事業承継とは
事業承継M&Aの基礎知識
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事業承継とは、会社の経営権を後継者に引き継ぐことを指します。
近年は親族内の後継者不足問題などもあり、事業承継が進められずに廃業を検討する会社も少なくありません。
そのため、まだ第一線で活躍する経営者の方でもできるだけ早い段階で事業承継について相談し、事業承継を円滑に進めるための基礎知識をつける必要があるのです。
この記事では、事業承継の現状や事業承継手続きの手順などについて解説しています。
事業承継とは
事業承継とは、会社の経営・事業を後継者に引き継いで事業をこの先も長く継続していくための基礎を築くことです。
特に高齢の中小企業経営者や個人事業主では「オーナー社長の人脈と経営手腕」が会社の存在そのものになっている場合がたくさんあります。経営者しか知らないことが多いという点も次世代への引き継ぎを難しくしている要因になっているのです。
早くに後継者を見つけて充分な事業の引き継ぎができるかは重要な経営課題ですが、多くの経営者が一向に進まない事業承継に悩んでいます。
事業承継の定義
事業承継には実は決まった定義はありません。というのも事業承継はその手続きのなかで「後継者選び」や「会社売却」や「相続税の節税」などいろいろな側面があるため、解釈する方によって言葉の意味が異なるからです。
中小企業における課題
事業承継には実は決まった定義はありません。というのも事業承継はその手続きのなかで「後継者選び」や「会社売却」や「相続税の節税」などいろいろな側面があるため、解釈する方によって言葉の意味が異なるからです。
子どもが継がない脱ファミリー化
後継者候補として最も多い属性は「子ども」で38.5%、前年から1.9pt減少しています。子どもを後継者として検討している割合は、調査開始以来初めて全体の40%を下回りました。
本来なら子どもを後継者にする割合が最も高い「創業・同族企業」でその割合が大きく低下したことが影響しています。
後継者には「非同族」や「内部昇格」「外部招聘」「M&Aそのた」の割合が高まったことから、事業承継の脱ファミリー化が顕著になってきたといえるでしょう。

参考:株式会社帝国データバンク『就任経緯別 後継者候補属性』
中小企業経営者の高齢化
2000年時点において中小企業経営者で最も多い年齢層は50〜54歳でしたが、2015年時点においては65〜69歳と、経営者の年齢のボリュームゾーンが約15歳高くなっています。しかし、2020年時点においては突出して高い年齢層はなく、60〜74歳の経営者が多くなっています。
最も新しい調査結果によれば、平均引退年齢は中規模企業経営者で65歳以上、小規模事業者経営者では70歳を超える状況です。
2025年時点で引退年齢を迎える中小企業経営者は約245万人で全ての中小企業の60%以上です。アンケートではその約半数にあたる127万人が後継者未定であるという結果が出ました。


参考:中小企業庁「2021年度版 中小企業白書」「2017年度版 中小企業白書」
60歳を過ぎたら事業承継の計画を
70歳までに事業承継体制を整えたい理由として下記のものがあります。
年齢による成長意欲、投資意欲の低下
業績が好調なうちに事業承継を
後継者育ては5~10年かかることも
それぞれの理由について解説します。
年齢による成長意欲、投資意欲の低下


成長意欲、投資意欲の低下
年齢を重ねるごとに保守的になり、企業の成長への意識、投資意欲が低下します。
経営者の年代別に見た成長への意識「雇用を維持・拡大していく必要がある」「積極的に投資していく必要がある」「成長には、リスクをともなう行動が必要であるし、積極的にリスクをとるべきだ」という項目については、年代が上がるにつれて低下しています。
反対に「リスクを伴ってまで成長はしたくない」と考える中小企業経営者は年代が上がるにつれて上昇しています。
今後3年間の投資意欲についても、「設備投資」「IT投資」「人材投資」「海外展開投資」「研究開発投資」「広告宣伝投資」いずれの項目も年代が上がるにつれて投資意欲が低下しています。
業績が好調なうちに事業承継を

参考:株式会社帝国データバンク『後継者問題に関する企業の実態調査』2014年7月
70歳までに事業承継体制を整えないと、企業の成長が落ち込む
帝国データバンクの企業価値評価サービス「Value Express」(21万社収録)を用いて、本調査の対象企業のうち価値算出が可能な12万7911社について企業の事業価値を算出。売上高に占める事業価値の比率(売上高事業価値比率[%])を企業の“稼ぐ(キャッシュを生む)力”として定義し、これを、後継者の有無という観点から業種別、社長年齢別に分析しました。
