
飲料業界のM&A動向
飲料業界は大きく清涼飲料、牛乳・乳飲料、酒類に大別される。清涼飲料とは炭酸飲料・コーヒー飲料・ミネラルウォーター・スポーツドリンクなどのことを指す。牛乳・乳飲料とは牛乳・加工乳・乳飲料のことを指す。酒類とは、アルコール分1度以上の飲料を指し、醸造酒である日本酒、ビール、ワイン、蒸留酒である焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、混成酒である梅酒やみりん、ベルモット・リキュールなどがある。

一般社団法人全国清涼飲料連合会では、炭酸飲料・コーヒー飲料・ミネラルウォーター・茶系飲料・果実飲料・スポーツドリンク・野菜飲料・豆乳類・乳性飲料を製造するメーカーの集まりとなっている。配合される成分の種類や含有量により、栄養ドリンクは医薬部外品となりエナジードリンクは飲料に分類される。代表的なメーカーは、日本コカコーラ、サントリー食品インターナショナル、アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、ダイドードリンコなどがある。
酒類は、ビール類とそれ以外に大別される。ビール類とはビール・発泡酒・新ジャンルのことをいい、ビール以外にはチューハイ・ワイン・焼酎・ウイスキーなどをいう。ビールに関しては、麦芽使用率と使用原料によって分けられる。ビールは原料の3分の2以上が麦芽で作られており、副原料も使用可能なものが制限されている。発泡酒は麦芽の使用量が3分の2以下で副原料の使用制限がなく発泡性を有する種類のことをいう。新ジャンルとしては、麦芽以外の穀類が原料で発泡酒に蒸留酒を加えたものなどがある。代表的なメーカーは、アサヒビール株式会社、キリンビール株式会社、サントリー株式会社、サッポロビール株式会社、オリオンビール株式会社、霧島酒造株式会社などである。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2018年度の飲料総市場規模(牛乳・乳飲料を含む)は5兆1,800億円であった。景気に比較的左右されず、炭酸飲料は伸び悩んでもトクホなど健康系飲料が伸びるなど微増ではあるが市場規模は拡大を続けている。しかし国内消費の頭打ちが鮮明になってきており各企業は海外展開に注力し始めている。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2246
飲料は人々の生活には欠かせないものだが、時代によって求められる飲料の種類は変化し続けている。近年高齢者層を中心にトクホ、若年層を中心にエナジードリンクは伸びているが、炭酸飲料や缶コーヒーは減少している。
2018年の酒類総市場規模は見込みではあるが3兆5,100億円となっている。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2171
企業別の売上高は、サントリーホールディングスが2兆2,690億円、アサヒグループホールディングスが2兆1,075億円、キリンホールディングス1兆9,336円、サントリー食品インターナショナル1兆3,028億円、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス9,204億円、サッポロホールディングス5,193億円となっている。
サントリーは2014年にビームのM&Aやサントリー食品ヨーロッパの設立により海外売上高比率を大きく伸ばしている。2015年にはジャパンビバレッジホールディングス・ジェイティエースターもM&A。相次ぐM&Aにより規模を拡大している。
国税庁・課税部酒税課作成の「酒のしおり」による「種類消費量と成人人口の推移」では、日本人の飲酒量は確実に減少している。種類消費量は1996年をピークに減少に転じている。特に20〜29歳における酒離れが顕著になっており、世代交代にともなう更なる酒類消費量の減少にいかに対応するかが課題と言える。
縮小する市場に対応して大手各社は、経営の多角化を進めている。伊藤園は、タリーズコーヒージャパンをM&A。サントリーやアサヒは、サプリメントをはじめとする食品事業に進出しており、キリンは協和発酵やファンケルをM&Aして医療やバイオケミカル分野に経営資源を投入している。少子高齢化・人口減少による市場の縮小は避けられず、海外市場の開拓が鍵になりそうだ。
飲料業界では、国内における大手が中小を取り込む業界再編型や、海外における事業拡大型などさまざまなM&Aが盛んである。原材料高騰によるスケールメリット追求など経営環境の変化に対応して今後もM&Aは国内・海外ともに増加する傾向である。
2019年アサヒグループホールディングスがアンハイザー・ブッシュ(AB)インベブ(主なブランドはバドワイザー)傘下のオーストラリアのビール会社カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズを買収することで合意した。アサヒGHにとって欧州に次ぐ海外市場であるオセアニア地域のビール会社カールトンを取得することで酒類の売り上げを大幅に増やすことが図られた。
2016年、コカ・コーラウエスト株式会社とコカ・コーライーストジャパン株式会社が経営統合した。このM&Aにより競争力を強化し、市場の変化への対応が迅速化されることでサービスや価値の充実度が上がることが図られた。
2016年サッポロホールディングス株式会社は、味噌・即席味噌汁・フリーズドライ製品の製造販売を手掛ける宮坂醸造株式会社の株式51%を取得し、同社のグループ傘下に加えた。このM&Aにより、食品領域の拡大を通して、サッポログループ全体の成長戦略の加速が図られた。
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