
葬儀業界のM&A動向
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一般的に、人が亡くなってから葬儀を行い、火葬〜寺社供養に至るまでの過程に関わる業界を葬儀業界と呼ぶ。
葬儀業界においては、寺社供養を除き、消費者に対して、葬儀社と呼ばれる業態の企業が一貫してサービスを提供することが多いが、実際は、個別の役割を担う専門の企業が、葬儀社と連携してサービスを提供している。具体的な提供サービスは主に以下の通りである。

現在のような「告別式」の形式が誕生したのは、1900年代に入ってからのことである。それまでは、特に庶民に対しては、行政によって簡素な葬儀が奨励され、夜にひっそりと葬列が組まれる程度の葬儀が一般的であった(地域によって大きく異なる)。
戦後になると、葬列を組むのではなく、現在のような段々飾りの祭壇を使った「告別式」が一般階級にも普及し、この頃から現在葬儀業界シェアの約5割を占める冠婚葬祭互助会をはじめ、全日本葬祭業協同組合連合会(旧全葬連)や全国JA葬祭研究会の原型が生まれている。 1960年ごろには、庶民の間にも祭壇を用いた現在の葬式のイメージが定着し、70年代以降は告別式と葬式を2日間に凝縮して行うスタイルが定着していった。
80年代から90年代になると、寺や自宅に設営をしていた葬式会場も、斎場で行うことが一般的になり、設営などのハード重視の業態から、専門知識を駆使して遺族のサポートをするソフト面重視の業態へと変化している。近年では、家族葬などコンパクトに葬式をあげたいというニーズの高まりから、斎場や葬儀社のあり方にも変化が求められている。
葬儀業界の特徴は、まず「時間」や「曜日」の概念が一切ないことにある。どんな時間帯でも、休日だろうとも人が亡くなればすぐさま仕事が発生し、迅速に葬儀の準備・遂行を行いながら、遺族のケアやその後のサービスにも気を配っていくという究極のサービス業界である。その特殊な性質上ビジネスモデルとしても、一旦遺族の前に立って全てを取り仕切る葬儀社の存在が不可欠であり、彼らが提携する様々な専門業者に発注をかけていくスタイルとなっている。
経産省の統計調査によると国内の2018年の葬儀業の年間売上高は、前年からほぼ横這いの6,113億円だった。業界全体として、2013年〜2017年まで増減を繰り返しながらわずかに伸びを見せている。葬儀業界の売上高は、当然死亡者数が大きく影響するが、死亡者数の伸びに対してそれほど売上高が伸びていないのが現状である。

現在、葬儀業界全体としては、横這い、あるいはわずかに右肩上がりの推移を見せており、高齢化が進む社会で市場としては今後も安定が予測されているが、業界内の多くの企業の売上は、市場の伸びとは反対にマイナス傾向となっている。その背景には、高齢化という長期安定型の市場成長が見込める中で、2009年に葬儀業界に新規参入したイオンを始め、他業種の新規参入が相次いでおり価格競争が激化していることや、生活スタイルや地域コミュニティの希薄化などにより家族葬などのコンパクトな葬儀のニーズが高まってきていることから1件あたりの単価が低下していることが挙げられる。

高齢化により市場は安定して伸びていく一方で、新規参入・低価格化の進んでいる葬儀業界においては、今後もさらなる競争の激化が予想される。国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年まで死亡者数の増加が続くという予測が出ており、近年では鉄道会社やベンチャー企業でさえも葬儀業界へ参入する動きが見えてきている。そうなれば、徹底的なコスト削減で低価格を売りにした事業者と付加価値を追い求め品質の高いサービスを高価格で提供する事業者に二極化していくと考えられている。今後は、既存の葬儀社に加え、新規参入してくる他事業社の動向が競争の行方を左右する大きなカギとなる。
近年では、地域密着型の葬儀会社を対象とするM&Aが目立つようになってきた。また、日本セレモニーによる結婚式場運営のエムジェイキュー買収や、2017年のサン・ライフによるペットセレモニーWAVYのペット葬事業取得など、有力企業によるM&Aを通じた動きも増えてきている。 その背景には、先に述べたとおり、今後の葬儀業界は競争が激しくなることを業界各社が見据え、危機感を募らせていることがあると考えられる。
特に大手の葬儀社は、地元密着の葬儀社を囲い込むことで事業規模を拡大し、より大きなスケールメリットを出すことで、この競争市場に打ち勝っていこうとする動きが活発になり、M&Aへの関心は今以上に高まっていく可能性がある。
ー主な事例 ー
冠婚葬祭のあいネットグループは、2013年以降、平安閣(静岡県藤枝市)、長野県南信地域で葬儀式場を運営する平安(長野県飯田市)など6社を買収。婚礼事業ではあるが、2018年には甲府興産(山梨県南アルプス市)が長野県松本市で展開している婚礼事業を買収している。
2015年4 月にこころネット株式会社(福島県福島市)が、同業である牛久葬儀社(茨城県牛久市)を買収、2018年9月には株式会社北関東互助センター(栃木県宇都宮市)、同年11月には有限会社玉橋(福島県本宮市)を立て続けに買収・子会社化し、エリアと事業規模の拡大を行っている。
2019年6月に日本産業推進機構(東京都港区)は、株式会社東海典礼(愛知県豊川市)の株式の譲受けを実施。日本産業推進機構は葬儀社としてではなく、東海典礼の事業の強化・加速させるためのノウハウを提供し、売上の向上を狙う。
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弊社のM&Aご成約実績
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詳細業種 太陽光関連 所在地 非公開 概算売上 30億円~50億円 -
詳細業種 WEB広告 所在地 関東 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 セキュリティ機器製造・販売 所在地 関西 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 アパレル業界向けECコンサル・運営代行 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 不動産管理 所在地 関東 概算売上 2.5億円~5億円 -
詳細業種 内装工事・フローリング工事 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円 -
詳細業種 リース業 所在地 非公開 概算売上 非公開 -
詳細業種 歯科医院 所在地 中部・北陸 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 水産加工業 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円
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