算出された事業価値については、収益構造の違いなどから業種ごとに指標となる数値に差異があるものの、「後継者不在」企業の売上高事業価値比率は「後継者あり」企業の2分の1以下と、非常に低水準であることが判明しました。業種別に見ても、「建設業」をはじめ全業種で「後継者あり」企業が不在企業の売上高事業価値比率を2倍前後上回っており、後継者問題と企業の“稼ぐ力”が密接に関わりあっていることがわかります。 この結果は、後継者が決定していることで長期の経営計画が立てやすく、企業のパフォーマンスが向上するという見方ができる一方で、元々事業価値(キャッシュを生み出す能力)の高い企業であるが故に後継者が決まりやすいという見方もできます。中小企業の中には「事業を継続したくても、業績不振や先行きの見通し難から親族などに継がせたくない」と考えているケースも多く、事業承継問題の抜本的解決には、各種の承継サポート以外にも、企業自体の業績回復が必要不可欠であると考えられます。
売上高事業価値比率を社長の年齢別にみると、すべてのレンジで「後継者あり」企業が「後継者不在」企業を大きく上回っています。一方で、企業の“稼ぐ力”は社長年齢が「70歳代」を超えると急速に下降線をたどり、社長が「80歳以上」の企業では、ピークである「60歳代」の6割程度に低下。とくに「後継者不在」企業では、「70歳代から」大きく売上高事業価値比率が落ち込み、「80歳代」は「60歳代」の3分の1以下にまで下降しています。 前述のとおり業績悪化が後継者不在に繋がっている可能性が指摘できますが、遅くとも社長年齢が70歳となるまでに事業承継体制が整っていないと、企業の成長力・収益力ともに大きく落ち込む可能性が高いと言えます。
後継者育ては5~10年かかることも

参考:中小企業庁『事業承継ガイドライン』平成28年12月
事業承継において、経営権の引き継ぎとは後継者の選定から育成および業務の引き継ぎまでを含みます。
経営者の受け持つ業務が多いとされる中小企業では、次の経営者が独り立ちするまでには長い期間がかかります。
また、資産の承継は個人事業主なら不動産や設備の譲渡による名義変更で、株式会社なら自社株式の移転です。いずれにしても相続税・贈与税・所得税など税額の計算や納税を伴うため、事前に税理士のサポートを受けながら行います。
その他にも人脈などの対外的な引き継ぎなどを考えて5〜10年はかかるものとして、できるだけ早くから準備に取りかかるべきでしょう。
事業承継で引き継ぐもの
事業承継で引き継ぐものとして柱となるのが下記の3つです。
人を引き継ぐ
資産を引き継ぐ
知的資産を引き継ぐ
それぞれについて解説します。
人を引き継ぐ
人とは事業を引き継ぐ新しい後継者であり、事業を運営するすべての人材でもあります。
事業承継では、これまで経営者が培った技術や蓄積した経験はもちろん取引先や金融機関との良好な関係など、すべてを次世代へ引き継がなければなりません。
ですから、新たな経営者が見つかれば事業承継自体は成立しますが、事業を安定的に発展させるには後継者の経営手腕や人心把握の能力も人選では重要なのです。
事業承継の多くは先代の経営者が新しい経営者に寄り添って育成をしながら独り立ちを促しますが、引き継ぎに要する期間は一般的に5〜10年といわれています。
資産を引き継ぐ
資産とは、事業を行うのに必要な運転資金のほかにも事業用資産(不動産や設備)、経営権を示す株式などがあります。
資産の引き継ぎには時期や方法などの状況に応じた課税方式があるため、最適なタイミングを逃さないように専門家のアドバイスにしたがって早めの準備を心がけましょう。
知的資産を引き継ぐ
知的資産とは、その事業や会社の価値を決めるブランド力やサービスの質やノウハウなど形がなく換価が難しい資産です。
そして、この知的資産こそが世間から必要とされ、事業の存続を担保してくれる重要な無形資産なのです。
例えば、ブランドや特許や企業間の繋がりや企業理念などが知的資産にあたります。
主な事業承継の方法
事業承継は、次期経営者を育てて経営権を譲るだけではありません。
事業承継の主な方法として下記の4つが挙げられます。
親族への承継
役職員への承継
株式上場(IPO)
第三者承継(M&A)
ちなみに昨今の事業承継方法の傾向としては、親族から次期経営者を選び事業を引き継ぐ割合が減少傾向です。
それに代わって、親族ではない内部から次期経営者を選ぶかM&A(合併や買収)による事業承継が増加しています。
脱ファミリー化の流れの中、M&Aは増加
親族ではない従業員から次期経営者が誕生するケースは昔からありますが、M&Aによる事業承継は中小企業で行われているのでしょうか?
