
美容室・理容室業界のM&A動向
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理容所(室)・美容所(室)とは、理容・美容の業を行うために設けられた施設のことを指す。
日本では1947年に「理容師法」が制定され、1957年に「美容師法」が制定された。制定後、「理髪師」と「美容師」と区別されるようになるが、1951年に法改正があり、「理髪師」は「理容師」と改称される。
理容師法の定義では「理容とは頭髪の刈り込み、顔そり等の方法により容姿を整えることをいう。」となっており、美容師法の定義では「美容とはパーマネントウェーブ・結髪(けっぱつ)・化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。」となっている。

厚生労働省衛生行政報告書によると、2019年の美容室数は前年より1.4%増加し、251,140店舗であった。理容室は119,053店舗であり、前年より1.6%減少している。全国のコンビニエンスストア店舗数が55,620店舗(JFAコンビニエンスストア統計調査)であるため、いかに美容室の数が多いかということがわかる。人口が減少に転じているにもかかわらず、コンビニエンスストアの5倍の店舗数があり、さらに年々増加しているという現実は、過当競争であることが一目瞭然である。
理美容市場は、以前から存在する付加価値型サロンと、施術メニューやサービスを一点特化した低価格サロンへの二極化が進行している。技術・施術・接客のみならず、美容サービス全体に磨きをかけることで、付加価値に合った適切な価格に回帰する理美容室や、10分1,000円を消費税が10%に上昇した今でも税込みの価格設定を維持する理美容室、更に600~700円代の金額でヘアカットを提供している理美容室も存在する。また、ネイル・エステ・まつげエクステなど他の美容サービスと協業し、相互集客を促進して売上を確保する理美容室も多い。
理容市場は店舗数が減少しており、経営者の高齢化が進んでいる。生活者ニーズとのギャップが大きくなっており、1~2人で経営している個店、いわゆる「散髪屋」は淘汰される傾向にある。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2019年度の理美容業界の市場規模は、事業者売上高ベースで2兆1,253億円(前年度比99.4%)であった。うち理容市場は6,287億円(99.2%)、美容市場は1兆4,966億円(99.5%)となっており、理容市場:美容市場の割合は3:7の構造になっている。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2409
理美容市場全体では、需要者の消費意欲が本格的に改善されないまま2019年の消費税引上げを迎え、2020年の新型コロナウイルスの発生により来店意欲が二段階に渡り著しく減少した。来店サイクルが以前の月1回(30日ごと)から45日などのインターバル長期化による売上減少に見舞われている。また施術メニューの費用対効果に対する視点が以前以上に厳しくなり、顧客離れによる売上高減少にもなっている。
しかし生活者は自分自身で調髪をすることができないため、理美容ともに「生活必需品」となっており、「嗜好品」を生産・流通させる他の産業・業界に比較して大きな市場規模の減少にはならない強みがある。美容関連市場であるエステなどの嗜好品に比較しても落ち込みは小さい。ただ、理美容市場規模としてはここ数年横ばいか微減・微増を繰り返している。
理美容業界の課題としてあげられるのが、技術者として理容師をこれから目指す人が顕著に減少していることである。2003年に25万人いた理容師は、2015年には22万人まで減少しており、それにともない店舗数も減少している。考えられる要因としては、理容業界の過酷な労働環境や1,000円ヘアカット専門店などの低価格業態への台頭、一人前になるまで数年かかるという慣習、男性需要者の美容業界への流出、理容業界全体に残る古い体質などが挙げられる。
理容業はITやAIに置き換えることができないため、これらの環境により理容師志望者減少や現役理容師の引退による「後継者不足・人材不足」の悪循環に陥り、廃業に追い込まれ店舗が増加している。
理美容業界における大手企業は、阪南理美容株式会社(売上高879億円)、株式会社アルテサロンホールディングス(170億円)、キュービーネットホールディングス株式会社(167億円)、株式会社アースホールディングス(155億円)、株式会社田谷(125億円)などがあげられるが、理美容業界全体の市場規模は2兆円を超えているため、大手のシェアが極めて小さく零細業者および個人事業主がシェア80%以上を占める大規模市場には珍しく「企業化」が進んでいない業界であり、M&Aはほとんど実行されてない業界でもある。
1つの例として、キュービーネット株式会社は1995年に設立した。2006年にオリックスが創業者などから73.9%の株式を取得してM&A成立。しかし、2010年にジャフコがオリックスから発行済株式の78%を取得してM&Aを成立させる。
2014年にはインテグラルがIQ株式会社を設立。2015年にIQ株式会社がジャフコから株式を取得しM&A成立。キュービーネット株式会社に商号変更した。2016年にはキュービーネット株式会社が持ち株会社となり、キュービーネットホールディングス株式会社に商号変更。新設分割によりキュービーネット株式会社設立。2018年にキュービーネットホールディングス株式会社が東京証券取引所第一部に上場した。以上がM&Aの実績としてあげられる。
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