門誌「MARR」

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