下のグラフは、M&Aに取り組む中小企業件数の推移を表すものです。

参考:中小企業庁『ポイント③中小企業にもM&Aはできる?』
このように、中小企業においてもM&Aによる事業承継に取り組む企業は毎年確実に増加傾向にあります。
また、事業承継を終えた企業に占める事業承継方法の内訳は以下のとおりです。

参考:帝国データバンク『全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)』
ここ数年では同族承継が減少し内部昇格は変わらず、M&Aは継続して増加傾向にあるのが分かります。
一方で、次期経営者が見つからないなどの理由で廃業するケースはどうでしょうか。
日本政策金融公庫の調査において、60 歳以上の経営者のうち50%を超える方が将来的な廃業を検討していることが確認されました。そのなかでも「後継者難」を主たる理由とする廃業が約30%を占めています。
奇しくも新型コロナウイルスを引き金とする思いがけない業績悪化によって、将来の廃業もしくは後継者選びを意識しはじめるきっかけになったようです。
前述した事業承継の4つの方法を改めて見ていきましょう。下記の4つの方法に優劣はなく、事業の現状やビジョンに適した方法を見つけることが大切です。
親族への承継
役職員への承継
株式上場(IPO)
第三者承継(M&A)
ここからは、それぞれについてメリットとデメリットを例示して解説していきます。
親族への承継
親族への承継とは、現行の経営者の親族に事業を引き継ぐ方法です。以前から代替わりの方法としてよくあるため、その人選にあたっての心情については周囲から理解を得やすいでしょう。
しかし、家業を継ぐという意識が薄れ人生の選択肢が増えた現代においては、親の期待を子が受け止められない事情も理解できます。
親族への承継は、ここ数年で減少傾向にあるとはいえ、昔も今も事業承継の方法として最も多くを占めています。
親族への承継のメリット
親族への承継のメリットは下記の4つです。
後継者の人選に理解を得やすい
昔からある代替わりの方法であるため、賛成者と反対者はいるものの心情的に受け入れやすいといえる。
親の意思を引き継ぐ使命感がある
長年かけてご子息のなかに事業を継ぐ意識が醸成されているれば、人並み以上の愛社精神で事業に打ち込みやすい。
後継者教育を深く行いやすい
私生活の時間を含め第三者よりもはるかに長い時間を共有し、親族だから言えることも伝えられるため後継者教育に向いています。またスキル習得のために他企業への修行や留学するなど、事業承継を見越した計画を立てて取り組みやすい面がある。
経営者と相続人が同一になりやすい
前経営者が亡くなって事業を引き継ぐ場合は、経営権と相続した株式が同一人に集まるため経営権の分離による問題が起こりづらい。
親族への承継デメリット
一方で、親族への承継のデメリットは下記の5つです。
意志を継ぐ者がいない場合がある
ご子息が経営を継ぐだろうと親が期待していても、子にはやりたいことがあり事業承継を拒絶される場合がある。
親族人事で人材を失う場合がある
親族が継ぐのは理解できるものの、親族人事の不公平感などから事業の運営に支障をきたしたり人材が会社を離れたりする場合がある。
親族の重い期待に苦しむ場合がある
前経営者が第三者には言えないことも親族だからと次期経営者に厳しくするあまり、両者の気持ちがすれ違うこともある。
経営権の偏重で親族が揉める場合がある
経営権が一人に集中するため親族間でもめ事が起きる可能性がある。
経営手腕が充分でない場合がある
経営者の親族であっても経営者としての適性や能力が備わっているとは限らず、代替わりしてうまくいかないこともある。
役職員への承継
役職員への承継とは、全経営者の親族ではない役員や従業員へ事業を引き継ぐ方法です。
自社株を前経営者が保有したままで地位だけを譲る場合と、株式を渡してしまう場合があります。
実力も人望も実績もあり、取引先や取引銀行にもすでに認知されているポストの方が選ばれることが多いため、事業や関係各所との安定した引き継ぎが期待できます。
役職員への承継のメリット
役職員への承継のメリットは下記の2つです。
事業内容や対外折衝に詳しい方が事業を引き継げる
すでに長年働き実力と人望で出世してきた実績があるため、事業内容や対外折衝に詳しく特別に教育されずとも事業を引き継ぎやすい。
