家具・オフィス業界のM&A動向
更新日
業界の定義
家具とは、室内で日常的に使用する道具のことを指し、具体的には椅子や机、ソファー、ベッド、棚、シューズボックスなどがあげられる。家庭で使用する家庭用家具のほかに、仕事で使用するオフィス用家具があり、オフィス用家具専門の通販サイトなども存在する。
家具の歴史は古く、古代エジプト時代に発明された「のこぎり」による加工技術の発達から、高度な家具が製造されている。それ以降、世界各地の文化に沿って、ロココ様式やインド=ヨーロッパ様式など様々なデザインの家具が製造されている。
業界の特色
家具・オフィス業界は、高級家具・低価格家具の二極化が進んでおり、高級家具で有名なのは大塚家具あげられ、低価格家具で有名なのはニトリやイケア、無印良品があげられる。
家具・オフィス業界でも堅調な業績を記録しているのが、ニトリである。ニトリの強みは、独自のSPAモデル「製造物流IT小売業」を確立している点にある。製造物流IT小売業とは、商品企画から原材料の仕入、生産、プロモーション、販売、発送までを一貫して、自社で行うというビジネスモデルである。このSPAモデルにより、コストを抑えた高い利益率を実現し、低価格の家具を提供しながら30年以上連続で増収増益を達成している。
また家具・オフィス業界内では「ホームファッション」「ホームファニシング」を主体とした販売戦略もキーポイントになっている。ニトリやイケアなどでは、実店舗においてリビングやキッチン、寝室などを様々なコンセプトに沿ってトータルコーディネートすることにより、商品を提案し、売り上げを伸ばしている。
また2020年には、新型コロナウイルスの影響で、自宅でリモートワークを取り入れる企業が非常に増加した。そのため、家庭でもオフィス家具を使用する機会が増加し、個人のオフィス家具消費が大きく増加している。大手情報通信事業者である富士通は、国内のオフィスのスペースを3年後をめどに半減させることを発表しており、今後も継続して個人用オフィス家具の需要は見込まれると予測される。
市場の規模
一般社団法人日本家具産業振興会の家具小売業時系列データによると、家具・オフィス業界は、1980年代から1990年代に市場規模が2兆円を超え、全盛期を迎えていたが、2000年代に入ると1兆円台に戻り、現在にかけては1兆円を切る年もあった。
出典:http://www.jfa-kagu.jp/files/statistics/retailing_2016.pdf
高級家具を取り扱う株式会社大塚家具の業績を参照すると、売上高727億6,900万円を記録した2007年以降、売上の減少が目立っており、2018年には373億8,800円と約2分の1になっている。一方で、低価格家具を扱う株式会社ニトリや株式会社良品計画などはイケア・ジャパンなどは家具・オフィス業界内でも好調な業績を維持している。
特に株式会社ニトリは2020年2月期で33期連続の増収増益を達成しており、2021年2月期の連結業績は売上高が前期比1.7%増の6,532億円、経常利益は同3.4%増の1,133億円を計画し、34期連続の増収増益を目指している。株式会社良品計画も、4月9日に発表した2020年2月期決算によると、営業収益が4,387億1,300万円で前期比7.1%増であった。また、オフィス家具大手のコクヨ株式会社の2019年の売上高は3,202億円で前期比1.6%増を達成している。
課題と展望
家具・オフィス業界の課題としてあげられるのは、少子化や新設住宅着工戸数の減少に伴う市場の縮小への対応である。家具・オフィス業界は住宅業界の動向に影響を受けやすい業界であり、引っ越しや住宅のリフォームよる、家具のまとめ買いが需要を産んでいる。
株式会社野村総合研究所の調査によると、2020~2040年度の新設住宅着工戸数は、2019年度が88万戸、2030年度が63万戸、2040年度が41万戸と減少していく見込みである。
出典:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/0609_1
これは家具・オフィス業界にも大きく影響を与えることが予測でき、今後この予測に対して、どのような経営判断がされていくのか注目される。
家具・オフィス業界のM&A動向
家具・オフィス業界では、異業種からの参入のためのM&Aや、家具・オフィス業界から異業種への参入のためのM&Aがみられる。近年では、インテリア専門店、家具店、ホームセンターなどが参入している。また、原価低減、間接コスト低減目的や経営基盤の強化のためのM&Aも行われいてる。
2020年4月、株式会社フォーバルはオフィス機器、オフィス家具、文房具用品の販売・保守を行っている株式会社えすみの全株式を取得し、完全子会社化した。このM&Aにより、山陰地域の顧客基盤の獲得に加え、中核事業の潜在顧客の増加による事業拡大が図られた。
2020年2月、株式会社オカムラは株式会社オカムラ物流とシーダー株式会社の完全子会社2社を7月1日付で吸収合併すると発表した。このM&Aにより、生産・販売・物流一体となったSCM全体の最適化と物流サービス向上のための取り組みを加速させ、さらなる事業競争力強化と経営効率向上が図られた。
2019年12月、株式会社ヤマダ電機は、株式会社大塚家具と資本提携の一環として、大塚家具が実施した第三者割当増資の引き受けを完了し、同社を子会社化した。このM&Aにより、グループ全体として競争力の向上及び経営効率の改善による、顧客満足の向上と企業価値の向上が図られた。
関連ニュース
-
2024-01-30
-
2024-01-05
-
2022-01-13
-
2021-11-19
-
2021-11-01
-
2021-06-15
-
2020-11-04
-
2020-10-29
-
2020-04-03
-
2020-02-20
弊社のM&Aご成約実績
-
成約年数 2021年6月対象会社(譲渡会社) 家具EC販売地域:近畿譲受会社 投資ファンド地域:関東取引スキーム/問題点・概要 55歳以上,株式譲渡譲渡企業は、近畿エリアの家具商社。後継者がおらず、また業界の先行き不安もあったことからM&Aを検討。譲受企業は、物流に強みを持つ投... -
成約年数 2020年10月対象会社(譲渡会社) EC通販地域:関東譲受会社 小売地域:関東取引スキーム/問題点・概要 株式譲渡譲渡企業は、家具インテリアの販売事業を展開。近年競業他社との競争が激化し、今後の成長を加速させるために資本力のある大手企業との...
-
詳細業種 公共施設・オフィスビル等のメンテナンス業務 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円 -
詳細業種 電気通信工事 所在地 関西 概算売上 2.5億円~5億円 -
詳細業種 木製製品(雑貨等)の製造会社 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 ワイヤーハーネス製造業 所在地 非公開 概算売上 非公開 -
詳細業種 輸出業 所在地 関東 概算売上 100億円~1000億円 -
詳細業種 不動産賃貸業 所在地 関東 概算売上 1億円未満 -
詳細業種 セキュリティ機器製造・販売 所在地 関西 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 コンテンツ配信・サブスクリプションサービス 所在地 関東 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 型枠大工工事業 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円
M&Aキャピタル
パートナーズが
選ばれる理由
私たちには、オーナー経営者様の
決心にこたえられる理由があります
着手金や月額報酬を
いただくことなく、
お相手企業と基本合意にいたるまで、無料で支援いたします。
検討初期から成約まで
オーナー経営者様専任の
アドバイザーが
寄り添います。
東証プライム上場の信頼性と、独自のデータ基盤の活用により、ベストなマッチングをご提供。