
リース業界のM&A動向
リース業は、事業に使用する資産をリース会社が代わりに購入し、顧客企業に長期に渡り貸し出すサービスを指す。レンタル業と比較すると貸し出し期間が長く、貸し出す対象もパソコンから航空機まで幅広いことがリース業の特徴である。一般的に、借手の企業は、資産や設備を保有するのではなく、使用するために活用するが、この際、リース業は借手企業へ「保有」と「活用」の両方の価値を提供することができる。

リース業界の特色として、企業は通常、必要な設備を購入する際に一括で代金を支払う必要があるが、リースの場合は基本的に毎月定額で支払う。そのため、借手企業は購入に必要な資金を一気に調達する必要がなくなり、初期費用を抑えることができる。さらに、設備を購入する場合は、損害保険や会計、税務などの事務手続きが発生するが、リースの場合は、これらの処理手続きはリース企業が負担するため、借手企業の手間を削減することができる。リースできる対象としては、産業機械や工作機械をはじめとして、パソコンやコピー機、医療用機器、自動車、船舶や航空機など、不動産を除く財産が多い。リース業界は、企業の設備投資と関係性が深い業界であるため、景気の動向に大きく影響を受ける業界と言える。近年では、日本国内の景気回復に付随して、リース業界も拡大を続けてきたが、なかでも産業機械や工作機械、発電設備、不動産が好調に推移しており、業界全体を牽引している。
リース業界は、1991年に取り扱い高が8.8兆円に達し、ピークを迎えた。業界の特色として、民間企業の設備投資動向に伴いながら成長していくが、当時はこのまま成長していくと期待されていた。しかし、バブル崩壊後、日本経済が不景気に突入すると、企業の設備投資は平行線を辿り、リース業界も横ばいの状況が続いた。さらに、リーマンショック以後は会計基準が変更になったことを起因として、大企業を中心に、これまで費用として計上してきたリース対象を、資産として計上する必要があり、会計上、リースの利点が失われていった。
しかし、2012年以降は、震災や度重なる自然災害が重なり、被災地におけるトラックや建設機械の需要が本格化したため、震災復興需要、自然災害需要が業績を牽引している。企業の設備投資も、これまでの慎重傾向から徐々に回復傾向に向かい、リースの取扱高も数年ぶりに増加した。
近年では景気回復に伴い、リース業界全体も好調に推移している。
リース業界における国内需要は一定の水準まで達しており、今後、新たに参入している企業を考慮すると、需要が絶えない中で競合企業同士の生存競争は加熱する可能性があると考えられる。
国内需要が頭打ちとなる中、リース業界の市場拡大を支えるのは、海外や新たな分野への進出と考えられている。昨今では、超低金利が進んでいるため、借手企業の設備購入や銀行融資のハードルが下がっており、その影響でリースのメリットは徐々になくなりつつある。その背景を受け、リース業界では、安定的な収益確保が大きな課題となっており、リース各社は収益を保持しながらも、リース資産残高を増加させる方法を確保する必要がある。
近年は順調に推移し続けているリース業界だが、国内市場が頭打ちとなっている中で、リース各社は生き残りをかけてM&Aを繰り返している。
・オリックス株式会社(東京都)は、2018年12月、通信インフラ設備の設置や保守サービスを行うNTI Connect, LLC(米国)を買収。オリックスは、メンテナンスリース、法人金融、事業投資を始めとして、幅広いジャンルでの事業展開をこれまで進めており、海外展開にも積極的である。昨今、米国内で通信設備の新規投資が活発になっている背景を受け、オリックスは今後も米国内の公共設備サービスにおけるM&Aを強化していくと考えられる。
・三菱UFJリース株式会社(東京都)は、2018年10月、全米でトラック・トレーラーなどの販売金融事業などを行うENGS Holdings Inc.(米国)の全株式を取得した。三菱UFJリースは
海外展開を進めており、これまでも北米貨車リース事業の基盤構築、タイの拠点で販売金融事業設立などを展開してきた。 こうした流れの中で、今回のM&Aで、米国における設備投資ニーズに確実に対応するソリューション提供を狙う。
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