物流(運送会社)
業界別M&A動向

物流(運送会社)業界のM&A動向

更新日

監修者プロフィール

  • 企業情報部 部長 菊池 尚人

    企業情報部部長菊池 尚人

    大手証券会社にて未上場企業(大手・中堅)の資産運用や富裕層の資産運用コンサルティングに従事。
    当社入社後、M&A案件開発、M&Aアドバイザリー業務に従事。主に、物流・運送業界、飲食・ケータリング業界、建設コンサルタント業界を手掛ける。

物流業界ではM&Aが活発化しており、その背景には「2024年問題」があります。これは、2024年4月よりドライバーの時間外労働に上限が設定されたことによって起こる諸問題のことです。具体的には一日の運輸量の減少、売上・利益の減少、収入減少による担い手不足などが挙げられます。

本記事では、物流業界の現状について紹介したうえで、M&Aの事例や、物流業界でM&Aを実施するメリット、成功させるためのポイントなどについて見ていきましょう。

M&Aの前に押さえておきたい物流業界の情報

まずは、物流業界の定義と特色について、それぞれ見ていきましょう。

物流業界の定義

物流業界は、輸送・配送サービスを提供する「運送業」と、保管サービスを提供する「倉庫業」に大別されます。そのうち運送業は、そのなかでも輸送機関ごとに、トラック運送業、宅配便業、鉄道業、海運業、空運業に分けられます。いずれも日本の産業競争力の強化や豊かな国民生活の実現と地方創生を支える、社会インフラです。

また、製造業や流通業など他の業界内で「輸配送・荷役・流通加工・梱包・保管・情報管理」の役割を担っており、単体で独立することのない形態である点も、物流業界の特徴といえるでしょう。

物流業界の特色

物流業界は、ユーザーとなる企業から大手企業へと受注されたのちに、子会社または中小企業に下請けがなされていく、多重下請け構造です。労働集約型であることから、個人が対応可能な業務量には限界があり、規模の優位性(=スケールメリット)が特に重要視されます。陸上・港湾などで行われる運送業は「陸運」と呼ばれ、主にトラック運送業や宅配便などの業務がそれらに該当し、物流業界の約7万5千の事業者のうち、8割以上がトラック運送業です。

国内では、日本郵便や日本郵船、日本通運など大手の物流会社が全国に物流網を展開しており、小規模なものから大規模なものまで広範囲に物流サービスを提供しています。

一方で、中堅以下の企業は特定の地域・荷主・貨物種別などに特化して事業を行うことが多いです。また、小資本でも業界参入が可能なため、零細企業も多いことが特徴として挙げられます。

物流業界のM&A動向・市場規模

物流業界では、2024年問題への対応として、M&Aが活発化しています。2021年には過去最多の94件、2022年も82件(レコフM&Aデータベース)と高い水準を維持しました。

なお、物流業界ではM&A以外にも、2024年問題への対策としてさまざまな施策が実施されています。具体的には労働力不足への対策として自動運転トラックの導入や、物流システムの効率化を狙ったデジタル化の推進などが挙げられます。環境対策も推進しており、脱炭素への取り組みとして、ラストワンマイル配送に電動車の使用が検討されています。

物流業界におけるM&A件数の推移

物流業界のM&A事例

物流業界のM&A事例として、以下の4つを紹介します。

KKRジャパンと株式会社日立物流

2023年3月1日、KKRが株式会社日立物流の株式を取得しました。グローバル投資会社であるKKRは、日立物流の議決権付株式100%を保有する特別目的会社HTSK株式会社と、HTSKの完全親会社で持株会社であるHTSKホールディングス株式会社を通じて、日立物流の株式を保有した形です。HTSKホールディングス株式会社の議決権付株式の10%を保有する日立製作所と、残り90%を保有するKKRは、戦力的パートナーシップの元で協業していくとしました。

大王製紙株式会社がダイオーロジスティクスとダイオーエクスプレスを合併

2023年4月1日、大王製紙株式会社は、自社の連結子会社であるダイオーロジスティクス株式会社と、ダイオーロジスティクス株式会社の子会社である、ダイオーエクスプレス株式会社を合併しました。組織体制の見直しにより、グループ全体の物流体制の強化を図ることが目的の合併です。

丸和運輸機関とM・Kロジ

2022年7月29日、株式会社丸和運輸機関は、株式会社M・Kロジを完全子会社化しました。ECで消費者に直接商品を販売するD2C事業者を主な顧客としているM・Kロジは、この子会社化により電子商取引の強化を図るとしています。

鷹栖運輸機工有限会社とカーレントサービスグループ

2020年5月26日、株式会社カーレントサービスは鷹栖運輸機工有限会社の全株式を取得し、完全子会社化を実施しました。鷹栖運輸機工有限会社は、幅広い領域において大型重量物の輸送事業や工場内物流請負事業を展開しており、さらには、特殊車両と1,700坪の車両基地を保有しています。

カーレントサービスは、鷹栖運輸機工有限会社とのシナジー効果によってクライアントへのサプライチューンへの貢献、新領域への参入を実現することを目的とし、取引を実施しました。