実力・人望・実績が確かな方なら周囲が納得しやすい
社内でも社外でも周知された人物が事業を引き継ぐについて、取引先や取引銀行含めた周囲が納得しやすくなります。
役職員役職員への承継のデメリット
役職員への承継のデメリットは下記の3つです。
期待する候補者が次期経営者の推薦を断る
事業運営の補佐はしてきたものの、経営のポストと責任を背負うのは辞退する場合があります。
自社株を購入できるだけの資金力がない
経営権の掌握を示すに足るだけの自社株を取得しなければ、経営権が分散して事業運営が不安定になるが規定量の自社株を買い取るだけの資金力がない。
個人で会社の連帯債務を負うことに抵抗がある
会社の債務を個人保証したために経営者が資産をなくすリスクを恐れ、会社の債務を個人名義で連帯して背負うことに抵抗を示す。
なお、従業員承継についてのより詳細な解説記事はこちらをご覧ください。
株式上場(IPO)
株式上場(IPO)とは、親族以外に経営権(株式)を譲る手段として公開した自社株を売り出す方法です。
証券取引所の基準を満たすための上場前準備は大変ですが、自社株式を公開すればそれ以降は誰でも自由にその会社の株式を売買できるようになり、資金調達が容易になります。
株式上場(IPO)のメリット
株式上場(IPO)のメリットは下記の3つです。
事業内容や対外折衝に詳しい方が事業を引き継げる
すでに長年働き実力と人望で出世してきた実績があるため、事業内容や対外折衝に詳しく特別に教育されずとも事業を引き継ぎやすい。
実力・人望・実績が確かな方なら周囲が納得しやすい
社内でも社外でも周知された人物が事業を引き継ぐについて、取引先や取引銀行含めた周囲が納得しやすくなります。
役職員役職員への承継のデメリット
役職員への承継のデメリットは下記の3つです。
期待する候補者が次期経営者の推薦を断る
事業運営の補佐はしてきたものの、経営のポストと責任を背負うのは辞退する場合があります。
自社株を購入できるだけの資金力がない
経営権の掌握を示すに足るだけの自社株を取得しなければ、経営権が分散して事業運営が不安定になるが規定量の自社株を買い取るだけの資金力がない。
個人で会社の連帯債務を負うことに抵抗がある
会社の債務を個人保証したために経営者が資産をなくすリスクを恐れ、会社の債務を個人名義で連帯して背負うことに抵抗を示す。
なお、従業員承継についてのより詳細な解説記事はこちらをご覧ください。
役職員への承継
役職員への承継とは、全経営者の親族ではない役員や従業員へ事業を引き継ぐ方法です。
自社株を前経営者が保有したままで地位だけを譲る場合と、株式を渡してしまう場合があります。
実力も人望も実績もあり、取引先や取引銀行にもすでに認知されているポストの方が選ばれることが多いため、事業や関係各所との安定した引き継ぎが期待できます。
役職員への承継のメリット
役職員への承継のメリットは下記の2つです。
事業内容や対外折衝に詳しい方が事業を引き継げる
すでに長年働き実力と人望で出世してきた実績があるため、事業内容や対外折衝に詳しく特別に教育されずとも事業を引き継ぎやすい。
実力・人望・実績が確かな方なら周囲が納得しやすい
社内でも社外でも周知された人物が事業を引き継ぐについて、取引先や取引銀行含めた周囲が納得しやすくなります。
役職員役職員への承継のデメリット
役職員への承継のデメリットは下記の3つです。
期待する候補者が次期経営者の推薦を断る
事業運営の補佐はしてきたものの、経営のポストと責任を背負うのは辞退する場合があります。
自社株を購入できるだけの資金力がない
経営権の掌握を示すに足るだけの自社株を取得しなければ、経営権が分散して事業運営が不安定になるが規定量の自社株を買い取るだけの資金力がない。
個人で会社の連帯債務を負うことに抵抗がある
会社の債務を個人保証したために経営者が資産をなくすリスクを恐れ、会社の債務を個人名義で連帯して背負うことに抵抗を示す。
なお、従業員承継についてのより詳細な解説記事はこちらをご覧ください。
事業承継の進め方
中小企業や家族経営の事業では、事業承継は家族単位の引き継ぎ問題を誰かに知られるのが恥ずかしくて相談しづらい気持ちになる方が少なくありません。
しかも、昨今では親族の承継が当然ではなくなり次期経営者を探さなければならないので悩みは尽きません。
