
ホテル・旅館業界のM&A動向
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ホテル・旅館等の宿泊施設は、旅館業法により、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4種類に分けられ、それぞれ施設基準が定められている。
ホテルは、主として洋式の構造および設備を有し、客室10室以上、入浴設備、水洗式トイレ、暖房設備を有している施設を指し、シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル等がこれにあたる。 旅館は、主として和式の構造および設備を有し、客室5室以上、入浴設備、トイレを有している施設を指し、観光・温泉旅館、国民宿舎、モーテル等がこれにあたる。 簡易宿所は、宿泊する場所を多数で共用する構造および設備を有し、入浴設備、トイレを有している施設を指し、カプセルホテル、民宿、ペンション、オートキャンプ場、ユースホステル等がこれにあたる。下宿は、1ヶ月以上の期間を単位として宿泊させ、入浴設備、トイレを有している施設を指し、文字通り、下宿がこれにあたる。

日本における旅館の歴史は、主に2つのルーツがあると言われている。
一つは、旅籠と呼ばれる旅をする人を止めるタイプの宿と、もう一つは今でいう温泉リゾートのような湯治宿である。日本における旅館の歴史は古く、日本最古の旅館は西暦705年から続く甲州西山温泉の「慶雲館」と言われており、また「慶雲館」は世界で最も歴史の古い旅館として、ギネスワールドレコードに認定されている。
また日本におけるホテルの歴史として、本格的なホテルが登場したのは、1868年開業の「築地ホテル館」が最初だと言われている。その後の100年で現在も続く老舗ホテルの多くが誕生した。それまでの旅館は、宿泊と食事、あれば温泉という組み合わせであったが、ホテルが本格的に増えていくにあたって、宿泊と食事以外にもレクリエーション施設を兼ねたものなど様々な機能を持つホテルが登場した。
その後、ビジネスホテルやシティホテルなど様々な形態のホテルが日本全国に展開していった。近年では、外国人観光客の急激な増加やオリンピック、大阪万博などさらなる需要を見込んで新たな企業の参入も相次ぎ競争が激化している。
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日本のホテル・旅館業界の市場規模は、2016年時点で約4兆9,012億円(帝国データバンク調べ)となっており、前年度を2.1%上回り過去10年で最高を記録した。その背景には、近年政府が推し進める訪日促進施策が功を奏していることが要因の一つとなっており、訪日外国人旅行者数は2017年で、約2,869万人と6年連続の増加となっている。さらに、旅行者の増加は、外国人だけでなく、日本人にも同様の傾向が見られ、日本人の国内旅行者数は、2017年で延べ約6億4,720万人と3年連続の増加となっている。日本政府は、目標として2020年までに訪日外国人観光客数を4,000万人、2030年には6,000万人に拡大するとしており、それらの需要拡大からホテル・旅館業界の市場としての盛り上がりはこれからも続いていくと思われる。
このように近年、かつてないほどの盛り上がりを見せているホテル・旅館業界においては、民泊等これまでなかった新しい形式の宿泊施設も増加してきている。特に民泊においては、これまでホテル・旅館業界に直接関わりを持たなかった大手企業や不動産企業などが、自社の持つ資産の新たな活用の一つとして新たに参入するケースが増えている。
近年のホテル・旅館業界においては、伸び続ける需要に対して供給が追いついておらず、施設及び人材の確保が大きな課題となっている。宿泊施設の供給については、2020年のオリンピックに向け建設ラッシュが続いている状況だが、人材不足の方は簡単には解決できず、大きな課題となっている状況である。ホテル・旅館業界においては、24時間365日の営業をする施設が多く、その勤務形態も比較的過酷と言われ、なかなか人材の確保が難しい状況だ。また、訪日外国人観光客の増加もありグローバルに対応できる人材の確保も課題として出てきている。業界では、接客ロボットの導入や翻訳サービスに利用などテクノロジーを駆使した解決を模索している。

また、すべてのホテル・旅館が順調に伸びているわけではなく、大衆向けのビジネスホテルチェーンなどは、なかなか観光客に選ばれにくくなってきていることもあり、安易に価格を上げると稼働率に大きく影響してくることから価格を上げつらい現状もあり、減益になっている企業もある。今後、市場全体として安定的に伸びていくこと見えている業界であるが、需要に対してきちんと対応できるだけのリソース確保と観光客に支持されるサービスの提供を行えるかどうかが、ホテル・旅館業界において生き残れるかどうかに大きな影響を与えていくだろうと予測できる。
近年のホテル・旅館業界の興隆の中で、供給力強化やサービス品質の向上など様々な目的を持ったM&Aが活発になってきている。
―主な事例―
大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社は、全国で温泉施設を運営している企業であるが、ビジネスモデルとして経営が難しくなった地方の温泉旅館を取得し、再生するという形式をとっている。ニーズをうまくキャッチできず経営が立ち行かなくなったホテルや旅館などを格安旅館として再生する事業を行なっている。近年では、アールビバンの子会社であるTSCホリスティックの所有する「タラサ志摩ホテル&リゾート」事業の譲渡を行なっている。
この譲渡における「タラサ志摩ホテル」も宿泊者数、客単価が低迷しており、営業損失が続いていた。
-2017年2月-
アプリではじめるアパート経営「TATERU(タテル)」の開発・運営等オンラインサービスを提供している株式会社インベスターズクラウドは、光源装置、太陽光発電関連製品及び画像検査装置の開発・製造・仕入・販売を行っている株式会社インターアクションより、株式会社BIJの株式を取得する株式譲渡契約を締結した。BIJは、エネルギー分野の他にホステル事業も展開しており、インベスターズクラウドグループとしての「ネット×リアルで新しいサービスを」という理念を元に事業領域の拡大を目指すとしている。
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