
鉄道業界のM&A動向
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鉄道業とは、鉄道事業法に従い、普通の鉄道(2本レール構造)、モノレール、案内軌条式鉄道(ゴムタイヤ走行)、トロリーバス(架線による電動バス)、ケーブルカー、リニアモーターカーなどを経営する事業のことを指す。
鉄道は人や貨物を迅速かつ大量に運送することが特徴なことから、陸上輸送機関として最も重要な役割を担い、公共事業として人々の生活に欠かせないものとなっている。

鉄道業界は、経営母体で「JRグループ各社」「私鉄」「公営鉄道」「第三セクター鉄道」の4つに分類される。「JRグループ各社」は日本国有鉄道に起源を有して運営されており、「私鉄」は民間企業によって運営されている。また、「公営鉄道は」地方公営企業や地方自治体が運営されており、「第三セクター鉄道」は国や地方自治体と民間が共同運営されている。貨物列車はJRグループが大半を占めているが、私鉄や専用鉄道も少数ではあるが、貨物を扱っている。
また、鉄道会社が運営する駅を拠点として、ホテル・不動産・小売業・レジャーや、インフラ整備支援でグローバル展開をするなど、複数事業を運営するケースが多い点も大きな特徴である。
総務省のサービス産業動向調査によると、2019年における鉄道業界の市場規模は約8兆円であり、同調査がまとめた鉄道業界の従事者数は約26万人と非常に多くの従事者によって成り立っている。

出典:http://www.stat.go.jp/data/mssi/kekka/pdf/k2018k.pdf
2009年から2011年ごろまではリーマンショックによる国内の景気後退の影響を受け、中長距離のビジネス、レジャー需要が落ち込みより、輸送人員が減少して売上高は後退気味であった。しかし2012年ごろからは国内の景気回復、求人倍率の増加や失業者数の減少と訪日外国人客数によるインバウンド需要の高まりで輸送人員は増加傾向となり売り上げも増加した。だが、2020年の新型コロナウィルスの影響で在宅勤務の推奨や中長距離のビジネス、レジャー需要、インバウンド需要の大幅な落ち込みで売り上げが激減することが予想されている。
企業別に売上を比較すると、東日本旅客鉄道株式会社が2兆9,466億3,900万円、東海旅客鉄道株式会社が1兆8,446億4,700万円、西日本旅客鉄道株式会社が1兆5,082億円、近鉄グループホールディングス株式会社が1兆1,942億円、東急株式会社が1兆1,642億円となっている。
鉄道業界では、国内の人口の減少と少子高齢化による利用者の減少が予測されており、鉄道自体の利用者数は減少していくことが予想される。そのため、鉄道会社は新たな収益源として非鉄道事業に注力する傾向が年々強くなっている。例えば、安定した収益基盤を元に不動産業や旅行業、沿線にある観光資源を地方自治体と共に発掘・開発することや、観光客の誘致などの協働、さらには海外展開も進めているケースがある。
また、本業である鉄道事業では異なる鉄道会社同士が互いの路線で車両を運行する「相互乗り入れ」が目立ってきている。日本の鉄道を、車両などの「ハード」と、正確・安全に運行するためのノウハウといった「ソフト」、さらには沿線の開発などを含めた街づくりのノウハウを海外へ輸出するなど、積極的な姿勢がみられている。
鉄道業界では、事業の多角化、駅や沿線地域の価値向上や再開発のためのM&Aや、安全対策強化のためのM&A、鉄道会社と他の交通業者が連携する新たなモビリティーサービスMaaS(マース)のためのM&Aが行われている。
2017年、九州旅客鉄道株式会社は、キャタピラー九州株式会社の会社分割により、設立予定である新設会社の全株式を取得し、子会社化した。キャタピラー九州株式会社は、世界最大の建設機械メーカーのCATERPILLAR INC. の日本法人・キャタピラージャパン合同会社の九州地区特約販売店で、建設機械の供給アフターサービスを提供している。九州の高速道路やダム建設のプロジェクトに関わりがある。このM&Aにより、九州旅客鉄道株式会社は、鉄道事業で培った「安全」と「サービス」を軸に、 非鉄道事業の事業領域の拡大が図られた。
2013年、東武鉄道株式会社は、旅行会社であるトップツアー株式会社の持ち株会社の株式会社ティラミスホールディングスを完全子会社化した。株式会社ティラミスホールディングスが保有するトップツアー株式会社は全国に116か所、及び北米、アジア、欧州、豪州のネットワークを有する旅行会社であり、訪日旅行、団体旅行の分野に強みを持っている。このM&Aにより、東武鉄道株式会社は、これまで関東に集中していた東武グループの旅行サービスのプレゼンスを全国に広め、観光地への送客により沿線の活性化を図った。
2011年、京王電鉄株式会社は、不動産関連業の株式会社リビタを子会社化した。京王電鉄株式会社は、不動産関連ビジネスで住宅リノベーション事業に注力しており、株式会社リビタを子会社化することで、沿線外への事業領域拡大を加速させることを目的としている。
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