株式会社丸玉運送と株式会社東亜環境コーポレーション

2023年4月、株式会社丸玉運送は、株式会社東亜環境コーポレーションとのM&Aを実施しました。売り手となった株式会社東亜環境コーポレーションは、一般・産業廃棄物収集運搬業を展開しています。一方、買い手となった株式会社丸玉運送は運送業を営んでおり、中京エリアでの事業強化や人材不足の解消を期待して、取引を実施しました。

物流業界でM&Aを活用するメリット

物流業界でM&Aを活用すると、新規参入機会の増加、ドライバーの確保、事業規模の拡大など、多くのメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

業界への新規参入機会が増える

運送会社のM&Aによる買い手のメリットは、業界への新規参入が簡単に行える点です。トラックやドライバー、運送業許可が必要な事業所や駐車場を新たに用意するよりも、既存の資源を利用してリスクを低減しながら事業を開始できます。また、運行管理者や整備管理者などの必要人材も既に配置されていることが多く、顧客基盤や従業員育成の面でもメリットが期待できるでしょう。

ドライバー確保につながる

M&Aを通じて運送会社を買収する主なメリットは、既存の従業員、特にトラックドライバーを獲得できることです。2024年の時間外労働の上限規制への適応には、ドライバーの確保が欠かせません。M&Aにより買収した企業のドライバーを獲得することで、採用に関わる時間や労力を節約しながら、ドライバー不足という業界の大きな問題に対応することが可能です。

事業規模拡大につながる

M&Aを利用することで、対象企業の保有する顧客基盤や取引ネットワークの活用による収益性の拡大や、スケールメリットによる早期の事業拡大が期待できます。市場における優位性向上にも役立ち、さらなる生産性・業務効率の向上にも連鎖的につながるでしょう。

物流業界におけるM&A成功のポイント

M&Aを成功させるためには、タイミングの見極めが重要です。早期に専門家と相談し、将来の計画を確立することがポイントです。

適切なタイミングでM&Aを実施する

M&Aの成功には適切なタイミングの見極めが重要です。再編中の運送・物流業界では、タイミングを逸すると理想的な案件を見つけられないリスクがあります。早期に専門家と相談し、将来の計画を確立することが必要です。

また、適切なタイミングで実施するM&Aは、新たな市場への参入や事業の拡大も視野に入り、成長戦略における大きな一手となるでしょう。

シナジー効果を狙う

運送会社のM&A成功の鍵は、シナジー効果が期待できる案件を選ぶことです。シナジー効果を最大化するためには、事業内容、トラックドライバーの質と数、車両やその他の設備、そして営業エリアの詳細な調査が必要です。

物流業界における今後のM&Aの課題と展望

2024年問題を受け、物流業界におけるM&Aは活発化している状態です。労働力不足が特に深刻な中小運送会社が、大手物流会社とのM&Aや業務提携を選択するケースが多く見られます。そのため、2024年以降も物流業界のM&A件数は、高い水準を維持する見込みです。

M&Aキャピタルパートナーズでは、物流業界のM&Aに関する深い知識と経験を持つプロフェッショナルチームが、企業の成功に貢献しています。物流業界のM&Aに関心がある方は、ご相談ください。

弊社のM&Aご成約実績

  • 成約年数
    2022年9月
    対象会社(譲渡会社)
    食品輸送
    地域:東北
    譲受会社
    運送業
    地域:東北
    取引スキーム/問題点・概要
    55歳以上,株式譲渡
    譲渡企業は、北海道で食品運送を展開。業績は順調であったが、燃料高に伴う将来の業績悪化やドライバーの安定確保に不安を感じていた。...
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  • 成約年数
    2022年9月
    対象会社(譲渡会社)
    運送業
    地域:関東
    譲受会社
    運送業・倉庫業
    地域:関東
    取引スキーム/問題点・概要
    55歳以上,株式譲渡
    譲渡企業は、東日本で物流業を展開。大手の取引を有し、業績は順調であった。燃料高や人手不足に伴う経営環境の変化により、業績悪化や...
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新着案件情報
  • 詳細業種 SES事業を主軸に、一部、ITコンサルティング事業、ソフト受
    所在地 関東
    概算売上 2.5億円~5億円
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  • 詳細業種 流通小売店舗の開発
    所在地 中部・北陸
    概算売上 10億円~30億円
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  • 詳細業種 ロードサイド店舗・駐車場の不動産賃貸業
    所在地 中部・北陸
    概算売上 2.5億円~5億円
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  • 詳細業種 カーナビ関連のシステム開発
    所在地 中部・北陸
    概算売上 2.5億円~5億円
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  • 詳細業種 Web制作、Webマーケティング事業
    所在地 九州・沖縄
    概算売上 2.5億円~5億円
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  • 詳細業種 設備工事(電気工事・管工事・給排水・衛生工事)
    所在地 九州・沖縄
    概算売上 1億円~2.5億円
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  • 詳細業種 日用品雑貨製造・販売
    所在地 中部・北陸
    概算売上 10億円~30億円
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  • 詳細業種 仏高級ブランド中古小売業
    所在地 関東
    概算売上 5億円~10億円
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  • 詳細業種 ソフトウェア受託開発業
    所在地 関西
    概算売上 1億円~2.5億円
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