
婚礼業界のM&A動向
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婚礼会社とは、挙式、披露宴の挙行など婚礼のための施設・サービスを主たる事業とする事業者のことを指す。また婚礼事業に付随するサービスとして、新婚家具、新婚旅行、ブライダルジュエリー、結納式・結納品、結婚情報サービスを提供する事業者のことを指す場合もある。
婚礼会社の経営形態としてホテル・旅館等やレストラン、専門式場・ハウスウェディングがある。1990年代における挙式や披露宴などの婚礼はホテルで行うことが主流であったが、2001年以降の顧客のニーズに対応できるハウスウェディングの登場により婚礼スタイルが多様化している。

婚礼業界は、閑散期と繁忙期の差が激しい点が特徴的である。挙式や披露宴などの婚礼は基本的に土日祝日に行われ、さらに参列者への配慮から気候的にも過ごしやすい春・秋に行われることが多い。そのため、平日に婚礼が行われることはほとんどない上に、夏・冬は避けれられる傾向にある。1年を通して考えた際に、売上のタイミングが非常に少ないビジネスモデルになっている。
また、固定客やリピーターがいないという点も婚礼業界の特徴としてあげられる。これにより、新規顧客を常に探し続ける必要があり、婚礼会社の広告費やマーケティングコストの増大につながっている。
地域による差も出やすい業界といえる。婚礼の行事ということもあり、全国各地の文化に沿った形式で執り行われることが多い。都市部では、ご祝儀制の婚礼が行われるが、地方では会費制の婚礼もあり、この費用差が売上にも影響する。
内閣府「少子化社会対策白書」によれば、国内の婚姻件数は1972年の約110万組をピークに減少を続け、「厚生労働省平成30年人口動態統計(推計数)」によると2018年の婚姻組数は約59万組であり約半数近くも減少している。
株式会社矢野経済研究所の「ブライダル市場に関する調査結果」によると、国内拠点で手配された海外挙式事業の売上を含み2019年度で2兆3,760億円(内訳としては挙式、披露宴の挙行に約1.4兆円、その他付随サービスに約1.0兆円)と推定されており、こちらも縮小傾向にあり市場の縮小に伴い生存競争は激しくなっている。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2396
企業別に売上高をみると、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズが636億7,800万円、株式会社ツカダ・グローバルホールディングが611億2,100万円、ワタベウェディング株式会社が484億5,800万円、株式会社エスクリが314億3,000万、アイ・ケイ・ケイ株式会社が201億8,900万円などとなっている。
少子化の影響による婚姻件数の減少が婚礼業界の大きな懸念としてあげられる。また、婚礼数の減少も大きな課題である。婚姻したが役所に婚姻届を提出するだけで済ませ、挙式や披露宴などの婚礼を執り行わない「ナシ婚」や、晩婚化が進む中で「従来のような挙式は必ず行わなくてもよい」という価値観の変化により、婚礼数の減少が減少しており、婚礼業界の企業経営に直接的な影響がある。
一方で、婚礼に関する費用は増加傾向にある。その主な要因は、2001年以降のハウスウェディングのシェア拡大により、顧客ニーズに叶った婚礼ができるようになった点や、初婚年齢の上昇により、もてなしを重視するカップルが増加し、招待客1人あたりの料理・飲み物費用の合計が増加傾向にある点があげられる。多様化する顧客のニーズに対する迅速な対応と、式場やサービスを強化し、高い付加価値を創出することが今後の生き残りに必要である。
婚礼業界では、収益や営業エリアの拡大を目指した同業のM&Aに加えて、オリジナリティを打ち出すために、ブライダル事業に関連する周辺事業を展開する企業(婚礼用ドレスやジュエリーのレンタル・販売などの周辺事業を行う企業)をM&Aするケースも多く見受けられる。
2019年2月、株式会社パートナーエージェントは、格安婚サービス「スマ婚」を提供する株式会社メイションの全株式を取得し、完全子会社とした。このM&Aにより、婚活支援とブライダル領域の相乗効果や、婚活から成婚後まで一気通貫したサービスを提供することによる顧客利益の最大化が図られた。また、2020年3月にはフォトウエディングサービス事業などを行う株式会社MクリエイティブワークスをM&Aし、同社になかったフォトウエディングサービスの提供を実現した。
2019年6月、株式会社くふうカンパニーは、ウェディングドレス販売や結婚式のプロデュースを事業とする株式会社フルスロットルズの株式を取得し、孫会社化した。株式会社くふうカンパニーは、2018年11月に結婚式のプロデュース事業を手がける株式会社アールキューブを傘下におさめており、このM&Aで、「みんなのウエディング」などのブライダル情報サイト運営から結婚式当日のサービスまでをトータルに手がけられる体制づくりが期待された。
2018年2月、Web制作会社の株式会社カヤックは、ブライダル事業を行う子会社プラコレを通じて、ブライダルメディアを運営するサンネット株式会社の株式を取得し、グループ会社化した。サンネット株式会社は、沖縄を拠点にブライダルメディアやマッチングメディアの運営を行う企業であり、近年の沖縄観光市場の拡大に伴い「沖縄リゾートウェディング」が注目を集めている。カヤックは、サンネット株式会社のグループ会社化を沖縄進出の足がかりにするとともに、グループ全体としての企業価値向上と、持続的な組織力の強化を目指す目的である。
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