しかし、親族でも第三者でも事業を引き継いでもらうためには経営課題や財務状況の問題を洗い出して改善策を見いだす必要があるのです。
実際に事業承継進めるステップは下記の4つです。
自社の経営課題、資産や財務状況を把握
経営改善して引き継ぎたくなる会社に
親族内承継・社内承継の場合…後継者探し、事業承継計画策定
社外承継の場合…M&A仲介会社への相談
それぞれのステップについて解説します。
自社の経営課題、資産や財務状況を把握
良好な事業承継のために、まずは経営状況や経営課題を正確に把握する必要があります。
自社の強みと弱みを知るために、下記の課題を深掘りするとよいでしょう。
現在の市場の可能性や事業の継続性はどうか
自社の現在の商品力や企画開発力はあるのか
無駄なく利益が生まれる体質になっているか
これら経営課題の分析は経営者だけで行うのではなく、公平な視点で判断できる方々や金融機関などに協力を仰いで多角的な分析にすべきです。
また、経営者として想像したくはありませんが、将来起きるかも知れない環境変化とそれに伴う経営リスクも想像しておく必要があるでしょう。
なお、経営資源については貸借対照表に現れない知的資産・ブランド力・社風・経営理念など、目に見えない無形資産も含まれることを覚えておきましょう。
経営改善して引き継ぎたくなる会社に
事業承継とは、今まで省みたことのない視点で事業を改めて分析して問題点や改善点を洗い出し、経営体質をより良くするという大きな命題があることを忘れてはいけません。
つまり、経営者の交代をきっかけとして事業を発展させ、引き継ぎたくなる会社にする絶好のチャンスなのです。
ですから、後継者が親族であっても第三者であっても関係なく、最後の陣頭指揮の日までは経営改善に尽力し、次の経営者に最高の状態で事業を引き継ぐ姿勢を貫くべきです。
後世に「老舗(しにせ)」と呼ばれる100年企業はいずれも、世の中が変わろうとも創業当時の想いを大切に受け継いでいるという共通点があります。
事業承継の本質とは、世の中に価値を提供する現経営者の理念や想いを、次世代でもブレない基盤として伝えていくバトンパスではないでしょうか。
親族内承継・社内承継の場合…後継者探し、事業承継計画策定
親族内承継および社内承継の場合には、経営陣・従業員・主要な取引先・銀行などにとって最良な道を探りながら事業承継計画案を作成しましょう。
そして策定後は主要な関係者全員が内容を共有して、将来の事業承継で充分な協力が得られるよう意思疎通ができれば、結束が固まり事業承継が安定します。
事業承継計画の策定は後継者探しや計画書の作成だと思われがちですが、事業の関係者と想いをすり合わせて結束力を高めるためにあるのです。
社外承継の場合…M&A仲介会社への相談
社外承継でM&Aを利用する場合には、社外の関係者や事情が交錯し専門的な知識やテクニックが要求されるため、経営者が自力で完結させるのは困難です。
そのため、M&Aを利用するならM&A専門の仲介会社へ相談を持ちかけましょう。
会社間の実務はM&A仲介会社が滞りなく行いますので、経営者は事業や会社の売却条件に組み込まれる下記についての希望をまとめます。
従業員は解雇せず雇用条件もそのままで
社名とロゴはそのまま残したい
ある事業だけは現状のまま残したい
契約や引渡し時期をいつにしたい
社長の個人保証を抜いて欲しい
社屋を創業地から移転しないで欲しい
取引先とは一定期間取引を継続したい
事前にこのような希望をM&A仲介会社に伝えておけば、条件に合った相手先を見つけてくれます。
事業承継は専門家の力を借りながら進めたい
事業承継には経営者の育成や書類の準備やさまざまな専門知識と法律が関わってきます。単に相続税を払って新しい経営者に会社の登記を変更するだけではないのです。
安全・迅速・確実に事業承継を進める際に頼りになる専門家は下記のとおりです。
税理士
税理士は、日常的に中小企業の経営者と付き合いがあり、経営者が最も身近に頼れる存在のひとりです。
相続税・贈与税・株式の発行や評価・中小企業の会計など事業承継の中核になるジャンルを担当します。
しかし税理士のなかでもM&Aに関しては専門性が分かれるため、M&Aの経験や知識の豊富な税理士を探して相談や依頼をするようにしましょう。
弁護士
弁護士は、経営者の代理人として事業承継に際して経営者が行う説明や折衝などを代わりに行えます。
例えば、金融機関・株主・従業員・その他の利害関係人に対して経営者に同行して複雑な法律知識を駆使して解決に導きます。
各種書面の作成やあらゆる代理人としてバックアップしてくれるため、不安な事業承継においては心強い存在になるでしょう。
公認会計士
公認会計士は、監査や会計のスペシャリストです。財務調査や監査はもちろんですが、経営状況の分析や課題の把握と改善と非上場株式の鑑定評価やM&Aでの複雑な試算に特化した専門家です。
経営者の個人保証解除や適正な会計の指導と導入支援など、会計全般において幅広い助言ができる専門家です。
金融機関
金融機関は経営者とは日常的に深い付き合いがあり、経営状態をもっとも間近で見ている立場にあります。
お金の話以外でも経営者の深い悩みや希望を聞いて知覚しているため、事業承継やM&Aにおいても経営者に寄り添って深く介入してくれます。
事業承継においては、とくに資金計画の立案や資金需要への対応など金融の専門家としてのサポートをおこないます。
その他にも事業承継の手続きに関する相談ができる専門家は下記の3つです。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ補助金
M&Aのご相談はM&Aキャピタルパートナーズへ
それぞれの窓口などについてご紹介します。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターとは、後継者不在に悩む中小企業の事業引継ぎを支援するために平成 23 年度から開始した公共事業です。
全国にある事業引継ぎ支援センターにおいて、事業承継についての幅広い相談の対応・ダイレクトメールによる事業承継診断・M&Aの企業マッチング支援サービスを提供しています。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金とは、下記の事業主を支援する公的制度です。
事業承継に伴い新しい取り組みを行う中小企業・小規模事業者等
事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業・小規模事業者等
活動内容は、企業の費用負担を軽減して事業承継後にも積極的な投資ができるように、中小企業の事業承継や経営資源引継ぎに要する費用を一部補助しています。
M&Aのご相談はM&Aキャピタルパートナーズへ
事業承継4つの方法のうち「第三者承継(M&A)」を検討している経営者さまは、国内トップクラスの成約件数実績を誇るM&Aキャピタルパートナーズへご相談ください。
M&Aキャピタルパートナーズでは、ご相談初期からご成約までを専任の担当コンサルタントが寄り添ってサポートいたします。
M&Aによる親族以外への事業承継のまとめ
事業承継は、以前とは異なり親族以外にもM&Aなどで事業を引き継ぐケースが増えてきました。
しかし、事業承継の本質は現経営者の理念や想いを次世代でもブレない基盤として伝えていくバトンパスです。
たとえ時代が変わり親族への引き継ぎが減っていても、いまある問題点を改善して最高の状態で事業次の世代に渡す現経営者の責務は変わらないのです。
- M&Aと税金
- M&Aにおける企業価値算定費用
- M&Aのリテイナーフィー
- M&Aの中間報酬
- M&Aの企業価値算定費用
- M&Aの着手金
- M&Aアドバイザリー
- M&A仲介とFAの違い
- マッチングを成功させる方法
- レーマン方式
- LBO(レバレッジド・バイアウト)
- MBO(マネジメント・バイアウト)
- 企業の合併
- 会社分割
- 吸収合併
- 提携仲介契約
- 新設合併
- 株式交換
- 株式取得
- 株式持ち合い
- 株式移転
- 業務提携
- 第三者割当増資
- 経営統合
- 買収
- 資本参加
- 資本業務提携
- M&Aとノンネームシート
- M&Aと契約書
- M&Aのクロージング
- M&Aの基本合意契約書
- M&Aの手続きの流れ
- M&Aの表明保証
- PMIの概要解説
- デューデリジェンス
- マネジメントインタビュー
- 合弁会社
- 最終契約
- 株式譲渡M&Aの手続き
- 法務のポイント
M&Aキャピタル
パートナーズが
選ばれる理由
私たちには、オーナー経営者様の
決心にこたえられる理由があります